投稿日:2017年06月27日 21:14 文字数:3,875
許し許され
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鍵介×主人公。自宅主人公設定があります。お気を付けください。抜いてあげるだけで満足してしまった。
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夕暮れも終わろうとしていた。カーテンを引いた窓から、僅かに射し込む光は弱い。
心もとない視界の中、白夜の腕を引き、頬を寄せ、首筋に口付ける。すると、ため息のような吐息が漏れた。
シャンプーのいい匂いがする。彼とこういうことをするときは、たいていシャワーか入浴を済ませたあとなので、いつもこうだ。
正直、鍵介自身はそこまで気にしないのだが、白夜は自身が「汚れていないか」が酷く気になるらしい。そのこだわりは少し強すぎるように思えた。けれど、白夜のことを思うと、それを咎めようなどとはとても思えない。
鍵介に抱かれるときは綺麗でいたいのだと、そういう恋人を咎める理由などないのだ。
「……鍵介?」
小さく弱い声が、鍵介を呼ぶ。鍵介が黙り込んだので、何か心配したのだろうか。
「なんでもないですよ。先輩」
薄く笑みを浮かべて答える。そう、と少しほっとした様子で白夜が答え、眼鏡を外した鍵介の瞳を覗き込んだ。
そのままどちらからともなく唇を寄せ、ほんの少し触れ合わせた。柔らかな唇の感触をもう一度、もう二度と味わってから、ようやく口付けが深くなる。
「……っ……は……」
白夜の喉から、うっすらと艶を含んだ吐息が零れる。一生懸命に口づけに応えようとする彼が愛おしい。
何もなければ、部屋で一日中読書をして過ごすというだけあって、白夜の肌はとても白い。そんな真っ白な肌に指を滑らせる。白夜はそのたびに身体を震わせ、鍵介の肩を掴む手には力が入る。
ふと心配になって、大丈夫ですか、と声をかけると、大丈夫、と返事が返った。
「先輩、声、我慢しなくていいですから」
「……うん」
鍵介の言葉に返事はするが、白夜は眉根を寄せて、困ったように鍵介を見ているだけだ。
「わかって、るんだけど。つい、癖で」
視線を落として少しまなじりを下げた白夜に、鍵介は慰めるようにキスを落とす。
こうすることで、彼が少しでも安心して身を任せてくれればいい。彼のことが好きで、抱きたい気持ちが強いのは当然だが、それでも彼が苦しい思いをしながら抱かれているのは嫌だった。
鍵介が白夜を求めて、白夜にも鍵介を求めてほしかった。
この、あまりにも控えめで臆病で、誰かに何かを求めることを恐れている人に、自分を求めさせたかった。
「僕は先輩の声好きなんで。ぜひ聞かせてください」
わざと軽く、明るく言うと、白夜はやっと、少しだけ手の力を抜いて笑う。
「ありがとう」
かろうじて残っていた夕暮れの明かりはすっかり落ち、残るのは星明かりと間接照明。ぼんやりとした光の中、花が少しだけ花弁を開くように、彼は笑う。鍵介の言葉と笑顔に安心して、満たされて、鍵介に身を任せるために寄り添ってくる。
胸の奥が温かいもので満たされていく。身体を重ね合わせることはもちろん、こうして、心を丸ごと任せてもらえることもまた、この上なく嬉しいのだと知った。
二人で、お互いの肌を確かめるように触れ合う。白夜は酷く臆病に、だから鍵介は少しだけ大胆に。
「……っあ……ぅ」
熱を持ち始めたその場所を撫でると、白夜はびくびくと身体を震わせ、声を漏らす。今まで鍵介の肌を探るように触れていた手が止まり、シーツを握りしめた。
「敏感ですね、先輩は」
「だっ、て…………ぁ、ゆっく、り……」
からかう口調で言った鍵介に、白夜は言い訳じみた言葉を返そうとする。しかしそれさえもちゃんと言葉にならず、途中から甘い懇願にすり替わった。
