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投稿日:2023年04月04日 13:06    文字数:3,694

レンズに写る素直な君

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クラウド×仁。
はめ撮り(動画)、甘々、えちな所だけ。
1 / 1
 
 
 スマートフォンのシャッター音が鳴る。
 
「クラウドって写真好きだよな」
「あぁ……俺は残る側だから」
 
 一度、二度、と鳴ったのでそっぽを向けば音が止んだ。
 
 少し後に、顔の位置を戻したところで鳴る三度目。
 
「そんなに撮ったって何も変わらないだろうが」
 
 ふふ、とクラウドは笑ってスマートフォンをしまう。
 
 どうせ明日にはほとんどの写真は消えているのだろうと、仁はタカを括っていた。
 
 
 ああ、失敗した。とクラウドは想像の中でだけ頭を抱える。
 夕方自室に戻って「ただいま」と声をかければ「おかえり」と言ってくれる声が、今日は無かった。
 先に帰ってきてしまったのかと歩を進めて見えたのは、テーブルの上に置かれた自分のスマートフォンと、険しい顔をした仁が腕を組んで椅子に腰掛ける姿。
「全部、俺の目の前で消せ」
 仁はクラウドを睨みながら、スマートフォンの画面を指で叩く。
 明かりがつき、デフォルト設定のままのロック画面が表示された。
「全部って何を?」
 無駄な悪あがき、と思いながらもクラウドは質問をした。
 仁の隣の椅子に座り、平静を装ったふりをして。
「動画のデータだ」
 やはりそれか、と今度は実際に頭を抱える。
 今朝方クラウドは、ちゃんと動画が撮れたかどうか確認作業をしていた。
 夜中の情事の一部始終の動画。
 半分ほど見た後に寝落ちしてしまい、慌てて起きたせいで、枕元に置いた筈のスマートフォンが無いことに気付けなかった。
 一時停止した状態のままだったか、並んだ数個のサムネイルか。
 自分の落ち度を反省したところで、この状況が変わる事は無いのだが。
「人に黙ってコソコソと」
 そんな事を言いながら、ずい、と仁が指でスマートフォンをクラウド側に寄せる。
「言ったって撮らせてくれないだろ」
 クラウドはロックを外してフォルダを開き、複数選択をして削除のボタンを押す。
「……それはそう、だけど」
「仁?」
 歯切れの悪い仁の返答を訝しんだクラウドは顔を上げた。
 そっぽを向きながらテーブルで頬杖をつく仁は、居心地が悪そうにしている。
「…………撮られたいの?」
「ちが、そんな訳ないだろっ!」
 がたん、と椅子を鳴らしながら立ち上がった仁の顔はすぐにでも真っ赤に染まりそうで。
「へえぇ」
「……ぐっ……ほんと、に、違うから」
 意地の悪い笑顔を浮かべたクラウドに、仁は言い訳を探すように口を開け閉めしていた。
「素直は良い事だよ」

 
「ぁ……ぅ、ん、んん」
 足を割り開かれ仰向けでベッドに横になる仁は、溢れ出てしまう声を小さくしようと何とか口を結ぶ努力をしていた。
「は……すご、締まる」
 つぷつぷとクラウドの陰茎が、仁の後孔をゆっくり押し広げる。
 クラウドの手にはスマートフォンが握られ、仁にカメラレンズが向けられていた。
「クラウド……カメラ、も、いや、だ」
 両腕で顔を隠した仁が、息も絶え絶えになりながら声を出す。

 動画を撮るとしたスマートフォンは最初、ベッド際に引き寄せたテーブルの上で、スタンドに立てかけられていた。
 レンズの方に顔が向くように誘導される事に、やんわりと抵抗していた仁だったが、肌を撫でられ舌が絡まるうちに、快楽に流されて存在を忘れかけていた。
 指で執拗に拡げられた後孔に、待ちわびたモノがあてがわれたというのに、それは中々入ってこない。
 行為中に目を瞑る癖のある仁が目をそろりと開けて見たのは、スマートフォンを手に取ったクラウドだった。
 
