秋生(鮭の丸焼き)

萌えが滾った時に細々と投稿させて頂くと思います。
好きなジャンルは多種なので、雑多になりそうですがよろしくお願いします!

なお、pixivでは投稿しずらいものをこちらに投稿させて頂こうと思っております。

投稿日:2019年05月25日 14:32    文字数:2,109

【武蔵野第一】最後のマウンド

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2008年の甲子園の熱に浮かされて書いたもの(笑)
事の発端は熱 闘甲 子園のメルマガにあった常 葉 菊 川のエースの肘の話。
キャッチボールできない程に肘が痛くても先発で出たのは、エースだから。
もう、この一文見た瞬間、ぶわっと涙が…!!
でも、感動している頭の端っこで。
思わずハルカグ変換してしまったというガッカリぶり(笑)

武蔵野で言えばエースは加具山さんで。
甲子園に最後の夏に出場ができた武蔵野という設定の2014年にプライベッターに登録していたもの。
カップリング未満な感じです。
そして半分プロットです。書きたいところだけ書いたという話ですが展開は好みの話だったのでプライベッターからの再掲です。
1 / 1
最後の夏、ほぼ全敗だった昨年が嘘のように。
勝ち進んで行ったオレ達を待っていたのは、ずっとずっと憧れていた甲 子園の地。
熱されて体中に纏わりつく空気、潮と砂の匂いが混ざりあった浜風。
今、そこに立っているという現実はあまりに想像を超えていて実感が追いつかない。
でも、確かに足は地を踏み締めているのがどうにもおかしくて。
半ば呆然としているオレを吹き付けていた風が、ほんの一瞬、止んだ。
その瞬間、高らかに。
腹の底から掻き回されるような大音量--サイレンが、鳴り響く。
爪先から駆け上がる血流達、知らず震える全身に瞼が見開く。
--そうだ、オレは、今。甲 子園に立っているんだ。
===========

甲子園の地に立っているという事実に、実際に立っていても驚いていてしまう加具山。
反対に余裕の榛名。
対照的な2人が継投しながら試合をしていく。
先発は加具山、次に榛名。そのスタイルを変えずに挑み、一勝ずつ重ねていく。
その中で、勝ちたいと。
強く、前よりももっと切実に思う加具山は常に120%以上の力でマウンドで立っていた。
しかし、3回までの登板でも力んだ腕には疲労が溜まり、ある時にピッチャー返しの球を受けた際に肘に違和感を覚え。
試合後にそれに1番に気がついたのは榛名と大河だった。
彼らによって球場の医務員に診てもらうと、肘の関節が痛んでいた。
しかし、武蔵野には控えの投手はいない。
加具山が出られなければ、榛名は80球以上投げなくてはいけない。
しかし、加具山は「オレは投げられる」と頑なに言う。
投げさせたくない、でも、加具山にとっては最後の夏。
登板を止める声は結局、加具山の「出たい」と言う声に止められ。
テーピングして出場する事になるが、負担は一球放る毎に増えて、球速は落ちて行く。
加具山ができる事は今、正確なコントロールをする事と変化球で立ち向かう事。
休ませたい、でも勝ちたい。チームの気持ちを反映しているかのように、快勝ではなくギリギリの展開で進み、そしてとうとう。
ほぼ全敗だったチームは、決勝の地に立つ。
その前夜。
===========

