投稿日:2021年03月03日 22:45 文字数:3,216
【ジェネセフィ】恋情に惑う
ステキ数:1
ジェネセフィ。またもやD後妄想です。再会した時にこんな感じだったら……を考えました。記憶を捨てたはずのセがジェに激情を覚えるシリアスめなお話。※セの記憶に関しては公式の前日譚小説を参照に執筆しています。
※web初出…2020年4月29日
※web初出…2020年4月29日
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鋼鉄都市、ミッドガル。栄光は夢に消え、積み上がる瓦礫はまるで人々の傲慢さを打ち砕いた象徴のようだった。その荒れ果てた瓦礫の中、二人の男は対峙する。
「俺が眠っている間に随分と変わってしまったな。ここも、セフィロス……おまえも」
赤いコートの男は辺りを見回し、黒いコートの男……セフィロスに目を向けてそう呟く。一方のセフィロスは男を冷めた目で見ていた。
「生憎だが過去の記憶など、とうの昔に星にくれてやった。ただの記録としてならおまえを知っているが……下らんな。朽ち果てろ」
セフィロスは男の存在を目障りに思い、愛刀を振るうが男は見事にかわす。男はすぐに体勢を立て直していた。セフィロスは男が寂しげな笑みを浮かべていることに気が付くが、特に表情を変えずに男を見据えた。
この男はかつての友人であり、恋人だったらしい。ただそれだけ認識で、最早そんな事はどうでもいい事だ。母の望みを叶えるために。そして支配者である自分を打ち倒したクラウドを不幸に陥れ、絶望に苦しむ痛みを与えるために。それが全てであり、それらの意思を絶やさねばライフストリームでも生き続けることが出来る。だからこそ、こんな過去の人間が入り込む余地は既に無いのだ。
「人の心を失い、ジェノバの人形になって、その本能のままに生きる……そうさせた一因は俺の言動にもあった。言い訳はしない」
「ほう……負い目を感じているとでも言うのか。ならば心配するな。過去の私に何を言ったかは知らんが、覚えていない。あくまで私は母の願いを叶えるために、選ばれし者として邪魔な人の身を捨てただけだ。この愚昧な星を私が支配するためにな」
会話をしながら時間の無駄だとセフィロスは思った。今となっては過去の事をどう語ってこようが、興味が無い些細な事だ。こんなつまらない相手をかけがえのない存在だと思っていたとは、やはり過去の自分は根本から脆弱なのだろう。セフィロスはそう思いながらも、相反する自身の意思に嫌気が差していた。この身に僅かにある残り滓のような記憶は男から目を離させようとしない。それが面倒だと思った。
セフィロスは今度こそ残る記憶を跡形残らず消さねばと決意した。この身に消しきれない記憶があるというのならば、また消し去ってやればいい。母への想いとクラウドに敗北した屈辱以外は自分には必要ないのだ。
「この言葉が届くかわからないが……すまなかった、セフィロス。おまえがかつて俺達のために奔走したように俺はおまえを救いたい。それがせめてもの……贖罪だ」
男はゆっくりと間合いに入ってくる。それも無用心に武器も持たずに。それがセフィロスにとっては不可解だった。この男は余程死にたいらしい。
「同じ堕ちた身だからこそ言わせてもらう。ジェノバや憎しみに囚われるのはもう終わりにして、強がるのはやめたらどうだ」
段々と男が近付き、手で頬を触れてきた。気安く触るこの手を斬り落としてやろう。そしてつまらない思い出話に付き合わせた代償を払わせてやろうとセフィロスは考える。だが、そんな考えとは裏腹に斬り落とすどころか手を払い退けることすら出来なかった。
たった僅かな記憶の影響ごときに何故ここまで身体が意思に反するのだろうか。まずこんな近間に入らせること自体があり得なかった。そして本来ならこの手で葬り去ることなど容易いものが、こうも思い通りにならないとは。
男が触れる手の温かさを感じると、心のざわめきが徐々に大きくなり、ノイズのように頭の中を駆け巡る。
(人の心を失い、ジェノバの人形になって、その本能のままに生きる……そうさせた一因は俺の言動にもあった)
私がジェノバの人形? 馬鹿げた話にも程がある。違う。自分の意思で選んだ。母の願いを叶え、全てを支配するために。母が星の破壊を望む。ならば母の後継者として代行者として成し遂げよう。
(ジェノバや憎しみに囚われるのはもう終わりにして、強がるのはやめたらどうだ)
英雄と祭り上げ、飼い慣らしたつもりでいる愚かな世界に反逆を。誰が支配するに相応しいのか、誰がこの世界の神なのかを教えてやらねばならない。
この在り方に一片の悔いなどなかった。寧ろ心地良く、実に愉快で自由だ。何故、哀れみを受けなければならない?