「はい、いいですよ」
幼子をあやすように言って、白夜の望み通り、ゆっくり、形を確かめるように指と手のひらで愛撫を続ける。両手の指先で撫でてやったり、先端を刺激したり、裏側をゆっくり撫で上げたり。
そのたび、自分で「ゆっくり」と要求したのに、白夜は切ない悲鳴を上げて鍵介にしがみついた。温かい身体がぴったりとくっついて、白夜の体温や震えが直接伝わってくる。
だめ、と微かに喘ぎ、鍵介に助けを求めるように見つめてくる白夜。昏い征服欲が満たされて、思わず口元に笑みが浮かんだ。
「先輩の言う通りにしてるじゃないですか。何がだめなんです?」
「だ……て、だって……っ……それ、しらな、……っあ、あ!」
言って、尚も「だって」と言い訳をする白夜を見つめ返す。もちろん中心を弄る手は止めなかった。先端をまたくりくりと刺激してやると、新しい悲鳴が喉の奥から零れてくる。
鍵介が白夜を抱くまで、白夜はいわゆる「自分でした」ことがなかったらしい。
あくまで自己申告だが、たぶん、本当にそうだったのだろう。初めて抱いたときの反応は過剰だったし、今だってそうだ。
「それ、や、ぁ、あ……っひ……ぅ、そこ……っ」
白夜の艶めいた悲鳴が聞こえるたび、ぞくり、と身体の底から熱が這い上がる。こうして快感を与えられることを知らなかった彼に、自分が初めて教えているのだと思うと、たまらなく満たされる。
「嫌、ですか?」
「いやじゃない、嫌、じゃない……っ」
尋ねると、恥ずかしげに声を詰まらせながらも、白夜が必死で首を横に振った。
聞く前からそんなことは分かっているのに、つい聞いてしまう。白夜が鍵介を求めている、ということを、何度だって認めさせたい。
白夜は身体に力が入らないらしく、くたりと鍵介の身体に体重を乗せたまま、びく、びく、と不規則に身体を震わせている。鍵介の指が弱い部分を擦るたび、白く細い身体が揺れて、自分のせいで白夜がおかしくなっているのだということを実感させてくれた。
たまに、くぐもった甘い声で「けんすけ、けんすけ」と名前を呼ばれ、くらり、と眩暈のような喜びを感じる。
「……け、けん、すけ……も、むり……」
白夜が、助けを求めるように鍵介を見た。鍵介に弄られ、追い上げられて。それなのに鍵介に縋る彼の姿に、どうしようもなく煽られながら、それを悟られないように、努めて平坦な声で答える。
「いいですよ、我慢しなくても」
「で、も…………っひ、ぅ」
「いいから。大丈夫です」
そっと頭の後ろに手を回し、抱き寄せて囁く。中心を追い詰める手は止めず、白夜が自分に再び身体を預けたのを確認してから、また両手で刺激を強めてやる。
は、は、と、短く熱い吐息が鍵介の胸元を撫でている。「いい」と言ったのに、白夜は必死で溢れ出そうとする「それ」を抑えているようだ。
白夜にとって、その行為はどれほど罪深いことだったのだろう。ふとそんなことを考えて、悲しいような、悔しいような気持ちになる。
「先輩」
鍵介の胸に顔を埋めたままの白夜に、何度か呼びかける。背中をさすってやると、白夜はびくりと身を震わせた。顔を上げないのは、もしかしたら涙ぐんでいるのだろうか。
「大丈夫です。本当ですよ。我慢しないで」
「っ……だっ、て……、だって、こんな、の、だめ……けんすけ、のこと……すき、なのに、ひどい、こと……」
ぐす、ぐすと涙声のまま、白夜は必死で言葉を紡ぐ。鍵介は、ぎゅっと心臓を鷲掴みにされたような痛みに眉をひそめた。
――長い間、彼の世界では、誰かと同じ床に入ることも、欲を吐き出すことも、「ひどいこと」だった。自分の欲を優先し、相手に苦痛を強いる行為に他ならなかった。本当は違うのだと。頭では分かっていても、心が納得しないのだ。
「…………先輩は、僕に酷いことなんてしません。僕も、先輩に酷いことなんてしたくありません。そうでしょう」
「ん……」
