高原 風音

ふんわりいちゃ甘な創作BL小説をメインで活動しています!
基本的にはハピエン厨というより、ハッピーに始まりハッピーに進んでハッピーに終わる、一言で言うと“始終ハッピー主義”。
主にPixivで作品を発表しており、こちらには順次再掲を行っております。現在執筆中のシリーズは3人組のゆるふわいちゃあまラブ『僕+君→Waltz!』(R-18あり)。完結済みのシリーズには、自由奔放な少年がハッピーエンドを迎えるまでのお話『初恋みたいなキスをして』(R-18)があります。
そのほか、ちまちまと短編BLを書いたりしています。
また、ここでは紹介しませんが、ファンタジー?ふうのシリーズ『碧色の軌跡』(完結済み・恋愛要素なし)やオリジナル短編などもあったりしますので、興味がありましたらぜひ。
二次創作もぼちぼちやっております。

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投稿日:2024年04月01日 12:38    文字数:9,434

45こ目;Secret Potion

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媚薬のおはなし。
数回に1回挟まずにはいられない、ひたすらいちゃいちゃする回です。

↑初公開時キャプション↑
2022/04/01初公開
https://pictbland.net/users/series/kazanet-tk/%E5%83%95%EF%BC%8B%E5%90%9B%E2%86%92Waltz%EF%BC%81
エイプリルフールの話ではないです。
何故なら、お互い嘘をつけない(相手に嘘をつきたくない)もので…。
1 / 1
 この、「家に帰る」っていう時間がものすごく好きだ。出来ればひとりじゃなくて、一緒に帰るのが本当は一番好きだけど。でも、今日は、ふたりとももう帰ってるって。待っててくれてるって。ふふ、それも嬉しいなあ。
 ああ、ほら、見えてきた。あそこには、大好きなふたりがいる。階段を上る足が、自然と早まっていくのが自分でもわかる。僕って、単純だ。
「ただいま」
 玄関のドアを開けながら、奥にいるから聞こえないかなと思いつつ声を張り上げる。と。え? 健ちゃん? 玄関で待ってたの? いつから……。
「蒼生っ。今日、えっちしよ!」
 んん?