(友を失いたくなかった)
神羅を一度裏切ればどうなるかくらい、一番理解していた。だからあの時、俺は任務を拒否した。殺したくなかった。信じていた。また三人で肩を並べられる日が来ると。
(俺にくれた芝居じみた言葉の数々も全ては結局虚構だったというのか?)
どうして目の前から消えた?まるでガスト博士のように。どうしてアンジールもおまえも何も言ってくれなかったんだ。特におまえは友以上の唯一の存在として、好きだと思う相手だった。
(俺はおまえ達を救いたかっただけだ。おまえの口から真実を知りたくなかった)
伍番魔晄炉にあったカプセルを見た時、親友達がこんな実験の犠牲者であることに怒りを覚えた。どうにかならないかと社の資料室に籠もり、以前の科学部門の資料を読み漁ったこともあった。
だがその先にあったのは……心配も願いも虚しく、最悪の形の暴露とモンスター呼ばわりだった。自分が普通ではないこと、人が当たり前に与えられる無償の愛と家庭が自分には無いこと。ずっと引け目に感じていたことをおまえは見事に踏み抜いた。自身が味わった絶望を俺にも味わえと言わんばかりに。
(セフィロス、愛している。)
嘘だ。なら、どうしてあんなことを吐き捨てるんだ。どうして俺を置き去りにした。
心の中のざわめきが消えた人間性を呼び起こす。二度も三度も失った身体から刻まれる鼓動の音が高まっていく。
私は…………俺は…………。
「……まえ、から」
「……セフィロス?」
男はセフィロスが発した小さな声を聞き返そうと名を呼ぶ。応じるようにセフィロスの声は先程より大きくなり、男は頬を触れる手を離す。
「おまえから俺を置き去りにして、あんなことを言っておいて、悪かった? 救う? ……笑わせるな、ジェネシス。今更何を言う」
思考より先に口が動く。
「俺がどんな気持ちでおまえ達を信じていたと思う。アンジール亡き後におまえが生きていると確信した時、おまえの帰りをどれだけ待ち望んでいたと思う。だからこそ、おまえの口から真実など聞きたくなかった……!」
ただ突き動かされるままに言葉を吐き出す。
「あの魔晄炉の時だけじゃない。おまえは出会った時からずっと俺の心をかき乱してばかりだ。また俺をかき乱して惑わせたいんだろう……!」
止まらない言葉に呼吸が乱れる。
「……ロス」
「セフィロス」
「セフィロス!」
男の呼ぶ声と肩を掴まれる感覚でセフィロスの意識は現実に戻った。まるで自分ではない人間が乗り移っているようだった。自分で自分の言葉に動揺する。
僅かな記憶の残滓に影響されて身体が思うように動かないかと思えば、こんな事を口にしてしまうとは計算外だ。これまで棄てたはずの記憶……人間性が強く表面化することは一度も無かった。ライフストリームで精神を拡散させることなく留まり続けた自分がこんな男に、こんな過去の残滓に揺さぶられる。
「何故……」
セフィロスは問い続けた。何故文句をぶつけるように口が動いたのか。何故こんなにも苛立ち、そして切なさを感じるのか。憎悪とは違う、弾け出てきたこの激情は──認めない。こんなことは認めてはならない。
まさか恋情に心が惑うとは。三流が書いた脚本のようで下らない。陳腐な話だと、無意味だと、断じたはずだ。鼓動の高まりが止まらない中、セフィロスはわかりきった答えを否定し、問い続ける。
End.
