北都

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投稿日:2026年09月05日 22:34    文字数:8,485

カナリヤ 18 R指定部分

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アベル様&アビスくん編2/2R指定編です⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝
まあ、そこまで濃ゆい感じではないですが、未成年は読まないように🫵

シリーズだから突然ここから読むひとおらんでしょ、とは思うんですが、このシリーズ嘘を付くと決めて毎回書いているので、初見の方が読んでも分かんない要素もりもりです。
読了後のクレームは受け付けませんので、その旨ご了承下さい。
1 / 1

◆◇◆◇◆



長いようで、…………、……どう考えても長過ぎたアベル・ウォーカーとアビス・レイザーの神祭り期間滞在はつつがなく終了した。最後の神送り行事までしっかり参加しやがりやがって、とかは全然思っていない。えぇまぁ、まったく。それはもう。オーターとしては、もう少し短くて良かったし、不慮の事故が起きて早めに領地に戻る羽目になってくれても全然良かった。その意味では非常に残念である。旧友を前に楽しそうにしているワースには悪いが。いや、だからこそ。
よりにもよって帰り際、アベル・ウォーカーはしっかりとワースの顔を見つめながら、「もしも砂の神杖に愛想が尽きたらいつでもうちの領地に来て良いから」と言い、忠実な従者であるアビス・レイザーはその言葉に深く頷いていた。冗談ではない。……いや、ワースが軽く笑い飛ばしていたから、ジョークとして受け流したのだろうけれど。全く勘弁して欲しい。オーターがどれだけ努力して今の立場にいると思っている。この分だと本当にワースとオーターの婚姻が成立したあかつきには、婚姻祝いと称して証人欄記入済みの離婚届を送り付けてきかねない。その時は人材管理局に働きかけて離婚届の用紙を改訂させ、古い用紙は受理不能にしてやる。神覚者をあまり舐めないことだ。他に対抗措置で取れる手は、と頭の中の条文を当たっている隙に、「次のホリデーにはぜひアベル様の領地に来てくださいね」とアビスがにこにこと手を振り、穏便に2人は帰った。あることあること吹き込まれそうだから絶対にアベルの領地に行って欲しくない。けれど、そこに待ったをかけるとワースに偏狭だと思われかねない。葛藤である。まぁでもアビスはなかなか善良で良い子だ。あの感じならまあ、ワースが長いこと同室を許していたのも頷ける。アベルを出し抜く準備や根回しで忙しかったから、学生時代のワースの話をあまり聞き出せなかったことだけは悔やまれる。1ヶ月半にもわたるこの滞在期間を、オーターはじっくりと反芻した。

「オーターも、ありがと。結構長い期間だっただろうけど、助かった」
「……どうと言うこともありません」

実際、アベル・ウォーカーに恩を売って実質的に2人の関係を認めさせた。一代爵位以外の方法を使っていたらもう少し面倒が多かったかもしれないから、ワースの魔法道具作りが発端とはいえ、アビス・レイザーの「悪魔の目」をひどくツララが気に入ったのは運が良かったといえよう。ちなみに一代爵位を材料にアベルと交渉するつもりで魔法道具開発を意図的に遅らせたとバレてツララには頗る怒られたし神覚者会議では「隠蔽体質反対!」「さすがにそれは男前じゃなさ過ぎる」「何のための神覚者会議だと思ってるんです?」「くそブラコン滅べ」などなどなど、非難轟々であった。確かにワースの拘束時間をダシに魔法道具開発を遅延させたが、あそこで時間を稼いだお陰でアベル・ウォーカーから妥協を引き出したので、その後の研究状況を思えばツララに損はさせていない。そう言えば唸りながら着席していたのでその辺の機微は彼女も理解しているだろう。勿論ワースに慕われているツララが気に入らないから、少々意地の悪いやり方をしただけだけれども。
正直「他からの示しがつかないから」とカルドが一代爵位を認める条件にアベル・ウォーカーとの婚姻を持ち出した時はもう無理かと思ったが、意外とすんなり呑んでくれて助かった。お陰様で想定よりも迅速に、当初の目標は概ね達成した。オーターの立場からは、そこそこ満足のいく神祭り期間であった。
ふと、ワースが小指を引っ掛けるようにしてオーターの服を引く。ささやかな、それでいて気弱そうなその仕草は非常に彼らしくはない。見れば、少し顔を赤くしたワースが小首を傾げた。可愛い。どうしたんだろう可愛い。

「あー……その、……客も帰ったことだし、……そ、そろそろ、いちゃいちゃしたいんだけど」
「いっ……」

いちゃいちゃ。
どういう意味だったか、オーターの頭は一瞬停止した。そう言えばアベルとアビスの別れを惜しんで先ほどまで足元でちょろちょろとしていた禁書がいない。アレはアレで結構デリカシーがあるタイプの禁書だ。意識を集中させると案の定、ワースの部屋に気配がある。つまり、……つまり、その、……ど、どういうことだ……!?とにかくオーターは眼鏡の位置を直す。

「……っい、いちゃいちゃとは、その……具体的に、どの程度……?」
「…………いっ、……行き着く、ところまで……?」

若干ワースが上目遣いにこちらを見る。ワースの方が上背があるから、少し小さくなるように身体を縮めているのだ。可愛い。ちょっと鼻血が出そう。ため息のように小さな声が、ワースの口から漏れる。