腕を振り上げると、きりきりと内側の筋肉を締め上げるように鈍いようで鋭い痛みが肘から指先まで走り抜ける。
辛うじて放り投げた球は、オレの最後の砦である正確さだけを保って町田のミットに収まる。
そこに、試合で通じるような速度は、見えない。
「カグヤン!」
「カグさん!」
微かに腕をかばうように下ろしたミットと同時に二つの声がオレの動きを止めた。
「カグさん!」
見なくても分かる、その声の主は駆け寄りざまオレの腕を掴み、そのまま動きを止める。
視線の先には、テーピングを盛り上げるように僅かに盛り上がっている肘。痛みによる熱と逸らされない視線が刺さる。
「……無理ですよ」
喉奥から唸るような声は、今にも泣きそうな顔から漏れた。
オレはそれをじっと見つめる。
「……これ以上無理したら……ッ」
もう片手が、壊れ物を触るようにゆっくり肘に伸ばされると、大して冷たくないだろうにその温度が心地良いと、ぼんやりと感じてしまう。
「榛名」
声を掛けただけなのに、泣き顔なんて見た事ないその表情が今にも泣きそうな顔でオレを見上げて来る。
……いや、分かっている。
強気なお前がそんな顔するのも、町田が後ろで何も言わずに立っている理由も。
でも。
その気持ちが分かるからこそ、込み上げて来るのは、喉を震わせたのは、笑い声で。
豆鉄砲を食らったような--今ではテレビで剛椀だ何だと囃立てられている、目の前の後輩と視線がかち合う。
「オレは、出る」
「かぐやま―……」
「オレは、エースだ」
ハッキリと。
最後とばかりに大きな声を上げる蝉の声に書き消されないように出した声は、地面に落ちていった。
「オレはな」
拾われない言葉を、掬い上げるようにもう一度声を出す。
「お前達と、一緒に戦いたいんだよ。……最後まで」
跳ねるように首を上げた榛名。
その口が開く前に聞こえて来たのは別の声だった。
「頑固者」
「ーー!」
宿舎裏口から届く光が少なくなったそこには、顔、顔、顔。大河が、涼音が、秋丸が。皆が、いた。
「……どうせ頑固だよ」
「ああ、頑固なエースだ」
返された言葉に揺らぎは無かった。
そのまま大きな歩幅で歩いて来ると、オレの前に立ち、榛名とオレを見る。
「頑固エースの後ろは気にしないで更に頑固なオレ達に任せろ」
その言葉に、笑っていた笑顔が張り付く。
「……繋いで下さい」
また絞り出すような声にハッと振り向けば、そこには。
あの鋭い目がオレを見つめていた。
泣きそうに見えた表情はそこには無い。
「オレが、後を引き継ぎます」
「カグヤンの後ろは、オレ達が球を転がせねー」
「榛名……大河……っ」
そこまで言ったのがやっとだった。
ミットで顔を覆う。
肘の熱より、隠した顔が、瞼が。熱くて堪らない。
「オレ達のエースは、お前だ」
力強い大河の声は、真っ直ぐオレに届く。
地面に落ちる言葉は、もう無い。

オレ達の最後の戦いは、もう、明日。
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【武蔵野第一】最後のマウンド
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最後の夏、ほぼ全敗だった昨年が嘘のように。
勝ち進んで行ったオレ達を待っていたのは、ずっとずっと憧れていた甲 子園の地。
熱されて体中に纏わりつく空気、潮と砂の匂いが混ざりあった浜風。
今、そこに立っているという現実はあまりに想像を超えていて実感が追いつかない。
でも、確かに足は地を踏み締めているのがどうにもおかしくて。
半ば呆然としているオレを吹き付けていた風が、ほんの一瞬、止んだ。
その瞬間、高らかに。
腹の底から掻き回されるような大音量--サイレンが、鳴り響く。
爪先から駆け上がる血流達、知らず震える全身に瞼が見開く。
--そうだ、オレは、今。甲 子園に立っているんだ。
===========

