投稿日:2017年02月04日 20:47 文字数:4,909
【白桃】その手が全て繋いでくれた
ステキ数は非公開です
コメントを送りました
ステキ!を送りました
ステキ!を取り消しました
ブックマークに登録しました
ブックマークから削除しました
https://pictbland.net/items/detail/261614
https://pictbland.net/items/detail/261617
上記で省いた、ある夜のシーンの話です。話の流れ的に入れられなかったので別の形として上げさせてもらいました。宜しければ上記を読んでから目を通してみて頂ければと思いつつ。
話の内容的に緩いですがR-18のお話になります。
白桃に幸あれ!
そして表紙に使わせて頂いた要さんの元イラストの大きいのはこちらからご覧ください。
とても可愛いのです!
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=61276696
https://pictbland.net/items/detail/261617
上記で省いた、ある夜のシーンの話です。話の流れ的に入れられなかったので別の形として上げさせてもらいました。宜しければ上記を読んでから目を通してみて頂ければと思いつつ。
話の内容的に緩いですがR-18のお話になります。
白桃に幸あれ!
そして表紙に使わせて頂いた要さんの元イラストの大きいのはこちらからご覧ください。
とても可愛いのです!
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=61276696
| 1 / 1 |
春の陽気の部屋の中。夜になってもその気温は下がることなく、心地良い温度で辺りを包む。
その気温の中、その一室の中だけ温度が異なっていた。
微かに上がった温度と一緒に聞こえるのは少し荒くなった息遣い。衣摺れの音がしてはまた息遣いが被さり、吐かれた息の高い温度に部屋が、また一度。熱くなった。
* * *
始めは、手のひらから。
合わせた手のひらは重なって絡まり、慈しむように触れながら指同士が擦り合い絡まり、筋張った手としっかりとした肉厚の手が汗ばんでゆく。
その内に片手が外れ、筋張った手はしっかりとした首筋を指先と手のひらでなぞりながら鎖骨へと。手の汗が首筋に雫を残して弱い光灯りの中で光る。
「はくたく、さま」
抑えた声がその喉から発せられる。
筋張った指先が首筋から声を漏らした唇に触れた。
「良い、かな」
聞いた事のない温度のその声に掛けられた方はゆっくりと頷く。
その言葉に筋張った手をふっくらとした頬に当てた白澤は目を細め。桃太郎はゆっくりと目を閉じた。
* * *
触れ合う箇所がどこもかしこも燃えてしまっているのではないかと、理性の欠片で桃太郎は考える。
「っ、あっ」
時折漏れる声が自分のものと思えず、そして漏れた声に思わず唇を引き結ぶ。その唇も自分のものではない熱とぬめりがまだ残っていてそれだけで下腹部が熱くなる。
「声、抑えないで」
降りてきた声に息だけを吐く。目は閉じて開けない。開いても目眩を起こして開けていられなくなっている。その分、肌の触れ合いが妙に生々しく体の熱だけが上がっていくと桃太郎はまた息を吐いた。
「桃タロー君」
「っ……!」
次に聞こえてきたのは耳元だった。耳朶に触れているのが白澤の唇と分かった瞬間、吐息と一緒に聞こえてきた声に声が漏れそうになる。
「はくたく、さま」
「うん」
「耳、で、声は……っ!」
「じゃあちゃんと僕の言葉も聞いて」
「んっ、っあ……!」
硬い歯が柔らかな耳朶を噛み、桃太郎の身体が跳ねた。息がみっともなく上がっている。首筋を汗が落ちていくのがまざまざと感じる。
「僕の気持ちを知りたい、と言ってくれたのは君だよ。目を閉じて口を閉じていたら一方通行すぎるじゃ無いか」
柔らかさを纏った声が耳に届く。顔のすぐ側の温度が離れ、持ち上がったのを感じてる桃太郎はゆっくりと目を開けた。
天井の灯りを背に、白澤がそこに居る。桃太郎はその下に。両手は指先を絡めて布の上に投げ出され。
改めて今の現状に桃太郎はまた眩暈を起こしそうになる。
今、自分は。
白澤様の部屋で、白澤様のベッドで、白澤様に組み敷かれている。
想いを確かめ合った後、桃太郎からそう望んだ。望んだが一つ一つの衝撃が大きく、その都度にベッドの上にいるのに倒れそうだと桃太郎は息をまた吐くしか出来なかった。
「ちゃんと僕を見て。僕も心配になるだろう、そんな顔されたら」
「そんな顔……?」
白澤の上半身が動き、腹が重なり合う。繋がる熱にまた声が漏れそうになる。
「ほらまた。声を聞かせてって、僕は言ったよ」
「そう、なんですけど、あ、の……っ!」
「うん」
白澤の瞳は見た事のない色と熱で桃太郎を捉えている。自然と瞼が熱くなる気がして、桃太郎は何度か瞬きを繰り返した。
「触れ合って、るだけ、なのに、」
掠れた声が自分の口から漏れる。足を動かせば触れた白澤の太股に知らぬうちに息が上がる。
こんな熱の上がり方は知らない。触れただけでおかしくなりそうな体の重なり合いなんて知らない。まるで自分が生娘になったような体の状態に頭がぐらぐらとする。
「俺、もう、っはぁ…! 死、んでるのに」
白澤の特別になったのだと知りたいと感じたいと、ずっと夢にまで見てしまっていた、白澤に触れてもらうこと。それを今、本当に叶えられた今、想像していたよりも夢の中よりも、一人で夜中に苦しんでいた時よりも。何もかもがまるで初めて誰かと身体を繋げた時のように一つ一つに息が上がってしまう。
「――死に、そう、なんです」
桃太郎はそれだけ言うのが必死だった。
一糸纏わぬ姿で、あの白澤が自分に触れていて、自分も一糸纏わぬ姿で、とそれだけで胸が痛くなる。同時に自分の変化に驚く。本当に男相手にこんなことをするなど考えたこともなかった。身体を委ねるなど考えたこともなかった。
「だか、――んっ……!」
続けようとした言葉は落ちてきた唇に止められた。食むように白澤の唇は桃太郎のと重なり合い、静かな部屋に水音が響き、その音すらも桃太郎の頭を掻き乱す。何もかもが感じた事のない興奮をもたらしてくる。
「っは、はっ……!」
「……熱い、よね」
唇が離れると白澤から聞こえた声に桃太郎は思わず白澤を見る。瞬間、熱が一気に顔に集まる。
男の、顔。
白澤がその顔で桃太郎をじっと見つめている。
