最終更新日:2020年10月01日 00:47

ROUND-ROBIN

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TRICKSTER~江戸川乱歩「少年探偵団」より~
視聴記録・考証ログhttps://pictbland.net/blogs/detail/173から派生
二次創作用
総当たり的にCP組ませてます
リバあり
思いつきエロや、ワンシチュ的な文字数少ないSS
サムネはきゃらふとで作った井上先輩


【SS目次】
新→旧の昇降順


花崎←小林 https://pictbland.net/blogs/view_body/734905
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  慈雨
  • 2017年08月29日 23:50  

    花崎兄弟
    兄×弟のつもりだったけど、リバありだな、これ
    晴彦が花崎家に戻った後
    着地が迷子の3540字






    「健介の『好き』と、僕の『好き』は違うよ」
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     晴彦はほろ苦く笑った。リクライニングベッドの背を立てて、髪に寝癖をつけたままでは、しまらない台詞だ。
     ベッドサイドに立っている健介は、泣きそうな顔で見下ろしている。
     血のつながらない弟が、何を考えているのか、晴彦はわからない。一緒に暮らした時間より、離れていた期間が長い。赤の他人といっていい。
     出奔したばかりのころ、健介が晴彦を探していたのは理解できる。義弟に寄り添えるのは、自分だけという自負があった。不安で泣きながら歩き回っていただろうことに、胸が痛んだ。


    「本当の兄弟じゃないから、家族になろうって言ってくれたんじゃないの?」
    「そうだよ」
    「俺を幸せにできるって、言ってくれた……」
    「ごめん、健介」


     心が丘団地でそう言えたのは、万能感があったからだ。ライフラインと自衛手段を備えた独立国家で、晴彦は指揮権を持っていた。全員が平等で、家族主義の名の下でうまく運営していると思っていた。
     一夜にして心が丘団地のシステムは瓦解した。晴彦は銃弾に倒れ、一命はとりとめたものの、ショック状態で日常生活もままならなかった。
     あの思想は、晴彦に深く根付いている。従来の社会主義を、五十鈴がゆがめたものだ。すべてが間違いであったとは思えない。社会的弱者の救済として機能していた。
     その考え方が、現代の日本にそぐわないこともわかっている。セーフティネットを整備せず、弱者は切り捨てるのが社会のありようだ。まして、流通業界屈指の事業家である義父とは相いれない。


     義父は、離れまで作って、晴彦を引き取った。飼い殺しにするためだ。一度は養子に迎えた男に罪状がついたのだ。世間の目から隠したいのも、もっともなことだった。
     ゆくゆくは、自分の存在が健介の足手まといになる。遠くない将来に、花崎家と決別することも覚悟している。
     そんな相手に、また兄弟のように暮らそうとは言えない。


     健介はベッドに腰を下ろし、体をねじって抱きついてきた。晴彦は、その背中をたたいてやる。
     義弟の背丈は晴彦と遜色ないほど伸びて、抱き上げてやることはできない。細い背中は、こどものやわらかさを失い、しなやかな筋肉によろわれている。知らないところで成長してしまったのに、しぐさや表情は昔のままで、晴彦をほほえませる。


    「兄弟だって思ってくれるだけで、うれしいよ」
    「晴兄……違う」
     晴彦の肩口に顔を埋めたまま、健介はいやいやと首を振る。
    「晴兄と俺の『好き』は違う」
    「どう違うの?」
    「兄弟と家族とかじゃなくて」
     言いよどむ義弟の背を、あやすようになでる。


     答えはわかりかけている。心に秘めておくべき想いを共有していたことを、手放しで喜ぶことはできない。


    「大きくなったと思ったのに、甘えん坊だな」
    「こどもじゃないよ」


     健介は自分の体を引き剥がす。晴彦の肩をつかんで見上げる顔は、紅潮して、目が融けそうなほど潤んでいる。
     晴彦は、義弟の袖口を肘の方へとたくし上げる。ICタグをつけた痕は、明るい室内灯の下で目を凝らさなければ判別できないほど、薄くなっていた。


    「健介にこんなことして、銃を向けたのに?」
    「だって……あのときは、しょうがなかったじゃんか」 
     右手を晴彦の胸に当てて、健介は続ける。
    「ここ撃った警察の人、あの後、同僚の人を撃ち殺して、いなくなっちゃった。二十面相に洗脳されてたって聞いた」
    「僕は洗脳されてなかったんだ」 
    「追い詰められたら、人間は何するかわかんないよ」
    「健介は優しいね」


     晴彦が言い逃れできるように、抜け道を用意している。誰彼かまわずこんな風に気遣っているとしたら、つけこまれて足元をすくわれてしまう。
    「僕は、その優しさに値しない」
     義弟は目を伏せて、口ごもる。
    「……晴兄は、俺のこと、知らないから」
    「健介は、僕のことを知ってるの?」
     我ながら意地が悪いと思いながら問い、畳みかける。


    「僕は執行猶予がついたんだよ」
    「でも、心神耗弱で刑が軽くなったって」
    「花崎家の弁護士は優秀だからね」


     晴彦は、花崎家の面汚しだ。
     家を出てすぐに、電子マネーも口座も凍結された。晴彦の籍は抜かれていなかった。帰還を期待されていたのかと、今でこそ思う。あのときは見切られたと落胆し、健介が安泰であろうことに慰められた。探偵に健介のことで挑発されても、自分は間違っていないと信じていられたのだ。
     人の役に立っているという充足感の果てに待っていたのは、犯罪者の汚名だった。武装化した極左、独立国家を夢見た不法占拠の先導者と、晴彦を面罵するものはいない。判決だけでも世評は想像できる。