 びっくりしたぁ。
 いや、誘われること自体はいつものことだし、返事は「はい」一択なんだけど。玄関入って即お誘いって、頭の中が疑問符でいっぱいになってもおかしくないよね。まず挨拶が返ってくるかなって思ってたわけだから。
 まあ、健ちゃんも、あの後すぐ「ごめん順番間違えた! おかえり!」って慌ててたから、本当に間違えただけなんだと思う。何をそんなに慌てることがあるのかなって不思議には思ったけど。
 急がなくていいよって言われたから、中洗った後、ちょこっとゆったりお湯に浸からせてもらって、ついでに慣らすとこまで終わらせておいた。だって、すっかりお風呂の準備が出来てて、ミルクの香りのする入浴剤まで入れられてたんだもん。優しくて甘い香りが気持ちよくて、気を抜いたらもっと長居しちゃうところだった。僕も、この後が楽しみだから、早く出るつもりだったんだよ? なのに、こんな極楽バスタイムを演出されちゃっては、堪能せざるを得ないと思う。
 すっかりほかほかになって、僕はふたりのいる寝室に戻る。ふたりは下着だけの姿でベッドの上に座ってた。あ、パジャマ着てこなくてもよかったなぁ。廊下歩くから、ついいつもちゃんと着ちゃうんだ。……だけどそんなことより今は、そのつもりで待っててくれるのにほっとする。
「ただいまあ」
「おかえり」
 うん、今度はちゃんとした返事が来た。
「蒼生、おいで」
 冬矢が呼ぶのが嬉しくて、僕はスリッパを脱いでベッドにのぼった。なんだか円陣を組んでるみたいな配置になって、……なにこれ。不思議な感じ。
「蒼生」
「? はい」
「実は……」
 なんだろう。なにか改まった雰囲気だ。
 すると、健ちゃんが、ヘッドボードの上に置いてあった小さな瓶を僕たちの真ん中あたりにぽすんと置いた。茶色い瓶だ。栄養剤? とかかな? 薬局とかで見たことあるようなガラス製の普通の瓶。だけど、ラベルは見たことがないデザインだ。赤とピンクのハートが大小いくつも描かれてて、商品名はどこにも書いてない。それどころか成分表示もなし?
 言葉を継いだのは冬矢だ。
「何も聞かずに、これを飲んでくれないか」
 ……え。
 今はっきり、何も聞かずに、って言ったね。説明はないらしい。え。これ。まさか。
 そういえば、この前、なんかの時に話題に出てたんだよね。もしかして、本当に、その、……媚薬? 媚薬ってやつ? 本当に用意したのかな。えっ? 本当に?
 ふたりは、何も言わないで、僕をじっと見つめてくる。だから僕は、その瓶を手に取った。せめて美味しくない味じゃありませんように……。
 蓋を回して開ける。匂いは……甘い。ちょっとツンとする匂いもあるかな。そんなに量もないし、一気に飲めるよね。よし。ぐいっと中身を飲む。……うーん。ぬるいその液体は、やたら甘ったるい。あ、れ、舌がぴりぴりする。……喉の奥がからい? なんだろ、これ。すぐにおなかの中が熱くなる。
「どう?」
「……甘くてからい……」
「体が、熱くなってこない?」
「! 熱い……」
 なるほど。わかった。……そういうことなんだ。
 健ちゃんが真面目な顔で手を伸ばしてきて、僕の頬に触れた。
「っ!」
 うわ。自分でもびっくりするくらい、ビクッとした。
 わずかに目を細めた健ちゃんが、そのまま顔を近付けてきて、……え、反対の頬にキス。なんで? 唇にくれないの? 触れた手が、頬を滑って耳を優しくくすぐる。ぞくぞくする。
 冬矢は、相変わらずの器用な手つきで、僕の服を脱がせてくる。その指の動きも、気持ちいい。あっという間に僕は着ていたものを全部取り払われて、ころんとふたりの間に転がされた。
 健ちゃんが、僕の右手を左手で絡め取り、ぎゅっとシーツに縫い付ける。冬矢は、反対の手を同じように。
 あ。
 あー。
 ぞくぞくする。
 てのひらが気持ちいい。
 熱が伝わる。
 それに、ふたりの目が。
 僕を全部見てる。
 ぴく、と反応したのが自分でわかる。だって、これから、たくさん触ってもらえることがわかってるから。それが、すごく嬉しいから。ああ、体の奥が、うずうずする。もどかしい。
「ねえ……見てる、だけ? ……おねがい、キスして……いっぱいさわって……?」
 ふたりの表情が、ふっと緩んだ。
「うん」
「いいよ」
 短い、だけど優しい声。うれしい、うれしい。
 健ちゃんがやっとキスしてくれる。うわ。びりびりと、腰まで電流が走る。
 冬矢の唇が乳首を柔らかく噛む。あ。胸の奥が、ぎゅうってする。
「……あっ、あー……、はあ、あ」
 吐息が漏れて、声も勝手に出ていく。
 早く、もっと。
 そう思うのに、もう、切なくて、ぐちゃぐちゃになりたいのに。
 今日は健ちゃんも冬矢も、そこから先を急がない。
 いつもだったら、健ちゃんが飛び付いてくるころのはずなのに。
 頬を。
 耳を。
 首筋を。
 指先を。
 やわやわと、優しく触れて、キスを落としてくるばかり。
 だけど、そのひとつひとつが、気持ちよくて。
 ぞくぞくして、止まらなくて。
 ぎゅうって、なって。
「好きだよ、蒼生」
 ああ、声……。
 すき。
 だいすき。
 下半身には触れてこない、せつないのに、きもちいい。
 大好きなふたりが、こんなふうに、じっくり触れてくれるのが、嬉しい。
「はぁ……ん、ん……」
 ただ、いちいち、跳ねる体が、制御できない。
 勝手に動いちゃう。
 うー……。
 頭の中がじんわりぼんやりしてきた。
 その、ぼんやりの中で、ふと、「あ、これが文字通りの愛撫ってやつか」と思った途端、体の中がぐわっと熱くなった。
 うわ、あ、文字化するんじゃなかった。愛撫されてる、って、その言葉の強さ。あ、どうしよ。我慢出来なくなる。うしろ、きゅんきゅんしてるの、わかる……。
 だ、だめ、だ。
「けん、ひゃ……」
 目が合うと、健ちゃんはゆったりと髪を撫でて、重ねるキスを深くする。
 きもちい。
 だけど、もっと、もっと。
 ぱたぱたと手を動かしたら、冬矢の足に手が当たった。辿っていくと、熱くて、脈打つとこに届く。……こんなにしてるのに。もう、ほしいのに。それを手の甲で撫でる。あつい。ほしい。
「……とぉやぁ……これ、も、いれてぇ……」
「! もう一度言ってごらん?」
「いれて……僕の中、いっぱい、に、して……」
 冬矢は、優しい瞳に、わずかにギラリとした光を宿す。……あ。
「ちゃんと言えて、いい子」
 そう。
 そうだよ。
 だって、ちゃんと、すぐ挿入れるように、準備してたんだもん。
 だからもっと言って。
 もっと。
「ひくひくしてる……可愛いね」
「だって、もう、ほしいから……」
 嬉しそうに頷いて、冬矢が、僕に、……っ。
「んあ……っぁ、あ」
 ぞくーって、冬矢が挿入ってきたそこから、脳天まで一気になにかが駆け抜ける。
「あ、ひ、ぁ!」
 あれ? え? 身体が震える。うわ、なにこれ。うれしい、で、いっぱいになって。体じゅうの血が騒いで。すぐに、イッちゃいそうになった。だから、僕は、大きく息を吸い込んだ。それだけのつもりだった。
「蒼生……やだ?」
「え……?」
 なにが?
 思って視線を巡らせると、自分が両方の手で頭の横のシーツを掴んで、ぎゅっと強く引いてることに気付いた。
「やじゃない……あ、れ、なんで僕……」
「腰が逃げちゃってる。もしかして、気持ちよくて怖くなっちゃった?」
「そ、そうなの……? ごめ、無意識、で」
 嫌なわけないのに。身体が勝手に? たしかに、気持ちよかった。ぞくっとして、これからどうなっちゃうのかなって思ったけど。
 冬矢は、僕の頬を撫でる。あ、きもちい。
「謝らなくていいんだよ。可愛い反応をしてくれるよね。だけど。……健太」
「ん」