「僕もね、君と同じだよ。あまり余裕なんか無い。……こうすれば、わかるかな」
白澤がそう言って身体を動かす。少しずれて重なり合っていた身体が真っ直ぐに重なる。瞬間、桃太郎は思わず白澤を見つめていた。
下腹部で感じるのは自分以外の熱。
それは紛れも無い、目の前の、白澤の熱。白澤の自身が、確かに硬くなって熱を帯びて、桃太郎に触れている。
「白澤、さまの……」
思わず言葉にしようとして慌てて口を閉ざす。だが、触れ合っている自分もすでに硬くなっている。一度達してしまったせいで濡れて更に生々しく感じて眩暈がした。
あの、白澤が。男の自分に触れて口付けして、裸で重なり合って、その状況で興奮している。男の自分だから分かる。確かに、白澤の熱が自分に伝わる。嘘じゃ無い、本当に男相手に、自分に興奮してくれているのだと改めて身体中で感じる。
「うん、僕も君と同じだよ。僕も君をちゃんと体でも感じたい」
絡まっている手に力がこめられた。自然と桃太郎も手に力を入れる。汗ばむ手がその熱をまた伝えてくる。
「僕はね、何より君が僕を望んでくれたのが嬉しい」
桃太郎は白澤の言葉に瞬く。そんな言葉が白澤から出てくるなんて思わなかった。
「僕に触れてほしい、なんて。君の性格からしたらそれこそ。普通じゃ考えられない言葉だろ?」
白澤が身体を曲げてその唇で桃太郎の額に口付ける。それだけでまた桃太郎は息が上がる。
男である自分に誇りがある。白澤も桃太郎も男で、男だからこそ尊敬する部分がある。
その上で。桃太郎が確かに思ったのは、抱きたいではなく。白澤に、触れて欲しい、だった。
「……白澤様だから、そう、して、欲しくて」
「うん」
言葉がすらすらと出てこないのは合間に漏れる吐息が熱いからだ。お互いの身体は汗ばみ、それがまた生々しく感じる。
こんな姿を見せるのも、触れ合うのも、白澤だからだと。手の力を込めて伝えたいと唾を飲む。だが、言葉にするのが翻弄されつつある頭では出来なかった。どうにか伝わってくれと白澤を見上げる。
その白澤がまた動き、至近距離で瞳が合った。細められた瞳の奥に雄が見えると桃太郎は息を飲む。こんな顔を、この人は見せるのか。
「じゃあ、抑えないで。もっと素直になって。ここには僕と君しか居ない。大丈夫、だから――教えて」
「っは、あ、っあ!」
白澤の身体が動いたと思った瞬間、桃太郎の喉から高い声が溢れた。重なっていた熱い塊を白澤が擦り合わせられたのだと気がついた時には身体が飛び跳ねていた。
溶けそうだと思った。理性の欠片が無くなりそうで翻弄されそうで、その状態で閉じようとする桃太郎の唇を開けるように白澤な舌が上の歯をなぞっては離れ、糸を引きながら離れては繋がるのを繰り返す。その唇に桃太郎の口は開けっ放しになる。
「あっ、はぁっ、ん、あっ!」
「僕は嬉しい、気持ち良い……分かるよね」
「はく、たく、さまっ…!」
「うん」
だんだんと頭の中から言葉が消えて縋り付くので必死になる。
「お、れっ」
みっともなく嬌声混じりの声を漏らしながらも白澤の瞳をじっと見つめる。視線まで絡まって熱を帯びているようだと、視界がぼやける。
「――すき、で、す」
その言葉は桃太郎の最後の理性で伝えた言葉だった。桃太郎の視界で白澤が更にぼやけて、その頬を何か冷たいものが落ちる。
「うん、好きだ。僕も、君が、愛しい」
白澤の言葉が終わると同時にまた唇が重なった。
桃太郎の声を促すように舌が絡まり唇をなぞり、離れては身体同士が擦り合い、やがて白澤の片手が重なっていた手から離れ、桃太郎の身体に触れる。
胸を、腹を、なぞりながら手は下へと降りていく。
そこからもう言葉は要らなくなった。
*
ただ熱を与えて奪って。
全て重なろうと、繋がっていた手は互いの背に回り、掻き抱き。
それでいい、と聞こえた白澤の声に桃太郎は徐々に口を開いて声を上げる。
荒い息遣いと、汗ばむ身体がぶつかって絡まって繋がって。
初めて感じる痛みと、質量と熱は、桃太郎の脳を処理できなくしていく。
それでも伸ばした腕は目の前の白澤を引き寄せて。
聞いたことのない白澤から漏れる優しい声と、獣のような声と、自分から漏れる声に水音が混じる。
押し入るその熱が、自分の中に割り入っていくその感覚に喉が反っていく。
白澤にしがみ付きながら、腹の奥で伝わる熱にまた息を吐く。
男の俺の身体で、この身体の中で。
白澤の熱が自分の中に、あること。
それが熱を持って自分の中に居てくれる事。
荒い息遣いも
溢れてくる汗も
今、白澤様は、俺と一つになっているのだと。
それを感じて涙と共に身体中が震えた。
腹の奥に感じる初めての白澤の熱に桃太郎はただ、白澤にしがみつくことしか出来なかった。
しがみつきながらまた零れた涙は痛みからではなく。腹の奥に感じる、体中で感じる相手の熱を感じたからだった。
* * * *
桃太郎が目を覚ますとまだ夜は明けていなかった。薄っすらと明るい光を薄闇の中で少しだけ感じる。もうすぐ陽が昇る頃だろうか。
身動ぎすると、感じた事の無い箇所の痛みと倦怠感に思わず歯を食い縛る。しかし同時に、胸の奥の高揚感におかしくなりそうだと桃太郎は感じた。
身体を傾けると、隣には白澤の姿。身じろいだ桃太郎に気がついたのか、薄っすらとその瞳が開いた。
「……大丈夫?」
桃太郎が声を掛けるよりも先に出てきた白澤の言葉。
それが何を意味するか、一瞬間を置いて気がついた桃太郎は咄嗟に首を縦に動かす。
白澤の片手が伸びて桃太郎に触れた。その手は頬を撫でる。すると桃太郎自身にも髭の感触が伝わった。
「おお、立派な髭だ」
「……どうも」
どう 答えて良いかわからず桃太郎がそれだけ返すと白澤は小さく笑った。そしてまた生えかけの桃太郎の髭を触る。
「君の朝の姿をこうして見るの初めてだね」
「……ですね」
ハッキリとした意識の中で、改めて白澤が自分を意識して触れていることが分かって桃太郎はまた身体を動かす。簡単に身体の奥の熱に流されてしまいそうになる。
「ちゃんと覚えてる?君が言葉にしてくれたこと」
「え」
白澤の言葉に桃太郎は視線を白澤に向ける。瞳を細めてどこか嬉しそうな表情に顔に熱が集まっていく。
「え、と。その、」
「ちゃんと、好きって言ってくれた」
改めて言われた言葉に桃太郎は思わず視線を外して縮こまって行く。
「……今の君の気持ちは?」
頭に触れた感触。頬に触れている手とは別に、もう片手が桃太郎の髪の毛に触れ、そして撫でられる。その優しい動きに桃太郎の肩から力が抜けて行った。
