秋生(鮭の丸焼き)

萌えが滾った時に細々と投稿させて頂くと思います。
好きなジャンルは多種なので、雑多になりそうですがよろしくお願いします!

なお、pixivでは投稿しずらいものをこちらに投稿させて頂こうと思っております。

投稿日:2017年06月04日 12:49    文字数:3,781

【ハルカグ】畳まないオマエと畳むオレの36時間

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ハルカグ企画さん(http://twpf.jp/hk60min)(http://hk60min.tumblr.com)毎回ありがとうございます!
ということで年に3回のワンドロです。毎回遅刻な上にギリギリです。

お題:榛名の誕生日

脳内的にプロの前に大学野球選んだ榛名と、榛名とは別の大学行ってる加具山さんのお話。相変わらずの自分設定が多いけれども一度書きたかったお話なので( ´∀`)
はるなー!誕生日おめでとー!松風さんがまたやりたいって呟いていてガタッとしたのは私ですー!
1 / 1
ショーケースの前で腕を組んだまオレは店内を睨みつけていた。
いや、別にこの店に恨みがあるわけじゃない。むしろめちゃくちゃ美味しそうなものが並んでいる。店はどっこも悪くない。悪くない、そう。
この場では明らかにオレが悪い。
腕を解けば口から漏れるのは深い溜息。そのままようやく店内へと入るとチラチラとガラス越しにこちらを見ていた店員が張り付いた笑顔を向けてきた。見知らぬお姉さん、そんな笑顔にさせて本当に悪い。
頬を掻きながら近付くともう一つ溜息をついて。それから斜めになっているショーケースの一番上をしばらく彷徨った上である一点を指した。
「これ、ください」