 ちらりと冬矢が健ちゃんのほうを見たな、と思ったとたん、健ちゃんが僕の身体を後ろからひょいと抱き上げ、っあ、触れられたとこがぞわってするっ……、そのまま大きな腕で僕の身体を包み込む。
「……っあー……」
 冬矢が中に入ったまま、だから、あ、角度が、変わって……っ。そこ……っ!
 僕の耳に唇を寄せて、冬矢が囁いた。
「ほら。これで逃げられない」
「……!」
 ざわわっ、と、身体の表面を全部撫でられたような感覚。
 あ、後ろに健ちゃんがいて。
 前から冬矢が迫ってきて。
 にげられない。
「うー……ッ」
 っ!
 …………え。
 ぱたぱた、って、おなかの上に白いのが落ちた。
 う、わあ……。
「……蒼生、可愛い。触ってないのに出ちゃったな」
 健ちゃんが笑う。だ、だって。
「すごいね。ナカ、ぐねぐねしてる」
 言いながら、冬矢が、とんとん、って……っ。
 待って、
「あ! や、あ、まってぇ……いっ、今、そこだめっ……」
 きもちいとこ!
 そこ、ぎゅうってなってるのがわかる、だから、今は!
 冬矢は僕の言葉を聞いたうえで、ふふっと笑う。
「俺のことも、気持ちよくしてくれるよね?」
「……ぅ」
 そう言われちゃうと、それ以上だめって言えない。
 気持ちよくなってほしい、って気持ちが勝っちゃうから。
 ああ、でもっ……。
「っ! う! あっ、ひ……っ」
 ううー……。
 熱い。
 イッたばっかなのに。
 また、すぐに、高いとこにつれてかれそう。
「蒼生……。蒼生、すきだよ」
 息が耳にかかる。
 冬矢の息が乱れてると、それだけで、頭の中がかき混ぜられてく。
 あの、冬矢が。
 僕で乱れてるんだと思うと、たまらなくなる。
「ね、とぉや、あ、ぁ、……はっ、あ、ね、きもちぃ……?」
「気持ちいいよ……蒼生のナカ、すごく気持ちいい」
 うれしい。
 うれしい。
 冬矢の動きが速くなっていって、それから、びくんって大きく震えた。
 うれしい。
 自分でもわからないうちに冬矢の背中に回していた腕を、首の辺りに巻き付ける。
 わらう気配。
 それから冬矢は僕から出て行こうと、して、僕は咄嗟に腕に力を入れた。
「やだぁ……いかないで……」
 寂しくなっちゃうから。行かないで。このまま。僕の中に。
「……ふふふ。蒼生は俺が大好きだからね」
「うん……だから、あ、もっと」
 後ろから、がぶっと耳を噛まれた。
「んぅ……っ!」
 痛い、ような気がしたそれは、すぐに唇の柔らかさに変わる。それから、ぴちゃ、って、濡れた音が直接脳に響いて、くる。きもちい。
「オレも準備出来てんだけど、なぁ?」
 健ちゃんの低い声が、耳の中の空気をしっとり震わせる。……イッちゃいそう。
「蒼生……オレのことも気持ちよくして?」
「あ、健ちゃ……んっ」
 冬矢から僕を奪うようなキス。
 だけどすぐに離れて行く。なんで。
 僕の無言の抗議に笑って、健ちゃんは、ベッドに仰向けに横たわる。だから、ぴんっとおなかに当たるほど待ちわびてるそこに、自然と目が行っちゃう。
「今日は、蒼生から来てくれる?」
「……うん」
 頷くと、冬矢がゆっくりと体を引く。それから、抜けていくぞくぞくに、ぐらっと傾きかけた僕を支えてくれた。触れるだけのキスを、額に、頬に、首にくれながら、健ちゃんと向き合う体勢になるのを手伝ってくれる。
 こんな調子で、ちゃんと自分で健ちゃんを受け入れられるかな……? ちょっと心配になる。で、案の定、気持ちいいままのぐらんぐらんした頭は、やっぱりちゃんと体を動かしてくれない。後ろ手で健ちゃんの熱いのに触れて、自分にあてがう、それが意外と難しい。
「蒼生、大丈夫。そこでゆっくり、力を抜いて。ほら。俺が支えてるから、ゆっくりね」
 がくんとなりそうな足を、なんとか力を入れて体勢を整えながらだから、そこだけ力を抜くって、けっこう大変、で。
 あ。熱いの、後ろに触れて、あ。広が、る。……っ! また、ぞわぞわが腰の辺りを駆け巡る。今度は、反射的に上に逃げようとしたのが自分でわかった。さっきと違うのは、冬矢がそれを許さなかったこと。がしっと、僕の腰を掴んで、あ、その手に健ちゃんの手も重なって。
「あ! あっ、……やぁっ……あ」
 ふたりがかりで、腰を沈められっ、る……!
「ぁあー……っ」
 きもちい。
 いっぱいに、なって。
 ぎゅうぎゅうになって。
 ナカの、気持ちいいとこ、全部触ってもらってるみたいで。
 ぼーっとしてると、健ちゃんが軽く腰を回した。
「……っあ」
「蒼生。動いてみて?」
 そ、そっか。僕が。
 支えてくれてる冬矢の手を両手で握って、僕は、ちょっと腰を浮かせる。
 どうしたらいいのかな、どうしたら気持ちいいかな。
「……は、っ、う、んっ……」
 きっと僕は上手じゃない。
 だけど、僕のナカの、すっごくきもちいとこに、こつんって引っかかった感触がしたとたん、健ちゃんは、小さく呻いて肩をぴくんと揺らした。
「あお、い……」
 あ、気持ちいいのかも……? それを見てきゅんとしたら、また健ちゃんがぴくんと動いた。
 あれ……。
 もしかして、一緒にきもちいいの……?
 やけに、それが、嬉しくて。
 すると、冬矢がふいに僕の手を離した。どこにすがったらいいのかわかんなくなって、手が泳ぐ。と思ってたら、冬矢は、後ろから僕の腰を抱え込むようにして、僕のちんちんの先をじゅっと吸って、そのまま咥えた。
「ひゃっ、あ!」
「っう……」
 僕と健ちゃんの声が重なる。
 僕を咥えたまま、冬矢が笑ったのがわかる。
 きっと、同じタイミングで気持ちよくなってたのがバレたんだと思う。
 あ。
 だめ。
 冬矢がやわやわと根元に触れながら、一番好きな、先端のとこをたくさん吸う。
 だめ。
 頑張って、動こうとはしてる、ん、だけど。
 僕のきもちいがっ、先に、来ちゃう……。
「……う、んんっ、あ、ご、め、……あぁー……ッ」
 がくがくして、僕は、冬矢の口にそのまま、出しちゃった……。
 ふたりとも、ごめん。
 ふらっと上半身が傾ぐ。
 僕の両手を掴んだのは、健ちゃんだった。
 身体に力が入ったせいで閉じちゃった瞼を開けると、健ちゃんが笑ってた。
「へへ、……イッてる蒼生のナカ、すっげぇ気持ちいい。搾り取られそうだったわ」
 言って、下から、ぐいっと腰を持ち上げて、
「っあ!」
 う、わ、待って。
 まだ、ナカ、びくびくしてるんだから……っ。
 そこを、容赦なく、こすられて……。
「あーっ……あ、あぁーっ……」
 後ろに戻った冬矢が、ぎゅっと抱き締めてきて、あ、優しく乳首をこねる。
「あっ、うーっ、う、ぁ」
 言葉に、ならない。
 首筋に、頭の後ろに、キスしてくれる、冬矢のいたずらっぽい唇の感触。
 健ちゃんの、あったかい手。
 頭の中がぐるんぐるんと回る。
「は、あ、ぁ、ああ……っあ」
 あー……。
 まわる。
「ねえ……蒼生? 今、どこが一番気持ちいい……?」
 耳元で、はちみつみたいな冬矢の声。
 どこ……?
 どこだろ……。
 健ちゃんとつながってるとこ?
 冬矢が触れてくれてるとこ?
 どこ?
「わか、あ、わかん、なぃ……。ふたりが、さわるとこ、ぜんぶきもちぃ、から……ぁ」
 だから。
 いつも僕は、ぐちゃぐちゃだ。
 ぼんやりとした視界の下で健ちゃんが笑い、僕の頭の横でやっぱり冬矢も笑った。
「きっと、俺たちの”大好き”が、触れてるところから伝わっちゃうんだね」
 ああ。
 そうか。
 なるほど、じゃあ気持ちいいはずだ……。
 僕はぎゅっと健ちゃんの手を握る。
 それから首をそらして冬矢の頬にキスをする。
「……じゃあ、ふたりも、気持ちいいんだ、ね……?」
 ふたりは、頷いて、もっと嬉しそうに笑った。

