ROUND-ROBIN
視聴記録・考証ログhttps://pictbland.net/blogs/detail/173から派生
二次創作用
総当たり的にCP組ませてます
リバあり
思いつきエロや、ワンシチュ的な文字数少ないSS
サムネはきゃらふとで作った井上先輩
【SS目次】
新→旧の昇降順
花崎←小林 https://pictbland.net/blogs/view_body/734905
花崎+小林 https://pictbland.net/blogs/view_body/420051
花崎+井上 https://pictbland.net/blogs/view_body/414205
花崎←井上 https://pictbland.net/blogs/view_body/407846
花崎+明智 https://pictbland.net/blogs/view_body/408449
勝田×井上 https://pictbland.net/blogs/view_body/388232
井上×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/387734
井上×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/383207
晴彦×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/382669
井上勝田花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/336124
大友→花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/342808
勝田×大友 https://pictbland.net/blogs/view_body/341450
井上×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/336125
勝田×大友 https://pictbland.net/blogs/view_body/346078
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2017年10月20日 13:02SS「パルス」(珍しくタイトル決めた)
花崎が小林を抱っこ
いちゃいちゃ書きたいけど、今はこれが精いっぱい
本文がPDFと1カ所違う
3660字
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事務所の室内灯は消した。デスクライトと非常灯、無数の金魚のホログラムが、小暗く光っている。
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接客用のハイバックチェアで、花崎は両手を広げて待っている。
その膝をまたいで、小林は背中を抱いた。
「よしよし」
ぽんぽんと、花崎が背を叩く。手の当たったところが、じわりと熱を持つ。衣越しに触れ合う膝も、そこだけがあたたかい。
腰を下ろして、胸から腹を密着させて抱きすくめる。
「な、平気だろ?」
花崎に腰を引き寄せられて、肩の骨の硬さを感じた。花崎にこれほど硬いところがあるのなら、寄りかかっても平気そうだ。
肩に顎を乗せて、もっと広く深くくっつける場所を探す。
数か月前、空から海に落ちるわずかな時間、花崎が手を握ってくれた。一緒に死ねるという言葉は、花崎の真意だった。潤んだ瞳で自分に微笑んでくれる花崎を、もう少し見ていたかった。その瞬間、手が離れてしまった。
落ちるひとときの、胸をしめつけるあの痛みは甘美だった。花崎は自分だけのものだった。またそれを味わいたいと望むことは、うしろめたさをともなっていた。
花崎は誰にでもやさしい。井上も野呂もピッポちゃんも、通りがかりに見つけた自殺志願者にも、ひとしくやさしい。寝たきりの義兄は別格のようで、一緒に食事ができるといそいそ帰ったりする。
花崎にとっても、やはり家族は特別なのだ。義兄以外が同等であるなら仕方がない、と割り切っていもいた。今まで出会った親切な人たちは、そうだった。
花崎だけは違うと信じている。いつか、家族ではない誰かを、特別に選ぶ日が来るかもしれないと、恐れてもいた。
一緒に空に放り出されたときの記憶があれば、何があっても生きていけると思った。花崎が誰かを選んだ日のために、もう一度触れて、感触を覚えておきたかった。
人との距離を詰めることは、いけすかない男の言うところの、ギフトとやらを制御することだった。花崎をまた傷つけるかもしれないという恐怖で、発動してしまうことはあった。「大丈夫大丈夫」と励ましながら、花崎は根気よくつきあってくれた。
指先が触れられて、どぎまぎする小林に、花崎は提案したのだ――『抱っこしてみようか?』
こどもみたいなことはしないと、小林は拒んだのだ。
満員電車に乗れるようにしようぜ、と花崎に説得された。
公共交通機関を使えるようになれば、一人で動ける距離が延びる。井上の車で、居心地の悪い沈黙に耐えなくてすむ。
だから、花崎につきあってやった。
いつまでもすがりついていたいと思うのも、日向みたいな体温の花崎が悪い。
「あんだけ食ってんのに、身にならねえな。おまえ、ガリガリじゃん」
タンクトップの上からあばら骨を数えるようになぞられて、小林はもぞもぞと体をよじる。
「しょうがねえだろ。そういう体なんだから」
「犬とか猫みたいに毛皮着てたら、抱き心地よくなっかな」
「ぼくは犬じゃない」
「ごめんごめん」