ほた、ほた、と涙が落ちる感触を感じながら、言い聞かせる。暖かい。白夜の体温と同じ温度の雫が落ちる。しばらく背中を撫でていると、白夜がやっと顔を上げた。
涙にぬれた瞳が、薄明りの中に浮かび上がる。
「ごめん、けんすけ、ごめん」
「大丈夫です。謝らなくていいんですよ、先輩。大丈夫」
いいですか、と問いかけると、ゆっくり頷いてくれた。だから、続きを再開する。鍵介にしがみ付く、白夜の手の力が強くなった。
「すきだよ、けんすけ、だいすき、だいすき、……っ」
うわ言のように。懺悔のように、白夜が繰り返す。
大好き、だから許してほしいと言うように。許しを請う必要などないのに、彼が繰り返すのがいじらしくて、痛ましくて、鍵介はただ、「はい」と繰り返すしかできない。
「あ、あ……っ」
やがて、白夜の身体が大きく震え、か細い喘ぎとともに、どくり、と鍵介の手の中に欲望が吐き出される。自分の意思とは関係なく吐き出される息と、未知の快楽とに混乱し、ゆっくりと弛緩するその身体を抱きしめたまま、一番ほっとしていたのは鍵介だった。
「ご、めん……鍵介……」
「だから、謝らなくていいんですって。ほら、気持ちよくなれてよかった」
なんでもないように微笑むと、白夜はほんの少しだけ、緊張を緩めたようだった。安心してくれたのなら、それでいい。
「それに、もし、先輩がいけないことをしているのだとして……先輩は、いっぱい僕を許してくれたでしょう。だから、僕だって先輩が少しくらいいけないことをしたって、許します」
鍵介が、白夜の細い身体を抱きしめる。
「僕だって、先輩が好きなんですからね」
うん、と、まだ涙にかすれた声が返事をした。
「ありがとう……」
かすれたまま、消え入りそうな声がそう告げた。今はそれを言ってくれるだけで十分だと思った。
心もとない視界の中、白夜の腕を引き、頬を寄せ、首筋に口付ける。すると、ため息のような吐息が漏れた。
シャンプーのいい匂いがする。彼とこういうことをするときは、たいていシャワーか入浴を済ませたあとなので、いつもこうだ。
正直、鍵介自身はそこまで気にしないのだが、白夜は自身が「汚れていないか」が酷く気になるらしい。そのこだわりは少し強すぎるように思えた。けれど、白夜のことを思うと、それを咎めようなどとはとても思えない。
鍵介に抱かれるときは綺麗でいたいのだと、そういう恋人を咎める理由などないのだ。
「……鍵介?」
小さく弱い声が、鍵介を呼ぶ。鍵介が黙り込んだので、何か心配したのだろうか。
「なんでもないですよ。先輩」
薄く笑みを浮かべて答える。そう、と少しほっとした様子で白夜が答え、眼鏡を外した鍵介の瞳を覗き込んだ。
そのままどちらからともなく唇を寄せ、ほんの少し触れ合わせた。柔らかな唇の感触をもう一度、もう二度と味わってから、ようやく口付けが深くなる。
「……っ……は……」
白夜の喉から、うっすらと艶を含んだ吐息が零れる。一生懸命に口づけに応えようとする彼が愛おしい。
何もなければ、部屋で一日中読書をして過ごすというだけあって、白夜の肌はとても白い。そんな真っ白な肌に指を滑らせる。白夜はそのたびに身体を震わせ、鍵介の肩を掴む手には力が入る。
ふと心配になって、大丈夫ですか、と声をかけると、大丈夫、と返事が返った。
「先輩、声、我慢しなくていいですから」
「……うん」
鍵介の言葉に返事はするが、白夜は眉根を寄せて、困ったように鍵介を見ているだけだ。
「わかって、るんだけど。つい、癖で」
視線を落として少しまなじりを下げた白夜に、鍵介は慰めるようにキスを落とす。
こうすることで、彼が少しでも安心して身を任せてくれればいい。彼のことが好きで、抱きたい気持ちが強いのは当然だが、それでも彼が苦しい思いをしながら抱かれているのは嫌だった。
鍵介が白夜を求めて、白夜にも鍵介を求めてほしかった。
