BORERO

三國無双 李楽好き
李典殿と楽進が好き過ぎる字書き
こっそり李楽の小話を上げてます

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投稿日:2025年06月12日 14:57    文字数:2,763

紫陽花

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三國無双 李楽
流星の誓い8にて展示
両片想いな二人のお話
1 / 1


雨の日が続いている。
小雨の中、傘をさして独り。
人を待っている俺。
俺は雨は嫌いだ。
髪はまとまらねぇし、服は濡れるし、気は滅入るしで、大嫌いだ。
だが、俺の相棒は
「雨ですか?足元が滑るので着地に気を遣うのが嫌ですね。あと、走っていると目に入るのが嫌です」
なんて、俺とは全然違うことを言ってたっけか。
その相棒が、お互い休みの今日この天気の中出掛けようと誘ってきた。
正直迷う。
晴れていたなら楽進と出掛けるのは大歓迎なんだが、この天気だ。
俺は部屋で二人きり、ぐだぐだしていたい気分だ。
「はぁ」
ため息をついたところに、傘を揺らし向こうから走ってくる青い姿があった。
「李典殿ー」
俺の名を呼ぶ元気の良い声に思わず笑みが漏れる。
ああ、もう。
雨なんかどうでもいいや。
楽進と一緒なら。
もう、雨も気にならない。
全く我ながら調子が良いな、俺。
「楽進」
「お待たせしてしまいましたか。すみません」
楽進は俺の目の前まで走って来て恐縮した。
「いや、今来たばかりだぜ俺」
「そうでしたか」
はにかむ楽進に俺はすっかり機嫌を良くして言った。
「んで、今日はこの雨の中どこへ行こうっていうんだ?」
「はい。李典殿はこの先に植物園があるのをご存知ですか?」
楽しげな楽進の声を聞きながら記憶を漁って答える。
「ああ、一度行ったことがあるなぁ」
「さすが李典殿ですね。私はついこの間郭嘉殿に教えて頂きまして…」
楽進はいつものように俺を褒め、少し恥ずかしそうにした。
「ふぅん、郭嘉殿にねぇ…」
「はい。あの、それで李典殿と一緒に行ってみたいと思いまして。でも…あいにくの天気で。⋯ご迷惑でしたね、すみません。私は気が利かないもので…」
俺の顔色を見て嬉しそうにしていた楽進はだんだんと声の調子を落としていく。
楽進は俺の反応に敏感だ。
他の事にはとにかく鈍感なのに。
今は俺が楽進の口から出た郭嘉殿という言葉に少しイラついたのに反応したんだ。
折角二人きりなのに俺以外の人間の名など呼ぶな⋯と不満が顔に出たのだろう。
くだらない嫉妬だとわかってはいるが、好いた人の触れたくても触れることができないその唇から自分以外の名前など聞きたくはない。
いつも俺を疑うことなく真っ直ぐに見るその瞳に俺以外の人間を映させたくない。
アンタの全てを独り占めしたい。
なんて、楽進にはそんな俺の心の内まではわからないんだけどな⋯。
気を取り直して楽進に笑顔を向ける。
「いや、迷惑なんて思ってないぜ、俺。誘ってくれてありがとうな」
「李典殿…」
ほっとして嬉しそうに笑う楽進が可愛い。
そう、可愛い。可愛いんだ、この男は。
戦場では誰にも遅れをとらない恐ろしいほどの強さで曹魏の一番槍を誇るこの武人を可愛いと思うなんて、どうかしてるよな、俺。
「まいったな…」
思わず小さく呟くと楽進が不思議そうに首を傾げた。
「どうしました?李典殿」
その仕草。
ああ、可愛い。
そんなに無防備にされたら、いつか手を出しちまいそうで⋯自制するのに苦労する。
「いや、なんでもない。さあ、行こうぜ」
隣に並び楽進の背中に手を当てて歩き出した。
城の中にある植物園は国内外問わず様々な花木が植えられていてとても見応えがある。
「見たかった花があるんです」
楽進が探しながら先へと進む。
この雨の時期に咲いている花も幾種類もあった。
「ああ、これですね」
楽進が言って脚を止めたのは鮮やかな青い花の前だった。
「この花です。なんでも、海を渡った小国から贈られたものだそうで。非常に珍しいものらしいですよ」
俺の顔を見ながら説明してくれた。
濃淡のある青い小さな四角い花が集まって、ふんわり盛り上がるように纏まって咲いている。それが腰の高さまである木の一株に幾つも付いていて何だか不思議な風情だ。
見たこともない美しさがある。
花のひとつひとつを次から次へと見てしまう。
面白い。

