Noel

ゼルダの伝説で腐向け。トワブレと息吹君右で小説や絵を書いたり描いたりしています。R-18作品多めです。
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投稿日:2019年09月13日 23:06    文字数:1,733

終わりまで君と

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ムジュリンさんと息吹君のおはなし。
どちらも自分の物語が終わって、どこかで巡り合ってるムジュブレ。

お月見の日にちょうど出来上がりました。月の日なんて、ムジュさんにぴったりでしたね(泣)
1 / 1

ここは陽の光が注ぐ森の中
小鳥のさえずりが響く空の下

どこか遠く、それとも近く
どこの世界にも存在してないけれど
どこにでも存在できる場所

そんな木漏れ陽の中で二人きり










「終わりまで君と」












空気が澄んでいて、風が気持ちいい。

いつもの緑の帽子をそっと
椅子がわりにしていた倒れた木に置いて
立ち上がり、ん〜ぅ、と背伸びをして
ふぅと一つ息をこぼした。


「ムジュ先輩」

耳に心地のいい声が聴こえたので、すぐに振り返る。

「ん?何?後輩君」

へへ、と笑って両手を差し出してきたので
コトンと首を傾げてまばたきを一つ。

「ん、」

「ん?」


「んん!」

通じない事にじれたのか、まゆをハの字にして頬を膨らませた息吹君。

何かの小動物みたいだなぁ、と、顎に手をあてて考えてみる。

(さて、この両手は何の為にーー?)

顔をしかめ無言で考えていたら、

「もぉぉぉ!やっぱりダメだ!」

限界!!などと言ってぎゅうぅっと、音がしてしまうんじゃないかってくらいに
強く、強く抱き締められてしまった。


「…は?」

ポカンと口が開く、もしかしたら瞳孔も開いていたのかもしれない。

おずおずと上を向いてみれば、
にこにこ笑顔を見せてくる息吹君。


なんだろうこれは、どういう事だろう。

わからなくて、じわりと汗がでてきてしまう。
それを落ち着かせるように
さらり、と優しい風が僕の頬を撫でていった。


「あのですね」

「うん」

ぎゅう、とまた強く抱き締められてしまう。


(あ、何か…いい匂いがする。
男の子なのに、この子は…。)


鼻をくすぐる匂いに、自然と顔がほころぶ。
そうして息吹君の次の言葉を待った。


「両手をだしたら、」

「だしたら?」

気になって気になって、つい背伸びをして、それから首を伸ばして続きを請うてしまう。

「それは抱きしめての合図ですよ!!」

「はぁ?!」

ドヤ顔で何の事だかサッパリな事を言いだすので、またもや瞳孔が……たぶんだけど。

「いつもオレだけ甘えてしまうでしょう?
だから、先輩にも甘えて欲しいんです!!」

だからだから、先輩が両手をだしたら
それは抱きしめての合図でっ!

一生懸命に言葉を伝えようとしてくる、僕よりも体が大きくて、だけどすごく可愛いこの恋人に、僕はいつも振り回されっぱなしだと思うのだけど…。
今日もやっぱり、わけもわからず振り回されてる気分だ。

ずっと自分を抱きしめてくれる温かい腕に、そっとこの小さい手で触れてみる。

あぁ、彼を包み込むことができたらいいのに。

無条件に与えられるぬくもりに、ぐっと唇を噛み締めた。














理解してほしいなんて、思った事なんてなかったはず。
でも彼に出逢って変わってしまった。
君が僕のように、深い寂しさを抱えていたから。

それに気付いたから、君を甘やかしてしまった。
それはまるで、報われない自分の、気の遠くなるような時間を癒すかのように…




「甘やかしてくれるの?」

ぎゅっと彼の首に抱きついてみる。

わぁっと僕の重力に負けて、よろけて地に手をついてしまう君。

可愛いね、そんな事を思いながら頬にすり寄ってみたりした。


真っ赤な耳になってしまった息吹君にクスクス笑いながら、
抱きしめられる温かさに身をまかせる。

(あぁ、あったかいなぁ…)

サラサラと自分の髪をなでてきたその手の優しさに、自然と体の力がぬける。









陽の光が木の葉を 音も立てずにすり抜けて 
キラキラと輝いていた。

それは遠い遠い いつかのあの子のように
綺麗に瞬いて

またたいては消えていった。


















ーどうか最後まで僕と一緒にいて。












そんな 重い願いをこめて、
君の頬に一つだけ、静かにくちづけを贈ったんだ。























(魂の)終わりまで君と











 