この、あまりにも控えめで臆病で、誰かに何かを求めることを恐れている人に、自分を求めさせたかった。
「僕は先輩の声好きなんで。ぜひ聞かせてください」
わざと軽く、明るく言うと、白夜はやっと、少しだけ手の力を抜いて笑う。
「ありがとう」
かろうじて残っていた夕暮れの明かりはすっかり落ち、残るのは星明かりと間接照明。ぼんやりとした光の中、花が少しだけ花弁を開くように、彼は笑う。鍵介の言葉と笑顔に安心して、満たされて、鍵介に身を任せるために寄り添ってくる。
胸の奥が温かいもので満たされていく。身体を重ね合わせることはもちろん、こうして、心を丸ごと任せてもらえることもまた、この上なく嬉しいのだと知った。
二人で、お互いの肌を確かめるように触れ合う。白夜は酷く臆病に、だから鍵介は少しだけ大胆に。
「……っあ……ぅ」
熱を持ち始めたその場所を撫でると、白夜はびくびくと身体を震わせ、声を漏らす。今まで鍵介の肌を探るように触れていた手が止まり、シーツを握りしめた。
「敏感ですね、先輩は」
「だっ、て…………ぁ、ゆっく、り……」
からかう口調で言った鍵介に、白夜は言い訳じみた言葉を返そうとする。しかしそれさえもちゃんと言葉にならず、途中から甘い懇願にすり替わった。
「はい、いいですよ」
幼子をあやすように言って、白夜の望み通り、ゆっくり、形を確かめるように指と手のひらで愛撫を続ける。両手の指先で撫でてやったり、先端を刺激したり、裏側をゆっくり撫で上げたり。
そのたび、自分で「ゆっくり」と要求したのに、白夜は切ない悲鳴を上げて鍵介にしがみついた。温かい身体がぴったりとくっついて、白夜の体温や震えが直接伝わってくる。
だめ、と微かに喘ぎ、鍵介に助けを求めるように見つめてくる白夜。昏い征服欲が満たされて、思わず口元に笑みが浮かんだ。
「先輩の言う通りにしてるじゃないですか。何がだめなんです?」
「だ……て、だって……っ……それ、しらな、……っあ、あ!」
言って、尚も「だって」と言い訳をする白夜を見つめ返す。もちろん中心を弄る手は止めなかった。先端をまたくりくりと刺激してやると、新しい悲鳴が喉の奥から零れてくる。
鍵介が白夜を抱くまで、白夜はいわゆる「自分でした」ことがなかったらしい。
あくまで自己申告だが、たぶん、本当にそうだったのだろう。初めて抱いたときの反応は過剰だったし、今だってそうだ。
「それ、や、ぁ、あ……っひ……ぅ、そこ……っ」
白夜の艶めいた悲鳴が聞こえるたび、ぞくり、と身体の底から熱が這い上がる。こうして快感を与えられることを知らなかった彼に、自分が初めて教えているのだと思うと、たまらなく満たされる。
「嫌、ですか?」
「いやじゃない、嫌、じゃない……っ」
尋ねると、恥ずかしげに声を詰まらせながらも、白夜が必死で首を横に振った。
聞く前からそんなことは分かっているのに、つい聞いてしまう。白夜が鍵介を求めている、ということを、何度だって認めさせたい。
白夜は身体に力が入らないらしく、くたりと鍵介の身体に体重を乗せたまま、びく、びく、と不規則に身体を震わせている。鍵介の指が弱い部分を擦るたび、白く細い身体が揺れて、自分のせいで白夜がおかしくなっているのだということを実感させてくれた。
たまに、くぐもった甘い声で「けんすけ、けんすけ」と名前を呼ばれ、くらり、と眩暈のような喜びを感じる。
「……け、けん、すけ……も、むり……」
白夜が、助けを求めるように鍵介を見た。鍵介に弄られ、追い上げられて。それなのに鍵介に縋る彼の姿に、どうしようもなく煽られながら、それを悟られないように、努めて平坦な声で答える。
「いいですよ、我慢しなくても」
「で、も…………っひ、ぅ」
「いいから。大丈夫です」
そっと頭の後ろに手を回し、抱き寄せて囁く。中心を追い詰める手は止めず、白夜が自分に再び身体を預けたのを確認してから、また両手で刺激を強めてやる。