李典殿が夢中になって花を見ている。
良かった。
お誘いしていたのにあいにくの天気で、断られてしまうかと心配していたのだが⋯。
ああ。
つい、李典殿に見惚れてしまう。
李典殿の青い瞳に青紫の花が映って美しい。
実物よりも李典殿の瞳の中の花が美しい。
花を美しく映す瞳を持つ李典殿が美しい。
なんて美しい人。
私は花など全く見ていない。
花どころか周りなど何も見ていない。
見ているのは李典殿のことばかり。
毎日この人に見惚れてばかりいる。
私はその美しい瞳に私だけを映してくださる瞬間をいつも待っているのだ。
普段は物静かに書を読み、頭も良く知識も豊富なのにそれをひけらかすこともなく、人当たりも柔らかで皆に好かれている。
戦になれば美しい文字を記すその繊細な指で大ぶりの武器を自在に操り、大胆にそして勇敢に戦う。
この人はとても優しくて、とても強いのだ。
何をとってもこの人は私の眼に美しく眩しく映る。
私のようなつまらない人間をいつも凄いと褒めてくださり、助けてくださる。
至らない私をいつもそのままで良いのだと言ってくださる。
今日も雨の中、私の我儘に付き合ってくださった。
私のために時間を割いてくださるなんて。
その優しさについ、誤解してしまいそうになる。
李典殿は私を特別に思ってくださっているのではないか、と。
私は貴方の特別になりたい。
しかし、こんなことを思うなど貴方を困らせるだけだとわかっていますので、決して悟られる訳にはいきません。
いつものように、いつものように⋯。
「李典殿はご存知でしたか?この花、紫陽花とかいうのだそうですが」
「聞いたことはあったが、見るのは初めてだな」
李典殿が嬉しそうにしているだけで私は幸せです。
「そうですか、良かったです。今日お見せすることができて」
「ああ、ありがとうな、楽進。アンタのおかげでまた一つ賢くなったよ、俺」
「そ、そんな⋯。恐縮です」
「いやいや、恐縮することないだろ?」
「しかし、私などが李典殿に、おこがましい⋯」
「そんなことないって。アンタから教わること多いぜ、俺」
李典殿が私から教わることがあるなんて。
「ほ、本当ですか?」
そうだとしたら、嬉しい。
「ああ。アンタはいつも俺の知らないこと、気づかないこと、いろんなことを教えてくれてるよ」
ああ、李典殿。
そんな風に言われたら、私は気持ちを抑えられなくなってしまう。
「李典殿っ。嬉しいです」

楽進が真っ赤になってすごく嬉しそうだ。
いつもと違う気がする。
あれ?
⋯⋯ピンと来た。
楽進に向かい一歩踏み出す。
「あのさ、俺。知りたいことがあるんだけど」
「私に答えられることなら何なりと」
「アンタのこと」
一歩。
「え?」
楽進が驚いた顔で俺を見上げる。
「アンタのこと。全部知りたい」
「李典殿?」
また一歩。
「教えてくれよ。何から何まで全部」
「え⋯」
「アンタの全てを俺に教えて⋯楽進」
楽進の腕を掴んでその身体を俺に引き寄せる。
「⋯は、はい。李典殿」