「……これも、好きの、形の一つなんだと、分かりました」
そう言って視線を上げる。桃太郎はゆっくりと白澤の頬に触れた。
「俺、白澤様が好きです」
「うん、僕もだ」
すぐに返された白澤の言葉は桃太郎の直ぐ近くで聞こえた。
桃太郎は次の言葉を紡ぐ前に。その唇に白澤の唇が重なっていた。
その気温の中、その一室の中だけ温度が異なっていた。
微かに上がった温度と一緒に聞こえるのは少し荒くなった息遣い。衣摺れの音がしてはまた息遣いが被さり、吐かれた息の高い温度に部屋が、また一度。熱くなった。
* * *
始めは、手のひらから。
合わせた手のひらは重なって絡まり、慈しむように触れながら指同士が擦り合い絡まり、筋張った手としっかりとした肉厚の手が汗ばんでゆく。
その内に片手が外れ、筋張った手はしっかりとした首筋を指先と手のひらでなぞりながら鎖骨へと。手の汗が首筋に雫を残して弱い光灯りの中で光る。
「はくたく、さま」
抑えた声がその喉から発せられる。
筋張った指先が首筋から声を漏らした唇に触れた。
「良い、かな」
聞いた事のない温度のその声に掛けられた方はゆっくりと頷く。
その言葉に筋張った手をふっくらとした頬に当てた白澤は目を細め。桃太郎はゆっくりと目を閉じた。
* * *
触れ合う箇所がどこもかしこも燃えてしまっているのではないかと、理性の欠片で桃太郎は考える。
「っ、あっ」
時折漏れる声が自分のものと思えず、そして漏れた声に思わず唇を引き結ぶ。その唇も自分のものではない熱とぬめりがまだ残っていてそれだけで下腹部が熱くなる。
「声、抑えないで」
降りてきた声に息だけを吐く。目は閉じて開けない。開いても目眩を起こして開けていられなくなっている。その分、肌の触れ合いが妙に生々しく体の熱だけが上がっていくと桃太郎はまた息を吐いた。
「桃タロー君」
「っ……!」
次に聞こえてきたのは耳元だった。耳朶に触れているのが白澤の唇と分かった瞬間、吐息と一緒に聞こえてきた声に声が漏れそうになる。
「はくたく、さま」
「うん」
「耳、で、声は……っ!」
「じゃあちゃんと僕の言葉も聞いて」
「んっ、っあ……!」
硬い歯が柔らかな耳朶を噛み、桃太郎の身体が跳ねた。息がみっともなく上がっている。首筋を汗が落ちていくのがまざまざと感じる。
「僕の気持ちを知りたい、と言ってくれたのは君だよ。目を閉じて口を閉じていたら一方通行すぎるじゃ無いか」
柔らかさを纏った声が耳に届く。顔のすぐ側の温度が離れ、持ち上がったのを感じてる桃太郎はゆっくりと目を開けた。
天井の灯りを背に、白澤がそこに居る。桃太郎はその下に。両手は指先を絡めて布の上に投げ出され。
改めて今の現状に桃太郎はまた眩暈を起こしそうになる。
今、自分は。
白澤様の部屋で、白澤様のベッドで、白澤様に組み敷かれている。
想いを確かめ合った後、桃太郎からそう望んだ。望んだが一つ一つの衝撃が大きく、その都度にベッドの上にいるのに倒れそうだと桃太郎は息をまた吐くしか出来なかった。
「ちゃんと僕を見て。僕も心配になるだろう、そんな顔されたら」
「そんな顔……?」
白澤の上半身が動き、腹が重なり合う。繋がる熱にまた声が漏れそうになる。
「ほらまた。声を聞かせてって、僕は言ったよ」
「そう、なんですけど、あ、の……っ!」
「うん」
白澤の瞳は見た事のない色と熱で桃太郎を捉えている。自然と瞼が熱くなる気がして、桃太郎は何度か瞬きを繰り返した。
「触れ合って、るだけ、なのに、」
掠れた声が自分の口から漏れる。足を動かせば触れた白澤の太股に知らぬうちに息が上がる。
こんな熱の上がり方は知らない。触れただけでおかしくなりそうな体の重なり合いなんて知らない。まるで自分が生娘になったような体の状態に頭がぐらぐらとする。
「俺、もう、っはぁ…! 死、んでるのに」
白澤の特別になったのだと知りたいと感じたいと、ずっと夢にまで見てしまっていた、白澤に触れてもらうこと。それを今、本当に叶えられた今、想像していたよりも夢の中よりも、一人で夜中に苦しんでいた時よりも。何もかもがまるで初めて誰かと身体を繋げた時のように一つ一つに息が上がってしまう。
「――死に、そう、なんです」
桃太郎はそれだけ言うのが必死だった。
一糸纏わぬ姿で、あの白澤が自分に触れていて、自分も一糸纏わぬ姿で、とそれだけで胸が痛くなる。同時に自分の変化に驚く。本当に男相手にこんなことをするなど考えたこともなかった。身体を委ねるなど考えたこともなかった。
「だか、――んっ……!」
続けようとした言葉は落ちてきた唇に止められた。食むように白澤の唇は桃太郎のと重なり合い、静かな部屋に水音が響き、その音すらも桃太郎の頭を掻き乱す。何もかもが感じた事のない興奮をもたらしてくる。
「っは、はっ……!」
「……熱い、よね」
唇が離れると白澤から聞こえた声に桃太郎は思わず白澤を見る。瞬間、熱が一気に顔に集まる。
男の、顔。
白澤がその顔で桃太郎をじっと見つめている。
「僕もね、君と同じだよ。あまり余裕なんか無い。……こうすれば、わかるかな」
白澤がそう言って身体を動かす。少しずれて重なり合っていた身体が真っ直ぐに重なる。瞬間、桃太郎は思わず白澤を見つめていた。
下腹部で感じるのは自分以外の熱。
それは紛れも無い、目の前の、白澤の熱。白澤の自身が、確かに硬くなって熱を帯びて、桃太郎に触れている。
「白澤、さまの……」
思わず言葉にしようとして慌てて口を閉ざす。だが、触れ合っている自分もすでに硬くなっている。一度達してしまったせいで濡れて更に生々しく感じて眩暈がした。
あの、白澤が。男の自分に触れて口付けして、裸で重なり合って、その状況で興奮している。男の自分だから分かる。確かに、白澤の熱が自分に伝わる。嘘じゃ無い、本当に男相手に、自分に興奮してくれているのだと改めて身体中で感じる。
「うん、僕も君と同じだよ。僕も君をちゃんと体でも感じたい」
絡まっている手に力がこめられた。自然と桃太郎も手に力を入れる。汗ばむ手がその熱をまた伝えてくる。
「僕はね、何より君が僕を望んでくれたのが嬉しい」
桃太郎は白澤の言葉に瞬く。そんな言葉が白澤から出てくるなんて思わなかった。
「僕に触れてほしい、なんて。君の性格からしたらそれこそ。普通じゃ考えられない言葉だろ?」
白澤が身体を曲げてその唇で桃太郎の額に口付ける。それだけでまた桃太郎は息が上がる。
