ROUND-ROBIN
視聴記録・考証ログhttps://pictbland.net/blogs/detail/173から派生
二次創作用
総当たり的にCP組ませてます
リバあり
思いつきエロや、ワンシチュ的な文字数少ないSS
サムネはきゃらふとで作った井上先輩
【SS目次】
新→旧の昇降順
花崎←小林 https://pictbland.net/blogs/view_body/734905
花崎+小林 https://pictbland.net/blogs/view_body/420051
花崎+井上 https://pictbland.net/blogs/view_body/414205
花崎←井上 https://pictbland.net/blogs/view_body/407846
花崎+明智 https://pictbland.net/blogs/view_body/408449
勝田×井上 https://pictbland.net/blogs/view_body/388232
井上×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/387734
井上×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/383207
晴彦×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/382669
井上勝田花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/336124
大友→花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/342808
勝田×大友 https://pictbland.net/blogs/view_body/341450
井上×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/336125
勝田×大友 https://pictbland.net/blogs/view_body/346078
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2017年09月06日 06:55
勝田×井上
5話の新放水路の帰りの車内
とりあえずキスまで
3271文字
初キスする過程が好きという宿痾
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中村たちと帰るという明智を置いて、井上は車に乗りこんだ。窓をスモークに換えて、シャツとズボンをはき替えた。
勝田のスクーターはトランクに載せ、小林と花崎の服を剥いで毛布に包んだ。花崎がリアシートに乗りこみ、勝田は助手席に座る。
小林は、早々と体を丸めて眠ってしまった。
「勝田、腹減った」
花崎がこどものようにぐずる。
「花崎、甘えるな」
「井上に言ってねえよ。勝田ぁ」
「家に帰れば食事があるだろ」
「勝田の飯が食いたい」
「そこまで面倒見られない」
花崎は駄々をこね続けた。卵焼きが食べたいだの、小林は何でも食うだの、みんなでまたバーベキューがやりたいだの、食べ物の話を続ける。井上は口を挟まない。勝田にいなされるのを承知で、花崎はじゃれているのだ。
事務所の前で小林と花崎を下ろすとき、勝田が礼を言った。
「二人ともありがとう」
「礼を言うのは俺の方じゃん。ありがと、勝田。助かった」
花崎はバイバイと大きく手を振った。小林は大欠伸で見送りもしない。
「適当なところで下ろしてくれ。バイクで帰る」
発進して間もなく、勝田が言った。
「いや、家まで送っていく」
「学校に寄らなきゃいけない」
夜の校内には入れない。
勝田は正門のインターホンを押し、警備室に連絡した。警備システムを一時解除してもらったらしい、門を入ると配達用のリアボックスを抱えて出てきた。
戻ってきた勝田は、トランクの上にくくりつけていたスクーターを下ろそうとしている。
井上はドアを開けた。
「かっちゃん!」
「このまま帰る」
「送らせてくれ。俺はそれくらいしかできないし、エンジンに水が入ってるかもしれない」
「わかった」
勝田ははずしたゴムロープをスクーターにかけ直して、助手席に戻った。
「……悪かった。仕事なのに、花崎が無理言って連れてきたんだろ」
自分のことでないなら謝罪できるのだ。花崎のために頭を下げたことは、一度や二度ではない。
「終わったところだったし、連絡してある」
「でも、かっちゃんは関係ないのに」
「了が危ないって聞いたから」
「さっき聞いたよ。俺のことなら放っておいていいのに」
「わかってる、ずっと見てたから。了は一人でも大丈夫だって」
「だから……!」
何かが引っかかって、井上は二の句が継げない。
「俺の気持ちの問題だ。了は気にしなくていい」
何度も勝田は突き放し、去っていくのだ。そしてその判断はいつも正しい。
「ちょっと車止める」
「ああ」
ハンドルに頭を預けて、大きく息をつく。
勝田がからむと無様であると、自覚せざるをえない。
新東京万博を控えて、街頭防犯カメラがまた増やされた。テロリストも視野に入れた措置である。役に立つかもしれないと思って、二十三区内の設置場所はほぼ暗記していた。