 まだミルクの香りのする浴室で、あったかいシャワーを頭から浴びる。ふー。
 時間が経ったから、お湯はすっかり冷たい。ゆっくりするには追い焚きしておけばよかったかも。でも入浴剤を入れて追い焚きってよくないらしいって聞くもんね。僕が先にシャワー使わせてもらってるけど、ふたりもこの後で入るはずだ。きっとふたりも疲れてるし、浴槽洗って沸かしておいたほうがいいかな。……あー、でもちょっと正直なところ、その動きはしんどそうだ……。
 それにしても、今日も濃かったなー。ふたりも余裕あんまりない感じだったし、ふふ。すっごく気持ちよかったなぁ。かわるがわる、いっぱいシてくれた。えへへ。
 たまにふたりから聞く話を総合すると、僕の負担が大きいからって、ふたりはちゃんと間隔調整してくれてるらしい。どうやらふたりだけで僕に対する取り決めをしてるみたいなんだよね。それを僕のいないところでするっていうんだから、ホントに面白い人たちだと思う。本音を言えば、毎日だってしたいのに。きっとふたりだってそう思ってくれてると思うんだけどなあ。ふたりとも、僕のこと、大事にしすぎなんじゃない?
 浴室から出ると、とたんに体が重い。嬉しいだるさだ。とりあえず、後のことを聞いておこう。体だけ拭いて、パジャマ着て、濡れた頭のままで僕は廊下に出た。このへんにもドアがあって、直接寝室に入れたらよかったのにな。普段はいいんだけど、足腰がガクガクの時にはやたら寝室が遠く感じる。
「お先にありがと。お風呂入るんだったら洗って沸かすけ……ど……?」
 声をかけながら寝室に入ると、ふたりが下着姿のままベッドに座ってた。え? なにこれ。デジャヴ? それともタイムスリップ的な何か? 違うのは、外がすっかり暗いのと、ふたりともきちんと正座してることくらい。え? 間違い探し?
「何してるの?」
 僕の疑問は当然だと思う。
 で、それに対して、冬矢が深く、健ちゃんはさらにベッドに頭を付けるくらいに深く頭を下げた。
「ごめんなさい」
 へ?
 何が?
「なにか僕、謝られるようなことされたっけ」
「いや……その……」
 健ちゃんが言い淀んで、冬矢を見る。冬矢はそれを受けて、僕をまっすぐに見た。
「ごめん。さっきのドリンク、媚薬でも何でもないんだ」
 え?
 何を今更。
「知ってたけど……」
 するとふたりは、ものすごく驚いた顔をする。
「え、あの、オレらが蒼生のこと騙してたの、怒ってない……?」
「怒るもなにも。ふたりは僕があれを媚薬だと思い込んでもおかしくないように雰囲気作ってただけで、そもそも媚薬だなんて誰も一言も言ってないじゃん」
 はっきりそう言われてたとしたら、騙したことになるかもしれないけど。
 冬矢は首を傾げる。
「いつから気付いてたの?」
「最初から。だって、飲んですぐに体が熱くなるような、どの神経に作用してんだかよくわかんない怪しいものを、ふたりが僕に飲ませるわけないもん」
「……言うようになったなあ……」
 だって実績があるじゃないか。付き合ってから……、ううん、出会ってからずっと、僕に甘かったもん。ふたりが僕に怖いことをするはずがない。
 僕はベッドに乗っかって、ほどよく開いたふたりの間に滑り込む。それから、両腕でそれぞれの腕を抱えた。
 健ちゃんが、困ったように僕の顔を覗き込んでくる。
「でも、その……蒼生、いつもより、びくびくしてたから。あの、なんだ、なんとかってやつなのかと思って」
 うん?
 ああ、と言ったのは冬矢だ。
「偽薬効果って言いたいんだな。俺もそう思ってた。蒼生はあれを媚薬だと思っていたから、いつもより感じてるんじゃないかと」
「だけど、騙してるつもりで騙されてたのかぁ」
 えっ。
 待って。
「違う、違うよ。そこは誤解してほしくない!」
 僕はぎゅーっと腕に力を込める。
「あのね、最初から怪しい薬だなんて思ってなかった、それは本当なんだけど、それだけふたりが僕にたくさん感じてほしかったんでしょ? 僕をたくさん気持ちよくしてくれるつもりで、全部準備してくれたんでしょ? その気持ちが嬉しくて、嬉しいで体の中がいっぱいになって、……だから本当に気持ちよかったんだよ!」
 今思えば、あの入浴剤も、僕をとことんリラックスさせるための仕掛けなんだとわかる。ゆったりとした状態でふわふわ気持ちよくさせてくれるつもりだったんだよね?
「……そっか」
 健ちゃんが、僕の膝を撫でる。冬矢が、腕にすがりつく僕の手に触れる。
「大好きなふたりが、きもちよくなってほしいってしてくれることが、すっごくきもちいいのは仕方ないと思う……」
「うん。……さっき言ったことは本音だよ。俺の大好き、きっと蒼生に伝わってると思ってた」
「ふふふ。あれ、ものすごく納得した」
「オレもすっげぇ感動しちゃった。だから今こうやってぎゅってしてるだけでも気持ちいいんだな」
 そう笑って、健ちゃんは僕の肩に頬を寄せてきた。
 うん。
 そういうことなんだなー。
 触れたとこから、ちゃんと伝わるんだ。