男である自分に誇りがある。白澤も桃太郎も男で、男だからこそ尊敬する部分がある。
その上で。桃太郎が確かに思ったのは、抱きたいではなく。白澤に、触れて欲しい、だった。
「……白澤様だから、そう、して、欲しくて」
「うん」
言葉がすらすらと出てこないのは合間に漏れる吐息が熱いからだ。お互いの身体は汗ばみ、それがまた生々しく感じる。
こんな姿を見せるのも、触れ合うのも、白澤だからだと。手の力を込めて伝えたいと唾を飲む。だが、言葉にするのが翻弄されつつある頭では出来なかった。どうにか伝わってくれと白澤を見上げる。
その白澤がまた動き、至近距離で瞳が合った。細められた瞳の奥に雄が見えると桃太郎は息を飲む。こんな顔を、この人は見せるのか。
「じゃあ、抑えないで。もっと素直になって。ここには僕と君しか居ない。大丈夫、だから――教えて」
「っは、あ、っあ!」
白澤の身体が動いたと思った瞬間、桃太郎の喉から高い声が溢れた。重なっていた熱い塊を白澤が擦り合わせられたのだと気がついた時には身体が飛び跳ねていた。
溶けそうだと思った。理性の欠片が無くなりそうで翻弄されそうで、その状態で閉じようとする桃太郎の唇を開けるように白澤な舌が上の歯をなぞっては離れ、糸を引きながら離れては繋がるのを繰り返す。その唇に桃太郎の口は開けっ放しになる。
「あっ、はぁっ、ん、あっ!」
「僕は嬉しい、気持ち良い……分かるよね」
「はく、たく、さまっ…!」
「うん」
だんだんと頭の中から言葉が消えて縋り付くので必死になる。
「お、れっ」
みっともなく嬌声混じりの声を漏らしながらも白澤の瞳をじっと見つめる。視線まで絡まって熱を帯びているようだと、視界がぼやける。
「――すき、で、す」
その言葉は桃太郎の最後の理性で伝えた言葉だった。桃太郎の視界で白澤が更にぼやけて、その頬を何か冷たいものが落ちる。
「うん、好きだ。僕も、君が、愛しい」
白澤の言葉が終わると同時にまた唇が重なった。
桃太郎の声を促すように舌が絡まり唇をなぞり、離れては身体同士が擦り合い、やがて白澤の片手が重なっていた手から離れ、桃太郎の身体に触れる。
胸を、腹を、なぞりながら手は下へと降りていく。
そこからもう言葉は要らなくなった。
*
ただ熱を与えて奪って。
全て重なろうと、繋がっていた手は互いの背に回り、掻き抱き。
それでいい、と聞こえた白澤の声に桃太郎は徐々に口を開いて声を上げる。
荒い息遣いと、汗ばむ身体がぶつかって絡まって繋がって。
初めて感じる痛みと、質量と熱は、桃太郎の脳を処理できなくしていく。
それでも伸ばした腕は目の前の白澤を引き寄せて。
聞いたことのない白澤から漏れる優しい声と、獣のような声と、自分から漏れる声に水音が混じる。
押し入るその熱が、自分の中に割り入っていくその感覚に喉が反っていく。
白澤にしがみ付きながら、腹の奥で伝わる熱にまた息を吐く。
男の俺の身体で、この身体の中で。
白澤の熱が自分の中に、あること。
それが熱を持って自分の中に居てくれる事。
荒い息遣いも
溢れてくる汗も
今、白澤様は、俺と一つになっているのだと。
それを感じて涙と共に身体中が震えた。
腹の奥に感じる初めての白澤の熱に桃太郎はただ、白澤にしがみつくことしか出来なかった。
しがみつきながらまた零れた涙は痛みからではなく。腹の奥に感じる、体中で感じる相手の熱を感じたからだった。
* * * *
桃太郎が目を覚ますとまだ夜は明けていなかった。薄っすらと明るい光を薄闇の中で少しだけ感じる。もうすぐ陽が昇る頃だろうか。
身動ぎすると、感じた事の無い箇所の痛みと倦怠感に思わず歯を食い縛る。しかし同時に、胸の奥の高揚感におかしくなりそうだと桃太郎は感じた。
身体を傾けると、隣には白澤の姿。身じろいだ桃太郎に気がついたのか、薄っすらとその瞳が開いた。
「……大丈夫?」
桃太郎が声を掛けるよりも先に出てきた白澤の言葉。
それが何を意味するか、一瞬間を置いて気がついた桃太郎は咄嗟に首を縦に動かす。
白澤の片手が伸びて桃太郎に触れた。その手は頬を撫でる。すると桃太郎自身にも髭の感触が伝わった。
「おお、立派な髭だ」
「……どうも」
どう 答えて良いかわからず桃太郎がそれだけ返すと白澤は小さく笑った。そしてまた生えかけの桃太郎の髭を触る。
「君の朝の姿をこうして見るの初めてだね」
「……ですね」
ハッキリとした意識の中で、改めて白澤が自分を意識して触れていることが分かって桃太郎はまた身体を動かす。簡単に身体の奥の熱に流されてしまいそうになる。
「ちゃんと覚えてる?君が言葉にしてくれたこと」
「え」
白澤の言葉に桃太郎は視線を白澤に向ける。瞳を細めてどこか嬉しそうな表情に顔に熱が集まっていく。
「え、と。その、」
「ちゃんと、好きって言ってくれた」
改めて言われた言葉に桃太郎は思わず視線を外して縮こまって行く。
「……今の君の気持ちは?」
頭に触れた感触。頬に触れている手とは別に、もう片手が桃太郎の髪の毛に触れ、そして撫でられる。その優しい動きに桃太郎の肩から力が抜けて行った。
「……これも、好きの、形の一つなんだと、分かりました」
そう言って視線を上げる。桃太郎はゆっくりと白澤の頬に触れた。
「俺、白澤様が好きです」
「うん、僕もだ」
すぐに返された白澤の言葉は桃太郎の直ぐ近くで聞こえた。
桃太郎は次の言葉を紡ぐ前に。その唇に白澤の唇が重なっていた。
| 1 / 1 |
この作品を運営事務局に報告する
コメントを送りました
ステキ!を送りました
ステキ!を取り消しました
ブックマークに登録しました
ブックマークから削除しました
この作品に関連のあるpictSQUAREのイベント
-
2026年07月20日 00:00〜23:50受付中みんなのイチ推し!ポケ祭り二次創作、オールジャンル、R18不可、展示のみOK、当日不在OKサークル参加受付期間0 / 10sp
05月10日 00:00 〜 07月18日 00:00
2026年07月20日 00:00〜23:50受付中みんなのイチ推し!ポケ祭り二次創作 ポケモン オールジャンル R18不可 展示のみOK 当日不在OKサークル参加受付期間0 / 10sp
05月10日 00:00 〜 07月15日 00:00閲覧制限が掛かった作品です
この作品は投稿者から閲覧制限が掛けられています。性的な描写やグロテスクな表現などがある可能性がありますが閲覧しますか?