 どくどくと脈打つ音が耳元で聞こえるような気がした。
 指や舌の愛撫で蕩けた思考がはっきりとしたものに戻ってしまう。
「……っん、んん゛っ」
 撮られていることへの恥ずかしさから仁の身体は強ばってしまい、奥へ進もうとするクラウドを締め付けていた。
 それでも、ゆらゆらと揺すられれば甘ったるいくぐもった声が漏れ、刺激が欲しい本能は腰をくねらせてしまう。
「そんなに腰振って、締め付けてきて、かわいい」
「ちがっ、う、言うな、っ、ばかっ」
 仁が腕の隙間から見たクラウドは、嬉しそうに目を細めて画面を眺めていた。
 それを見た途端、腰から背筋へぞくぞくと痺れが走る。
 ぐらりと揺れた思考の後、仁は顔を隠していた腕をクラウドに向けて伸ばした。
「……っ、ぅ、くら、う、ど」
 自分は何を言おうとしているのだろう。
 引かれると思っていた願望が受け入れられて、
 あまつさえ喜ばれている状況に、
 浮かれて、頭のネジが外れたんだ。
「おれ、の、こと、見てて」
 そうじゃなきゃ、こんな事出来やしない。
 
 いわゆる騎乗位の体勢になった仁は、クラウドの陰茎の上にそっと腰を降ろしていく。
 僅かな抵抗の後、自分でも驚くほど容易に、ずぶずぶと全てを飲み込んでいった。
「っは、あ……っ……」
 背を反らせながら、クラウドと目線を合わせた仁は、その目線を少しだけ下にさげる。
 視界の中にスマートフォンとレンズが入り込む。
「仁、動ける?」
 クラウドの声掛けに、若干遅れつつも頷く事で何とか返答した。
 前屈みになった仁はクラウドの腰の横に手をつき、ゆるゆると身体を上下させ始める。
「……んっ、ぅ……」
 短いストロークのなか、目を瞑って気持ち良くなれる角度を探しながら仁が動く。
 時折目線を上げては、撮って見られている事を確認して、きゅうと腹の中を締め付ける。
 そんな光景が続いて動きたくて堪らないクラウドは、ギリギリのところで何とか耐えていた。
「クラウド……っ、きもちいい……?」
「ん、気持ちいいよ」
 クラウドの返答にかすかに笑った仁を見て、理性が飛びそうになる。
 揺さぶってやりたい衝動を抑えながら、動きに合わせて、とつとつ、とゆっくり突き上げた。
「あ、っん、んんぅ、うごく、な、ぁ」
「仁は気持ちよくない?」
 小さく首を横に振った仁が、もごもごと口の中で喋る。
「俺が、うごけなくなる、から、だめ……」
 それを聞き逃さなかったクラウドは溜め息を隠しもせずに吐き、スマートフォンをテーブルに戻す。
 溜め息をつかれた事に気を取られた仁は、それがインカメラに変更された事に気付けなかった。
 カメラの角度を簡単に調整し、体勢を戻したクラウドがにこりと笑う。
「動けなくなるのが困る? なんで?」
 自由になった両手で仁の腕を掴み、下から突き上げれば背が弓形に反り返る。
「──っあ、あ゛ぁっ!」
「ねぇ、仁。教えて」

