ROUND-ROBIN
視聴記録・考証ログhttps://pictbland.net/blogs/detail/173から派生
二次創作用
総当たり的にCP組ませてます
リバあり
思いつきエロや、ワンシチュ的な文字数少ないSS
サムネはきゃらふとで作った井上先輩
【SS目次】
新→旧の昇降順
花崎←小林 https://pictbland.net/blogs/view_body/734905
花崎+小林 https://pictbland.net/blogs/view_body/420051
花崎+井上 https://pictbland.net/blogs/view_body/414205
花崎←井上 https://pictbland.net/blogs/view_body/407846
花崎+明智 https://pictbland.net/blogs/view_body/408449
勝田×井上 https://pictbland.net/blogs/view_body/388232
井上×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/387734
井上×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/383207
晴彦×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/382669
井上勝田花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/336124
大友→花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/342808
勝田×大友 https://pictbland.net/blogs/view_body/341450
井上×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/336125
勝田×大友 https://pictbland.net/blogs/view_body/346078
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2017年10月12日 05:10
SS
公安に依頼でデリヘルに潜入した高1花崎を心配する井上
10/4の明智と花崎と同じ設定で、実はこちらを先に書いていた
5125字
誤字直してたらキリがないのであきらめた
PDFとは1カ所違う
自分は話したくないけど、花崎には一切合財喋らせて、自分を頼ってもらいたいという身勝手さが、井上にはあると思う
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要約すれば、花崎をデリヘルの捜査に使いたいということだった。
「……未成年で……高校生なんです」
井上は断る言葉を探し、そう言うのがやっとだった。
「オレはかまわないけど」
花崎は公安からの使いに答える。
中村と明智が去っても、公安部と探偵事務所の関係は続いていた。おとり捜査のようなきわどい仕事を振られては、井上は苦慮させられていた。
今回の依頼は二つの犯罪性を抱えている。性風俗と破壊活動だ。
左翼団体幹部が、連絡手段と資金調達のために、デリバリーヘルスを経営している。活動に勧誘した大学生を高校生と偽り、派遣している。
「学生運動なんて、前世紀に廃れたと思ってましたけど」
大学に籍はあっても、井上は最低限の出席しかしていない。講義室と駐車場を、脇目もふらずに行き来するだけだ。小ぎれいなキャンパスの不審物に目配りする余裕はない。少なくとも、通り道にあやしげな看板はない。
「昭和の遺物だよ。全国的に細々と生き残っていたけれど、五輪と東京博の開催で再燃した」
国際的なイベントが立て続けに行われることで、警視庁の警戒は一層強まった。それでもテロリストが出入国を繰り返し、情報漏洩事件も一度ならず起きた。依然として、スパイ天国の汚名を晴らせずにいる。
「心が丘事件の首謀者なんかは、典型だね」
「片桐五十鈴ですか?」
「真面目な学生だったらしいけど、思想にかぶれて、バカにしてた拝金主義に転げてっちゃった。片桐に心酔していた人もいたみたいだけど、時代に即した考えじゃないよね」
「オレ、行きますよ」
先ごろ公安に異動してきた刑事は、事件の詳細を知らないのだ。
心が丘団地の占拠には、花崎の義兄が関わっていた。花崎は、前後を見失うほど義兄を慕っている。
警察が帰った後、井上は紅茶を淹れ直した。
キッチンの表情は、明智がいたころと変わらない。同じメーカーのアッサムを常備している。
明智に教わった手順は守っている。あたためたポットに茶葉を入れようとして、手を滑らせた。
◆◆◆◆◆
明日はゴミの収集日だった。帰り支度も一通り済んで、井上はゴミをとりまとめた。
引き出しには、封を切った煙草やガムがある。捨てようかと迷っていると、花崎が戻ってきた。女性の制服警官に伴われている。
「花崎が何か?」
「何もないってば」