閲覧する際は、キーワードタグや作品の説明をよくご確認頂き、閲覧して下さい。
【白桃】その手が全て繋いでくれた
鬼灯の冷徹 白澤×桃太郎 白桃 R18https://pictbland.net/items/detail/261614
https://pictbland.net/items/detail/261617
上記で省いた、ある夜のシーンの話です。話の流れ的に入れられなかったので別の形として上げさせてもらいました。宜しければ上記を読んでから目を通してみて頂ければと思いつつ。
話の内容的に緩いですがR-18のお話になります。
白桃に幸あれ!
そして表紙に使わせて頂いた要さんの元イラストの大きいのはこちらからご覧ください。
とても可愛いのです!
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=61276696
【白桃】その手が全て繋いでくれた
| 1 / 1 |
春の陽気の部屋の中。夜になってもその気温は下がることなく、心地良い温度で辺りを包む。
その気温の中、その一室の中だけ温度が異なっていた。
微かに上がった温度と一緒に聞こえるのは少し荒くなった息遣い。衣摺れの音がしてはまた息遣いが被さり、吐かれた息の高い温度に部屋が、また一度。熱くなった。
* * *
始めは、手のひらから。
合わせた手のひらは重なって絡まり、慈しむように触れながら指同士が擦り合い絡まり、筋張った手としっかりとした肉厚の手が汗ばんでゆく。
その内に片手が外れ、筋張った手はしっかりとした首筋を指先と手のひらでなぞりながら鎖骨へと。手の汗が首筋に雫を残して弱い光灯りの中で光る。
「はくたく、さま」
抑えた声がその喉から発せられる。
筋張った指先が首筋から声を漏らした唇に触れた。
「良い、かな」
聞いた事のない温度のその声に掛けられた方はゆっくりと頷く。
その言葉に筋張った手をふっくらとした頬に当てた白澤は目を細め。桃太郎はゆっくりと目を閉じた。
* * *
触れ合う箇所がどこもかしこも燃えてしまっているのではないかと、理性の欠片で桃太郎は考える。
「っ、あっ」
時折漏れる声が自分のものと思えず、そして漏れた声に思わず唇を引き結ぶ。その唇も自分のものではない熱とぬめりがまだ残っていてそれだけで下腹部が熱くなる。
「声、抑えないで」
降りてきた声に息だけを吐く。目は閉じて開けない。開いても目眩を起こして開けていられなくなっている。その分、肌の触れ合いが妙に生々しく体の熱だけが上がっていくと桃太郎はまた息を吐いた。
「桃タロー君」
「っ……!」
次に聞こえてきたのは耳元だった。耳朶に触れているのが白澤の唇と分かった瞬間、吐息と一緒に聞こえてきた声に声が漏れそうになる。
「はくたく、さま」
「うん」
「耳、で、声は……っ!」
「じゃあちゃんと僕の言葉も聞いて」
「んっ、っあ……!」
硬い歯が柔らかな耳朶を噛み、桃太郎の身体が跳ねた。息がみっともなく上がっている。首筋を汗が落ちていくのがまざまざと感じる。
「僕の気持ちを知りたい、と言ってくれたのは君だよ。目を閉じて口を閉じていたら一方通行すぎるじゃ無いか」
柔らかさを纏った声が耳に届く。顔のすぐ側の温度が離れ、持ち上がったのを感じてる桃太郎はゆっくりと目を開けた。
天井の灯りを背に、白澤がそこに居る。桃太郎はその下に。両手は指先を絡めて布の上に投げ出され。
改めて今の現状に桃太郎はまた眩暈を起こしそうになる。
今、自分は。
白澤様の部屋で、白澤様のベッドで、白澤様に組み敷かれている。
想いを確かめ合った後、桃太郎からそう望んだ。望んだが一つ一つの衝撃が大きく、その都度にベッドの上にいるのに倒れそうだと桃太郎は息をまた吐くしか出来なかった。
「ちゃんと僕を見て。僕も心配になるだろう、そんな顔されたら」
「そんな顔……?」
白澤の上半身が動き、腹が重なり合う。繋がる熱にまた声が漏れそうになる。
「ほらまた。声を聞かせてって、僕は言ったよ」
「そう、なんですけど、あ、の……っ!」
「うん」
白澤の瞳は見た事のない色と熱で桃太郎を捉えている。自然と瞼が熱くなる気がして、桃太郎は何度か瞬きを繰り返した。
「触れ合って、るだけ、なのに、」
掠れた声が自分の口から漏れる。足を動かせば触れた白澤の太股に知らぬうちに息が上がる。
こんな熱の上がり方は知らない。触れただけでおかしくなりそうな体の重なり合いなんて知らない。まるで自分が生娘になったような体の状態に頭がぐらぐらとする。
「俺、もう、っはぁ…! 死、んでるのに」
白澤の特別になったのだと知りたいと感じたいと、ずっと夢にまで見てしまっていた、白澤に触れてもらうこと。それを今、本当に叶えられた今、想像していたよりも夢の中よりも、一人で夜中に苦しんでいた時よりも。何もかもがまるで初めて誰かと身体を繋げた時のように一つ一つに息が上がってしまう。
「――死に、そう、なんです」
桃太郎はそれだけ言うのが必死だった。
一糸纏わぬ姿で、あの白澤が自分に触れていて、自分も一糸纏わぬ姿で、とそれだけで胸が痛くなる。同時に自分の変化に驚く。本当に男相手にこんなことをするなど考えたこともなかった。身体を委ねるなど考えたこともなかった。
「だか、――んっ……!」
続けようとした言葉は落ちてきた唇に止められた。食むように白澤の唇は桃太郎のと重なり合い、静かな部屋に水音が響き、その音すらも桃太郎の頭を掻き乱す。何もかもが感じた事のない興奮をもたらしてくる。
「っは、はっ……!」
「……熱い、よね」
唇が離れると白澤から聞こえた声に桃太郎は思わず白澤を見る。瞬間、熱が一気に顔に集まる。
男の、顔。
白澤がその顔で桃太郎をじっと見つめている。
「僕もね、君と同じだよ。あまり余裕なんか無い。……こうすれば、わかるかな」
白澤がそう言って身体を動かす。少しずれて重なり合っていた身体が真っ直ぐに重なる。瞬間、桃太郎は思わず白澤を見つめていた。
下腹部で感じるのは自分以外の熱。
それは紛れも無い、目の前の、白澤の熱。白澤の自身が、確かに硬くなって熱を帯びて、桃太郎に触れている。
「白澤、さまの……」