抱き寄せる俺の腕の中にも青い可愛い花。
 

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小雨の中、傘をさして独り。
人を待っている俺。
俺は雨は嫌いだ。
髪はまとまらねぇし、服は濡れるし、気は滅入るしで、大嫌いだ。
だが、俺の相棒は
「雨ですか?足元が滑るので着地に気を遣うのが嫌ですね。あと、走っていると目に入るのが嫌です」
なんて、俺とは全然違うことを言ってたっけか。
その相棒が、お互い休みの今日この天気の中出掛けようと誘ってきた。
正直迷う。
晴れていたなら楽進と出掛けるのは大歓迎なんだが、この天気だ。
俺は部屋で二人きり、ぐだぐだしていたい気分だ。
「はぁ」
ため息をついたところに、傘を揺らし向こうから走ってくる青い姿があった。
「李典殿ー」
俺の名を呼ぶ元気の良い声に思わず笑みが漏れる。
ああ、もう。
雨なんかどうでもいいや。
楽進と一緒なら。
もう、雨も気にならない。
全く我ながら調子が良いな、俺。
「楽進」
「お待たせしてしまいましたか。すみません」
楽進は俺の目の前まで走って来て恐縮した。
「いや、今来たばかりだぜ俺」
「そうでしたか」
はにかむ楽進に俺はすっかり機嫌を良くして言った。
「んで、今日はこの雨の中どこへ行こうっていうんだ?」
「はい。李典殿はこの先に植物園があるのをご存知ですか?」
楽しげな楽進の声を聞きながら記憶を漁って答える。
「ああ、一度行ったことがあるなぁ」
「さすが李典殿ですね。私はついこの間郭嘉殿に教えて頂きまして…」
楽進はいつものように俺を褒め、少し恥ずかしそうにした。
「ふぅん、郭嘉殿にねぇ…」
「はい。あの、それで李典殿と一緒に行ってみたいと思いまして。でも…あいにくの天気で。⋯ご迷惑でしたね、すみません。私は気が利かないもので…」
俺の顔色を見て嬉しそうにしていた楽進はだんだんと声の調子を落としていく。
楽進は俺の反応に敏感だ。
他の事にはとにかく鈍感なのに。
今は俺が楽進の口から出た郭嘉殿という言葉に少しイラついたのに反応したんだ。
折角二人きりなのに俺以外の人間の名など呼ぶな⋯と不満が顔に出たのだろう。
くだらない嫉妬だとわかってはいるが、好いた人の触れたくても触れることができないその唇から自分以外の名前など聞きたくはない。
いつも俺を疑うことなく真っ直ぐに見るその瞳に俺以外の人間を映させたくない。
アンタの全てを独り占めしたい。
なんて、楽進にはそんな俺の心の内まではわからないんだけどな⋯。
気を取り直して楽進に笑顔を向ける。
「いや、迷惑なんて思ってないぜ、俺。誘ってくれてありがとうな」
「李典殿…」
ほっとして嬉しそうに笑う楽進が可愛い。
そう、可愛い。可愛いんだ、この男は。
戦場では誰にも遅れをとらない恐ろしいほどの強さで曹魏の一番槍を誇るこの武人を可愛いと思うなんて、どうかしてるよな、俺。
「まいったな…」
思わず小さく呟くと楽進が不思議そうに首を傾げた。
「どうしました?李典殿」
その仕草。
ああ、可愛い。
そんなに無防備にされたら、いつか手を出しちまいそうで⋯自制するのに苦労する。
「いや、なんでもない。さあ、行こうぜ」
隣に並び楽進の背中に手を当てて歩き出した。
城の中にある植物園は国内外問わず様々な花木が植えられていてとても見応えがある。
「見たかった花があるんです」
楽進が探しながら先へと進む。
この雨の時期に咲いている花も幾種類もあった。
「ああ、これですね」
楽進が言って脚を止めたのは鮮やかな青い花の前だった。
「この花です。なんでも、海を渡った小国から贈られたものだそうで。非常に珍しいものらしいですよ」
俺の顔を見ながら説明してくれた。
濃淡のある青い小さな四角い花が集まって、ふんわり盛り上がるように纏まって咲いている。それが腰の高さまである木の一株に幾つも付いていて何だか不思議な風情だ。
見たこともない美しさがある。
花のひとつひとつを次から次へと見てしまう。
面白い。