無機質な音をさせて開いた鍵の音。もう片手でガサゴソと音を立てる袋に苦労しながら扉を開ければ、若干散乱した部屋がオレを出迎えた。
壁側のスイッチに手を掛ければ何度か瞬いてから点いた部屋の光。その中央で存在を示しているのは大きめの服と、標準的な服。
そもそも部屋が散乱したのはこれらのせいで、部屋がこの時間になっても電気が点いていなかったのもこのせいだ。
ひとまず床に散らばっていたのを拾い上げて片手に掛けはじめたその時だった。
音の無い部屋の奥、入口の方から聞こえたのは古臭いノブが回る音。
引っ掛けた服はそのままに慌ててさっき買ってきた袋を冷蔵庫に突っ込む。それから振り返ると、広くは無い部屋の奥でも存在感のある力強い瞳がじっとオレの方を見ていた。そのままズカズカと音のしそうな足取りで入ってきたソイツはオレの立つテーブルまで歩いてきた。
見上げればソイツもオレを見下ろす。
「ーーあの!」
「ーーあのさあ」
それから二人が口を開いたのはほぼ同時で思わずまた互いを見つめて動きが止まる。まじまじとその顔を見上げた数十秒後。
「っだあ! オレ、こーいうまどろっこしいの嫌いなんスよ!」
二言目を発したのは目の前の長身だったが、その言葉に頭のどこかがカッと熱を帯びたのが分かった。
「オレだってめんどくせーよ! つか先に出て行ったのお前だろが!」
口に出してからハッと我に返る。その時、すでに遅しと言うのは見下ろす表情で分かった。
「はあ⁈ 嫌なら出てけって先に行ったのカグさんじゃないスか!」
「あーもう、そうだよ、言いました確かに言いました」
「オレ、カグさんが面倒な時に敬語になるのも嫌なんスけど!」
「多少冷静になろうとしてっから敬語になるんだよ! バカにしてんじゃねえからな⁈」
叫び返した直後に、ああまたやっちまったと頭の片隅でこめかみを抑えるもう一人の自分。
これじゃ昨日と同じじゃねえかと自分に嫌気が差す。
「オレ、そういうカグさんのクセなんて知らないし」
棘のある声音から別の色になった声にいつの間にか下げていた顔を上げる。するとそこには長身のーーいや、榛名が。口を尖らせてオレを見ていた。棘のある声から変わったのは、拗ねたような色で。その表情と態度に昨日と同じ失敗しそうだった心の中の言葉の発射台がピタリと動きを止めた。
「……そりゃそうだ、言ってねえもん」
それだけポツリと言葉を漏らすと深呼吸。それから大きく腰を折り、オレは頭を下げた。
「悪い、昨日は言い過ぎた」
次の瞬間、突然聞こえた袋のカサカサした音。視線を上げると視界いっぱいに半透明のビニール袋が現れてきた。顔を上げれば目一杯眉間に皺寄せた榛名の顔。その手にはオレの目の前に差し出されたビニール袋。
「いや、オレも。言い過ぎたって思って。……すんません」
それからズイ、と目の前にもう一度出された袋。腰を正してビニール袋へと手を伸ばせば、榛名の手から離れてオレの手の中へと落ち着く。
中を覗いてみると、そこにはビール缶と、寿司のパック。
頭の中に大量に浮かんだ疑問符をそのままにもう一度視線より上へと目線を向ければ榛名はガリガリと頭を掻いていた。
「仲直り、しようかと。思いまして」
「仲直り」
「……仲直り」
「…………それで、選んだのがビールと寿司?」
思わず見たままのそれらを口に出すと急に榛名は頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「だってさあ、秋丸とはオレが一方的だし、他とはなんつーか喧嘩になってもなんとなく終わるっていうかさあ! わざわざ喧嘩した後にどうしようとか考えたことないし!」
薄手のシャツの下の綺麗に整った筋肉の無駄遣いとばかりに丸まったその背中と、その言葉。頭の中で反芻した直後。
「ーーぶふっ」
オレの口は我慢がきかなかった。
「カグさん今、笑っただろ⁈」
「いやだって俺様榛名様が、んな小さくなって言ったセリフがそれとかさあ。選んだのも何っていうかお前らしいセンスって言うかさあ」
「ニヤニヤすんなよ、もー!!」
もう一度頭を抱える榛名の姿にもう一度笑みが浮かんでしまうが、それはおかしいとかそういう笑いじゃなくて。でっかい体を丸めてウダウダしてる姿が妙に可愛く見えてしまった。オレの目もいよいよ末期かもしれない。
「榛名君、榛名君」
「なんスかその呼び方……」
完全に拗ね切った声に今度はおかしくなってまた笑ってしまいながら冷蔵庫の中の袋を取り出す。それをしゃがみ込んだ榛名の前に置いて、自分も膝を曲げて榛名と視線の高さをを合わせる。
膝に隠れていた瞳がちらりと覗いて視線が合えば、笑いながら袋の中に手を入れて少し大きめの紙箱を開けた。すると今度は榛名が間抜けな顔を浮かべる番だった。
「もとき君へ」
「おう」
榛名の視線の先には四切れくらいにしか分けられそうにない小ぶりのワンホールのケーキ。その上にはグラウンド型のチョコに白線で書いてあるのが「もとき君へ」。どうみても小学生のお誕生日会のような出で立ち。
「……オレ?」
「他に誰が居んだよ、誕生日の主役さん」
「へ」
「自分の誕生日忘れんなよなあ」
相変わらずの間抜け面に指で額を弾けば、数秒そのまま榛名は固まり。
「あー!! ウッソだろ⁈ 誕生日に喧嘩してたの⁈ 休みなのに⁈ 半日潰してたのかよ⁈」
さっきからクルクル変わる表情にまた吹き出してしまい、そのままオレは床へと座り込む。
「ひとまず今からでもお祝いしようぜ、ビールと寿司まで揃ってるわけだし」
「自分で自分のお祝い買ったみたいになってるし……」
「終わりよければ全て良し、じゃね?」
「なんでカグさん笑ってンすかぁ」
「そうかあ? 笑ってるか?」
トボけてみたけれど、いつも振り回されてばかりなのもあって榛名にあーだこーだ言えるのが妙に楽しいのはこの際仕方ないと思って欲しい。
「しっらじらしーな! でもさあ」
照れ隠しなのか頭をまた掻きながら立ち上がった榛名につられてオレも立ち上がる。相変わらずの身長差に男のプライド的な何かがいつも少し傷つくが、今日はでっかい犬が耳を垂らしてるように見えて余裕の気分で見つめ返す。
「カグさんがケーキ買ってくれてた、覚えてくれてた、喧嘩してたのにってのが嬉しいからさ。なんかもう、良いや」
余裕と思ってたオレの心臓をそんな事を言ってきた榛名のその気の抜けた表情に、余裕なんて吹っ飛んでしまった。
ああ、なんつーかもう。オレはコイツのこういう素直な所が好きなんだよなあなんて思ってしまうのが悔しい反面、改めて好きだと思うところを感じられてむず痒くなる。そしてオレの手は無意識に無造作な髪の毛に手を伸ばしたーーの、だが。
「って、お前! またそこら辺に着てたの放り投げんじゃねーよ!」
その手は頭を撫でるーーのではなく、そのまま思い切り頭を叩いていた。
「ってぇ! ってかまたそれっスか!」
「また、じゃねえよ洗濯機に放り込めばそれで終わりだっつのになんでお前は床に放り投げんだよ!」
「風呂入るときに持ってけば良いじゃん」
「一回で終わらせた方がいいだろ、あちこちに放り投げんなって昨日も」
そこまで言い合ってピタリと同時に動きが止まる。
「「昨日も同じこと言ってるし!!」」
そして同時に同じ言葉を叫んでいた。