思わず言葉にしようとして慌てて口を閉ざす。だが、触れ合っている自分もすでに硬くなっている。一度達してしまったせいで濡れて更に生々しく感じて眩暈がした。
あの、白澤が。男の自分に触れて口付けして、裸で重なり合って、その状況で興奮している。男の自分だから分かる。確かに、白澤の熱が自分に伝わる。嘘じゃ無い、本当に男相手に、自分に興奮してくれているのだと改めて身体中で感じる。
「うん、僕も君と同じだよ。僕も君をちゃんと体でも感じたい」
絡まっている手に力がこめられた。自然と桃太郎も手に力を入れる。汗ばむ手がその熱をまた伝えてくる。
「僕はね、何より君が僕を望んでくれたのが嬉しい」
桃太郎は白澤の言葉に瞬く。そんな言葉が白澤から出てくるなんて思わなかった。
「僕に触れてほしい、なんて。君の性格からしたらそれこそ。普通じゃ考えられない言葉だろ?」
白澤が身体を曲げてその唇で桃太郎の額に口付ける。それだけでまた桃太郎は息が上がる。
男である自分に誇りがある。白澤も桃太郎も男で、男だからこそ尊敬する部分がある。
その上で。桃太郎が確かに思ったのは、抱きたいではなく。白澤に、触れて欲しい、だった。
「……白澤様だから、そう、して、欲しくて」
「うん」
言葉がすらすらと出てこないのは合間に漏れる吐息が熱いからだ。お互いの身体は汗ばみ、それがまた生々しく感じる。
こんな姿を見せるのも、触れ合うのも、白澤だからだと。手の力を込めて伝えたいと唾を飲む。だが、言葉にするのが翻弄されつつある頭では出来なかった。どうにか伝わってくれと白澤を見上げる。
その白澤がまた動き、至近距離で瞳が合った。細められた瞳の奥に雄が見えると桃太郎は息を飲む。こんな顔を、この人は見せるのか。
「じゃあ、抑えないで。もっと素直になって。ここには僕と君しか居ない。大丈夫、だから――教えて」
「っは、あ、っあ!」
白澤の身体が動いたと思った瞬間、桃太郎の喉から高い声が溢れた。重なっていた熱い塊を白澤が擦り合わせられたのだと気がついた時には身体が飛び跳ねていた。
溶けそうだと思った。理性の欠片が無くなりそうで翻弄されそうで、その状態で閉じようとする桃太郎の唇を開けるように白澤な舌が上の歯をなぞっては離れ、糸を引きながら離れては繋がるのを繰り返す。その唇に桃太郎の口は開けっ放しになる。
「あっ、はぁっ、ん、あっ!」
「僕は嬉しい、気持ち良い……分かるよね」
「はく、たく、さまっ…!」
「うん」
だんだんと頭の中から言葉が消えて縋り付くので必死になる。
「お、れっ」
みっともなく嬌声混じりの声を漏らしながらも白澤の瞳をじっと見つめる。視線まで絡まって熱を帯びているようだと、視界がぼやける。
「――すき、で、す」
その言葉は桃太郎の最後の理性で伝えた言葉だった。桃太郎の視界で白澤が更にぼやけて、その頬を何か冷たいものが落ちる。
「うん、好きだ。僕も、君が、愛しい」
白澤の言葉が終わると同時にまた唇が重なった。
桃太郎の声を促すように舌が絡まり唇をなぞり、離れては身体同士が擦り合い、やがて白澤の片手が重なっていた手から離れ、桃太郎の身体に触れる。
胸を、腹を、なぞりながら手は下へと降りていく。
そこからもう言葉は要らなくなった。
*
ただ熱を与えて奪って。
全て重なろうと、繋がっていた手は互いの背に回り、掻き抱き。
それでいい、と聞こえた白澤の声に桃太郎は徐々に口を開いて声を上げる。
荒い息遣いと、汗ばむ身体がぶつかって絡まって繋がって。
初めて感じる痛みと、質量と熱は、桃太郎の脳を処理できなくしていく。
それでも伸ばした腕は目の前の白澤を引き寄せて。
聞いたことのない白澤から漏れる優しい声と、獣のような声と、自分から漏れる声に水音が混じる。
押し入るその熱が、自分の中に割り入っていくその感覚に喉が反っていく。
白澤にしがみ付きながら、腹の奥で伝わる熱にまた息を吐く。
男の俺の身体で、この身体の中で。
白澤の熱が自分の中に、あること。
それが熱を持って自分の中に居てくれる事。
荒い息遣いも
溢れてくる汗も
今、白澤様は、俺と一つになっているのだと。
それを感じて涙と共に身体中が震えた。
腹の奥に感じる初めての白澤の熱に桃太郎はただ、白澤にしがみつくことしか出来なかった。
しがみつきながらまた零れた涙は痛みからではなく。腹の奥に感じる、体中で感じる相手の熱を感じたからだった。
* * * *
桃太郎が目を覚ますとまだ夜は明けていなかった。薄っすらと明るい光を薄闇の中で少しだけ感じる。もうすぐ陽が昇る頃だろうか。
身動ぎすると、感じた事の無い箇所の痛みと倦怠感に思わず歯を食い縛る。しかし同時に、胸の奥の高揚感におかしくなりそうだと桃太郎は感じた。
身体を傾けると、隣には白澤の姿。身じろいだ桃太郎に気がついたのか、薄っすらとその瞳が開いた。
「……大丈夫?」
桃太郎が声を掛けるよりも先に出てきた白澤の言葉。
それが何を意味するか、一瞬間を置いて気がついた桃太郎は咄嗟に首を縦に動かす。
白澤の片手が伸びて桃太郎に触れた。その手は頬を撫でる。すると桃太郎自身にも髭の感触が伝わった。
「おお、立派な髭だ」
「……どうも」
どう 答えて良いかわからず桃太郎がそれだけ返すと白澤は小さく笑った。そしてまた生えかけの桃太郎の髭を触る。
「君の朝の姿をこうして見るの初めてだね」
「……ですね」
ハッキリとした意識の中で、改めて白澤が自分を意識して触れていることが分かって桃太郎はまた身体を動かす。簡単に身体の奥の熱に流されてしまいそうになる。
「ちゃんと覚えてる?君が言葉にしてくれたこと」
「え」
白澤の言葉に桃太郎は視線を白澤に向ける。瞳を細めてどこか嬉しそうな表情に顔に熱が集まっていく。
「え、と。その、」
「ちゃんと、好きって言ってくれた」
改めて言われた言葉に桃太郎は思わず視線を外して縮こまって行く。
「……今の君の気持ちは?」
頭に触れた感触。頬に触れている手とは別に、もう片手が桃太郎の髪の毛に触れ、そして撫でられる。その優しい動きに桃太郎の肩から力が抜けて行った。
「……これも、好きの、形の一つなんだと、分かりました」
そう言って視線を上げる。桃太郎はゆっくりと白澤の頬に触れた。
