らき

2024年でスガさん受けの二次創作を卒業することとしました。ここは倉庫として残しておきます。
pixivで読めるものもあれば、ここにしかないものもあります。

アルバムタイプは、SSメーカーさんで作成した画像テキスト。
ここにない過去作・新規作の短文はポイピク https://poipiku.com/465223/
└月菅短文ログスレ https://pictbland.net/threads/detail/9743
└【2023/06/10イベ用】 https://pictbland.net/blogs/detail/73113
└【2024/02/11イベ用】https://pictbland.net/blogs/detail/83640

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だいぶ整理しました。

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投稿日:2022年11月24日 00:18    文字数:6,872

お蔵入り月菅まとめ②(2019/05月~)

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Pixivでは既に非公開にしていた月菅作品をまとめました・その2。
非公開にした理由は、現在は解釈違いだったり、気恥ずかしかったりなどなのですが、自分用の覚書として残しておきます。
あなたへ続く道・・・タイムリープ/年齢操作/付き合ってる/エッチしてる仲/スパコミ大阪インテで出した無配です。
寝ても醒めても・・・春高遠征中/付き合ってない/両片想い→付き合っちゃう?→未確定
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あなたへ続く道 (2019/05/06 月島×菅原)



 一つ年上の先輩は月島蛍といって、俺より背が十五センチ以上も高くて眼鏡で癖っ毛で、普段はまるで部活なんてやる気なしに見えるのに、試合となると人が変わったように精神世界の人間になって、負けず嫌いで先輩後輩関係なく的確に指示出ししてはブロックのタイミングまで仕切りだす。
 同じく三年の影山さんとは犬猿の仲だけど、影山さんの手から上げられる高めのトスを、その負けず嫌い根性で意地でも相手コートに打ち下ろす姿は、普段の姿からは考えられないくらい――そんなこと思ってるなんて知られたら怒られそうだけど――力強くてキラキラしてて、その人から目が離せなくなる。
 もっとブロックを決めて欲しい。ドシャットした後の、その不屈な笑みをもっと見たい。スパイクを打ち下ろして、無茶振りセッターを睨みながらも決めてやったのは俺だと無言で主張する、ユニフォームの下で躍動する肩甲骨を、身長があるせいですらりと細長く見える腕と相俟って、大きな手のひらで自分の腰を支えるその後ろ姿を、もっと。
 ああ、この人と同じ体育館でバレーをするのも、もうあと数日なのだ。


「月島さん?」
 卒業式の日。体育館裏の桜の木の下で、一人で佇んでいるその人を見つけて、声を掛ける。
「卒業おめでとうございます。誰かと待ち合わせですか?」
「……いや、何となく来ただけだけど」
 俺からのおめでとうの言葉にありがとうと返して、その人の瞳が俺を見詰める。あまりにじっと見るから俺は上がってしまって、言葉に詰まる。
「え、と、 ……月島さんは、卒業後もバレー続けますよね?」
 間近でプレイを観られなくても、大学の試合を観に行くとか。直接ではなくても、テレビ画面越しにでも。て、いうか、俺はこの人がどこの大学に行くのかも知らなかった。
「……そうだね。まだ、試したいことあるし、続けるんじゃない」
「観に行きます!」
 もしこの人が宮城を離れてしまうのなら、絶対観に行くなんて約束できないのに、続けるという言葉が嬉しくて感情が先に溢れて声に出してしまった。
 するとその人は少し苦笑紛れに、「東京まで?」と聞いてきた。
「東京」
 やっぱり。ここを離れてしまうんだ。
 絶句して俯いてしまった俺に、その人は桜の花弁を靴の先でふわりと舞い上がらせて、俺の目の前で足を止める。後頭部に、恐らくくっついていたのだろう桜の花弁を摘まんだのか、一瞬指先が髪に触れて、そのまま大きな手のひらが上に乗せられる。
「僕は、君のトスが好きだったよ。一番打ちやすい距離、高さ、速度まで、影山の気持ち悪いくらい正確なトスより、僕は好きだった」
「…………」
 俺がこの人に上げたトスなんて、二年間のうちに両手の指で数えられるくらいのほんの僅かな本数だ。
「ありがと。菅原」
 俺が上げてこの人が打ったスパイクが、一点を勝ち取った時。ハイタッチをしたあの瞬間。俺は、この人が好きだと気付いてしまった。
 じゃあね。と言って、頭上から重みと熱が消える。顔を上げられないでいる俺の目の前から、その人の足先が、横を向いて、後ろ向きになって、一歩ずつ離れていく。それを追いかけるようにボタボタと俺の足元だけに雨が降って、声を出したいのに苦しくて、喉が詰まって、うーうーと呻いているうちにその人の姿は見えなくなって、ようやく出てきた声も、うわああんというみっともない泣き声にしかならなかった。
 月島蛍高校三年。菅原孝支高校二年の春。