ぐずる赤ん坊をあやす体で、花崎は撫でさする。何が悪いか考えていない、口先だけの謝罪でも、声が耳たぶをくすぐるので、小林の芯は融けてしまう。
「ハグもできたし、次どうすっかな。知らない人にも慣れないと。空いてる電車に乗ってみる?」
「犬を埋めたところ、行きたい」
あの犬が飛びこんでこなければ、小林は花崎に見つけられることはなかった。いたましいことにならなければ、もう一度会うこともできなかった。
「メロディーヌちゃんの墓参り? 乗り換えあるし、練習にはいいか」
花崎が背中を一定のリズムで叩くので、このまま眠っても許されそうだ。
最初から、花崎は小林に寛容だった。小林を怒鳴ったり避けたりした時期もあったが、あれは明智が元凶であり、花崎は悪くない。
明智がいなくなった今、花崎を不当に扱う脅威はない。
耳元で、花崎の頸動脈が、規則正しくおだやかに震えている。
小林の首も胸も、速く大きく脈打っている。
自分の胸に手を当てる。
こんなに高鳴る必要はない。花崎と同じ速さに落としたいのだ。
胸に下げたBDバッジが当たった。
指先がジンと熱を帯びる。覚えのある心地よい痛みだ。
名残惜しく体を少し離して、傷を確かめる。水槽の水流を模した光が、それを照らした。
右手の薬指の腹に、赤い小さな玉が盛り上がっていた。
「なんで怪我してんの?」
「……バッジ……?」
「大友に角を削ってもらうか。かっこつけて尖らせすぎだよな」
「いい、これで」
小林を二度目に傷つけたのは、花崎のバッジだった。あのとき、自分を殺す相手だと確信した。
指をつままれただけで、心臓が早鐘を打つ。
顔を寄せた花崎が、指を吸った。口いっぱいのぬるいミルクに指を入れたようだ。
胸を押し潰されて、上気して、うわずって言葉にならない声が、小林の喉の奥から出た。
「手当て手当て」
花崎は腰軽く立ち上がって、救急箱を持ってきた。
「どうせ、すぐ止まる」
「いいじゃん。小林に手当てできるの、なんか嬉しいし」
傷に巻かれた絆創膏のパッドは、たちまち朱に染まる。
「撃たれたとき、何もできなかったからさ。ま、あんまり怪我すんなよ」
「したら、花崎が手当てしてくれるんだろ?」
「包帯巻くのが限界だから、大きい怪我は無しな」
「わかった。怪我、ジンジンして、ぼくは嫌いじゃない」
「傷が脈打ってて、生きてる感じするもんな。でも、怪我自体、いいもんじゃないんだぞ」
「怪我じゃなくて、ジンジンできればいいのに」
花崎は小首を傾げ、背後を親指でさした。
「井上と握手できたら、ジンジンする奴持ってきてやる」
「わかった」
「井上、危なそうだったら逃げろよ」
デスクで黙って作業していた井上は、しかめ面を向けた。
「おまえら、俺で遊ぶな」
ため息をついて、井上が眼鏡をはずした。
◆◆◆◆◆◆◆
「で? 井上は怪我しなかったの?」
大友はにやにやと訊ねる。
昼休みの理科実験室を訪れた二人は、肩をぶつけあうように立っている。
「感動の握手シーン見る?」
花崎は携帯端末の画像を上げる。
頬杖をついた井上が片手を差し出している。その上に、小林はちょこんと指を乗せていた。
「握手じゃないじゃん! お手だよ、お手!」
「歩み寄りすげえだろ」
「お互い譲歩して、コレ? 井上も大人げない」
小林はムスッと仁王立ちしている。
「至近距離が苦手じゃなくなって、よかったですね」
山根は小林にマグカップの柄を持たせた。
「苦手なんて可愛いものじゃないでしょ、山根。実際、破壊神なんだし」
大友は、花崎の持ちこんだ機器を、うきうきしながら分解している。
「小林はジンジンしたの?」
「ジンジンっていうか……ビリビリした」
大友の問いに、気おくれしながら答えた。
井上との握手の翌日、花崎は「ジンジンする奴」を持ってきた。機械を使う必要なんてないのにと思いながら、されるがままにしていた。
低周波治療器というものだと教えられたのは、それが動かなくなった後だった。皮膚を裂くような刺激に驚いて、コードを千切り、本体はショートさせてしまった。
「直るのか?」
一瞬で壊したことに、小林はしょげていた。花崎のくれたものなら、指の小さな傷でも大切にとっておきたい。
「直らなくても直すよ。まかせなさい」
「そうそう。大友なら、低周波を高周波にするくらい、お茶の子さいさい」
「できるけど、小林が欲しい刺激はソレじゃないでしょ?」
「怪我したときの、ジンジンする感じが欲しいんだよ? 似てると思うけど」
小林は伏し目になって、甘いお茶に集中しているふりをする。
「肝心なところで鈍いね、花崎は」
大友は訳知り顔で言う。
「小林に怪我させたくねえし……他にやり方ある?」
「高周波の方が、低周波より刺激が少ないんですねえ」
インターネットで検索をかけていた山根が、のどかに感心している。
後輩たちを、大友は鼻で嗤った。
「お子ちゃま揃いで平和だねえ」
「平和でもねえんだわ」
花崎は、正体不明のお茶を飲んで、腰を浮かせる。
「これから東京駅で張り込みだよ。山根は、下校するとき、野呂に連絡してから合流な」
「了解です」
いってらっしゃいと山根に送りだされて、教室を出た。
特別教室棟のフロアには、人がいない。階下から、女子生徒の華やいだ笑い声が、螺旋を描いて上がってくる。
花崎が手を差し出した。
「階段までな」
小林は吸いこまれるように、その上に手を乗せる。
「だから、お手じゃないって」
体をのけぞらせて笑いながら、花崎は小林の手を握った。
指先が熱くなり、脳も背骨もたちまち甘い痺れに侵される。
こんな贅沢は、毎日はいらない。胸が破裂して、体中の骨が砕けて、きっと死んでしまう。
花崎のいる世界で生きていくと決めたのだ。
生きるも死ぬも、花崎次第なのだった。
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