「忘れないように撮っておくから」

「──っっ!」
 目線を彷徨わせて見つけたのは、画面に写し出された自分の姿。
 息を飲んだ仁の顔が見る間に赤く染っていくが、クラウドが揺さぶってくるせいで、呑気に固まって黙りこくる事も出来ない。
「あ、ぁ、くらうど」
「ほら、何で困るの?」
「ぅ、あ、俺ばっか、きもちい、みたいで、嫌だ、ぁっ」
 生理的な涙で視界が滲む中、仁が喘ぎ声と一緒に言葉を吐き出す。
「俺の、身体、で、きもち良くなって、欲しい、のに」
「……っは、なにそれ……凄い嬉しい」
 クラウドの腰を突き上げるペースが上がり、自分の身体を支え切れなくなってきた仁は前屈みになっていく。
「んっぅ、う゛、イく、やだ、だめ」
「イっていいよ。仁がイくと中がうねって締め付けてきて、気持ちいいんだ」
「う、んんっ、あ゛ぁ────」
 仁の身体がびくびくと震え、射精した。
 精液はクラウドの下腹にかかり、とろりと脇へと垂れる。
 きゅうきゅうと締め付けられ限界なクラウドは、外に出そうと仁の腰を支えて持ち上げようとしたのだが。
「くらうど、なか、中に、だしてぇ」
「  」
 珍しいおねだりに、ぷつりと何かが切れたような気がした。


「消せっ! 本当にそれは消せっ!!」
「嫌だね。撮っていいって言っただろ」
 真っ赤な顔で仁がベッドで座るクラウドに背後から迫る。
 色事等ではなく、昨晩の動画データの奪い合いだ。
 身体的リーチは多少なりとも仁にある筈だが、抱き潰されたという表現が相応しい程に憔悴した身体ではクラウドに縋り付くので精一杯だった。
 クラウドの手の中にあるスマートフォンでは、昨晩の行為が再生されていて、それを奪い取るのに後少し腕の長さが足りない。
「寝起きで聞かされる俺の身にもなってみろ……!」
「撮れているかの確認は大事だ。それに、たくさん可愛い事を言ってくれたから、もう一回聞きたい」
「そんなのいくらでも言ってやるから、動画は消……せ……」
 赤かった仁の顔から色が消え、代わりにクラウドの顔に赤みが差す。
「……言ったな?」
「待って、間違えた」
「ちゃんと言えたら消してあげる。毎回、ね」
 仁は、ああ、やってしまった、と思いながらも、そわそわと落ち着きが無くなっていく。
 それが期待から来るものだという事が、クラウドに気付かれている事など夢にも思わない。

 
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レンズに写る素直な君

キーワードタグ クロスオーバーCP  クラ仁  R18 
作品の説明 クラウド×仁。
はめ撮り(動画)、甘々、えちな所だけ。
レンズに写る素直な君
1 / 1
 
 
 スマートフォンのシャッター音が鳴る。
 
「クラウドって写真好きだよな」
「あぁ……俺は残る側だから」
 
 一度、二度、と鳴ったのでそっぽを向けば音が止んだ。
 
 少し後に、顔の位置を戻したところで鳴る三度目。
 
「そんなに撮ったって何も変わらないだろうが」
 
 ふふ、とクラウドは笑ってスマートフォンをしまう。
 
 どうせ明日にはほとんどの写真は消えているのだろうと、仁はタカを括っていた。
 
 
 ああ、失敗した。とクラウドは想像の中でだけ頭を抱える。
 夕方自室に戻って「ただいま」と声をかければ「おかえり」と言ってくれる声が、今日は無かった。
 先に帰ってきてしまったのかと歩を進めて見えたのは、テーブルの上に置かれた自分のスマートフォンと、険しい顔をした仁が腕を組んで椅子に腰掛ける姿。
「全部、俺の目の前で消せ」
 仁はクラウドを睨みながら、スマートフォンの画面を指で叩く。
 明かりがつき、デフォルト設定のままのロック画面が表示された。
「全部って何を?」
 無駄な悪あがき、と思いながらもクラウドは質問をした。
 仁の隣の椅子に座り、平静を装ったふりをして。
「動画のデータだ」
 やはりそれか、と今度は実際に頭を抱える。
 今朝方クラウドは、ちゃんと動画が撮れたかどうか確認作業をしていた。
 夜中の情事の一部始終の動画。
 半分ほど見た後に寝落ちしてしまい、慌てて起きたせいで、枕元に置いた筈のスマートフォンが無いことに気付けなかった。
 一時停止した状態のままだったか、並んだ数個のサムネイルか。
 自分の落ち度を反省したところで、この状況が変わる事は無いのだが。
「人に黙ってコソコソと」
 そんな事を言いながら、ずい、と仁が指でスマートフォンをクラウド側に寄せる。
「言ったって撮らせてくれないだろ」
 クラウドはロックを外してフォルダを開き、複数選択をして削除のボタンを押す。
「……それはそう、だけど」
「仁?」
 歯切れの悪い仁の返答を訝しんだクラウドは顔を上げた。
 そっぽを向きながらテーブルで頬杖をつく仁は、居心地が悪そうにしている。
「…………撮られたいの?」
「ちが、そんな訳ないだろっ!」
 がたん、と椅子を鳴らしながら立ち上がった仁の顔はすぐにでも真っ赤に染まりそうで。
「へえぇ」
「……ぐっ……ほんと、に、違うから」
 意地の悪い笑顔を浮かべたクラウドに、仁は言い訳を探すように口を開け閉めしていた。
「素直は良い事だよ」