「今までお前、どうやって片付けてたんだよ!」
「気がついたら姉ちゃんとかが片付けてくれてたし」
「この末っ子体質!」
「末っ子関係ねーし! カグさんこそ料理作るのは適当なくせに!」
「今それ言うかぁ⁈」

二人暮らし歴、数ヶ月のオレ達。
毎日のように顔を合わせていても一緒に暮らしてみないと分からないことなんて山ほどあって。
今はまだ自分たちの今まで普通と思っていたことが違うことが多くて喧嘩ばかりだが、そんだけお前のことも知りてーんだよなんて思わないでも、ない。

「下着もちゃんと畳んで仕舞えよ!」
「履いちまえば同じじゃん!」
「引き出しの中でお前の下着がオレのスペースに陣取ってきてんだよ!」
「良いじゃないっスか、下着から絡み合っちゃえば!」
「バッカじゃねーの⁈ つか適当に纏めようとすんなよ⁈」

結局昨日の続きと言わんばかりに始まった言い合いがひとまずの妥協点を見つけるまでにこれから一時間かかり。
すっかり温くなったビールで気まずい祝杯を上げるのは更に一時間後のことだった。

来年の榛名の誕生日には、もう少しお互いのことを知れていますように。
乾杯した缶の音にそんな祈りをひっそりと隠したオレであった。
1 / 1
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【ハルカグ】畳まないオマエと畳むオレの36時間
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ショーケースの前で腕を組んだまオレは店内を睨みつけていた。
いや、別にこの店に恨みがあるわけじゃない。むしろめちゃくちゃ美味しそうなものが並んでいる。店はどっこも悪くない。悪くない、そう。
この場では明らかにオレが悪い。
腕を解けば口から漏れるのは深い溜息。そのままようやく店内へと入るとチラチラとガラス越しにこちらを見ていた店員が張り付いた笑顔を向けてきた。見知らぬお姉さん、そんな笑顔にさせて本当に悪い。
頬を掻きながら近付くともう一つ溜息をついて。それから斜めになっているショーケースの一番上をしばらく彷徨った上である一点を指した。
「これ、ください」