「あ、そうだ。それで結局、あれって中身何だったの? 甘ったるくてぴりぴりして、胃がホントに熱くなったけど。知ってる味な気がするんだよね」
「おお。あれ、パイナップルジュースだよ。ぬるかったからちょっと甘ったるく感じたのかもなー」
「ははあ。それであの舌にぴりぴりする感じか」
「それと、生姜のすりおろしたのをベースに、いくつか調味料を」
「生姜! ぽかぽかするもんね! だから味が混ざって、咄嗟になんだかわかんなかったんだ。へえ、なるほど、考えてるなあ」

 翌朝。
 朝食には、バターたっぷりのトーストとハムエッグに、よく冷えたパイナップルジュースが添えられていました。
 ふふっ。
 うん、冷やしたほうが美味しいね!
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45こ目;Secret Potion

キーワードタグ 僕+君→Waltz!  創作BL  創作BL小説  幼馴染  三角関係  3P  R18 
作品の説明 媚薬のおはなし。
数回に1回挟まずにはいられない、ひたすらいちゃいちゃする回です。

↑初公開時キャプション↑
2022/04/01初公開
https://pictbland.net/users/series/kazanet-tk/%E5%83%95%EF%BC%8B%E5%90%9B%E2%86%92Waltz%EF%BC%81
エイプリルフールの話ではないです。
何故なら、お互い嘘をつけない(相手に嘘をつきたくない)もので…。
45こ目;Secret Potion
1 / 1
 この、「家に帰る」っていう時間がものすごく好きだ。出来ればひとりじゃなくて、一緒に帰るのが本当は一番好きだけど。でも、今日は、ふたりとももう帰ってるって。待っててくれてるって。ふふ、それも嬉しいなあ。
 ああ、ほら、見えてきた。あそこには、大好きなふたりがいる。階段を上る足が、自然と早まっていくのが自分でもわかる。僕って、単純だ。
「ただいま」
 玄関のドアを開けながら、奥にいるから聞こえないかなと思いつつ声を張り上げる。と。え? 健ちゃん? 玄関で待ってたの? いつから……。
「蒼生っ。今日、えっちしよ!」
 んん?