「……実は、明日、休み……取って、ます……」
「…………!」

知っている。
というか、だからオーターは今日ずっとヒヤヒヤしていた。既に神祭りは終わり魔法局は通常営業に戻った。ワースの有給休暇の取り方は、そこから見れば少々特異なタイミングである。2人の滞在最終日に休みを取っているのは分かる。美しい友情だ。……それが行き過ぎて、「もう一日泊まってく?」だの、「明日には戻ってくるからちょっと俺、出掛けてくる」だの言い出したらどうしようかと思っていた。オーターは普通に仕事だったから、帰宅して置き手紙のひとつでもあったら暴れる自信があったくらいだ。
ワースは無駄な事はしない。だから、取った有給休暇にも意味があると思っていた。狼狽えるオーターに、ぽつりぽつりとワースは言葉を続ける。

「いっ、いやだってよ、その……結局、なんだ……恋人ってことはそーゆーことするモンだし……」
「…………」
「マドル家跡継ぎなしってのは無理だろうからどうせそのうち俺が産むんだろうけど、」
「………………」
「……いっ、一応、その、ツララさんに、実際男性妊娠用の薬使った場合の注意点とか聞いてて、」
「…………………………」
「な……、……なんとか、言えよ……」
「……え、ええと……」

こんな場面でなんと言ったらいいのか。というか、ツララを勘違いしていたかもしれない。神覚者会議で怒られた時よりも、深く、深く反省した。現金なものだけども。
オーターは考え、口籠もり、しかし思い付いたままの言葉を唇に乗せる。

「し、」
「……?」
「幸せに、します……」
「…………いやそれ多分いろんなステップすっ飛ばした台詞だから」

ふは、と耐えきれないと言いたげにワースが笑う。そうなのか、そうなのだろうか。概ねオーターの本心なのだけど。その手を見ると、少し震えている。オーターが混乱しているように、ワースも緊張している。そう思うと目の前にいるひとがより一層愛おしく感じた。ぎこちない動作で腕を広げ、そうっとその身体を抱き締める。その間、ワースは身じろぎさえしなかった。きゅっと寄せられた肩に顔を埋めた程度である。均整が取れた、しっかりとした筋肉と骨格を感じさせる肉体。これまでのワースという人間の人生が映し出されているかのようだった。

「……好きです」

思わず溢れた言葉にワースはちょっぴり笑って、「俺も、」と柔らかな声色で返事をした。



***



交代でシャワーを浴び、今は2人して、ベッドの上で向かい合っている。別にオーターも初めてという訳ではない筈なのだが、何をどう運んで良いのやら、とにかく混乱していた。相手のシャワーを待つ時間がこれほど長いとは、考えもしなかった。そっと手を伸ばしてワースの手に触れると、大袈裟なほどその肩が跳ねる。ひょえ、と漏れそうになる声をどうにか噛み殺した。

「え、えー……と、」

照れ臭そうに、はにかむその姿は、しみじみと愛おしい。ドキドキと高鳴る胸のまま、オーターは少し自分の唇を湿らせる。

「き、キス、していいですか……?」

ワースはその問いには答えず、片手を伸ばす。耳殻をくすぐり、後頭部を押して自分の方へと引っ張った。そのやや強引な動きにオーターは素直に身を任せた。ちゅ、と唇が触れるだけだったキスが、優しく、ゆっくりと深くなっていく。

「……っ、」

不意に、オーターの肩を掴んだワースがそのままベッドへ倒れ込む。ベッドに手を付いて咄嗟に後頭部を支えると、唇を離したワースがくつくつと笑った。

「なんで倒れないの?どういう体幹してんだマジで」
「び、びっくりさせないで下さい……」
「じゃあそろそろ押し倒すか、倒されるかしろよ」

粗野な物言いは、明らかな照れ隠しだ。その意図はあまりにも明白で、オーターはゆっくりとワースの身体をベッドに横たえる。ふわりと彼の髪が白いシーツに広がり、それを上から見ているこの状況に心臓がばくばくと跳ねる。くっと笑ったワースはゆるく結ばれていたオーターのバスローブを解き、身体を撫でながら落とした。筋肉を辿るその指先の動きひとつひとつが艶かしい。自分も、彼を脱がした方が良いだろうか?鮮やかすぎるその動きにただただ動揺しながら、そっとその頬を撫でる。瞳を細めて微笑むその姿は艶然としていた。
少し気後れする。そういえばワースは割に交友関係が広い。オーターの交際経験の有無を確認してきた辺りからして、なんとなく物馴れていそうな気もする。

「……なに」
「ワースが素敵過ぎて、少し腹が立っていました。……間違っても過去の恋人を紹介しないで下さい。私は、男女を平等に扱う方です」
「あははははっ」

顰めっ面をしている自覚はあった。例えば元カノと名乗る女が現れたら、五体満足で帰す自信がない。その場合、魔法警備隊に逮捕される羽目になる。あまりにも不名誉だ。今の立場からして間違いなく号外が出る。「神覚者からの初の逮捕者!」……その光景はありありと想像できた。けれどワースは楽しそうに笑い飛ばす。晴れやかなその顔が少し恨めしい。目尻の涙さえ拭うワースは、くふくふ笑いながら自らローブを脱いだ。ぎくりとして、視線が彷徨う。ワースの笑い声が更に優しく響いた。

「オーターってさ、時々めちゃくちゃ可愛い」
「……私は、貴方が時々めちゃくちゃ格好良くて、困っています」
「俺はいつも格好いいに決まってるだろ?」

言いながら再びワースがオーターを引っ張り込んでキスをする。はじめは唇を軽く喰むだけのキスが、ゆっくりと相手に吸い付く愛撫に変わり、口腔を舐めて舌を絡め合わせるものになっていく。その間中、オーターはずっとドキドキしていた。他人の唇を甘いと思ったのは初めてだ。そっと輪郭を確かめるように身体に手を這わせると、くすぐったそうにワースの鼻から息が漏れる。それさえも可愛らしくて堪らない。ワースは、格好良くて可愛い。最強か?
オーターの太ももに、何か熱く湿ったものが触れる。ワースの陰茎だろう。彼が興奮している、と思うと自分も妙に高揚して、オーターはワースの腰に自分の腰を擦り付けた。

