聖川高校保健体育副読本
アニメとツイッターネタのみ(紙媒体・2.5の情報はほぼノータッチ)。
CP雑多混在・リバあり。由梨ちゃん大好き。
エロはそんなに書かないけど、不適切なことをやらかしかねないのでRつき。
各人一人称表記は、その時々で変えているので、公式と違うことがままあります(「オレ」「俺」キャラが複数いて判別しがたいので)
サムネはキャラットで作成
本スレ(雑記。萌え語りはこちら) https://pictbland.net/blogs/detail/159
◆◆◆目次◆◆◆
【康太、明かりをつけて。】 祐×康太 俊介
https://pictbland.net/blogs/view_body/706354
【ずるいともだち】1 祐×康太 俊介
https://pictbland.net/blogs/view_body/706357
【ずるいともだち】2 祐×康太
https://pictbland.net/blogs/view_body/706359
【猫は丸いものが好き】 智→俊介 誠一郎
https://pictbland.net/blogs/view_body/711983
【赤ずきん】 祐×菅見 康太
https://pictbland.net/blogs/view_body/713259
【エイプリルフールはめぐる】 諒・康太・祐・俊介・菅見
http://pictbland.net/blogs/view_body/821429
【聖川高校2年保健体育】康太・祐・俊介
https://pictbland.net/blogs/view_body/866688
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2018年09月27日 04:00
【ずるいともだち】2
祐×康太
アニメ3話ラストで発熱した康太を、祐がお見舞い。
『ずるいともだち』『康太、明かりをつけて。』は、放映終盤の18年2~3月頃書いていたもの。
約4100字
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◆◆◆◆◆
翌日、康太は発熱した。悪寒で座っているのもやっと、朝食はいつもの半分しか食べられなかった。
学校は休んだ。
薬を服んで寝ていたら、熱は引いた。土屋たちのメールに返信して、うとうとしているうちに、下校時刻になっていた。
『プリンとシュークリーム、どっちがいい?』
LINEに、マイメロのスタンプつきでメッセージが入った。祐だ。
『今からお見舞い行くよ』
『吉野も?』
『しゅしゅ部活ゆうくん一人』
『うちわかるの?』
『わかんない』
近くのコンビニにいるらしい。
通話に切り替えて、道順を説明する。
康太の家は、住宅街の込み入ったところにあって、目印になるようなものがない。案内に四苦八苦しているのに、祐は意を汲み取って、着実に家に近付いている。
祐は、康太と同じ中学出身のクラスメートに訊いたが、家の正確な場所はわからなかった。だいたいこの辺りという、あやふやな情報を信じて来たという。
康太は門先に出て、自転車の祐を手招きした。
「祐って、本当に怖いもの知らずだよね」
「そうかな」
「知らないところなのに来るなんて、度胸ありすぎ」
「だって、わかんなかったら聞けばいいじゃん」
「知らない人に話しかけるだけでも、勇気要るんだよ」
「今日はチャリだし、天気いいし、まだ明るいし、まっすぐ帰る気分じゃなくてさ。サイクリング気分で、ちょっとくらい迷子になるのも楽しそうじゃん」
などと、祐は言うのだ。
台所の母親に声をかけて、二階の自室に祐を通した。先に頼んでいた飲み物を取りに行くと、母親が色めき立っていた。
「康太の友だちには珍しいタイプじゃない? イマドキっぽくてきれいな子ねえ」
「そっくりな妹がいるよ。上がってこなくていいからね」
部屋に上がると、祐は棚の上の古いプリンを見つめていた。
「この間買ったちっちゃいプリンは?」
「机の上。学校に持ってくのは、ハードル高い」