 びっくりしたぁ。
 いや、誘われること自体はいつものことだし、返事は「はい」一択なんだけど。玄関入って即お誘いって、頭の中が疑問符でいっぱいになってもおかしくないよね。まず挨拶が返ってくるかなって思ってたわけだから。
 まあ、健ちゃんも、あの後すぐ「ごめん順番間違えた! おかえり!」って慌ててたから、本当に間違えただけなんだと思う。何をそんなに慌てることがあるのかなって不思議には思ったけど。
 急がなくていいよって言われたから、中洗った後、ちょこっとゆったりお湯に浸からせてもらって、ついでに慣らすとこまで終わらせておいた。だって、すっかりお風呂の準備が出来てて、ミルクの香りのする入浴剤まで入れられてたんだもん。優しくて甘い香りが気持ちよくて、気を抜いたらもっと長居しちゃうところだった。僕も、この後が楽しみだから、早く出るつもりだったんだよ? なのに、こんな極楽バスタイムを演出されちゃっては、堪能せざるを得ないと思う。
 すっかりほかほかになって、僕はふたりのいる寝室に戻る。ふたりは下着だけの姿でベッドの上に座ってた。あ、パジャマ着てこなくてもよかったなぁ。廊下歩くから、ついいつもちゃんと着ちゃうんだ。……だけどそんなことより今は、そのつもりで待っててくれるのにほっとする。
「ただいまあ」
「おかえり」
 うん、今度はちゃんとした返事が来た。
「蒼生、おいで」
 冬矢が呼ぶのが嬉しくて、僕はスリッパを脱いでベッドにのぼった。なんだか円陣を組んでるみたいな配置になって、……なにこれ。不思議な感じ。
「蒼生」
「? はい」
「実は……」
 なんだろう。なにか改まった雰囲気だ。
 すると、健ちゃんが、ヘッドボードの上に置いてあった小さな瓶を僕たちの真ん中あたりにぽすんと置いた。茶色い瓶だ。栄養剤? とかかな? 薬局とかで見たことあるようなガラス製の普通の瓶。だけど、ラベルは見たことがないデザインだ。赤とピンクのハートが大小いくつも描かれてて、商品名はどこにも書いてない。それどころか成分表示もなし?
 言葉を継いだのは冬矢だ。
「何も聞かずに、これを飲んでくれないか」
 ……え。
 今はっきり、何も聞かずに、って言ったね。説明はないらしい。え。これ。まさか。
 そういえば、この前、なんかの時に話題に出てたんだよね。もしかして、本当に、その、……媚薬? 媚薬ってやつ? 本当に用意したのかな。えっ? 本当に?
 ふたりは、何も言わないで、僕をじっと見つめてくる。だから僕は、その瓶を手に取った。せめて美味しくない味じゃありませんように……。
 蓋を回して開ける。匂いは……甘い。ちょっとツンとする匂いもあるかな。そんなに量もないし、一気に飲めるよね。よし。ぐいっと中身を飲む。……うーん。ぬるいその液体は、やたら甘ったるい。あ、れ、舌がぴりぴりする。……喉の奥がからい? なんだろ、これ。すぐにおなかの中が熱くなる。
「どう?」
「……甘くてからい……」
「体が、熱くなってこない?」
「! 熱い……」
 なるほど。わかった。……そういうことなんだ。
 健ちゃんが真面目な顔で手を伸ばしてきて、僕の頬に触れた。
「っ!」
 うわ。自分でもびっくりするくらい、ビクッとした。
 わずかに目を細めた健ちゃんが、そのまま顔を近付けてきて、……え、反対の頬にキス。なんで? 唇にくれないの? 触れた手が、頬を滑って耳を優しくくすぐる。ぞくぞくする。
 冬矢は、相変わらずの器用な手つきで、僕の服を脱がせてくる。その指の動きも、気持ちいい。あっという間に僕は着ていたものを全部取り払われて、ころんとふたりの間に転がされた。
 健ちゃんが、僕の右手を左手で絡め取り、ぎゅっとシーツに縫い付ける。冬矢は、反対の手を同じように。
 あ。
 あー。
 ぞくぞくする。
 てのひらが気持ちいい。
 熱が伝わる。
 それに、ふたりの目が。
 僕を全部見てる。
 ぴく、と反応したのが自分でわかる。だって、これから、たくさん触ってもらえることがわかってるから。それが、すごく嬉しいから。ああ、体の奥が、うずうずする。もどかしい。
「ねえ……見てる、だけ? ……おねがい、キスして……いっぱいさわって……?」
 ふたりの表情が、ふっと緩んだ。
「うん」
「いいよ」
 短い、だけど優しい声。うれしい、うれしい。
 健ちゃんがやっとキスしてくれる。うわ。びりびりと、腰まで電流が走る。
 冬矢の唇が乳首を柔らかく噛む。あ。胸の奥が、ぎゅうってする。
「……あっ、あー……、はあ、あ」
 吐息が漏れて、声も勝手に出ていく。
 早く、もっと。
 そう思うのに、もう、切なくて、ぐちゃぐちゃになりたいのに。
 今日は健ちゃんも冬矢も、そこから先を急がない。
 いつもだったら、健ちゃんが飛び付いてくるころのはずなのに。
 頬を。
 耳を。
 首筋を。
 指先を。
 やわやわと、優しく触れて、キスを落としてくるばかり。
 だけど、そのひとつひとつが、気持ちよくて。
 ぞくぞくして、止まらなくて。
 ぎゅうって、なって。
「好きだよ、蒼生」
 ああ、声……。
 すき。
 だいすき。
 下半身には触れてこない、せつないのに、きもちいい。
 大好きなふたりが、こんなふうに、じっくり触れてくれるのが、嬉しい。
「はぁ……ん、ん……」
 ただ、いちいち、跳ねる体が、制御できない。
 勝手に動いちゃう。
 うー……。
 頭の中がじんわりぼんやりしてきた。
 その、ぼんやりの中で、ふと、「あ、これが文字通りの愛撫ってやつか」と思った途端、体の中がぐわっと熱くなった。
 うわ、あ、文字化するんじゃなかった。愛撫されてる、って、その言葉の強さ。あ、どうしよ。我慢出来なくなる。うしろ、きゅんきゅんしてるの、わかる……。
 だ、だめ、だ。
「けん、ひゃ……」
 目が合うと、健ちゃんはゆったりと髪を撫でて、重ねるキスを深くする。
 きもちい。
 だけど、もっと、もっと。
 ぱたぱたと手を動かしたら、冬矢の足に手が当たった。辿っていくと、熱くて、脈打つとこに届く。……こんなにしてるのに。もう、ほしいのに。それを手の甲で撫でる。あつい。ほしい。
「……とぉやぁ……これ、も、いれてぇ……」
「! もう一度言ってごらん?」
「いれて……僕の中、いっぱい、に、して……」
 冬矢は、優しい瞳に、わずかにギラリとした光を宿す。……あ。
「ちゃんと言えて、いい子」
 そう。
 そうだよ。
 だって、ちゃんと、すぐ挿入れるように、準備してたんだもん。
 だからもっと言って。
 もっと。
「ひくひくしてる……可愛いね」
「だって、もう、ほしいから……」
 嬉しそうに頷いて、冬矢が、僕に、……っ。
「んあ……っぁ、あ」
 ぞくーって、冬矢が挿入ってきたそこから、脳天まで一気になにかが駆け抜ける。
「あ、ひ、ぁ!」
 あれ? え? 身体が震える。うわ、なにこれ。うれしい、で、いっぱいになって。体じゅうの血が騒いで。すぐに、イッちゃいそうになった。だから、僕は、大きく息を吸い込んだ。それだけのつもりだった。
「蒼生……やだ?」
「え……?」
 なにが?
 思って視線を巡らせると、自分が両方の手で頭の横のシーツを掴んで、ぎゅっと強く引いてることに気付いた。
「やじゃない……あ、れ、なんで僕……」
「腰が逃げちゃってる。もしかして、気持ちよくて怖くなっちゃった?」
「そ、そうなの……? ごめ、無意識、で」
 嫌なわけないのに。身体が勝手に? たしかに、気持ちよかった。ぞくっとして、これからどうなっちゃうのかなって思ったけど。
 冬矢は、僕の頬を撫でる。あ、きもちい。
「謝らなくていいんだよ。可愛い反応をしてくれるよね。だけど。……健太」
「ん」