「んっ、」
「貴方は、私が貴方で勃つかどうか心配していましたが、」

むしろこういった状況を上手く想像し切れていなかったのはオーターの方だろう。気負いもせず、はぁ、と熱い息を吐き出すワースに、オーターは苦笑する。自分は彼ほど自分を曝け出すことはできない。

「今とても、安心しています……」

2人の間に手を差し入れると、2人分のぬる付いた熱棒があった。2人分掴んで上下に扱く。先走りが更に溢れて、手のひらを湿らせていく。

「ふぁ……あ……、」

あえかな声を上げるワースが、ふっと笑う。
その色めいた目配せにドキリとした。

「……えっち」
「嫌じゃあ、ないでしょう?」
「そりゃあ、」

トン、とワースの踵がオーターの腰を押し、不意を打たれてカクリと身体が落ちる。小さく笑うワースが至近距離に近付いた耳たぶを喰み、小さく歯を立てる。痛くはない。けれど、重なった胸の上が、一体どちらの鼓動か分からない。

「アンタが、俺で興奮してると思うと、めちゃくちゃ楽しい」
「……っ、」

ワースが腰をゆらめかせ、オーターの背筋を指でなぞる。身体の神経に直接触れられているような心地に、オーターは上がりそうになる声を噛み殺した。それでもワースは耳に、首筋に、キスを落とす。そして空いているオーターの手を絡め取ると、自らの秘所に這わせた。ぬるく湿ったそこは、ワースの手引きで思ったより簡単に、つぷりと内壁に触れさせる。思わず顔を上げると、してやったりと言わんばかりの顔で下から悪戯っぽく見つめる瞳があった。

「……実はさっき、シャワー中に、慣らしておきました」
「な……、……な……!」
「初めては、……その、……スムーズな方が良いだろ?」

気遣いは嬉しい。……嬉しいが、こんなにお膳立てされていて良いのだろうか。
上手い言葉が出てこず、さりとてこの状況で拒む程の気概もなく、ワースの手の動きに従い、ぬぷぬぷと内壁を擦る。その度に甘い声が上がった。

「オーターの指、長くて、綺麗で、好きだ……」
「…………っ」

よくもまあ、今の今まで鼻血を出さずにオーターの血管は耐えていると思う。素直に、賞賛が欲しい。だって、誰よりも好きなひとが、とろりとした瞳で自分を誘惑している。これが出張任務中の魔物による幻覚だ、と言われた方がまだ素直に納得が行った。ワースはたぶん、自分を殺す気なのだ。
くすくすと笑ったワースが頬にキスをする。

「殺す気なんかねぇけど?」

どうやら心の声が漏れていたらしい。
オーターは喉の奥で「ふぐぅ、」と不器用な息をした。握ったままの2人分の陰茎を扱きつつ、ゆっくり、恐る恐る指をワースの中に押し込む。その手の甲を、褒めるようにワースの指先がくすぐった。一体いつから慣らしていたのか、自らの肉体を理解しているワースは、「もうちょっと右」とか「もうやや内側」とか、自らが善いように指示を出す。きゅうきゅうと引き絞る蜜壺に忍び込む指を3本にした頃に、ようやくオーターにも勝手が掴めてきた。

「……ぅ…ぁ……っ、あっ……その辺……!」
「…………っ」

耳元で甘い嬌声が上がる瞬間ほど興奮するものはない。不肖、オーター・マドルはこの歳になって初めて知った。ゆっくり、ゆっくりと押し込むようにそのしこりを撫でると、ワースはパサパサと左右に首を振って、興奮のほどを知らせた。

「……ふぁあ、あっ……ぁあっ、……っきもちい……」
「…………っ」

その声を聞いた瞬間、自分の熱が弾ける。けれどまだワースが勃ったままだ。自分の息を整えながら、ワースの熱にくたりと力をなくした自分のそれを押し付ける。

「……んぁっ……はぁ……ぁっ……、……もう、よくない……?」

ぬる付いたワースの手が、やさしくオーターの陰茎を上下に扱く。甘やかすように陰嚢を揉まれ、思わず息を詰めたオーターの眉間に、ちゅ、と可愛らしい音を立てて唇が落ちた。オーター本人以上に正直なそこは再びむくむくと大きくなる。それに満足そうな笑みを浮かべながら、ワースの片手がベッドベットに置いたコンドームを探して彷徨う。先ほどの「もうよくない?」が「もう挿れてもよくない?」の意味だと遅ればせながら気が付いて、頭がクラクラとした。確実に、下半身に血液が持っていかれている。
はたはたと彷徨う手を捕まえて、その甲にキスをする。離して今度はその頬に、そして唇に。口腔を吸えばワースの舌が応える。その間に個包装を探り当て、乱暴に破って自らの陰茎にくるくると装着する。熱いままのそこは今ではもうジンジンと痛みを感じる程だった。

「ワース、」
「ん、」

挿入しやすいようにとの配慮か、ワースはその長い脚を広げて見せる。元より白い肌であるが、常ならば服に隠されたそこは、輪をかけて白い。しかし陰毛の下の性器はオーターと同じく赤黒く興奮を示していた。何か見てはいけないものを見ている気がして、しかしそれを許されている高揚に、オーターの喉がこくりと鳴る。その逡巡の時間は少し長すぎたらしい。下から見上げるワースが挑発的に笑う。