ビジネス街の死角に入ったのは、自分の姿が記録に残らないためだ。ビルのいくつかの窓には明かりがあるが、通りを歩いているものはいない。少し休むだけでも、人目を気にする矮小さに嫌気が募った。
シートベルトが外される音に、顔を上げる。
「飲み物でも買ってくる」
「いや、いい」
自販機で買ったミルクティーが残っている。すっかり冷めてしまった。
「朝までつきあってもいいけど、了、髪が生乾きだ」
「朝までって……朝練あるじゃないか」
「了が送っていってくれるんだろう?」
「そうだけど、かっちゃんの睡眠時間まで奪えない」
朝になれば、勝田はまめまめしく動きはじめる。休ませなければ、という気持ちはある。
かつて我の強さで勝田を振り回していたことを、ずっと恥じていた。負い目や罪悪感から、近寄ることもできなかった。そうしてるうちに月日が経ち、間遠になり、挨拶すらしにくくなっていた。
「かっちゃん、寝てもいいよ。もう少し休んだら、車出すから」
「眠くない」
「疲れてるだろう?」
「俺がいたら気ぶっせいか?」
「いや……?」
三年ぶりに二人きりで話せることに、むしろ浮かれている。そわそわして落ち着かない。勝田がいるのが当たり前だったころは、こんな気分になったことはない。
「腹減ってるのか?」
井上はふふっと吹き出した。
「花崎じゃあるまいし……ああ、かっちゃんの卵焼きは食べたい」
「明日、事務所で作るか?」
「部活は?」
「終わった後に。了が次に学校来るのは月曜だろ」
「よく知ってる」
「ずっと見ていたから」
「気付かなかった」
勝田は、自分を慕って取り囲む人たちの、誰も見ていなかった。遠くから見る井上と、視線が合うこともなかった。
気になったのは、それだ。井上の時間割は調べればわかることだ。自分に興味があったのかと、いぶかしくもある。
自分の方が勝田を気にかけている、と生来の負けず嫌いが顔を出した。そういえば、と切り出す。
「左足からコートに入るのはジンクス?」
フェンスの向こうから、長い時間勝田を観察することはできない。何度か見た光景を思い出して、それに気付いた。
「了は右足から入っただろ。鏡合わせみたいで面白くて、中学のときからずっとやってた」
ジンクスなんて子供っぽいと恥じて、井上は勝田にすら言っていなかった。
「負けた……!」
井上はハンドルを両の拳で軽く叩く。
勝田が低く含み笑いをする。響きのよい声を、暗い車内でずっと聞いていたい。身勝手な望みで、勝田の時間を削る自分は許せない。
相反する思いを振り切るために、エンジンをかける。
喉につかえていた言葉を押し出した。
「かっちゃん……昔好きだった子、今は?」
「好きだよ」
「今も見てるだけ?」
「ああ」
ため息ともつかぬ返事を、井上は信じた。
ハンドルに手を置いたまま、隣に目をやった。
ドアに肘をついて、勝田が顔を向けている。
とっくの昔に水は向けられていた。常に自分が勝田の手を引いているつもりでも、彼が手を差し伸べていたのだ。
日付が変わる前に、一矢報いておきたい。
「見てるだけ?」
くり返して、コンソールに手をつく。
勝田がそれを重ねる。無骨な指先に手の甲をなぞられて、早く家に帰さなければと切なくなる。グリップを握り、水仕事をし、弟たちの世話をする働き者の手だ。
無意識に勝田を独占していたあのころには、もう戻れない。戻れないなら、進むだけだった。
膝頭を助手席に向けると、踏みこんだ勝田に抱き締められた。ダブルスで勝って抱き合ったときは、もっと手荒で汗で濡れていた。
厚い背中に、同じ強さを返しているのか不安になる。
車椅子から見上げる同級生誰もが、自分よりも輝かしい現在を生きているように思える。飛び抜けて、勝田はまぶしい。
彼からは、自分がどう見えるのか、想像をめぐらせて自嘲する。
「見ていても面白いものじゃないだろう?」
「はがゆい」
「見なければいい」
既視感で眩暈がする。
あのときは口論から決別したのだ。割れた鉢植の片付けをする花崎が、指を怪我したことまで思い出した。
「同じ轍を踏みたくない」
「……俺もだ」
謝るにはよい機会だった。
何から、どう言えばよいのかわからない。二人きりで言葉を交わす局面を、予期していなかった。謝罪すべきことが多すぎて、さかのぼる記憶の糸を混線させる。元凶は自分の性格が招いたことであり、それを口にすれば、自己嫌悪の淵に転がり落ちる。
勝田のいましめがほどけた。
名残惜しく背中をなでて、井上も手を離す。
勢い二人の間に起こったそよ風は、生臭い貯め水のにおいがした。同じ事件に居合わせたのだ。そんな日がまた来ようとは、思ってもいなかった。
うつむきながらシートに座り直す。ヘッドライトの明かりでも、ゆるむ口元が見えてしまいそうだ。
「了」
「うん?」
シートベルトのバックルをはめる右手を、包むように押さえられた。ねじられた体は、勝田に向く。
「何……?」
異常でもあったのか、と問いかけた唇をふさがれた。
勝田のため息が、顎にかかる。
「……ずっと、了をそばで見ていたい」
ためらいがちな言葉に、井上は笑いがこみあげてくる。性急な短いキスとちぐはぐだ。
「こんなに暗くて、そんなに近寄ったら、見えないよ」
井上はエンジンを止め、ベルトをはずした。
もう一度キスをする。
明るい場所に出るのは、それからだ。ぐずぐずしていても、数時間後には夜が明ける。
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