「俺、白澤様が好きです」
「うん、僕もだ」
すぐに返された白澤の言葉は桃太郎の直ぐ近くで聞こえた。
桃太郎は次の言葉を紡ぐ前に。その唇に白澤の唇が重なっていた。
その気温の中、その一室の中だけ温度が異なっていた。
微かに上がった温度と一緒に聞こえるのは少し荒くなった息遣い。衣摺れの音がしてはまた息遣いが被さり、吐かれた息の高い温度に部屋が、また一度。熱くなった。
* * *
始めは、手のひらから。
合わせた手のひらは重なって絡まり、慈しむように触れながら指同士が擦り合い絡まり、筋張った手としっかりとした肉厚の手が汗ばんでゆく。
その内に片手が外れ、筋張った手はしっかりとした首筋を指先と手のひらでなぞりながら鎖骨へと。手の汗が首筋に雫を残して弱い光灯りの中で光る。
「はくたく、さま」
抑えた声がその喉から発せられる。
筋張った指先が首筋から声を漏らした唇に触れた。
「良い、かな」
聞いた事のない温度のその声に掛けられた方はゆっくりと頷く。
その言葉に筋張った手をふっくらとした頬に当てた白澤は目を細め。桃太郎はゆっくりと目を閉じた。
* * *
触れ合う箇所がどこもかしこも燃えてしまっているのではないかと、理性の欠片で桃太郎は考える。
「っ、あっ」
時折漏れる声が自分のものと思えず、そして漏れた声に思わず唇を引き結ぶ。その唇も自分のものではない熱とぬめりがまだ残っていてそれだけで下腹部が熱くなる。
「声、抑えないで」
降りてきた声に息だけを吐く。目は閉じて開けない。開いても目眩を起こして開けていられなくなっている。その分、肌の触れ合いが妙に生々しく体の熱だけが上がっていくと桃太郎はまた息を吐いた。
「桃タロー君」
「っ……!」
次に聞こえてきたのは耳元だった。耳朶に触れているのが白澤の唇と分かった瞬間、吐息と一緒に聞こえてきた声に声が漏れそうになる。
「はくたく、さま」
「うん」
「耳、で、声は……っ!」
「じゃあちゃんと僕の言葉も聞いて」
「んっ、っあ……!」
硬い歯が柔らかな耳朶を噛み、桃太郎の身体が跳ねた。息がみっともなく上がっている。首筋を汗が落ちていくのがまざまざと感じる。
「僕の気持ちを知りたい、と言ってくれたのは君だよ。目を閉じて口を閉じていたら一方通行すぎるじゃ無いか」
柔らかさを纏った声が耳に届く。顔のすぐ側の温度が離れ、持ち上がったのを感じてる桃太郎はゆっくりと目を開けた。
天井の灯りを背に、白澤がそこに居る。桃太郎はその下に。両手は指先を絡めて布の上に投げ出され。
改めて今の現状に桃太郎はまた眩暈を起こしそうになる。
今、自分は。
白澤様の部屋で、白澤様のベッドで、白澤様に組み敷かれている。
想いを確かめ合った後、桃太郎からそう望んだ。望んだが一つ一つの衝撃が大きく、その都度にベッドの上にいるのに倒れそうだと桃太郎は息をまた吐くしか出来なかった。
「ちゃんと僕を見て。僕も心配になるだろう、そんな顔されたら」
「そんな顔……?」
白澤の上半身が動き、腹が重なり合う。繋がる熱にまた声が漏れそうになる。
「ほらまた。声を聞かせてって、僕は言ったよ」
「そう、なんですけど、あ、の……っ!」
「うん」
白澤の瞳は見た事のない色と熱で桃太郎を捉えている。自然と瞼が熱くなる気がして、桃太郎は何度か瞬きを繰り返した。
「触れ合って、るだけ、なのに、」
掠れた声が自分の口から漏れる。足を動かせば触れた白澤の太股に知らぬうちに息が上がる。
こんな熱の上がり方は知らない。触れただけでおかしくなりそうな体の重なり合いなんて知らない。まるで自分が生娘になったような体の状態に頭がぐらぐらとする。
「俺、もう、っはぁ…! 死、んでるのに」
白澤の特別になったのだと知りたいと感じたいと、ずっと夢にまで見てしまっていた、白澤に触れてもらうこと。それを今、本当に叶えられた今、想像していたよりも夢の中よりも、一人で夜中に苦しんでいた時よりも。何もかもがまるで初めて誰かと身体を繋げた時のように一つ一つに息が上がってしまう。
「――死に、そう、なんです」
桃太郎はそれだけ言うのが必死だった。
一糸纏わぬ姿で、あの白澤が自分に触れていて、自分も一糸纏わぬ姿で、とそれだけで胸が痛くなる。同時に自分の変化に驚く。本当に男相手にこんなことをするなど考えたこともなかった。身体を委ねるなど考えたこともなかった。
「だか、――んっ……!」
続けようとした言葉は落ちてきた唇に止められた。食むように白澤の唇は桃太郎のと重なり合い、静かな部屋に水音が響き、その音すらも桃太郎の頭を掻き乱す。何もかもが感じた事のない興奮をもたらしてくる。
「っは、はっ……!」
「……熱い、よね」
唇が離れると白澤から聞こえた声に桃太郎は思わず白澤を見る。瞬間、熱が一気に顔に集まる。
男の、顔。
白澤がその顔で桃太郎をじっと見つめている。
「僕もね、君と同じだよ。あまり余裕なんか無い。……こうすれば、わかるかな」
白澤がそう言って身体を動かす。少しずれて重なり合っていた身体が真っ直ぐに重なる。瞬間、桃太郎は思わず白澤を見つめていた。
下腹部で感じるのは自分以外の熱。
それは紛れも無い、目の前の、白澤の熱。白澤の自身が、確かに硬くなって熱を帯びて、桃太郎に触れている。
「白澤、さまの……」
思わず言葉にしようとして慌てて口を閉ざす。だが、触れ合っている自分もすでに硬くなっている。一度達してしまったせいで濡れて更に生々しく感じて眩暈がした。
あの、白澤が。男の自分に触れて口付けして、裸で重なり合って、その状況で興奮している。男の自分だから分かる。確かに、白澤の熱が自分に伝わる。嘘じゃ無い、本当に男相手に、自分に興奮してくれているのだと改めて身体中で感じる。
「うん、僕も君と同じだよ。僕も君をちゃんと体でも感じたい」
絡まっている手に力がこめられた。自然と桃太郎も手に力を入れる。汗ばむ手がその熱をまた伝えてくる。
「僕はね、何より君が僕を望んでくれたのが嬉しい」
桃太郎は白澤の言葉に瞬く。そんな言葉が白澤から出てくるなんて思わなかった。
「僕に触れてほしい、なんて。君の性格からしたらそれこそ。普通じゃ考えられない言葉だろ?」