「……見てるだけでいい訳?」

すっと伸びたつま先が、揶揄うようにオーターの腰を撫でる。いっそ清々しい程の誘いに、オーターもワースの膝裏に手を差し込んで更に大きく足を開かせる。腰が少し浮いて、少し苦しげに、しかし楽しげにワースがこちらを見上げた。ぬる付く手でなんとか自身を支え、後孔に照準を合わせると、ワースが喉の奥で笑った。

「……ぁくしろよ」
「…………っ」

ぬぷ、と先っぽを滑り込ませると、充分にほぐれていたと思ったそこは意外にも堅牢にオーターを食い締めた。正直、かなり善い。全てを納めたらどれだけ気持ち良いだろう。けれど挿れる側がキツいと思っているということは、挿れられている側はもっと辛いだろう。ぬぐぬぐと小刻みに動かしながら、そして奥歯を噛み締めながら、考える。どこまで、進んで良いものか。ワースは「行き着くところまで」と言ったけれども。とはいえ。

「……ふ、は……っ」
「…………?」
「……ふふ……っ、……ん、」

ぐるぐると考えているオーターが愉快で堪らないとばかりにワースが笑い、その筋肉の収縮で後孔が絞まる。う、と耐えるオーターの頭をぐしゃぐしゃにかき混ぜて、鼻先に小さくキスをした。ぱちくりとワースの顔を見れば、にやりとまた、口角を上げる。

「……もーちょい、奥まで来て、だいじょうぶ……つか、そこだとまだ、んなにきもちくない……」
「………は…、」

ぽつりぽつりと呟かれると、こちらも躍起になって身体を揺する。ぎゅうぎゅうと締め付けるばかりだったそこは、ゆっくりと綻んでくる。或いは、ワースもオーターが身体に割り込んでいるのに慣れたのかもしれない。太く出っ張ったところが挿入れば、意外にずぷずぷと飲み込まれていく。

「あっ♡」
「……っ、」

明らかに声色が変わって、思わず腰を引く。それを不服そうに唇を尖らせる。

「んな、おっかなびっくりしなくっていいっつの」
「……はい。……あ、いや、……その」
「……んだよ、」

むくれている姿が、可愛い。
……いやいやそんな話ではなく。

「いっ……いやな、思い出にさせたくないです……」
「…………」

至らない兄であったし、頼りない恋人であろう。オーターは面倒臭がりで察しも悪い。愛情表現も下手くそだ。友人が心配して、遠方からすっ飛んできてくれるワースとは違う。ついと前髪を避けて、額にキスをする。むっと顔を顰めたワースは、オーターの首に腕を絡めて引き寄せる。そしてそのまま唇にキスをした。ちゅっと一瞬で離れたものの、額を合わせてぐりぐりと左右に首を振る。可愛い。

「こーゆー時、キスは口だろ」
「…………ふふ、……はい」
「……あと、俺が……気に入らない奴の、こと、跨らせたままの、人間だと…っ…思う訳?」
「………うっ」

ゆるゆるとワースが腰を揺らす。内壁に当たる角度が変わって、思わずオーターは息を詰めた。その間に腰に足を絡めて、ワースは更に密着してくる。

「……っ」

下半身が、溶けるんじゃないかと思う。相変わらず心臓はばくばくとうるさく、獣じみた自分の荒い呼吸が響き渡る。俯いたオーター髪をかき混ぜながら、その顔中にワースがキスをする。まずい、格好良すぎる。きゅんきゅんしてしまう。

「オーター、」
「……っ……」
「……はぁっ……きもちい……っ」

オーターも負けじと彼を揺さぶると、吐息に紛れたような嬌声が耳に響く。しがみ付くワースの指が縋るようにオーターの首筋に爪を立てた。しかしそんなものちっとも気にならなかった。

「……ぁ……っ♡ ぁあっ♡ ……そこ……ッ」
「………っぁしも……、」

興奮しすぎて、言葉が掠れる。奇妙な照れ臭さを覚えながら、ワースの声が甘くなるところ目掛けて突き上げる。何度も、何度も。頭に霞がかかって、実際に自分がどんな行動をしているのかよく分からなかった。何度目かの抽挿の後、くっと腰を持ち上げ瞬間ぱっと2人の間に熱いものが弾けた。かくかくと痙攣するように跳ねるワースの胎の中で、オーターの熱も弾ける。

「……ぁ……っ♡ あ……っ♡」
「わたしも……、」

絶頂に達した愛しい身体を抱き締めながら、オーターは額に、目尻に、頬に、首筋に、とにかく顔中にキスをする。そして最後に唇に。オーターの下唇を吸ったワースが、嬉しそうに喉を鳴らす。

「私も、……気持ち良かった、……です」
「…………もっかいする?」
「します」

なんならワースの語尾が耳に届く前に、やや食い気味で返事をする。ふは、と笑い出したワースの胎の振動で、またむくむくと熱が昇ってきてしまったのは今になってみれば少し恥ずかしい。しかしワースは頬にキスをして、にっと笑う。

「好きだ」
「……なんか、照れますね」
「言ってなかったかもと思って」

くふくふと笑って再び衝動に身を任せる。
ちなみにこの後、行為は週休か双方が有給休暇を取った前日にしようと取り決めが持たれた。なんせその朝は遅刻を覚悟したくらい、オーターだけベッドを離れなければならないのがあまりにも苦痛過ぎたから。これに関してはワースも、「まぁ、言わないで準備してたのは悪かったよ……」とぐったり肩を落とした。