無機質な音をさせて開いた鍵の音。もう片手でガサゴソと音を立てる袋に苦労しながら扉を開ければ、若干散乱した部屋がオレを出迎えた。
壁側のスイッチに手を掛ければ何度か瞬いてから点いた部屋の光。その中央で存在を示しているのは大きめの服と、標準的な服。
そもそも部屋が散乱したのはこれらのせいで、部屋がこの時間になっても電気が点いていなかったのもこのせいだ。
ひとまず床に散らばっていたのを拾い上げて片手に掛けはじめたその時だった。
音の無い部屋の奥、入口の方から聞こえたのは古臭いノブが回る音。
引っ掛けた服はそのままに慌ててさっき買ってきた袋を冷蔵庫に突っ込む。それから振り返ると、広くは無い部屋の奥でも存在感のある力強い瞳がじっとオレの方を見ていた。そのままズカズカと音のしそうな足取りで入ってきたソイツはオレの立つテーブルまで歩いてきた。
見上げればソイツもオレを見下ろす。
「ーーあの!」
「ーーあのさあ」
それから二人が口を開いたのはほぼ同時で思わずまた互いを見つめて動きが止まる。まじまじとその顔を見上げた数十秒後。
「っだあ! オレ、こーいうまどろっこしいの嫌いなんスよ!」
二言目を発したのは目の前の長身だったが、その言葉に頭のどこかがカッと熱を帯びたのが分かった。
「オレだってめんどくせーよ! つか先に出て行ったのお前だろが!」
口に出してからハッと我に返る。その時、すでに遅しと言うのは見下ろす表情で分かった。
「はあ⁈ 嫌なら出てけって先に行ったのカグさんじゃないスか!」
「あーもう、そうだよ、言いました確かに言いました」
「オレ、カグさんが面倒な時に敬語になるのも嫌なんスけど!」
「多少冷静になろうとしてっから敬語になるんだよ! バカにしてんじゃねえからな⁈」
叫び返した直後に、ああまたやっちまったと頭の片隅でこめかみを抑えるもう一人の自分。
これじゃ昨日と同じじゃねえかと自分に嫌気が差す。
「オレ、そういうカグさんのクセなんて知らないし」
棘のある声音から別の色になった声にいつの間にか下げていた顔を上げる。するとそこには長身のーーいや、榛名が。口を尖らせてオレを見ていた。棘のある声から変わったのは、拗ねたような色で。その表情と態度に昨日と同じ失敗しそうだった心の中の言葉の発射台がピタリと動きを止めた。
「……そりゃそうだ、言ってねえもん」
それだけポツリと言葉を漏らすと深呼吸。それから大きく腰を折り、オレは頭を下げた。
「悪い、昨日は言い過ぎた」
次の瞬間、突然聞こえた袋のカサカサした音。視線を上げると視界いっぱいに半透明のビニール袋が現れてきた。顔を上げれば目一杯眉間に皺寄せた榛名の顔。その手にはオレの目の前に差し出されたビニール袋。
「いや、オレも。言い過ぎたって思って。……すんません」
それからズイ、と目の前にもう一度出された袋。腰を正してビニール袋へと手を伸ばせば、榛名の手から離れてオレの手の中へと落ち着く。
中を覗いてみると、そこにはビール缶と、寿司のパック。
頭の中に大量に浮かんだ疑問符をそのままにもう一度視線より上へと目線を向ければ榛名はガリガリと頭を掻いていた。
「仲直り、しようかと。思いまして」
「仲直り」
「……仲直り」
「…………それで、選んだのがビールと寿司?」
思わず見たままのそれらを口に出すと急に榛名は頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「だってさあ、秋丸とはオレが一方的だし、他とはなんつーか喧嘩になってもなんとなく終わるっていうかさあ! わざわざ喧嘩した後にどうしようとか考えたことないし!」
薄手のシャツの下の綺麗に整った筋肉の無駄遣いとばかりに丸まったその背中と、その言葉。頭の中で反芻した直後。
「ーーぶふっ」
オレの口は我慢がきかなかった。
「カグさん今、笑っただろ⁈」
「いやだって俺様榛名様が、んな小さくなって言ったセリフがそれとかさあ。選んだのも何っていうかお前らしいセンスって言うかさあ」
「ニヤニヤすんなよ、もー!!」
もう一度頭を抱える榛名の姿にもう一度笑みが浮かんでしまうが、それはおかしいとかそういう笑いじゃなくて。でっかい体を丸めてウダウダしてる姿が妙に可愛く見えてしまった。オレの目もいよいよ末期かもしれない。
「榛名君、榛名君」
「なんスかその呼び方……」
完全に拗ね切った声に今度はおかしくなってまた笑ってしまいながら冷蔵庫の中の袋を取り出す。それをしゃがみ込んだ榛名の前に置いて、自分も膝を曲げて榛名と視線の高さをを合わせる。
膝に隠れていた瞳がちらりと覗いて視線が合えば、笑いながら袋の中に手を入れて少し大きめの紙箱を開けた。すると今度は榛名が間抜けな顔を浮かべる番だった。
「もとき君へ」
「おう」
榛名の視線の先には四切れくらいにしか分けられそうにない小ぶりのワンホールのケーキ。その上にはグラウンド型のチョコに白線で書いてあるのが「もとき君へ」。どうみても小学生のお誕生日会のような出で立ち。
「……オレ?」
「他に誰が居んだよ、誕生日の主役さん」
「へ」
「自分の誕生日忘れんなよなあ」
相変わらずの間抜け面に指で額を弾けば、数秒そのまま榛名は固まり。
「あー!! ウッソだろ⁈ 誕生日に喧嘩してたの⁈ 休みなのに⁈ 半日潰してたのかよ⁈」
さっきからクルクル変わる表情にまた吹き出してしまい、そのままオレは床へと座り込む。
「ひとまず今からでもお祝いしようぜ、ビールと寿司まで揃ってるわけだし」
「自分で自分のお祝い買ったみたいになってるし……」
「終わりよければ全て良し、じゃね?」
「なんでカグさん笑ってンすかぁ」
「そうかあ? 笑ってるか?」
トボけてみたけれど、いつも振り回されてばかりなのもあって榛名にあーだこーだ言えるのが妙に楽しいのはこの際仕方ないと思って欲しい。
「しっらじらしーな! でもさあ」
照れ隠しなのか頭をまた掻きながら立ち上がった榛名につられてオレも立ち上がる。相変わらずの身長差に男のプライド的な何かがいつも少し傷つくが、今日はでっかい犬が耳を垂らしてるように見えて余裕の気分で見つめ返す。
「カグさんがケーキ買ってくれてた、覚えてくれてた、喧嘩してたのにってのが嬉しいからさ。なんかもう、良いや」
余裕と思ってたオレの心臓をそんな事を言ってきた榛名のその気の抜けた表情に、余裕なんて吹っ飛んでしまった。
ああ、なんつーかもう。オレはコイツのこういう素直な所が好きなんだよなあなんて思ってしまうのが悔しい反面、改めて好きだと思うところを感じられてむず痒くなる。そしてオレの手は無意識に無造作な髪の毛に手を伸ばしたーーの、だが。
「って、お前! またそこら辺に着てたの放り投げんじゃねーよ!」
その手は頭を撫でるーーのではなく、そのまま思い切り頭を叩いていた。
「ってぇ! ってかまたそれっスか!」
「また、じゃねえよ洗濯機に放り込めばそれで終わりだっつのになんでお前は床に放り投げんだよ!」
「風呂入るときに持ってけば良いじゃん」
「一回で終わらせた方がいいだろ、あちこちに放り投げんなって昨日も」
そこまで言い合ってピタリと同時に動きが止まる。
「「昨日も同じこと言ってるし!!」」
そして同時に同じ言葉を叫んでいた。