白澤が身体を曲げてその唇で桃太郎の額に口付ける。それだけでまた桃太郎は息が上がる。
男である自分に誇りがある。白澤も桃太郎も男で、男だからこそ尊敬する部分がある。
その上で。桃太郎が確かに思ったのは、抱きたいではなく。白澤に、触れて欲しい、だった。
「……白澤様だから、そう、して、欲しくて」
「うん」
言葉がすらすらと出てこないのは合間に漏れる吐息が熱いからだ。お互いの身体は汗ばみ、それがまた生々しく感じる。
こんな姿を見せるのも、触れ合うのも、白澤だからだと。手の力を込めて伝えたいと唾を飲む。だが、言葉にするのが翻弄されつつある頭では出来なかった。どうにか伝わってくれと白澤を見上げる。
その白澤がまた動き、至近距離で瞳が合った。細められた瞳の奥に雄が見えると桃太郎は息を飲む。こんな顔を、この人は見せるのか。
「じゃあ、抑えないで。もっと素直になって。ここには僕と君しか居ない。大丈夫、だから――教えて」
「っは、あ、っあ!」
白澤の身体が動いたと思った瞬間、桃太郎の喉から高い声が溢れた。重なっていた熱い塊を白澤が擦り合わせられたのだと気がついた時には身体が飛び跳ねていた。
溶けそうだと思った。理性の欠片が無くなりそうで翻弄されそうで、その状態で閉じようとする桃太郎の唇を開けるように白澤な舌が上の歯をなぞっては離れ、糸を引きながら離れては繋がるのを繰り返す。その唇に桃太郎の口は開けっ放しになる。
「あっ、はぁっ、ん、あっ!」
「僕は嬉しい、気持ち良い……分かるよね」
「はく、たく、さまっ…!」
「うん」
だんだんと頭の中から言葉が消えて縋り付くので必死になる。
「お、れっ」
みっともなく嬌声混じりの声を漏らしながらも白澤の瞳をじっと見つめる。視線まで絡まって熱を帯びているようだと、視界がぼやける。
「――すき、で、す」
その言葉は桃太郎の最後の理性で伝えた言葉だった。桃太郎の視界で白澤が更にぼやけて、その頬を何か冷たいものが落ちる。
「うん、好きだ。僕も、君が、愛しい」
白澤の言葉が終わると同時にまた唇が重なった。
桃太郎の声を促すように舌が絡まり唇をなぞり、離れては身体同士が擦り合い、やがて白澤の片手が重なっていた手から離れ、桃太郎の身体に触れる。
胸を、腹を、なぞりながら手は下へと降りていく。
そこからもう言葉は要らなくなった。
*
ただ熱を与えて奪って。
全て重なろうと、繋がっていた手は互いの背に回り、掻き抱き。
それでいい、と聞こえた白澤の声に桃太郎は徐々に口を開いて声を上げる。
荒い息遣いと、汗ばむ身体がぶつかって絡まって繋がって。
初めて感じる痛みと、質量と熱は、桃太郎の脳を処理できなくしていく。
それでも伸ばした腕は目の前の白澤を引き寄せて。
聞いたことのない白澤から漏れる優しい声と、獣のような声と、自分から漏れる声に水音が混じる。
押し入るその熱が、自分の中に割り入っていくその感覚に喉が反っていく。
白澤にしがみ付きながら、腹の奥で伝わる熱にまた息を吐く。
男の俺の身体で、この身体の中で。
白澤の熱が自分の中に、あること。
それが熱を持って自分の中に居てくれる事。
荒い息遣いも
溢れてくる汗も
今、白澤様は、俺と一つになっているのだと。
それを感じて涙と共に身体中が震えた。
腹の奥に感じる初めての白澤の熱に桃太郎はただ、白澤にしがみつくことしか出来なかった。
しがみつきながらまた零れた涙は痛みからではなく。腹の奥に感じる、体中で感じる相手の熱を感じたからだった。
* * * *
桃太郎が目を覚ますとまだ夜は明けていなかった。薄っすらと明るい光を薄闇の中で少しだけ感じる。もうすぐ陽が昇る頃だろうか。
身動ぎすると、感じた事の無い箇所の痛みと倦怠感に思わず歯を食い縛る。しかし同時に、胸の奥の高揚感におかしくなりそうだと桃太郎は感じた。
身体を傾けると、隣には白澤の姿。身じろいだ桃太郎に気がついたのか、薄っすらとその瞳が開いた。
「……大丈夫?」
桃太郎が声を掛けるよりも先に出てきた白澤の言葉。
それが何を意味するか、一瞬間を置いて気がついた桃太郎は咄嗟に首を縦に動かす。
白澤の片手が伸びて桃太郎に触れた。その手は頬を撫でる。すると桃太郎自身にも髭の感触が伝わった。
「おお、立派な髭だ」
「……どうも」
どう 答えて良いかわからず桃太郎がそれだけ返すと白澤は小さく笑った。そしてまた生えかけの桃太郎の髭を触る。
「君の朝の姿をこうして見るの初めてだね」
「……ですね」
ハッキリとした意識の中で、改めて白澤が自分を意識して触れていることが分かって桃太郎はまた身体を動かす。簡単に身体の奥の熱に流されてしまいそうになる。
「ちゃんと覚えてる?君が言葉にしてくれたこと」
「え」
白澤の言葉に桃太郎は視線を白澤に向ける。瞳を細めてどこか嬉しそうな表情に顔に熱が集まっていく。
「え、と。その、」
「ちゃんと、好きって言ってくれた」
改めて言われた言葉に桃太郎は思わず視線を外して縮こまって行く。
「……今の君の気持ちは?」
頭に触れた感触。頬に触れている手とは別に、もう片手が桃太郎の髪の毛に触れ、そして撫でられる。その優しい動きに桃太郎の肩から力が抜けて行った。
「……これも、好きの、形の一つなんだと、分かりました」
そう言って視線を上げる。桃太郎はゆっくりと白澤の頬に触れた。
「俺、白澤様が好きです」
「うん、僕もだ」
すぐに返された白澤の言葉は桃太郎の直ぐ近くで聞こえた。
桃太郎は次の言葉を紡ぐ前に。その唇に白澤の唇が重なっていた。
| 1 / 1 |
ステキ!を送ってみましょう!
ステキ!を送ることで、作品への共感や作者様への敬意を伝えることができます。
また、そのステキ!が作者様の背中を押し、次の作品へと繋がっていくかもしれません。
ステキ!は匿名非公開で送ることもできますので、少しでもいいなと思ったら是非、ステキ!を送ってみましょう!
ステキ!を送ることで、作品への共感や作者様への敬意を伝えることができます。
また、そのステキ!が作者様の背中を押し、次の作品へと繋がっていくかもしれません。
ステキ!は匿名非公開で送ることもできますので、少しでもいいなと思ったら是非、ステキ!を送ってみましょう!