「俺が眠っている間に随分と変わってしまったな。ここも、セフィロス……おまえも」
赤いコートの男は辺りを見回し、黒いコートの男……セフィロスに目を向けてそう呟く。一方のセフィロスは男を冷めた目で見ていた。
「生憎だが過去の記憶など、とうの昔に星にくれてやった。ただの記録としてならおまえを知っているが……下らんな。朽ち果てろ」
セフィロスは男の存在を目障りに思い、愛刀を振るうが男は見事にかわす。男はすぐに体勢を立て直していた。セフィロスは男が寂しげな笑みを浮かべていることに気が付くが、特に表情を変えずに男を見据えた。
この男はかつての友人であり、恋人だったらしい。ただそれだけ認識で、最早そんな事はどうでもいい事だ。母の望みを叶えるために。そして支配者である自分を打ち倒したクラウドを不幸に陥れ、絶望に苦しむ痛みを与えるために。それが全てであり、それらの意思を絶やさねばライフストリームでも生き続けることが出来る。だからこそ、こんな過去の人間が入り込む余地は既に無いのだ。
「人の心を失い、ジェノバの人形になって、その本能のままに生きる……そうさせた一因は俺の言動にもあった。言い訳はしない」
「ほう……負い目を感じているとでも言うのか。ならば心配するな。過去の私に何を言ったかは知らんが、覚えていない。あくまで私は母の願いを叶えるために、選ばれし者として邪魔な人の身を捨てただけだ。この愚昧な星を私が支配するためにな」
会話をしながら時間の無駄だとセフィロスは思った。今となっては過去の事をどう語ってこようが、興味が無い些細な事だ。こんなつまらない相手をかけがえのない存在だと思っていたとは、やはり過去の自分は根本から脆弱なのだろう。セフィロスはそう思いながらも、相反する自身の意思に嫌気が差していた。この身に僅かにある残り滓のような記憶は男から目を離させようとしない。それが面倒だと思った。
セフィロスは今度こそ残る記憶を跡形残らず消さねばと決意した。この身に消しきれない記憶があるというのならば、また消し去ってやればいい。母への想いとクラウドに敗北した屈辱以外は自分には必要ないのだ。
「この言葉が届くかわからないが……すまなかった、セフィロス。おまえがかつて俺達のために奔走したように俺はおまえを救いたい。それがせめてもの……贖罪だ」
男はゆっくりと間合いに入ってくる。それも無用心に武器も持たずに。それがセフィロスにとっては不可解だった。この男は余程死にたいらしい。
「同じ堕ちた身だからこそ言わせてもらう。ジェノバや憎しみに囚われるのはもう終わりにして、強がるのはやめたらどうだ」
段々と男が近付き、手で頬を触れてきた。気安く触るこの手を斬り落としてやろう。そしてつまらない思い出話に付き合わせた代償を払わせてやろうとセフィロスは考える。だが、そんな考えとは裏腹に斬り落とすどころか手を払い退けることすら出来なかった。
たった僅かな記憶の影響ごときに何故ここまで身体が意思に反するのだろうか。まずこんな近間に入らせること自体があり得なかった。そして本来ならこの手で葬り去ることなど容易いものが、こうも思い通りにならないとは。
男が触れる手の温かさを感じると、心のざわめきが徐々に大きくなり、ノイズのように頭の中を駆け巡る。
(人の心を失い、ジェノバの人形になって、その本能のままに生きる……そうさせた一因は俺の言動にもあった)
私がジェノバの人形? 馬鹿げた話にも程がある。違う。自分の意思で選んだ。母の願いを叶え、全てを支配するために。母が星の破壊を望む。ならば母の後継者として代行者として成し遂げよう。
(ジェノバや憎しみに囚われるのはもう終わりにして、強がるのはやめたらどうだ)
英雄と祭り上げ、飼い慣らしたつもりでいる愚かな世界に反逆を。誰が支配するに相応しいのか、誰がこの世界の神なのかを教えてやらねばならない。
この在り方に一片の悔いなどなかった。寧ろ心地良く、実に愉快で自由だ。何故、哀れみを受けなければならない?
