聖川高校保健体育副読本
アニメとツイッターネタのみ(紙媒体・2.5の情報はほぼノータッチ)。
CP雑多混在・リバあり。由梨ちゃん大好き。
エロはそんなに書かないけど、不適切なことをやらかしかねないのでRつき。
各人一人称表記は、その時々で変えているので、公式と違うことがままあります(「オレ」「俺」キャラが複数いて判別しがたいので)
サムネはキャラットで作成
本スレ(雑記。萌え語りはこちら) https://pictbland.net/blogs/detail/159
◆◆◆目次◆◆◆
【康太、明かりをつけて。】 祐×康太 俊介
https://pictbland.net/blogs/view_body/706354
【ずるいともだち】1 祐×康太 俊介
https://pictbland.net/blogs/view_body/706357
【ずるいともだち】2 祐×康太
https://pictbland.net/blogs/view_body/706359
【猫は丸いものが好き】 智→俊介 誠一郎
https://pictbland.net/blogs/view_body/711983
【赤ずきん】 祐×菅見 康太
https://pictbland.net/blogs/view_body/713259
【エイプリルフールはめぐる】 諒・康太・祐・俊介・菅見
http://pictbland.net/blogs/view_body/821429
【聖川高校2年保健体育】康太・祐・俊介
https://pictbland.net/blogs/view_body/866688
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2018年10月02日 22:29
【猫は丸いものが好き】
2年生智→1年生俊介 生徒会長になりたて誠一郎さん
サッカー部員が陰で俊介を「猫」と呼ぶのを、会長が勘違いする話
7・8話を見て書いたもの
4コマ漫画なら2本でおさまるなあなんて思っていたのに、文字にするとどうやって〆たらよいかわからず、いじめっぽいのもイヤで放置
タイトルも思いつかなかった
約3300字
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◆◆◆◆◆
サッカー部内では、俊介への不満が、日に日に高まっていた。
その日も、俊介は挨拶をせずに帰っていった。部室のドアが閉まった途端、上級生の怒りが噴出した。一年生も、俊介が技量に驕って周りを見下していると、文句を言う。
「吉野、あの野郎、またシカトかよ」
「あんなの、他の部じゃ許されねえぞ」
「新入生が入ってきたら、また変わると思うんだよね」
松尾は、ことを荒立てたくないと言外に示す。
万事にゆるかった三年生たちは、夏の大会で敗退すると、揃って引退した。部内の天下をとった二年生は、正月は国立で迎えると息巻いて、日夜練習に励んでいる。部員の足並みが揃わないことには目標達成は難しいと、松尾も思う。
「そんなの半年先だろうが!」
「後輩ができたら、もっとひどくなるに決まってんだろう?」
「百歩譲って、吉野の挨拶どうのってのは抜きにしても、プレーに響いてんのわかってるだろう?」
「譲っちゃうんだ?」
着替え終わった松尾は、スマホを確認する。
俊介と落ち合って買い食いでもするつもりでいたが、「猫の餌を買いに行くので」と断りのメールが入っていた。俊介の世界の頂点はキティさんで、次は飼い猫のひめ、家族、祐と続いて、サッカー部員は下位にある。付き合いが長く、部長の肩書がある松尾は、かろうじて部員よりやや上にいるようだ。
「吉野はオレがどうにかするから、もうちょい辛抱して」
「どうにかって、どうにだよ?」
松尾が苦笑いでごまかしても、部員の苛立ちをまぎらわすことはできない。
俊介も含め部員のほとんどが、こどものころからクラブチームに入っている。コミュニケーションの大切さは、身をもって知っているのだ。俊介は好き好んで空気を乱すようなことはしていないし、部員たちもこどもじみた爪弾きはしないと、松尾は信じている。
「吉野の話をするときは、名前の代わりに『猫』って言ったらどうかな」
冗談めかして、松尾は提案した。
「猫がむかつく? 猫が俺らに頭下げない?」
「なんで、猫よ?」
「あいつ、キティさんが好きだから」
入部当初の俊介の持ち物に、事情を知らない部員たちは度肝を抜かれていた。比較的シックなデザインとはいえ、俊介の持ち物は、ハローキティのイラストが入っている。生意気に彼女持ちかと、不要な敵視をする上級生もいた。当然、相手チームでも野次を飛ばされることもあった。俊介は涼しい顔で活躍するので、聖川にデメリットはない。
「本人に聞こえたら、君らも都合悪いでしょ」
気に入らない部員の憤懣は口にしてもいいという気風は、ないにこしたことはない。愚痴はほどほどにと松尾が止めても、多勢に無勢だ。止められないなら、士気に関わらない程度のガス抜きは必要だった。
十月の文化祭が終わると、生徒会役員が総入れ替えになる。生徒総会が開かれ、臨時予算の審議が行われる。
「移動費は援助あんの?」
「スクールバスのガス代と、役場のバスレンタルだけな。いくつ勝とうか?」