    「晴兄、俺は人を撃ったよ」
     武装した心が丘団地に、健介は単身乗りこんできたのだ。探偵は、晴彦から拳銃を奪えと指示していた。健介には、胆力と銃火器の心得があるのだ。驚くような話ではない。
    「父さんの会社もひとつ潰した。宇宙博の中止も、俺たちが暴れたから」
     どちらも初耳だ。晴彦は情報から遮断されている。インターネットの環境もなく、新聞や雑誌も与えられない。書架にあるのは図鑑や文学全集だ。外界で何が起こっているのか、知ることはできない。
    「刑務所送りになってもおかしくなかった。でも、ほら、弁護士さんが優秀だから!」
     健介がはしゃいだ声を作った。
    「全部二十面相のせいにして、俺は巻きこまれたってことになったんだけど……違うんだ」 


     ずっと考えていたことがある。
     義父は、ひそかに養子二人を競わせていた。幼少時代の七歳の差は大きい。小学生の健介は、高校生の晴彦の噛ませ犬でしかない。年少の健介の成長を待てない義父の仕打ちに、晴彦は憤ったのだった。
     観察されていたのは、決断力や統率力だ。晴彦には、義父の事業を手伝う機会があり、成果を出せた。世知のない内向的な健介は、使用人や客人に、義父の望むような対応ができなかった。 
     健介には、養子に選ばれた理由があるはずだった。破壊衝動に転じかねない危うい揮発力が潜在していることを、義父は看破していたのかもしれない。


    「俺、優しくなんかないよ。自分勝手で、みんなに迷惑かけてる。みんなが優しいから、一緒にいられる」
    「誰かの優しさがわかるのは、健介に優しい気持ちがあるからだよ」
    「やっぱ、晴兄が一番優しい」
     こわばっていた健介の顔が、やっとゆるんだ。
    「僕が優しいのは、健介だけだよ」


     こどものころから、やわらかな物腰を取り繕い、それが晴彦の習い性になった。庇護する大人がいない子どもが、生き延びるための戦略だった。
     花崎家で、弟だと顔を合わせたときから、晴彦は健介に偽りの笑顔は向けていない。欲得抜きで、譲って与えて守りたかった。そんな思いを生まれてはじめて覚えた相手が、健介だった。


    「俺、晴兄を好きでいていい?」
    「ありがとう」


     拒むでもなく、受け入れるでもない言葉ではぐらかす。
     健介のためなら、自分の人生を失ってもいい。今は、ともにある時間を少しでも長く保っていたい。兄弟ではない関係に義弟が踏み出したいなら、それでいい。


     決断は、健介にゆだねた。


    「晴兄、好き」
     健介が胸にもたれてくる。
    「……大好き」


     抱擁を誘うように、晴彦の腕をなでる。手の甲をまさぐり、重ねて、指にからめてくる。
     はねのけたりしない。抱き締めもしない。
     沈黙を合意ととったらしい。二の腕をつかみ、顔を寄せてくる。


     健介も変わった。大きな瞳におびえは沈んでいても、相手の底意を照射するような光を放っている。昔は、黙ってしまうと、拒まれているのか怒りを抑えているのかと、鼻息をうかがっていた。


     晴彦は、空いている手で、義弟の目を覆う。手の甲にかかる健介の髪は、毛先まで滋養が行き届いて艶やかだ。花崎家は、健介に必要なものを与えてくれた。義弟を残したことは、間違いではなかった。
     前髪を上げて、あらわになった健介の額にくちづける。一日中歩き回って汗をかいた肌は、砂埃と日向のにおいがする。
     まぶたを開けた健介が、相好を崩す。まぶしそうな照れ笑いは、子どものころと変わらない。それを確かめるように、指の背で健介の頬をなぞる。
     ベッドに上がった健介は、晴彦にまたがった。ブランケット越しに熱を感じるだけで、重みは感じない。


    「晴兄……もっと……いい?」


     返事は口にしない。健介の目尻をこすり、幼さが失われつつある顔の輪郭を惜しむ。
     求められたものを、与える。シンプルな選択は後悔しない。
     この日々すら、いつか健介に壊されるのを望んでいるのだ。











    7/28にも書いたように
    今期アニメ「ひとりじめマイヒーロー」で、晴彦の中の人の相手役が健介
    「恋と嘘」では、花崎兄弟中の人は親友設定で、立花さん演じる仁坂が逢坂さんの根島に片想い
    晴彦は上記二人とはトーンが違う演技でも、何か書けと囁かれている気がした

    花崎兄弟は書きたいことが色々あった、と思い返してたら、どこで終わらせればいいのかわからなくなっちゃった
    晴彦が完璧闇落ちで、意識取り戻した後花崎を徹頭徹尾利用するのも面白そうだけど、私のメンタルが死ぬ
    花崎兄弟はお花畑に置いておきたい、ソフトフォーカスで


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視聴記録・考証ログhttps://pictbland.net/blogs/detail/173から派生
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