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カナリヤ 18 R指定部分

キーワードタグ オタワス  マッシュル  ♡喘ぎ  R18 
作品の説明 アベル様&アビスくん編2/2R指定編です⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝
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シリーズだから突然ここから読むひとおらんでしょ、とは思うんですが、このシリーズ嘘を付くと決めて毎回書いているので、初見の方が読んでも分かんない要素もりもりです。
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◆◇◆◇◆



長いようで、…………、……どう考えても長過ぎたアベル・ウォーカーとアビス・レイザーの神祭り期間滞在はつつがなく終了した。最後の神送り行事までしっかり参加しやがりやがって、とかは全然思っていない。えぇまぁ、まったく。それはもう。オーターとしては、もう少し短くて良かったし、不慮の事故が起きて早めに領地に戻る羽目になってくれても全然良かった。その意味では非常に残念である。旧友を前に楽しそうにしているワースには悪いが。いや、だからこそ。
よりにもよって帰り際、アベル・ウォーカーはしっかりとワースの顔を見つめながら、「もしも砂の神杖に愛想が尽きたらいつでもうちの領地に来て良いから」と言い、忠実な従者であるアビス・レイザーはその言葉に深く頷いていた。冗談ではない。……いや、ワースが軽く笑い飛ばしていたから、ジョークとして受け流したのだろうけれど。全く勘弁して欲しい。オーターがどれだけ努力して今の立場にいると思っている。この分だと本当にワースとオーターの婚姻が成立したあかつきには、婚姻祝いと称して証人欄記入済みの離婚届を送り付けてきかねない。その時は人材管理局に働きかけて離婚届の用紙を改訂させ、古い用紙は受理不能にしてやる。神覚者をあまり舐めないことだ。他に対抗措置で取れる手は、と頭の中の条文を当たっている隙に、「次のホリデーにはぜひアベル様の領地に来てくださいね」とアビスがにこにこと手を振り、穏便に2人は帰った。あることあること吹き込まれそうだから絶対にアベルの領地に行って欲しくない。けれど、そこに待ったをかけるとワースに偏狭だと思われかねない。葛藤である。まぁでもアビスはなかなか善良で良い子だ。あの感じならまあ、ワースが長いこと同室を許していたのも頷ける。アベルを出し抜く準備や根回しで忙しかったから、学生時代のワースの話をあまり聞き出せなかったことだけは悔やまれる。1ヶ月半にもわたるこの滞在期間を、オーターはじっくりと反芻した。

「オーターも、ありがと。結構長い期間だっただろうけど、助かった」
「……どうと言うこともありません」

実際、アベル・ウォーカーに恩を売って実質的に2人の関係を認めさせた。一代爵位以外の方法を使っていたらもう少し面倒が多かったかもしれないから、ワースの魔法道具作りが発端とはいえ、アビス・レイザーの「悪魔の目」をひどくツララが気に入ったのは運が良かったといえよう。ちなみに一代爵位を材料にアベルと交渉するつもりで魔法道具開発を意図的に遅らせたとバレてツララには頗る怒られたし神覚者会議では「隠蔽体質反対!」「さすがにそれは男前じゃなさ過ぎる」「何のための神覚者会議だと思ってるんです?」「くそブラコン滅べ」などなどなど、非難轟々であった。確かにワースの拘束時間をダシに魔法道具開発を遅延させたが、あそこで時間を稼いだお陰でアベル・ウォーカーから妥協を引き出したので、その後の研究状況を思えばツララに損はさせていない。そう言えば唸りながら着席していたのでその辺の機微は彼女も理解しているだろう。勿論ワースに慕われているツララが気に入らないから、少々意地の悪いやり方をしただけだけれども。
正直「他からの示しがつかないから」とカルドが一代爵位を認める条件にアベル・ウォーカーとの婚姻を持ち出した時はもう無理かと思ったが、意外とすんなり呑んでくれて助かった。お陰様で想定よりも迅速に、当初の目標は概ね達成した。オーターの立場からは、そこそこ満足のいく神祭り期間であった。
ふと、ワースが小指を引っ掛けるようにしてオーターの服を引く。ささやかな、それでいて気弱そうなその仕草は非常に彼らしくはない。見れば、少し顔を赤くしたワースが小首を傾げた。可愛い。どうしたんだろう可愛い。

「あー……その、……客も帰ったことだし、……そ、そろそろ、いちゃいちゃしたいんだけど」
「いっ……」

いちゃいちゃ。
どういう意味だったか、オーターの頭は一瞬停止した。そう言えばアベルとアビスの別れを惜しんで先ほどまで足元でちょろちょろとしていた禁書がいない。アレはアレで結構デリカシーがあるタイプの禁書だ。意識を集中させると案の定、ワースの部屋に気配がある。つまり、……つまり、その、……ど、どういうことだ……!?とにかくオーターは眼鏡の位置を直す。

「……っい、いちゃいちゃとは、その……具体的に、どの程度……?」
「…………いっ、……行き着く、ところまで……?」

若干ワースが上目遣いにこちらを見る。ワースの方が上背があるから、少し小さくなるように身体を縮めているのだ。可愛い。ちょっと鼻血が出そう。ため息のように小さな声が、ワースの口から漏れる。