ギフトゲートでは、身近に置ける文房具やキーホルダーを買った。ハンカチだけは、プリンを内側に折って持ち歩いている。ペンやファイルを、少しずつプリンに取り替えていくつもりではある。
ベッドトレイを床に置いて、祐を座らせた。
「昨日はごめんな」
康太は紅茶を淹れる手を止めた。
トレイを挟んで胡坐をかいた祐が、小首を傾げる。康太の反応を待っているようだ。
何を謝られているのか混乱しそうで、ひとまず自分から一番遠い話題を振ってみた。
「由梨ちゃんのこと? あの後、大丈夫だった?」
昨夜、妹と激しいいさかいをして、祐は家を出ていってしまった。俊介と後を追ったのだが、見つけたときは、祐は妹と並んで歩いていた。
家族の問題に立ち入ってはいけないと思いながら、昨日の祐は気にせずにいられなかった。いつも機嫌のよい祐が、妹を前にうなだれて、手をあげようとしたのは、康太にはショックだったのだ。
「今朝は、由梨がご飯食べてった。今まで朝抜きで学校行ってたから、ほっとした」
トレイの隙間に、買ってきた菓子を積み上げる。
「祐がせっかく作ってたのに?」
「お年頃だから。カロリーとか栄養バランスとか、考えてやらなくちゃ」
祐に釣られて笑ってから、康太は顔を引き締めた。
「祐、ずっとひとりで頑張ってたんだろ。吉野も、あんなにこじれてるって知らなかったって」
「愚痴は聞いてもらってたよ。これからは、康太も聞いてね」
「聞くけどさ。辛いときは、無理して笑ったら、辛くない?」
「逆。笑ったら、気持ちが楽になるよ」
虚勢を張り続けた祐の気持ちは、昨日ついに崩壊したのだ。
「笑えなくなるくらい辛くなる前に、辛いときは辛いって言って。聞くことしかできないんだけど。昨日の祐、おれは見てて辛かった」
「俺は嬉しかったよ」
祐はにこにこと顔をほころばせる。
「康太が、『ともだち』って言ってくれた」
由梨に、売り言葉に買い言葉で口を滑らせた。友達である確信が薄いのは、今の祐の笑みが本心からか偽りなのか見抜けないからだ。
「しゅしゅに注意されてたんだよね。康太と仲良くなりたくて、はやってるって。俺一人が仲間ができた気分でいるのかもって、実は心配してた」
だらしなく口元をゆるめる祐は、作り笑顔ではない。
康太も気持ちがほどけた。
「プリン捜してくれたとき嬉しかったから、祐や吉野が困ってたら、おれも何かしたいよ」
「なんだ、俺たち、相思相愛じゃん」
「相思相愛の使い方、間違ってない?」
昨日のキスが脳裡をかすめて、康太は慌てて揚げ足を取った。
「まあ、おれにできるのは、卵買うくらいなんだけどね」
「週五で来てくれるんでしょ?」
「だから、それ、多すぎ」
「スーパー行くだけなのに、俺は、すごく楽しかった」
康太は声を失った。
「お兄ちゃんだから」と自分を納得させていた祐は、我慢できなくなるほど鬱憤をためていた。日々の買い物も負担になっていたはずだった。そこにささやかな楽しみを見出せるなら、毎日付き合ってもいい。
そう思ってしまうことが、祐に主導権を握らせているようで癪だった。
「祐はずるいよ」
「何が?」
「祐が喜んでくれるなら、おれ、断れない」
「だから、昨日もチューさせてくれたんだ?」
「蒸し返すなよ!」
意識しないように意識していたのに、たちまち顔が赤らんで、熱がぶり返してしまう。日中、まどろみが切れ切れに覚めては、記憶が浮上してうろたえていたのだ。
「ごめんごめん。甘いもの食べて、機嫌直して」
エクレアを差し出されて、康太は個包装の封を切った。口元に運んで、自分だけ食べていることがいたたまれない。祐はにこにこしているが、この笑顔が曲者なのだ。
「祐は食べないの?」
「食べるよ。自分で食べたくて買ってきたんだもん」
個包装の継ぎ目を破って大きなシュークリームをつかみ、祐はかぶりつく。康太が二口めをかじるときには、シュークリームをたいらげていた。上唇についたクリームを舐め、喉を鳴らして紅茶を飲み干す祐を、康太は横目で見る。
おとなしくしていれば上品な美形なのに、祐は豪快に食べる。昼食を一緒に食べるようになって、見た目を裏切るがさつさに驚いた。
