=Ⅵ番街= 華焔 碧(かえん あおみどり)

※当サイトの作品は、全て個人の創作したフィクションです。

※オリジナルの創作で、キャラ固定、設定非固定で好きに描いてます。

※当創作の作品は全てAIを使わずに創作しています。

※実在の人物・団体・宗教・政治・思想・事件・法律等、現実世界に関係する物や事とは一切関係がありません。

※予告無く流血・暴力・残酷描写が含まれている場合があります。

※作品の説明とタグはネタばれやオチが判ってしまうのを防ぎたいので、必要最低限に留めています。

※使用しているウォーターマークは、創作者の華焔 碧(かえん あおみどり)が制作したオリジナルのデザインです。
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投稿日:2016年04月22日 04:33    文字数:1,424

多寡が独り言。

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 ―登場人物と設定―
【枯月 景】職業:芸人。

枯月と、彼の先輩にあたる人物の御話。

『去れど独り言』
1 / 2

本日最後の仕事は、いつも通り舞台の出番。

新ネタは客のウケも良く、充実した一日の終わりを迎える事が出来た。

自慢じゃないが、オレは芸人としての実力はそれなりに持っていると自覚しているつもりだ。

ファンだってそれなりにいて、収入だって贅沢さえしなければ普通に暮らせる程貰えている。

だが現実は当然甘くなく、何年も売れない芸人のポジションから抜け出せないまま現在に至る。

正直な話、自分ならもっと早く売れると思っていた。

オレも所詮、数多の売れていない芸人と言う、有名人にさえ成れていない存在に過ぎないまま、芸歴だけ積み重ねてしまうなんて。

後悔していないと言えば嘘になるが、辞めるに辞められず惰性まじりでここまで来てしまった。

こんな鬱蒼とした気分を切り替えるために、帰る前に喫煙所で煙草を一本吸ってから帰ろう。

喫煙所にいるのはオレ一人。

普段は聞こえないような空調機の稼働音と、自分が煙を吸い込む呼吸音がハッキリと聞こえる。


「お疲れ様です」


喫煙所に入りオレに声をかけたのは、お世辞にも仲が良いとは言えない、二年下の後輩の枯月 景(かれつき あかり)だ。

枯月はグレーのスーツを着こなし、相変わらず落ち着いた雰囲気と人当たりの良い穏やかな笑みを浮かべている。

芸歴を重ねればそれだけ後輩の数も増えるため、話した事の在る無いや、仲の良し悪しなどが自然と出来てしまうから仕方がない。

コイツとは数え切れないくらいの面識はあるが、特に仲良くなる事も無く今に至っている。

もちろん会えばそれなりに会話はしてきたが。


「あ、お疲れ。禁煙止めたのか?」


「あれは禁煙じゃなくて、休煙ですから。あと、貴方が一人でいるのが気になったので」

「そうか……」


フィルター部分の先端を咥え吸うと、煙とともにメンソール特有の清涼感が口内に満たされる。


「一本貰えますか?」

「え? あ、良いぞ」


枯月に一本の煙草とライターを渡すと、慣れた動作で煙草に火を点ける。


「煙草、切らしたのか?」

「まだありますけど、誰かに一本貰って吸いたい気分だったんですよ」

「まあ…そんな気分もあるよな」


特に仲が良い訳ではないので、これと言って会話が弾まない。

オレは吸い終わり、水が入っている灰皿に煙草を落とす。

もう用は済んだのだから、ここから出ていけば良い。

ガラス張りの扉のノブに手を掛ける。


「今日はハロウィンですね」


枯月が喫煙所から出ていこうとするオレに話しかけた。

そう言えば今日はだったか。


「煙草、ありがとうございました。お気を付けてお帰り下さい」

「ああ、お疲れさん」


枯月がお辞儀をして、礼と気遣いの言葉を言う。

それにオレも軽く帰して喫煙所を後にした。




終

 