「今までお前、どうやって片付けてたんだよ!」
「気がついたら姉ちゃんとかが片付けてくれてたし」
「この末っ子体質!」
「末っ子関係ねーし! カグさんこそ料理作るのは適当なくせに!」
「今それ言うかぁ⁈」

二人暮らし歴、数ヶ月のオレ達。
毎日のように顔を合わせていても一緒に暮らしてみないと分からないことなんて山ほどあって。
今はまだ自分たちの今まで普通と思っていたことが違うことが多くて喧嘩ばかりだが、そんだけお前のことも知りてーんだよなんて思わないでも、ない。

「下着もちゃんと畳んで仕舞えよ!」
「履いちまえば同じじゃん!」
「引き出しの中でお前の下着がオレのスペースに陣取ってきてんだよ!」
「良いじゃないっスか、下着から絡み合っちゃえば!」
「バッカじゃねーの⁈ つか適当に纏めようとすんなよ⁈」

結局昨日の続きと言わんばかりに始まった言い合いがひとまずの妥協点を見つけるまでにこれから一時間かかり。
すっかり温くなったビールで気まずい祝杯を上げるのは更に一時間後のことだった。

来年の榛名の誕生日には、もう少しお互いのことを知れていますように。
乾杯した缶の音にそんな祈りをひっそりと隠したオレであった。
1 / 1
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また、そのステキ!が作者様の背中を押し、次の作品へと繋がっていくかもしれません。
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