指を舐めながら紅茶を注いでいた祐が、顔を上げた。
「康太、お茶なくなっちった」
祐のティーカップの紅茶は、あと一滴でも落ちればあふれてしまいそうだ。
「もらってくるよ」
「いいよ。俺が行く」
言うより早く立ち上がって、祐は階段を下りていく。
康太は苦笑して、うつむいて、ため息をつく。
やっぱり祐はかっこいい。思い立ったら即実行なんて、小さなことでも康太には真似できない。全面降伏してしまう。女子に囲まれている祐にも、町田のようなやっかみはない。自分とは違いすぎる祐が、サンリオという共通点だけでつながろうとしているのは、康太には謎である。
階下から、母親の笑い声が聞こえた。祐の笑い声も、絶え絶え入る。
康太は体育座りをほどいて、戸口までいざっていく。二人の姿は見えないが、母親が華やいだ声で相づちを打っている。それじゃ、と祐が話を切り上げた。
康太はハイハイで元の位置に戻り、ベッドに寄りかかって膝を抱える。
ティーポットと大きいペットボトルを持ってきた祐は、ちらっと棚のプリンを見た。
「康太の好物って、プリンの耳なんだって?」
「ええ!? それ、母さんが言った?」
「言ったろ、手料理ご馳走するって。好きな食べ物リサーチしたのよ。今も食べてんの?」
それは笑い草になるはずだ。母親の口の軽さと、祐の誘導のうまさは、康太が身をもって知っている。康太は裸にされていたかのようで、いたたまれない。
「してないよ。やだな、子どものころの話なのに。他にも変な話した?」
「内緒」
祐は、康太の隣に腰を下ろす。右腕を、ぴったり康太の左側にくっつけてくる。
「熱、はからせて」
言ったときには、祐の手が額に当てられていた。
祐の少し荒れた指先が、冷たい。気持ちいい。
「かなり高くて、飯食えなかったって?」
「もう下がってるよ」
額の手が頬に下りて撫でる。そこだけが、より熱く火照る。
「まだ熱残ってるだろ。目が潤んでる」
「……そう?」
明るい場所で、目の色がわかるほど間近で見つめられている。
目線を外して、頬の手から逃れようとすれば、祐に体が寄り添ってしまう。離れたいのにどうにもできないという膠着状態に、康太の体はこわばった。
「おやつ食べたら帰るね」
祐の手が離れた。
名残惜しさを感じている自分に、康太は戸惑う。祐にどうされたいのか、自分でもわからない。しかも、主導権を祐に預けてもよいと考えているらしい。
「明日は元気になって、一緒に昼飯食えるといいね」
「うん……二人で?」
トッポの箱を開けた祐が、顔を上げた。
「しゅしゅがいた方がいいんだろ?」
「そうだよ」
三人の方がきっと楽しい。祐がずるいことをしたら、俊介がとがめてくれる。
「プリンのカフェ、行こうか?」
昨日と同じことを、祐は訊く。
「いつがいい?」
康太は答えを変えた。
祐は、満面の笑みで言う。
「土曜か日曜に行っちゃわね? 来週はテスト前期間に入るから、壮行会みたいな感じで」
「何だよ、それ」
「行かない?」
祐は、袋の端を破って、トッポを一本押し上げる。
唇を刺すように差し出されて、康太はくわえて、指を添えながら袋から抜いた。
祐が、もう一方の端をつまんで、噛む。体を斜にして、上目遣いで見ながら、右手で康太の左の指先をまさぐっている
目を伏せれば、祐が小気味よく齧る音がより大きく聞こえる。
癪に障る。康太は、唇に挟んだまま動けないのだ。
落とすことを怖れて、康太がトッポをつかもうとすると、その手もつかまれた。右手の指も押さえこまれている。祐は力を入れていない。
祐は、追いこみながら、康太に逃げる隙も作っている。
「……ずっこいな、祐は」
軽く触れた祐の唇が、ふふっと笑みを含んだ熱い息を吹く。
階下では、スリッパがパタパタ忙しく音を立てている。台所に母親がいる。
康太は短くなった菓子を噛み砕く。チョコレートより、カスタードクリームより甘いものを、今から二人で味わうのだ。
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