1 / 2
2 / 2


【枯月 景】


本日最後の仕事は、いつも通り舞台の出番。

今日は調節も兼ねてあえて古いネタを披露し、手ごたえを掴めたる事が出来た。

僕は例に漏れず、数多の売れていない芸人と言う、有名人にさえ成れていない存在に過ぎない。

でもこの仕事も、この人生も、全て分かり切って選んだ結果の一つだ。

だからこの仕事をしている今も、この仕事を選んだ昔も辛さなんて微塵も感じない。

自分に仕事を与えてくれる関係者や、支え応援してくれるファンもいる。

収入だって身の丈に合う程の生活できるくらいだ。

芸歴も積み重ねれば後輩の数も増えるが、みんな自分を慕い尊敬してくれる。

僕は恵まれている。

これ以上の贅沢なんて自分には似合わない。

今世で選んだ人生、しっかりと全うし、後悔しないように生きて往くよ。

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多寡が独り言。
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本日最後の仕事は、いつも通り舞台の出番。

新ネタは客のウケも良く、充実した一日の終わりを迎える事が出来た。

自慢じゃないが、オレは芸人としての実力はそれなりに持っていると自覚しているつもりだ。

ファンだってそれなりにいて、収入だって贅沢さえしなければ普通に暮らせる程貰えている。

だが現実は当然甘くなく、何年も売れない芸人のポジションから抜け出せないまま現在に至る。

正直な話、自分ならもっと早く売れると思っていた。

オレも所詮、数多の売れていない芸人と言う、有名人にさえ成れていない存在に過ぎないまま、芸歴だけ積み重ねてしまうなんて。

後悔していないと言えば嘘になるが、辞めるに辞められず惰性まじりでここまで来てしまった。

こんな鬱蒼とした気分を切り替えるために、帰る前に喫煙所で煙草を一本吸ってから帰ろう。

喫煙所にいるのはオレ一人。

普段は聞こえないような空調機の稼働音と、自分が煙を吸い込む呼吸音がハッキリと聞こえる。


「お疲れ様です」


喫煙所に入りオレに声をかけたのは、お世辞にも仲が良いとは言えない、二年下の後輩の枯月 景(かれつき あかり)だ。

枯月はグレーのスーツを着こなし、相変わらず落ち着いた雰囲気と人当たりの良い穏やかな笑みを浮かべている。

芸歴を重ねればそれだけ後輩の数も増えるため、話した事の在る無いや、仲の良し悪しなどが自然と出来てしまうから仕方がない。

コイツとは数え切れないくらいの面識はあるが、特に仲良くなる事も無く今に至っている。

もちろん会えばそれなりに会話はしてきたが。


「あ、お疲れ。禁煙止めたのか?」


「あれは禁煙じゃなくて、休煙ですから。あと、貴方が一人でいるのが気になったので」

「そうか……」


フィルター部分の先端を咥え吸うと、煙とともにメンソール特有の清涼感が口内に満たされる。


「一本貰えますか?」

「え? あ、良いぞ」


枯月に一本の煙草とライターを渡すと、慣れた動作で煙草に火を点ける。


「煙草、切らしたのか?」

「まだありますけど、誰かに一本貰って吸いたい気分だったんですよ」

「まあ…そんな気分もあるよな」


特に仲が良い訳ではないので、これと言って会話が弾まない。

オレは吸い終わり、水が入っている灰皿に煙草を落とす。

もう用は済んだのだから、ここから出ていけば良い。

ガラス張りの扉のノブに手を掛ける。


「今日はハロウィンですね」


枯月が喫煙所から出ていこうとするオレに話しかけた。

そう言えば今日はだったか。


「煙草、ありがとうございました。お気を付けてお帰り下さい」

「ああ、お疲れさん」


枯月がお辞儀をして、礼と気遣いの言葉を言う。

それにオレも軽く帰して喫煙所を後にした。




終

 

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【枯月 景】


本日最後の仕事は、いつも通り舞台の出番。

今日は調節も兼ねてあえて古いネタを披露し、手ごたえを掴めたる事が出来た。

僕は例に漏れず、数多の売れていない芸人と言う、有名人にさえ成れていない存在に過ぎない。

でもこの仕事も、この人生も、全て分かり切って選んだ結果の一つだ。

だからこの仕事をしている今も、この仕事を選んだ昔も辛さなんて微塵も感じない。

自分に仕事を与えてくれる関係者や、支え応援してくれるファンもいる。

収入だって身の丈に合う程の生活できるくらいだ。

芸歴も積み重ねれば後輩の数も増えるが、みんな自分を慕い尊敬してくれる。

僕は恵まれている。

これ以上の贅沢なんて自分には似合わない。

今世で選んだ人生、しっかりと全うし、後悔しないように生きて往くよ。

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