 
「ぁ……ぅ、ん、んん」
 足を割り開かれ仰向けでベッドに横になる仁は、溢れ出てしまう声を小さくしようと何とか口を結ぶ努力をしていた。
「は……すご、締まる」
 つぷつぷとクラウドの陰茎が、仁の後孔をゆっくり押し広げる。
 クラウドの手にはスマートフォンが握られ、仁にカメラレンズが向けられていた。
「クラウド……カメラ、も、いや、だ」
 両腕で顔を隠した仁が、息も絶え絶えになりながら声を出す。

 動画を撮るとしたスマートフォンは最初、ベッド際に引き寄せたテーブルの上で、スタンドに立てかけられていた。
 レンズの方に顔が向くように誘導される事に、やんわりと抵抗していた仁だったが、肌を撫でられ舌が絡まるうちに、快楽に流されて存在を忘れかけていた。
 指で執拗に拡げられた後孔に、待ちわびたモノがあてがわれたというのに、それは中々入ってこない。
 行為中に目を瞑る癖のある仁が目をそろりと開けて見たのは、スマートフォンを手に取ったクラウドだった。
 
 どくどくと脈打つ音が耳元で聞こえるような気がした。
 指や舌の愛撫で蕩けた思考がはっきりとしたものに戻ってしまう。
「……っん、んん゛っ」
 撮られていることへの恥ずかしさから仁の身体は強ばってしまい、奥へ進もうとするクラウドを締め付けていた。
 それでも、ゆらゆらと揺すられれば甘ったるいくぐもった声が漏れ、刺激が欲しい本能は腰をくねらせてしまう。
「そんなに腰振って、締め付けてきて、かわいい」
「ちがっ、う、言うな、っ、ばかっ」
 仁が腕の隙間から見たクラウドは、嬉しそうに目を細めて画面を眺めていた。
 それを見た途端、腰から背筋へぞくぞくと痺れが走る。
 ぐらりと揺れた思考の後、仁は顔を隠していた腕をクラウドに向けて伸ばした。
「……っ、ぅ、くら、う、ど」
 自分は何を言おうとしているのだろう。
 引かれると思っていた願望が受け入れられて、
 あまつさえ喜ばれている状況に、
 浮かれて、頭のネジが外れたんだ。
「おれ、の、こと、見てて」
 そうじゃなきゃ、こんな事出来やしない。
 