「……実は、明日、休み……取って、ます……」
「…………!」

知っている。
というか、だからオーターは今日ずっとヒヤヒヤしていた。既に神祭りは終わり魔法局は通常営業に戻った。ワースの有給休暇の取り方は、そこから見れば少々特異なタイミングである。2人の滞在最終日に休みを取っているのは分かる。美しい友情だ。……それが行き過ぎて、「もう一日泊まってく?」だの、「明日には戻ってくるからちょっと俺、出掛けてくる」だの言い出したらどうしようかと思っていた。オーターは普通に仕事だったから、帰宅して置き手紙のひとつでもあったら暴れる自信があったくらいだ。
ワースは無駄な事はしない。だから、取った有給休暇にも意味があると思っていた。狼狽えるオーターに、ぽつりぽつりとワースは言葉を続ける。

「いっ、いやだってよ、その……結局、なんだ……恋人ってことはそーゆーことするモンだし……」
「…………」
「マドル家跡継ぎなしってのは無理だろうからどうせそのうち俺が産むんだろうけど、」
「………………」
「……いっ、一応、その、ツララさんに、実際男性妊娠用の薬使った場合の注意点とか聞いてて、」
「…………………………」
「な……、……なんとか、言えよ……」
「……え、ええと……」

こんな場面でなんと言ったらいいのか。というか、ツララを勘違いしていたかもしれない。神覚者会議で怒られた時よりも、深く、深く反省した。現金なものだけども。
オーターは考え、口籠もり、しかし思い付いたままの言葉を唇に乗せる。

「し、」
「……?」
「幸せに、します……」
「…………いやそれ多分いろんなステップすっ飛ばした台詞だから」

ふは、と耐えきれないと言いたげにワースが笑う。そうなのか、そうなのだろうか。概ねオーターの本心なのだけど。その手を見ると、少し震えている。オーターが混乱しているように、ワースも緊張している。そう思うと目の前にいるひとがより一層愛おしく感じた。ぎこちない動作で腕を広げ、そうっとその身体を抱き締める。その間、ワースは身じろぎさえしなかった。きゅっと寄せられた肩に顔を埋めた程度である。均整が取れた、しっかりとした筋肉と骨格を感じさせる肉体。これまでのワースという人間の人生が映し出されているかのようだった。

「……好きです」

思わず溢れた言葉にワースはちょっぴり笑って、「俺も、」と柔らかな声色で返事をした。



***



交代でシャワーを浴び、今は2人して、ベッドの上で向かい合っている。別にオーターも初めてという訳ではない筈なのだが、何をどう運んで良いのやら、とにかく混乱していた。相手のシャワーを待つ時間がこれほど長いとは、考えもしなかった。そっと手を伸ばしてワースの手に触れると、大袈裟なほどその肩が跳ねる。ひょえ、と漏れそうになる声をどうにか噛み殺した。

「え、えー……と、」

照れ臭そうに、はにかむその姿は、しみじみと愛おしい。ドキドキと高鳴る胸のまま、オーターは少し自分の唇を湿らせる。

「き、キス、していいですか……?」

ワースはその問いには答えず、片手を伸ばす。耳殻をくすぐり、後頭部を押して自分の方へと引っ張った。そのやや強引な動きにオーターは素直に身を任せた。ちゅ、と唇が触れるだけだったキスが、優しく、ゆっくりと深くなっていく。

「……っ、」

不意に、オーターの肩を掴んだワースがそのままベッドへ倒れ込む。ベッドに手を付いて咄嗟に後頭部を支えると、唇を離したワースがくつくつと笑った。

「なんで倒れないの?どういう体幹してんだマジで」
「び、びっくりさせないで下さい……」
「じゃあそろそろ押し倒すか、倒されるかしろよ」

粗野な物言いは、明らかな照れ隠しだ。その意図はあまりにも明白で、オーターはゆっくりとワースの身体をベッドに横たえる。ふわりと彼の髪が白いシーツに広がり、それを上から見ているこの状況に心臓がばくばくと跳ねる。くっと笑ったワースはゆるく結ばれていたオーターのバスローブを解き、身体を撫でながら落とした。筋肉を辿るその指先の動きひとつひとつが艶かしい。自分も、彼を脱がした方が良いだろうか?鮮やかすぎるその動きにただただ動揺しながら、そっとその頬を撫でる。瞳を細めて微笑むその姿は艶然としていた。
少し気後れする。そういえばワースは割に交友関係が広い。オーターの交際経験の有無を確認してきた辺りからして、なんとなく物馴れていそうな気もする。

「……なに」
「ワースが素敵過ぎて、少し腹が立っていました。……間違っても過去の恋人を紹介しないで下さい。私は、男女を平等に扱う方です」
「あははははっ」

顰めっ面をしている自覚はあった。例えば元カノと名乗る女が現れたら、五体満足で帰す自信がない。その場合、魔法警備隊に逮捕される羽目になる。あまりにも不名誉だ。今の立場からして間違いなく号外が出る。「神覚者からの初の逮捕者!」……その光景はありありと想像できた。けれどワースは楽しそうに笑い飛ばす。晴れやかなその顔が少し恨めしい。目尻の涙さえ拭うワースは、くふくふ笑いながら自らローブを脱いだ。ぎくりとして、視線が彷徨う。ワースの笑い声が更に優しく響いた。

「オーターってさ、時々めちゃくちゃ可愛い」
「……私は、貴方が時々めちゃくちゃ格好良くて、困っています」
「俺はいつも格好いいに決まってるだろ?」

言いながら再びワースがオーターを引っ張り込んでキスをする。はじめは唇を軽く喰むだけのキスが、ゆっくりと相手に吸い付く愛撫に変わり、口腔を舐めて舌を絡め合わせるものになっていく。その間中、オーターはずっとドキドキしていた。他人の唇を甘いと思ったのは初めてだ。そっと輪郭を確かめるように身体に手を這わせると、くすぐったそうにワースの鼻から息が漏れる。それさえも可愛らしくて堪らない。ワースは、格好良くて可愛い。最強か?
オーターの太ももに、何か熱く湿ったものが触れる。ワースの陰茎だろう。彼が興奮している、と思うと自分も妙に高揚して、オーターはワースの腰に自分の腰を擦り付けた。