練習前の部室で、三年生は額を寄せて、予算案の用紙をにらんでいた。
高校サッカーの本番は冬だ。予選直前に金銭問題に頭を悩ませたくはないが、計算ミスで部費を持ち出したくはない。
「全部勝って、正月は国立だから、試合十回分は欲しいよな」
「あ、大きく出たね」
「ニャンコ次第じゃねえの?」
「猫に頑張ってもらわねえとな」
ひとしきり部員たちと笑って、松尾は顔を引き締めた。俊介たち下級生は、とっくにグラウンドに出ている。
「今度の会長は弓道部だから、運動部有利じゃね?」
予算案は生徒会が審査にかけ、不審点があれば即呼び出される。そこを通過しても、各部幹部を集めた予算委員会で、他の部から重箱の隅を突かれる。生徒総会では、引退した上級生も加わり、足を引っ張り合う。総会が紛糾すれば、生徒会役員の人望も弁舌も役に立たない。
「源だぞ。あいつがひいきするか」
松尾は、新しい生徒会長の名前を出した。
「そうだ、源だった」
「お堅いっていうけど、そんなにひどい?」
「横断歩道を渡るときは手をあげるタイプ」
「いや、むしろ、黄色い旗振るだろ」
「一キロ先の歩道橋渡ると思う」
源を知っている部員は、好き勝手なことを口々に言って、また爆笑する。
いつまでも笑っていられないので、松尾と会計で電卓を叩いて、書面を作った。
副部長に練習開始を頼んで、松尾は生徒会室に出向いた。
生徒会長の源は、一人で書類を整理していた。
「予算申請お願いします」
松尾は用紙をひらひらさせて、置き所を探す。
「すぐに目を通す。少し待ってくれ」
源は申請書を計算し直し、去年の申請書のファイルを開いた。
「備品代は、これで足りるのか? 去年より幾分少ない」
「去年はカゴ買ってもらったからね、丈夫な奴。旗が崩壊寸前だけど、直して使えるし」
「授業でも使うだろう? サッカー部が丁寧に扱っても、一般の生徒はわからんぞ。予算修正は、総会の前々日まで受け付ける」
「わかった。ひとまず、それでよろしく」
行きかけた松尾を、会長が呼び止めた。
「サッカー部は、猫を飼っているのか?」
「猫?」
「部員が猫の話をしていた」
サッカー部の陰口に符丁を使わせていたことは、外聞をはばかる。相手は、石部金吉と名高い生徒会長だ。笑い話で終わるとは思えない。
「……飼っているというか……何か面白いこと言ってた?」
「詳細は知らない。可愛がるのはかまわないが、ご近所のトラブルになるようなことはしないでくれ」
「それは、平気だと思う」
松尾はにっこりした。源の勘違いを修正するつもりはない。
「この間、その猫、ぼんやりしていて、ドブにはまったんだ」
側溝の蓋が外れていたのを、役場に連絡してほしいと続けようとした。
何に気をとられていたのか、ランニング中に、俊介が片脚だけ落ちた。俊介は汚れた脚で練習を続けていたので、周りは笑いをこらえるのに精いっぱいだった。
「猫というのは、動物の猫のことだと思っていたが」
源は、小首を傾げた。
「一輪車の調子が悪いのか。猫は、そうそう落ちるものではない」
「うん、いや……」
松尾は答えあぐねて、言葉を濁す。
源がどこをどうして猫車と間違えたのかはさておき、話が核心から遠ざかっていくのは、都合がよかった。
「作業効率も悪いだろう。買い換えたほうがいいか?」
「錆は入ってるけど、車輪がゆるんでいるだけじゃないかな」
松尾は、本物の一輪車を思い出しながら話す。サッカー部では、夏の除草で使ったきりだった。
「わかった。まずはメンテナンスか。他に不具合のある道具はないか?」
仕事熱心で真面目な生徒会長の厚意を受けて、松尾は側溝の措置を頼んだ。
今日も、練習が終わると、俊介は音もなく帰っていった。
松尾は、残っている部員に、生徒会長の「猫」の話をして笑わせた。部内の問題であっても、今の生徒会長は積極的に介入しかねないと脅し、陰口はほどほどにするように言い渡した。
猫の餌を買いに行くという俊介を追って、松尾は繁華街に出た。
「おまえ、いつも猫の餌買ってるな。買い置きは?」
ペットショップでつかまえた俊介は、缶詰をためつすがめつしている。
「あるにはあるけど、ひめの具合とか気分に合せてるんで」
「猫より、人間に気を使えよ。俺とかさ」
「猫は口がきけないから、人間がかまってやらないとダメじゃないスか?」
人間用のツナ缶より高価な餌を手にして、俊介は、きょとんと松尾を見つめ返した。
「人間だって同じなんだよ」
「智さんが猫と同じ? てこと?」
首をひねる俊介に精算をせかして、店の外に出た。
俊介は、種類の違う猫缶を一つずつ買ってきた。
「智さん、何か話があったんじゃないスか?」
「うん、急ぎではないんだ」
釘を刺すのは棚に上げ、松尾は話題を探す。
「今日の練習で、気になったことがあって」
と、松尾は切りだした。
俊介のルールに従うなら、人間が猫に注意を払わなければならない。
松尾が追いかけてでも話す必然性があり、俊介を納得する話題は、ひとつしかなかった。どれだけ心を砕いても、二人をつなぐものは、サッカーしかないのだ。
歩みをゆるめて、松尾は話す必要もない反省をする。並んで歩く俊介の横顔は、ひどく真面目くさっていた。
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