李典殿が夢中になって花を見ている。
良かった。
お誘いしていたのにあいにくの天気で、断られてしまうかと心配していたのだが⋯。
ああ。
つい、李典殿に見惚れてしまう。
李典殿の青い瞳に青紫の花が映って美しい。
実物よりも李典殿の瞳の中の花が美しい。
花を美しく映す瞳を持つ李典殿が美しい。
なんて美しい人。
私は花など全く見ていない。
花どころか周りなど何も見ていない。
見ているのは李典殿のことばかり。
毎日この人に見惚れてばかりいる。
私はその美しい瞳に私だけを映してくださる瞬間をいつも待っているのだ。
普段は物静かに書を読み、頭も良く知識も豊富なのにそれをひけらかすこともなく、人当たりも柔らかで皆に好かれている。
戦になれば美しい文字を記すその繊細な指で大ぶりの武器を自在に操り、大胆にそして勇敢に戦う。
この人はとても優しくて、とても強いのだ。
何をとってもこの人は私の眼に美しく眩しく映る。
私のようなつまらない人間をいつも凄いと褒めてくださり、助けてくださる。
至らない私をいつもそのままで良いのだと言ってくださる。
今日も雨の中、私の我儘に付き合ってくださった。
私のために時間を割いてくださるなんて。
その優しさについ、誤解してしまいそうになる。
李典殿は私を特別に思ってくださっているのではないか、と。
私は貴方の特別になりたい。
しかし、こんなことを思うなど貴方を困らせるだけだとわかっていますので、決して悟られる訳にはいきません。
いつものように、いつものように⋯。
「李典殿はご存知でしたか?この花、紫陽花とかいうのだそうですが」
「聞いたことはあったが、見るのは初めてだな」
李典殿が嬉しそうにしているだけで私は幸せです。
「そうですか、良かったです。今日お見せすることができて」
「ああ、ありがとうな、楽進。アンタのおかげでまた一つ賢くなったよ、俺」
「そ、そんな⋯。恐縮です」
「いやいや、恐縮することないだろ?」
「しかし、私などが李典殿に、おこがましい⋯」
「そんなことないって。アンタから教わること多いぜ、俺」
李典殿が私から教わることがあるなんて。
「ほ、本当ですか?」
そうだとしたら、嬉しい。
「ああ。アンタはいつも俺の知らないこと、気づかないこと、いろんなことを教えてくれてるよ」
ああ、李典殿。
そんな風に言われたら、私は気持ちを抑えられなくなってしまう。
「李典殿っ。嬉しいです」

楽進が真っ赤になってすごく嬉しそうだ。
いつもと違う気がする。
あれ?
⋯⋯ピンと来た。
楽進に向かい一歩踏み出す。
「あのさ、俺。知りたいことがあるんだけど」
「私に答えられることなら何なりと」
「アンタのこと」
一歩。
「え?」
楽進が驚いた顔で俺を見上げる。
「アンタのこと。全部知りたい」
「李典殿?」
また一歩。
「教えてくれよ。何から何まで全部」
「え⋯」
「アンタの全てを俺に教えて⋯楽進」
楽進の腕を掴んでその身体を俺に引き寄せる。
「⋯は、はい。李典殿」

抱き寄せる俺の腕の中にも青い可愛い花。
 

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