2019.0913       -------       Noel

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終わりまで君と
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ここは陽の光が注ぐ森の中
小鳥のさえずりが響く空の下

どこか遠く、それとも近く
どこの世界にも存在してないけれど
どこにでも存在できる場所

そんな木漏れ陽の中で二人きり










「終わりまで君と」












空気が澄んでいて、風が気持ちいい。

いつもの緑の帽子をそっと
椅子がわりにしていた倒れた木に置いて
立ち上がり、ん〜ぅ、と背伸びをして
ふぅと一つ息をこぼした。


「ムジュ先輩」

耳に心地のいい声が聴こえたので、すぐに振り返る。

「ん?何?後輩君」

へへ、と笑って両手を差し出してきたので
コトンと首を傾げてまばたきを一つ。

「ん、」

「ん?」


「んん!」

通じない事にじれたのか、まゆをハの字にして頬を膨らませた息吹君。

何かの小動物みたいだなぁ、と、顎に手をあてて考えてみる。

(さて、この両手は何の為にーー?)

顔をしかめ無言で考えていたら、

「もぉぉぉ!やっぱりダメだ!」

限界!!などと言ってぎゅうぅっと、音がしてしまうんじゃないかってくらいに
強く、強く抱き締められてしまった。


「…は?」

ポカンと口が開く、もしかしたら瞳孔も開いていたのかもしれない。

おずおずと上を向いてみれば、
にこにこ笑顔を見せてくる息吹君。


なんだろうこれは、どういう事だろう。

わからなくて、じわりと汗がでてきてしまう。
それを落ち着かせるように
さらり、と優しい風が僕の頬を撫でていった。


「あのですね」

「うん」

ぎゅう、とまた強く抱き締められてしまう。


(あ、何か…いい匂いがする。
男の子なのに、この子は…。)


鼻をくすぐる匂いに、自然と顔がほころぶ。
そうして息吹君の次の言葉を待った。


「両手をだしたら、」

「だしたら?」

気になって気になって、つい背伸びをして、それから首を伸ばして続きを請うてしまう。

「それは抱きしめての合図ですよ!!」

「はぁ?!」

ドヤ顔で何の事だかサッパリな事を言いだすので、またもや瞳孔が……たぶんだけど。

「いつもオレだけ甘えてしまうでしょう?
だから、先輩にも甘えて欲しいんです!!」

だからだから、先輩が両手をだしたら
それは抱きしめての合図でっ!

一生懸命に言葉を伝えようとしてくる、僕よりも体が大きくて、だけどすごく可愛いこの恋人に、僕はいつも振り回されっぱなしだと思うのだけど…。
今日もやっぱり、わけもわからず振り回されてる気分だ。

ずっと自分を抱きしめてくれる温かい腕に、そっとこの小さい手で触れてみる。

あぁ、彼を包み込むことができたらいいのに。

無条件に与えられるぬくもりに、ぐっと唇を噛み締めた。














理解してほしいなんて、思った事なんてなかったはず。
でも彼に出逢って変わってしまった。
君が僕のように、深い寂しさを抱えていたから。

それに気付いたから、君を甘やかしてしまった。
それはまるで、報われない自分の、気の遠くなるような時間を癒すかのように…




「甘やかしてくれるの?」

ぎゅっと彼の首に抱きついてみる。

わぁっと僕の重力に負けて、よろけて地に手をついてしまう君。

可愛いね、そんな事を思いながら頬にすり寄ってみたりした。


真っ赤な耳になってしまった息吹君にクスクス笑いながら、
抱きしめられる温かさに身をまかせる。

(あぁ、あったかいなぁ…)

サラサラと自分の髪をなでてきたその手の優しさに、自然と体の力がぬける。









陽の光が木の葉を 音も立てずにすり抜けて 
キラキラと輝いていた。

それは遠い遠い いつかのあの子のように
綺麗に瞬いて

またたいては消えていった。


















ーどうか最後まで僕と一緒にいて。












そんな 重い願いをこめて、
君の頬に一つだけ、静かにくちづけを贈ったんだ。























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