甲子園の地に立っているという事実に、実際に立っていても驚いていてしまう加具山。
反対に余裕の榛名。
対照的な2人が継投しながら試合をしていく。
先発は加具山、次に榛名。そのスタイルを変えずに挑み、一勝ずつ重ねていく。
その中で、勝ちたいと。
強く、前よりももっと切実に思う加具山は常に120%以上の力でマウンドで立っていた。
しかし、3回までの登板でも力んだ腕には疲労が溜まり、ある時にピッチャー返しの球を受けた際に肘に違和感を覚え。
試合後にそれに1番に気がついたのは榛名と大河だった。
彼らによって球場の医務員に診てもらうと、肘の関節が痛んでいた。
しかし、武蔵野には控えの投手はいない。
加具山が出られなければ、榛名は80球以上投げなくてはいけない。
しかし、加具山は「オレは投げられる」と頑なに言う。
投げさせたくない、でも、加具山にとっては最後の夏。
登板を止める声は結局、加具山の「出たい」と言う声に止められ。
テーピングして出場する事になるが、負担は一球放る毎に増えて、球速は落ちて行く。
加具山ができる事は今、正確なコントロールをする事と変化球で立ち向かう事。
休ませたい、でも勝ちたい。チームの気持ちを反映しているかのように、快勝ではなくギリギリの展開で進み、そしてとうとう。
ほぼ全敗だったチームは、決勝の地に立つ。
その前夜。
===========

腕を振り上げると、きりきりと内側の筋肉を締め上げるように鈍いようで鋭い痛みが肘から指先まで走り抜ける。
辛うじて放り投げた球は、オレの最後の砦である正確さだけを保って町田のミットに収まる。
そこに、試合で通じるような速度は、見えない。
「カグヤン!」
「カグさん!」
微かに腕をかばうように下ろしたミットと同時に二つの声がオレの動きを止めた。
「カグさん!」
見なくても分かる、その声の主は駆け寄りざまオレの腕を掴み、そのまま動きを止める。
視線の先には、テーピングを盛り上げるように僅かに盛り上がっている肘。痛みによる熱と逸らされない視線が刺さる。
「……無理ですよ」
喉奥から唸るような声は、今にも泣きそうな顔から漏れた。
オレはそれをじっと見つめる。
「……これ以上無理したら……ッ」
もう片手が、壊れ物を触るようにゆっくり肘に伸ばされると、大して冷たくないだろうにその温度が心地良いと、ぼんやりと感じてしまう。
「榛名」
声を掛けただけなのに、泣き顔なんて見た事ないその表情が今にも泣きそうな顔でオレを見上げて来る。
……いや、分かっている。
強気なお前がそんな顔するのも、町田が後ろで何も言わずに立っている理由も。
でも。
その気持ちが分かるからこそ、込み上げて来るのは、喉を震わせたのは、笑い声で。
豆鉄砲を食らったような--今ではテレビで剛椀だ何だと囃立てられている、目の前の後輩と視線がかち合う。
「オレは、出る」
「かぐやま―……」
「オレは、エースだ」
ハッキリと。
最後とばかりに大きな声を上げる蝉の声に書き消されないように出した声は、地面に落ちていった。
「オレはな」
拾われない言葉を、掬い上げるようにもう一度声を出す。
「お前達と、一緒に戦いたいんだよ。……最後まで」
跳ねるように首を上げた榛名。
その口が開く前に聞こえて来たのは別の声だった。
「頑固者」
「ーー!」
宿舎裏口から届く光が少なくなったそこには、顔、顔、顔。大河が、涼音が、秋丸が。皆が、いた。
「……どうせ頑固だよ」
「ああ、頑固なエースだ」
返された言葉に揺らぎは無かった。
そのまま大きな歩幅で歩いて来ると、オレの前に立ち、榛名とオレを見る。
「頑固エースの後ろは気にしないで更に頑固なオレ達に任せろ」
その言葉に、笑っていた笑顔が張り付く。
「……繋いで下さい」
また絞り出すような声にハッと振り向けば、そこには。
あの鋭い目がオレを見つめていた。
泣きそうに見えた表情はそこには無い。
「オレが、後を引き継ぎます」
「カグヤンの後ろは、オレ達が球を転がせねー」
「榛名……大河……っ」
そこまで言ったのがやっとだった。
ミットで顔を覆う。
肘の熱より、隠した顔が、瞼が。熱くて堪らない。
「オレ達のエースは、お前だ」
力強い大河の声は、真っ直ぐオレに届く。
地面に落ちる言葉は、もう無い。

オレ達の最後の戦いは、もう、明日。
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