花崎は気の抜けた笑いを返した。
送り届けようとしたら、花崎が事務所に寄るように頼んだのだという。
「何か美味しいもの食べて、よく休んで」
警官のねぎらいに、花崎ははにかんで頷く。人懐こい花崎には珍しい表情だった。
警官が去った後、もう一度訊ねた。
「何があった?」
「何も。小林、まだ起きてるかな」
「小林はいないだろう」
ストーキングに怯える一家の、見張りに立っている。小林自身が夜の方が動きやすいというので、一人で任せている。夕方は大友と山根、日中は花崎か井上が交代する。
それを失念するほど、花崎は何かに気を取られている。
「明日の交代時間、覚えてるな?」
「六時。忘れてないって」
「じゃあ、帰るぞ」
「カップラーメン食べる」
デスクの背面の棚は、ちょっとした食糧庫になっている。客からは見えないが、菓子やレトルト食品を詰めこんでいる。
止める間もなく、花崎はカップの蓋を開けていた。
「井上は?」
「……食べる」
花崎は二個目のカップ麺のフィルムを剥がす。
井上もデスクの椅子に座り直した。
「終わったら、絶対食べようと思ってたんだよね」
「何があったんだ? 怪我はしてないな?」
「するようなことしてねえもん。服脱いで、色々訊かれただけ」
「おとりだとばれたのか?」
「どうかな。ずっとカップ麺のこと考えてた」
「上の空で、ボロを出したんじゃないのか」
「信用ねえな」
花崎はむっと拗ねてから、電気ポットを手にした。
「仕事終わりに先生と食べたな、食いたいなって考えてたんだよ。ヘマしてねえって」
明智を引き合いに出されると、井上は言葉に詰まる。
いなくなった男の名前を、ふだんの花崎は出すことはない。自分だけが明智にとらわれているのかと、彼の切り替えの早さが面憎くかった。井上も、意地になって、口の端にもかけなかった。
花崎の様子はどこかおかしい。違和感の正体がわからずにもどかしい。
こんなとき明智はどうしていたか思い出そうとして、腹が立った。花崎は明智の元に直行していた。明智が何をしたのかは知らない。花崎は自然に気分を立て直していたのだ。
明智がいなくなった後は、花崎は小林と連れだっている。小林のものの考え方はシンプルだ。勝手に枝葉を増やして問題を複雑にする井上にも、示唆を与えてくれることがある。
井上にできるのは、一緒にカップラーメンを食べることくらいだ。無為に等しい。
「警察の依頼は、少し減らすか」
「井上がいいなら、いいんじゃね?」
「何も考えてないだろう」
警察への協力の実績は箔付けになると、明智はうそぶいていた。実際、その噂が噂を呼び、依頼が舞いこんできた。
明智が消息を断っても、公安は事務所に声をかける。井上もたいてい引き受ける。明智と二十面相の情報をつかめるのではないか、という下心がある。小林の存在を黙認されている弱みもあった。
事務所を存続させるに当たって、明智にはなかったセールスポイントを作ることを、野呂が提案した。井上は、彼女や大友と口論まがいの対話を繰り返し、勝田と整理した。法律事務所としての側面を持てば、仕事を厳選できるのではないかという結論に至った。
「考えてるよ。当面の維持費だけ稼げばいいじゃん」
「小林の食費がバカにならない」
「燃費悪いもんな、あいつ」
花崎がやっと目元をやわらげた。
経理も見ている野呂が、エンゲル係数の高さにヒステリーを起こすほどだ。警察が障害物の粉砕などの仕事を回してくれても、力を使えば、それだけ小林は腹が減る。
能力を有効利用したいと、本人は考えている。制御しきれないPKは隠しておくべきでないかと、井上は二の足を踏んでいる。
「野呂が土地でも株でも転がしてくれるだろうし、井上は、司法試験を一年でも早く突破すりゃいいんだって」
「……簡単に言うな」
獲れる資格は片っ端から獲ってしまえというのが、野呂の立てた作戦である。
日本人は肩書に弱い。書面を整えれば未成年でも開業できる探偵より、合格率の低い試験を潜り抜けた法律家の方が信頼される。今までは調査だけで終わっていた案件も、書類作成でも裁判でも継続して受けることができる。花崎が義父の事業を引き継ぐのなら、顧問弁護士にしてもらうと、野呂の皮算用は続く。
花崎は、自分の将来を語らない。
事業の後継者として、花崎は養子に望まれたのだ。義兄が見つかれば探偵団を去るだろうと、明智が話していた。義兄が家に戻っても、花崎は事務所に留まっている。
「山根もいるし、オレと小林で対処できそうなものは増やせば?」
「きちんと考えろ」
「難しいことは、井上と野呂が考えるっしょ?」
明智の理念を色濃く受け継ぎ、現場で先頭に立っているのは花崎だ。体の自由がきき、知恵も相応に働くので、警察は指名する。本人は自分を低く見積もっていても、周囲は花崎の本当の価値を知っている。
井上は、それを丁寧に伝えるつもりはない。状況から察せない花崎に非がある。
「井上、あと何分?」
「何がだ?」
「ラーメンの時間」
「自分で見てないのか?」
「ごめんごめん。こういうのって、井上がきっちり計ってくれるって思ってっからさ。井上がいないときは、自分でちゃんとやってるって」
「当たり前だ」