 ちらりと冬矢が健ちゃんのほうを見たな、と思ったとたん、健ちゃんが僕の身体を後ろからひょいと抱き上げ、っあ、触れられたとこがぞわってするっ……、そのまま大きな腕で僕の身体を包み込む。
「……っあー……」
 冬矢が中に入ったまま、だから、あ、角度が、変わって……っ。そこ……っ!
 僕の耳に唇を寄せて、冬矢が囁いた。
「ほら。これで逃げられない」
「……!」
 ざわわっ、と、身体の表面を全部撫でられたような感覚。
 あ、後ろに健ちゃんがいて。
 前から冬矢が迫ってきて。
 にげられない。
「うー……ッ」
 っ!
 …………え。
 ぱたぱた、って、おなかの上に白いのが落ちた。
 う、わあ……。
「……蒼生、可愛い。触ってないのに出ちゃったな」
 健ちゃんが笑う。だ、だって。
「すごいね。ナカ、ぐねぐねしてる」
 言いながら、冬矢が、とんとん、って……っ。
 待って、
「あ! や、あ、まってぇ……いっ、今、そこだめっ……」
 きもちいとこ!
 そこ、ぎゅうってなってるのがわかる、だから、今は!
 冬矢は僕の言葉を聞いたうえで、ふふっと笑う。
「俺のことも、気持ちよくしてくれるよね?」
「……ぅ」
 そう言われちゃうと、それ以上だめって言えない。
 気持ちよくなってほしい、って気持ちが勝っちゃうから。
 ああ、でもっ……。
「っ! う! あっ、ひ……っ」
 ううー……。
 熱い。
 イッたばっかなのに。
 また、すぐに、高いとこにつれてかれそう。
「蒼生……。蒼生、すきだよ」
 息が耳にかかる。
 冬矢の息が乱れてると、それだけで、頭の中がかき混ぜられてく。
 あの、冬矢が。
 僕で乱れてるんだと思うと、たまらなくなる。
「ね、とぉや、あ、ぁ、……はっ、あ、ね、きもちぃ……?」
「気持ちいいよ……蒼生のナカ、すごく気持ちいい」
 うれしい。
 うれしい。
 冬矢の動きが速くなっていって、それから、びくんって大きく震えた。
 うれしい。
 自分でもわからないうちに冬矢の背中に回していた腕を、首の辺りに巻き付ける。
 わらう気配。
 それから冬矢は僕から出て行こうと、して、僕は咄嗟に腕に力を入れた。
「やだぁ……いかないで……」
 寂しくなっちゃうから。行かないで。このまま。僕の中に。
「……ふふふ。蒼生は俺が大好きだからね」
「うん……だから、あ、もっと」
 後ろから、がぶっと耳を噛まれた。
「んぅ……っ!」
 痛い、ような気がしたそれは、すぐに唇の柔らかさに変わる。それから、ぴちゃ、って、濡れた音が直接脳に響いて、くる。きもちい。
「オレも準備出来てんだけど、なぁ?」
 健ちゃんの低い声が、耳の中の空気をしっとり震わせる。……イッちゃいそう。
「蒼生……オレのことも気持ちよくして?」
「あ、健ちゃ……んっ」
 冬矢から僕を奪うようなキス。
 だけどすぐに離れて行く。なんで。
 僕の無言の抗議に笑って、健ちゃんは、ベッドに仰向けに横たわる。だから、ぴんっとおなかに当たるほど待ちわびてるそこに、自然と目が行っちゃう。
「今日は、蒼生から来てくれる?」
「……うん」
 頷くと、冬矢がゆっくりと体を引く。それから、抜けていくぞくぞくに、ぐらっと傾きかけた僕を支えてくれた。触れるだけのキスを、額に、頬に、首にくれながら、健ちゃんと向き合う体勢になるのを手伝ってくれる。
 こんな調子で、ちゃんと自分で健ちゃんを受け入れられるかな……? ちょっと心配になる。で、案の定、気持ちいいままのぐらんぐらんした頭は、やっぱりちゃんと体を動かしてくれない。後ろ手で健ちゃんの熱いのに触れて、自分にあてがう、それが意外と難しい。
「蒼生、大丈夫。そこでゆっくり、力を抜いて。ほら。俺が支えてるから、ゆっくりね」
 がくんとなりそうな足を、なんとか力を入れて体勢を整えながらだから、そこだけ力を抜くって、けっこう大変、で。
 あ。熱いの、後ろに触れて、あ。広が、る。……っ! また、ぞわぞわが腰の辺りを駆け巡る。今度は、反射的に上に逃げようとしたのが自分でわかった。さっきと違うのは、冬矢がそれを許さなかったこと。がしっと、僕の腰を掴んで、あ、その手に健ちゃんの手も重なって。
「あ! あっ、……やぁっ……あ」
 ふたりがかりで、腰を沈められっ、る……!
「ぁあー……っ」
 きもちい。
 いっぱいに、なって。
 ぎゅうぎゅうになって。
 ナカの、気持ちいいとこ、全部触ってもらってるみたいで。
 ぼーっとしてると、健ちゃんが軽く腰を回した。
「……っあ」
「蒼生。動いてみて?」
 そ、そっか。僕が。
 支えてくれてる冬矢の手を両手で握って、僕は、ちょっと腰を浮かせる。
 どうしたらいいのかな、どうしたら気持ちいいかな。
「……は、っ、う、んっ……」
 きっと僕は上手じゃない。
 だけど、僕のナカの、すっごくきもちいとこに、こつんって引っかかった感触がしたとたん、健ちゃんは、小さく呻いて肩をぴくんと揺らした。
「あお、い……」
 あ、気持ちいいのかも……? それを見てきゅんとしたら、また健ちゃんがぴくんと動いた。
 あれ……。
 もしかして、一緒にきもちいいの……?
 やけに、それが、嬉しくて。
 すると、冬矢がふいに僕の手を離した。どこにすがったらいいのかわかんなくなって、手が泳ぐ。と思ってたら、冬矢は、後ろから僕の腰を抱え込むようにして、僕のちんちんの先をじゅっと吸って、そのまま咥えた。
「ひゃっ、あ!」
「っう……」
 僕と健ちゃんの声が重なる。
 僕を咥えたまま、冬矢が笑ったのがわかる。
 きっと、同じタイミングで気持ちよくなってたのがバレたんだと思う。
 あ。
 だめ。
 冬矢がやわやわと根元に触れながら、一番好きな、先端のとこをたくさん吸う。
 だめ。
 頑張って、動こうとはしてる、ん、だけど。
 僕のきもちいがっ、先に、来ちゃう……。
「……う、んんっ、あ、ご、め、……あぁー……ッ」
 がくがくして、僕は、冬矢の口にそのまま、出しちゃった……。
 ふたりとも、ごめん。
 ふらっと上半身が傾ぐ。
 僕の両手を掴んだのは、健ちゃんだった。
 身体に力が入ったせいで閉じちゃった瞼を開けると、健ちゃんが笑ってた。
「へへ、……イッてる蒼生のナカ、すっげぇ気持ちいい。搾り取られそうだったわ」
 言って、下から、ぐいっと腰を持ち上げて、
「っあ!」
 う、わ、待って。
 まだ、ナカ、びくびくしてるんだから……っ。
 そこを、容赦なく、こすられて……。
「あーっ……あ、あぁーっ……」
 後ろに戻った冬矢が、ぎゅっと抱き締めてきて、あ、優しく乳首をこねる。
「あっ、うーっ、う、ぁ」
 言葉に、ならない。
 首筋に、頭の後ろに、キスしてくれる、冬矢のいたずらっぽい唇の感触。
 健ちゃんの、あったかい手。
 頭の中がぐるんぐるんと回る。
「は、あ、ぁ、ああ……っあ」
 あー……。
 まわる。
「ねえ……蒼生? 今、どこが一番気持ちいい……?」
 耳元で、はちみつみたいな冬矢の声。
 どこ……?
 どこだろ……。
 健ちゃんとつながってるとこ?
 冬矢が触れてくれてるとこ?
 どこ?
「わか、あ、わかん、なぃ……。ふたりが、さわるとこ、ぜんぶきもちぃ、から……ぁ」
 だから。
 いつも僕は、ぐちゃぐちゃだ。
 ぼんやりとした視界の下で健ちゃんが笑い、僕の頭の横でやっぱり冬矢も笑った。
「きっと、俺たちの”大好き”が、触れてるところから伝わっちゃうんだね」
 ああ。
 そうか。
 なるほど、じゃあ気持ちいいはずだ……。
 僕はぎゅっと健ちゃんの手を握る。
 それから首をそらして冬矢の頬にキスをする。
「……じゃあ、ふたりも、気持ちいいんだ、ね……?」
 ふたりは、頷いて、もっと嬉しそうに笑った。