(友を失いたくなかった)
神羅を一度裏切ればどうなるかくらい、一番理解していた。だからあの時、俺は任務を拒否した。殺したくなかった。信じていた。また三人で肩を並べられる日が来ると。
(俺にくれた芝居じみた言葉の数々も全ては結局虚構だったというのか?)
どうして目の前から消えた?まるでガスト博士のように。どうしてアンジールもおまえも何も言ってくれなかったんだ。特におまえは友以上の唯一の存在として、好きだと思う相手だった。
(俺はおまえ達を救いたかっただけだ。おまえの口から真実を知りたくなかった)
伍番魔晄炉にあったカプセルを見た時、親友達がこんな実験の犠牲者であることに怒りを覚えた。どうにかならないかと社の資料室に籠もり、以前の科学部門の資料を読み漁ったこともあった。
だがその先にあったのは……心配も願いも虚しく、最悪の形の暴露とモンスター呼ばわりだった。自分が普通ではないこと、人が当たり前に与えられる無償の愛と家庭が自分には無いこと。ずっと引け目に感じていたことをおまえは見事に踏み抜いた。自身が味わった絶望を俺にも味わえと言わんばかりに。
(セフィロス、愛している。)
嘘だ。なら、どうしてあんなことを吐き捨てるんだ。どうして俺を置き去りにした。
心の中のざわめきが消えた人間性を呼び起こす。二度も三度も失った身体から刻まれる鼓動の音が高まっていく。
私は…………俺は…………。
「……まえ、から」
「……セフィロス?」
男はセフィロスが発した小さな声を聞き返そうと名を呼ぶ。応じるようにセフィロスの声は先程より大きくなり、男は頬を触れる手を離す。
「おまえから俺を置き去りにして、あんなことを言っておいて、悪かった? 救う? ……笑わせるな、ジェネシス。今更何を言う」
思考より先に口が動く。
「俺がどんな気持ちでおまえ達を信じていたと思う。アンジール亡き後におまえが生きていると確信した時、おまえの帰りをどれだけ待ち望んでいたと思う。だからこそ、おまえの口から真実など聞きたくなかった……!」
ただ突き動かされるままに言葉を吐き出す。
「あの魔晄炉の時だけじゃない。おまえは出会った時からずっと俺の心をかき乱してばかりだ。また俺をかき乱して惑わせたいんだろう……!」
止まらない言葉に呼吸が乱れる。
「……ロス」
「セフィロス」
「セフィロス!」
男の呼ぶ声と肩を掴まれる感覚でセフィロスの意識は現実に戻った。まるで自分ではない人間が乗り移っているようだった。自分で自分の言葉に動揺する。
僅かな記憶の残滓に影響されて身体が思うように動かないかと思えば、こんな事を口にしてしまうとは計算外だ。これまで棄てたはずの記憶……人間性が強く表面化することは一度も無かった。ライフストリームで精神を拡散させることなく留まり続けた自分がこんな男に、こんな過去の残滓に揺さぶられる。
「何故……」
セフィロスは問い続けた。何故文句をぶつけるように口が動いたのか。何故こんなにも苛立ち、そして切なさを感じるのか。憎悪とは違う、弾け出てきたこの激情は──認めない。こんなことは認めてはならない。
まさか恋情に心が惑うとは。三流が書いた脚本のようで下らない。陳腐な話だと、無意味だと、断じたはずだ。鼓動の高まりが止まらない中、セフィロスはわかりきった答えを否定し、問い続ける。
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あまり長いコメントを考えずひとこと投稿だけでも大丈夫です。
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