花崎はカップの紙蓋をめくり、真面目くさった顔つきで、残り時間を推測している。手近にあった灰皿を、無造作に蓋に乗せて、割り箸を探す。
事務所のデスク周りは、明智の使い勝手のよいように配置されている。押収品が返されても、元の場所に戻した。井上も花崎も、それに慣れている。引き出しの底に貼りつけたボイスレコーダーも、椅子を回転させると手の届く書棚にしまったスキットルも、位置を動かしてはいない。
今も花崎が頼りにしているのは明智だ。目の前にいる井上ではない。癪に触りながらも、なじれない。自分も正解のない問答を、心の中の明智と繰り返している。
ガラス窓の向こうにある夜空は曇り、瞬くのは人家の明かりだ。
「窓、きれいになっただろ?」
花崎が、井上の視線を追ったのか、窓を見ている。
「仕事を増やしてよ。小林も窓拭きができたじゃん」
先だって、小林と花崎に窓を磨かせた。小林がガラスを傷つけることはなかった。
「たまたまだ」
なじんだ場所で、花崎がいたから、小林は不慣れな作業もつつがなくこなせたのだ。単独で業務として行わせるには、リスクが大きい。
「信用ない!」
「できるか。壊れ物を扱うんだ」
「窓掃除はたとえだって。他にも何かあるだろ?」
「何かって?」
「何かって……何か?」
花崎は言葉を詰まらせ、カップの蓋を開けた。立ったまま、手を合わせて箸を割り、数本すすって、頷いた。もうひとつのカップを、気持ち井上の方に押しやる。
「前はガラス拭くと雑巾が真っ赤になったけど、今は全然きれいなの。先生の煙草のヤニだって、こないだはじめて気付いた」
勝田がいたころ、井上もガラスの錆色の汚れに驚いた。ハウスクリーニングの業者に指摘されて、煙草のせいだと知った。日本の喫煙率は低く、明智のようなヘビースモーカーは滅多にいない。
「先生の肺、真っ黒だね」
「そうかもな」
「井上は、煙草吸うなよ」
「吸わないよ」
「引き出しに入れっぱなしの煙草」
「湿気ってるだろう」
「大友がハーブ混ぜて、巻き直してた」
ずるずると花崎はラーメンをかきこむ。
「何をやってるんだ、あいつは?」
唖然としながら、井上はカップの上蓋を剥ぎ取った。割った箸はささくれて、片側が金槌頭になった。
「井上が先生の真似して吸いはじめるんじゃないかって、心配してた」
「あいつが? 面白がってるだけだろう」
むしゃくしゃとすする麺は、好みよりやわらかい。
ひとつつまづくと、次々とうまく運ばない。もとを辿れば、一昨日、警察の協力依頼の時点だ。あの後、茶葉を床にぶちまけたのだ。
「性風俗がらみの依頼は受けない」
「わかった。そういう方針ね」
「わかってるのか、何故なのか?」
「ヤバいからっしょ? 野呂や山根にまでおよびがかかっちゃ、まずいもんね」
むしろ、彼女たちについては断りやすいのだ。経験の浅さを理由にできる。
「警察から似たような話が来たら、貞操の危機で泣いてたって言っていいよ」
「そんなことがあったのか?」
「方便だよ。警察も盗聴してたし、相手が撮ってた動画も見れば、嘘だってわかる。あの程度でオレが弱腰になってるってわかれば、未成年の民間人に無理強いはしないんじゃねえ?」
「あの程度?」
「言ったべ、服脱いで話しして」
「動画撮って?」
なにげない会話も、演出と編集次第で、アダルトコンテンツになりうる。
警察は、花崎を信頼して指名したのだ。場数を踏んで、知恵も回る。いざというときには、自分の身も守れる。おとりとしては、好奇心があってだまされやすい若者らしく見えて、うってつけだった。花崎がそれらしく振る舞う様子は記録されているのだ。花崎が性的な商品として扱われたことに、怖気が立つ。
それに動揺する自分も、唾棄すべきだ。感情の整理が下手な自覚はある。だからこそ抑えこんで、表に出さないようにつとめているのに、不意に風向きを変えた木枯らしのように足元をすくわれる。
「おまえは、本当に平気だったのか?」
「平気だけど、山根や小林にはやらせたくない。井上もね」
花崎は音を立てて汁を飲み干した。空になった容器と箸を、ゴミ袋に入れる。
「オレでよかったんだよ――明日行く前に、オレがゴミ捨てるから、入り口にでも置いといて」
大きく伸びをして、花崎は帰りそうな気配を漂わせる。
井上のラーメンは、半分残っている。勝手に食べはじめて、話して、納得して帰ろうだなんて、花崎の気ままにもほどがある。
「お茶淹れてこい」
「今から?」
「家には送っていく。おまえには少し説教だ」
不満そうな声を上げて、花崎は部屋を出ていく。
花崎は自分の価値を低く見積もっている。
同時に井上を軽く見ている。もう帰ってこないだろう明智や、短いつきあいの小林を精神的支柱にしている。
脳内のファイルは、条文や判例で膨れ上がっている。このなかのどこかに、言うべき言葉があるはずだ。
思いの丈を縷々語るのも、お互いの性に合わない。たった一言で、すべてをあらわす言葉を見つけたかった。
それよりも、花崎に話をさせたい。本当は何があったか、何をされたかを、井上に洗いざらい吐きだすべきだ。
そのときにはじめて、井上も、その一言が口にできるのだ。
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