「んっ、」
「貴方は、私が貴方で勃つかどうか心配していましたが、」

むしろこういった状況を上手く想像し切れていなかったのはオーターの方だろう。気負いもせず、はぁ、と熱い息を吐き出すワースに、オーターは苦笑する。自分は彼ほど自分を曝け出すことはできない。

「今とても、安心しています……」

2人の間に手を差し入れると、2人分のぬる付いた熱棒があった。2人分掴んで上下に扱く。先走りが更に溢れて、手のひらを湿らせていく。

「ふぁ……あ……、」

あえかな声を上げるワースが、ふっと笑う。
その色めいた目配せにドキリとした。

「……えっち」
「嫌じゃあ、ないでしょう?」
「そりゃあ、」

トン、とワースの踵がオーターの腰を押し、不意を打たれてカクリと身体が落ちる。小さく笑うワースが至近距離に近付いた耳たぶを喰み、小さく歯を立てる。痛くはない。けれど、重なった胸の上が、一体どちらの鼓動か分からない。

「アンタが、俺で興奮してると思うと、めちゃくちゃ楽しい」
「……っ、」

ワースが腰をゆらめかせ、オーターの背筋を指でなぞる。身体の神経に直接触れられているような心地に、オーターは上がりそうになる声を噛み殺した。それでもワースは耳に、首筋に、キスを落とす。そして空いているオーターの手を絡め取ると、自らの秘所に這わせた。ぬるく湿ったそこは、ワースの手引きで思ったより簡単に、つぷりと内壁に触れさせる。思わず顔を上げると、してやったりと言わんばかりの顔で下から悪戯っぽく見つめる瞳があった。

「……実はさっき、シャワー中に、慣らしておきました」
「な……、……な……!」
「初めては、……その、……スムーズな方が良いだろ?」

気遣いは嬉しい。……嬉しいが、こんなにお膳立てされていて良いのだろうか。
上手い言葉が出てこず、さりとてこの状況で拒む程の気概もなく、ワースの手の動きに従い、ぬぷぬぷと内壁を擦る。その度に甘い声が上がった。

「オーターの指、長くて、綺麗で、好きだ……」
「…………っ」

よくもまあ、今の今まで鼻血を出さずにオーターの血管は耐えていると思う。素直に、賞賛が欲しい。だって、誰よりも好きなひとが、とろりとした瞳で自分を誘惑している。これが出張任務中の魔物による幻覚だ、と言われた方がまだ素直に納得が行った。ワースはたぶん、自分を殺す気なのだ。
くすくすと笑ったワースが頬にキスをする。

「殺す気なんかねぇけど?」

どうやら心の声が漏れていたらしい。
オーターは喉の奥で「ふぐぅ、」と不器用な息をした。握ったままの2人分の陰茎を扱きつつ、ゆっくり、恐る恐る指をワースの中に押し込む。その手の甲を、褒めるようにワースの指先がくすぐった。一体いつから慣らしていたのか、自らの肉体を理解しているワースは、「もうちょっと右」とか「もうやや内側」とか、自らが善いように指示を出す。きゅうきゅうと引き絞る蜜壺に忍び込む指を3本にした頃に、ようやくオーターにも勝手が掴めてきた。

「……ぅ…ぁ……っ、あっ……その辺……!」
「…………っ」

耳元で甘い嬌声が上がる瞬間ほど興奮するものはない。不肖、オーター・マドルはこの歳になって初めて知った。ゆっくり、ゆっくりと押し込むようにそのしこりを撫でると、ワースはパサパサと左右に首を振って、興奮のほどを知らせた。

「……ふぁあ、あっ……ぁあっ、……っきもちい……」
「…………っ」

その声を聞いた瞬間、自分の熱が弾ける。けれどまだワースが勃ったままだ。自分の息を整えながら、ワースの熱にくたりと力をなくした自分のそれを押し付ける。

「……んぁっ……はぁ……ぁっ……、……もう、よくない……?」

ぬる付いたワースの手が、やさしくオーターの陰茎を上下に扱く。甘やかすように陰嚢を揉まれ、思わず息を詰めたオーターの眉間に、ちゅ、と可愛らしい音を立てて唇が落ちた。オーター本人以上に正直なそこは再びむくむくと大きくなる。それに満足そうな笑みを浮かべながら、ワースの片手がベッドベットに置いたコンドームを探して彷徨う。先ほどの「もうよくない?」が「もう挿れてもよくない?」の意味だと遅ればせながら気が付いて、頭がクラクラとした。確実に、下半身に血液が持っていかれている。
はたはたと彷徨う手を捕まえて、その甲にキスをする。離して今度はその頬に、そして唇に。口腔を吸えばワースの舌が応える。その間に個包装を探り当て、乱暴に破って自らの陰茎にくるくると装着する。熱いままのそこは今ではもうジンジンと痛みを感じる程だった。

「ワース、」
「ん、」

挿入しやすいようにとの配慮か、ワースはその長い脚を広げて見せる。元より白い肌であるが、常ならば服に隠されたそこは、輪をかけて白い。しかし陰毛の下の性器はオーターと同じく赤黒く興奮を示していた。何か見てはいけないものを見ている気がして、しかしそれを許されている高揚に、オーターの喉がこくりと鳴る。その逡巡の時間は少し長すぎたらしい。下から見上げるワースが挑発的に笑う。