 まだミルクの香りのする浴室で、あったかいシャワーを頭から浴びる。ふー。
 時間が経ったから、お湯はすっかり冷たい。ゆっくりするには追い焚きしておけばよかったかも。でも入浴剤を入れて追い焚きってよくないらしいって聞くもんね。僕が先にシャワー使わせてもらってるけど、ふたりもこの後で入るはずだ。きっとふたりも疲れてるし、浴槽洗って沸かしておいたほうがいいかな。……あー、でもちょっと正直なところ、その動きはしんどそうだ……。
 それにしても、今日も濃かったなー。ふたりも余裕あんまりない感じだったし、ふふ。すっごく気持ちよかったなぁ。かわるがわる、いっぱいシてくれた。えへへ。
 たまにふたりから聞く話を総合すると、僕の負担が大きいからって、ふたりはちゃんと間隔調整してくれてるらしい。どうやらふたりだけで僕に対する取り決めをしてるみたいなんだよね。それを僕のいないところでするっていうんだから、ホントに面白い人たちだと思う。本音を言えば、毎日だってしたいのに。きっとふたりだってそう思ってくれてると思うんだけどなあ。ふたりとも、僕のこと、大事にしすぎなんじゃない?
 浴室から出ると、とたんに体が重い。嬉しいだるさだ。とりあえず、後のことを聞いておこう。体だけ拭いて、パジャマ着て、濡れた頭のままで僕は廊下に出た。このへんにもドアがあって、直接寝室に入れたらよかったのにな。普段はいいんだけど、足腰がガクガクの時にはやたら寝室が遠く感じる。
「お先にありがと。お風呂入るんだったら洗って沸かすけ……ど……?」
 声をかけながら寝室に入ると、ふたりが下着姿のままベッドに座ってた。え? なにこれ。デジャヴ? それともタイムスリップ的な何か? 違うのは、外がすっかり暗いのと、ふたりともきちんと正座してることくらい。え? 間違い探し?
「何してるの?」
 僕の疑問は当然だと思う。
 で、それに対して、冬矢が深く、健ちゃんはさらにベッドに頭を付けるくらいに深く頭を下げた。
「ごめんなさい」
 へ?
 何が?
「なにか僕、謝られるようなことされたっけ」
「いや……その……」
 健ちゃんが言い淀んで、冬矢を見る。冬矢はそれを受けて、僕をまっすぐに見た。
「ごめん。さっきのドリンク、媚薬でも何でもないんだ」
 え?
 何を今更。
「知ってたけど……」
 するとふたりは、ものすごく驚いた顔をする。
「え、あの、オレらが蒼生のこと騙してたの、怒ってない……?」
「怒るもなにも。ふたりは僕があれを媚薬だと思い込んでもおかしくないように雰囲気作ってただけで、そもそも媚薬だなんて誰も一言も言ってないじゃん」
 はっきりそう言われてたとしたら、騙したことになるかもしれないけど。
 冬矢は首を傾げる。
「いつから気付いてたの?」
「最初から。だって、飲んですぐに体が熱くなるような、どの神経に作用してんだかよくわかんない怪しいものを、ふたりが僕に飲ませるわけないもん」
「……言うようになったなあ……」
 だって実績があるじゃないか。付き合ってから……、ううん、出会ってからずっと、僕に甘かったもん。ふたりが僕に怖いことをするはずがない。
 僕はベッドに乗っかって、ほどよく開いたふたりの間に滑り込む。それから、両腕でそれぞれの腕を抱えた。
 健ちゃんが、困ったように僕の顔を覗き込んでくる。
「でも、その……蒼生、いつもより、びくびくしてたから。あの、なんだ、なんとかってやつなのかと思って」
 うん?
 ああ、と言ったのは冬矢だ。
「偽薬効果って言いたいんだな。俺もそう思ってた。蒼生はあれを媚薬だと思っていたから、いつもより感じてるんじゃないかと」
「だけど、騙してるつもりで騙されてたのかぁ」
 えっ。
 待って。
「違う、違うよ。そこは誤解してほしくない!」
 僕はぎゅーっと腕に力を込める。
「あのね、最初から怪しい薬だなんて思ってなかった、それは本当なんだけど、それだけふたりが僕にたくさん感じてほしかったんでしょ? 僕をたくさん気持ちよくしてくれるつもりで、全部準備してくれたんでしょ? その気持ちが嬉しくて、嬉しいで体の中がいっぱいになって、……だから本当に気持ちよかったんだよ!」
 今思えば、あの入浴剤も、僕をとことんリラックスさせるための仕掛けなんだとわかる。ゆったりとした状態でふわふわ気持ちよくさせてくれるつもりだったんだよね?
「……そっか」
 健ちゃんが、僕の膝を撫でる。冬矢が、腕にすがりつく僕の手に触れる。
「大好きなふたりが、きもちよくなってほしいってしてくれることが、すっごくきもちいいのは仕方ないと思う……」
「うん。……さっき言ったことは本音だよ。俺の大好き、きっと蒼生に伝わってると思ってた」
「ふふふ。あれ、ものすごく納得した」
「オレもすっげぇ感動しちゃった。だから今こうやってぎゅってしてるだけでも気持ちいいんだな」
 そう笑って、健ちゃんは僕の肩に頬を寄せてきた。
 うん。
 そういうことなんだなー。
 触れたとこから、ちゃんと伝わるんだ。

「あ、そうだ。それで結局、あれって中身何だったの? 甘ったるくてぴりぴりして、胃がホントに熱くなったけど。知ってる味な気がするんだよね」
「おお。あれ、パイナップルジュースだよ。ぬるかったからちょっと甘ったるく感じたのかもなー」
「ははあ。それであの舌にぴりぴりする感じか」
「それと、生姜のすりおろしたのをベースに、いくつか調味料を」
「生姜! ぽかぽかするもんね! だから味が混ざって、咄嗟になんだかわかんなかったんだ。へえ、なるほど、考えてるなあ」

 翌朝。
 朝食には、バターたっぷりのトーストとハムエッグに、よく冷えたパイナップルジュースが添えられていました。
 ふふっ。
 うん、冷やしたほうが美味しいね!
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