 いわゆる騎乗位の体勢になった仁は、クラウドの陰茎の上にそっと腰を降ろしていく。
 僅かな抵抗の後、自分でも驚くほど容易に、ずぶずぶと全てを飲み込んでいった。
「っは、あ……っ……」
 背を反らせながら、クラウドと目線を合わせた仁は、その目線を少しだけ下にさげる。
 視界の中にスマートフォンとレンズが入り込む。
「仁、動ける?」
 クラウドの声掛けに、若干遅れつつも頷く事で何とか返答した。
 前屈みになった仁はクラウドの腰の横に手をつき、ゆるゆると身体を上下させ始める。
「……んっ、ぅ……」
 短いストロークのなか、目を瞑って気持ち良くなれる角度を探しながら仁が動く。
 時折目線を上げては、撮って見られている事を確認して、きゅうと腹の中を締め付ける。
 そんな光景が続いて動きたくて堪らないクラウドは、ギリギリのところで何とか耐えていた。
「クラウド……っ、きもちいい……?」
「ん、気持ちいいよ」
 クラウドの返答にかすかに笑った仁を見て、理性が飛びそうになる。
 揺さぶってやりたい衝動を抑えながら、動きに合わせて、とつとつ、とゆっくり突き上げた。
「あ、っん、んんぅ、うごく、な、ぁ」
「仁は気持ちよくない?」
 小さく首を横に振った仁が、もごもごと口の中で喋る。
「俺が、うごけなくなる、から、だめ……」
 それを聞き逃さなかったクラウドは溜め息を隠しもせずに吐き、スマートフォンをテーブルに戻す。
 溜め息をつかれた事に気を取られた仁は、それがインカメラに変更された事に気付けなかった。
 カメラの角度を簡単に調整し、体勢を戻したクラウドがにこりと笑う。
「動けなくなるのが困る? なんで?」
 自由になった両手で仁の腕を掴み、下から突き上げれば背が弓形に反り返る。
「──っあ、あ゛ぁっ!」
「ねぇ、仁。教えて」

「忘れないように撮っておくから」

「──っっ!」
 目線を彷徨わせて見つけたのは、画面に写し出された自分の姿。
 息を飲んだ仁の顔が見る間に赤く染っていくが、クラウドが揺さぶってくるせいで、呑気に固まって黙りこくる事も出来ない。
「あ、ぁ、くらうど」
「ほら、何で困るの?」
「ぅ、あ、俺ばっか、きもちい、みたいで、嫌だ、ぁっ」
 生理的な涙で視界が滲む中、仁が喘ぎ声と一緒に言葉を吐き出す。
「俺の、身体、で、きもち良くなって、欲しい、のに」
「……っは、なにそれ……凄い嬉しい」
 クラウドの腰を突き上げるペースが上がり、自分の身体を支え切れなくなってきた仁は前屈みになっていく。
「んっぅ、う゛、イく、やだ、だめ」
「イっていいよ。仁がイくと中がうねって締め付けてきて、気持ちいいんだ」
「う、んんっ、あ゛ぁ────」
 仁の身体がびくびくと震え、射精した。
 精液はクラウドの下腹にかかり、とろりと脇へと垂れる。
 きゅうきゅうと締め付けられ限界なクラウドは、外に出そうと仁の腰を支えて持ち上げようとしたのだが。
「くらうど、なか、中に、だしてぇ」
「  」
 珍しいおねだりに、ぷつりと何かが切れたような気がした。


「消せっ! 本当にそれは消せっ!!」
「嫌だね。撮っていいって言っただろ」
 真っ赤な顔で仁がベッドで座るクラウドに背後から迫る。
 色事等ではなく、昨晩の動画データの奪い合いだ。
 身体的リーチは多少なりとも仁にある筈だが、抱き潰されたという表現が相応しい程に憔悴した身体ではクラウドに縋り付くので精一杯だった。
 クラウドの手の中にあるスマートフォンでは、昨晩の行為が再生されていて、それを奪い取るのに後少し腕の長さが足りない。
「寝起きで聞かされる俺の身にもなってみろ……!」
「撮れているかの確認は大事だ。それに、たくさん可愛い事を言ってくれたから、もう一回聞きたい」
「そんなのいくらでも言ってやるから、動画は消……せ……」
 赤かった仁の顔から色が消え、代わりにクラウドの顔に赤みが差す。
「……言ったな?」
「待って、間違えた」
「ちゃんと言えたら消してあげる。毎回、ね」
 仁は、ああ、やってしまった、と思いながらも、そわそわと落ち着きが無くなっていく。
 それが期待から来るものだという事が、クラウドに気付かれている事など夢にも思わない。

 
1 / 1
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また、そのステキ!が作者様の背中を押し、次の作品へと繋がっていくかもしれません。
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