「……見てるだけでいい訳?」

すっと伸びたつま先が、揶揄うようにオーターの腰を撫でる。いっそ清々しい程の誘いに、オーターもワースの膝裏に手を差し込んで更に大きく足を開かせる。腰が少し浮いて、少し苦しげに、しかし楽しげにワースがこちらを見上げた。ぬる付く手でなんとか自身を支え、後孔に照準を合わせると、ワースが喉の奥で笑った。

「……ぁくしろよ」
「…………っ」

ぬぷ、と先っぽを滑り込ませると、充分にほぐれていたと思ったそこは意外にも堅牢にオーターを食い締めた。正直、かなり善い。全てを納めたらどれだけ気持ち良いだろう。けれど挿れる側がキツいと思っているということは、挿れられている側はもっと辛いだろう。ぬぐぬぐと小刻みに動かしながら、そして奥歯を噛み締めながら、考える。どこまで、進んで良いものか。ワースは「行き着くところまで」と言ったけれども。とはいえ。

「……ふ、は……っ」
「…………?」
「……ふふ……っ、……ん、」

ぐるぐると考えているオーターが愉快で堪らないとばかりにワースが笑い、その筋肉の収縮で後孔が絞まる。う、と耐えるオーターの頭をぐしゃぐしゃにかき混ぜて、鼻先に小さくキスをした。ぱちくりとワースの顔を見れば、にやりとまた、口角を上げる。

「……もーちょい、奥まで来て、だいじょうぶ……つか、そこだとまだ、んなにきもちくない……」
「………は…、」

ぽつりぽつりと呟かれると、こちらも躍起になって身体を揺する。ぎゅうぎゅうと締め付けるばかりだったそこは、ゆっくりと綻んでくる。或いは、ワースもオーターが身体に割り込んでいるのに慣れたのかもしれない。太く出っ張ったところが挿入れば、意外にずぷずぷと飲み込まれていく。

「あっ♡」
「……っ、」

明らかに声色が変わって、思わず腰を引く。それを不服そうに唇を尖らせる。

「んな、おっかなびっくりしなくっていいっつの」
「……はい。……あ、いや、……その」
「……んだよ、」

むくれている姿が、可愛い。
……いやいやそんな話ではなく。

「いっ……いやな、思い出にさせたくないです……」
「…………」

至らない兄であったし、頼りない恋人であろう。オーターは面倒臭がりで察しも悪い。愛情表現も下手くそだ。友人が心配して、遠方からすっ飛んできてくれるワースとは違う。ついと前髪を避けて、額にキスをする。むっと顔を顰めたワースは、オーターの首に腕を絡めて引き寄せる。そしてそのまま唇にキスをした。ちゅっと一瞬で離れたものの、額を合わせてぐりぐりと左右に首を振る。可愛い。

「こーゆー時、キスは口だろ」
「…………ふふ、……はい」
「……あと、俺が……気に入らない奴の、こと、跨らせたままの、人間だと…っ…思う訳?」
「………うっ」

ゆるゆるとワースが腰を揺らす。内壁に当たる角度が変わって、思わずオーターは息を詰めた。その間に腰に足を絡めて、ワースは更に密着してくる。

「……っ」

下半身が、溶けるんじゃないかと思う。相変わらず心臓はばくばくとうるさく、獣じみた自分の荒い呼吸が響き渡る。俯いたオーター髪をかき混ぜながら、その顔中にワースがキスをする。まずい、格好良すぎる。きゅんきゅんしてしまう。

「オーター、」
「……っ……」
「……はぁっ……きもちい……っ」

オーターも負けじと彼を揺さぶると、吐息に紛れたような嬌声が耳に響く。しがみ付くワースの指が縋るようにオーターの首筋に爪を立てた。しかしそんなものちっとも気にならなかった。

「……ぁ……っ♡ ぁあっ♡ ……そこ……ッ」
「………っぁしも……、」

興奮しすぎて、言葉が掠れる。奇妙な照れ臭さを覚えながら、ワースの声が甘くなるところ目掛けて突き上げる。何度も、何度も。頭に霞がかかって、実際に自分がどんな行動をしているのかよく分からなかった。何度目かの抽挿の後、くっと腰を持ち上げ瞬間ぱっと2人の間に熱いものが弾けた。かくかくと痙攣するように跳ねるワースの胎の中で、オーターの熱も弾ける。

「……ぁ……っ♡ あ……っ♡」
「わたしも……、」

絶頂に達した愛しい身体を抱き締めながら、オーターは額に、目尻に、頬に、首筋に、とにかく顔中にキスをする。そして最後に唇に。オーターの下唇を吸ったワースが、嬉しそうに喉を鳴らす。

「私も、……気持ち良かった、……です」
「…………もっかいする?」
「します」

なんならワースの語尾が耳に届く前に、やや食い気味で返事をする。ふは、と笑い出したワースの胎の振動で、またむくむくと熱が昇ってきてしまったのは今になってみれば少し恥ずかしい。しかしワースは頬にキスをして、にっと笑う。

「好きだ」
「……なんか、照れますね」
「言ってなかったかもと思って」

くふくふと笑って再び衝動に身を任せる。
ちなみにこの後、行為は週休か双方が有給休暇を取った前日にしようと取り決めが持たれた。なんせその朝は遅刻を覚悟したくらい、オーターだけベッドを離れなければならないのがあまりにも苦痛過ぎたから。これに関してはワースも、「まぁ、言わないで準備してたのは悪かったよ……」とぐったり肩を落とした。

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