は、は、と、短く熱い吐息が鍵介の胸元を撫でている。「いい」と言ったのに、白夜は必死で溢れ出そうとする「それ」を抑えているようだ。
白夜にとって、その行為はどれほど罪深いことだったのだろう。ふとそんなことを考えて、悲しいような、悔しいような気持ちになる。
「先輩」
鍵介の胸に顔を埋めたままの白夜に、何度か呼びかける。背中をさすってやると、白夜はびくりと身を震わせた。顔を上げないのは、もしかしたら涙ぐんでいるのだろうか。
「大丈夫です。本当ですよ。我慢しないで」
「っ……だっ、て……、だって、こんな、の、だめ……けんすけ、のこと……すき、なのに、ひどい、こと……」
ぐす、ぐすと涙声のまま、白夜は必死で言葉を紡ぐ。鍵介は、ぎゅっと心臓を鷲掴みにされたような痛みに眉をひそめた。
――長い間、彼の世界では、誰かと同じ床に入ることも、欲を吐き出すことも、「ひどいこと」だった。自分の欲を優先し、相手に苦痛を強いる行為に他ならなかった。本当は違うのだと。頭では分かっていても、心が納得しないのだ。
「…………先輩は、僕に酷いことなんてしません。僕も、先輩に酷いことなんてしたくありません。そうでしょう」
「ん……」
ほた、ほた、と涙が落ちる感触を感じながら、言い聞かせる。暖かい。白夜の体温と同じ温度の雫が落ちる。しばらく背中を撫でていると、白夜がやっと顔を上げた。
涙にぬれた瞳が、薄明りの中に浮かび上がる。
「ごめん、けんすけ、ごめん」
「大丈夫です。謝らなくていいんですよ、先輩。大丈夫」
いいですか、と問いかけると、ゆっくり頷いてくれた。だから、続きを再開する。鍵介にしがみ付く、白夜の手の力が強くなった。
「すきだよ、けんすけ、だいすき、だいすき、……っ」
うわ言のように。懺悔のように、白夜が繰り返す。
大好き、だから許してほしいと言うように。許しを請う必要などないのに、彼が繰り返すのがいじらしくて、痛ましくて、鍵介はただ、「はい」と繰り返すしかできない。
「あ、あ……っ」
やがて、白夜の身体が大きく震え、か細い喘ぎとともに、どくり、と鍵介の手の中に欲望が吐き出される。自分の意思とは関係なく吐き出される息と、未知の快楽とに混乱し、ゆっくりと弛緩するその身体を抱きしめたまま、一番ほっとしていたのは鍵介だった。
「ご、めん……鍵介……」
「だから、謝らなくていいんですって。ほら、気持ちよくなれてよかった」
なんでもないように微笑むと、白夜はほんの少しだけ、緊張を緩めたようだった。安心してくれたのなら、それでいい。
「それに、もし、先輩がいけないことをしているのだとして……先輩は、いっぱい僕を許してくれたでしょう。だから、僕だって先輩が少しくらいいけないことをしたって、許します」
鍵介が、白夜の細い身体を抱きしめる。
「僕だって、先輩が好きなんですからね」
うん、と、まだ涙にかすれた声が返事をした。
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かすれたまま、消え入りそうな声がそう告げた。今はそれを言ってくれるだけで十分だと思った。
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ほとんどの作者の方は、「萌えた」の一言でも、好意的なコメントがあれば次作品への意欲や、モチベーションの向上につながります。
コメントは作品投稿者とあなたにしかコメントの内容が表示されず、文字制限は140文字までとなりますので、あまり長いコメントを考える必要はありません。
是非、コメントを投稿して頂き、皆様と共にBLを愛する場所としてpictBLandを盛り上げていければと思います。
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