「辛かった……」
 はぁ~と大袈裟に溜め息を吐くと、目の前でノートにペンを走らせていた手が止まる。
「何。菅原も早くやんなよ。全然進んでないじゃん。先帰るよ」
「わわ、待った待った、一緒に帰るって!」
 部活のない日は一緒に図書館で受験勉強をするくらいには仲は良い。けど、同い年の月島は、何ていうか淡白というか、ほどほどの付き合い。やっぱり幼馴染みの山口以上にはなれなくて、烏飼コーチとか、音駒の黒尾さんとか木兎さんとか、自分より実力のある人、というかもしかして年上? そこがポイント?
「そういや、月島って兄ちゃんいたよな?」
「…………」
 あまりに突然の質問に月島はぎょっとして、その後さっさとノートを片付け始めて席を立つものだから、俺は慌てて自分の勉強道具を鞄に詰めて、無言で足早に去る彼の後を必死で追い掛けた。何か、地雷踏んだ?
 月島蛍高校三年。菅原孝支高校三年の秋。



 俺は、もうタイムリープは出来ない。きっとここが最終地点で、俺自身が納得しようがしまいが、今の時点でどうにもならないのなら、もうどの時点に飛んでも何も変わらないのだろう。
 そもそも、俺の記憶では高校二年の春から同じことを繰り返しているのだが、いったいいつから俺は、彼の人生に関わっていたのだろう?
 こんなにも、彼が可愛くて、憎たらしくて、目が離せなくて、近くにいないと誰と一緒にいるのか気になって、俺の前でふと表情を緩めたりすると、他の人間の前では見せていないだろうなとか訝しんだり、もしかしてこいつは俺の子どもか? それとも俺の前世とか? にしては、
「……何考えてるんですか」
「へっ?」
「……飽きたの?」
 上に覆い被さっていた月島の身体がふと離れて、布団の間から隙間風が入り込む。
「ち、違うっ! 違う、お前のこと、」
考えてたのに。なんて、そんなの恥ずかしくて言える訳ない。月島が珍しく俺の頭なんかを撫でるから、懐かしい記憶が甦ったんじゃないか。
 月島が俺より一つ年上の時代は、月島が高校を卒業してから二度と会うことはなかった。
 同級生であった時代は大学も同じところへ通って、ルームシェアなんかもしたけれど、友達以上親友未満で終わった。
 もしかして年齢が離れてる方がいいのかと気付いて、俺が一つ年上の時代はすっ飛ばして月島が高一、俺が高三時代に飛んだのは、それ以上離れたらどうあっても出会うことすら出来ない気がしたから。そして今俺たちが一緒にいるのは、俺が卒業する時に月島が俺の手を掴んでくれたから。
「僕のことが、何?」
 月島の手が、また俺の頭上に伸びてきて、指先で耳の上から額に乗った髪を梳いて撫で付ける。俺は、月島のことが――


『あなたが好きです』
 はっきりと口にしてくれたのは月島だった。俺が、一度も言えなかった言葉。
 何で、言えなかったんだろう。彼が先に卒業する時も、一緒に卒業証書を受け取って桜の木の下で写真を撮った時も、大学の隣の席にいる彼に、もしくは月島の出ている試合を観に行った時に、隣の部屋で寝ている時、一緒に住んでた部屋を引き払う日、言おうと思えばきっかけになる機会なんて山程あった。たった”好き”の二文字を伝えるだけなのに、そんな簡単なことが何で出来なかったんだろう。何をそんなに恐れていたんだろう。伝えられずに、今日の今日まで後悔ばかりで、最後の最後のこの時代でも、俺から月島には一度も言えていない。
「僕が、言わなかったら、言えてた?」

”君が好き”だって。月島は何気なく、不意に口にしたから。
”君のトスが好きだった”
”君と勉強するの、結構好きだし”
”菅原となら、一緒に住んでもいいよ”

 そんな些細な言葉で、俺を繋ぎ止めた。俺を置き去りにした。彼だけどんどん先に進んでしまって、俺はいつまでも高校三年のままで、ようやく抜け出せたと思ってたけど、実際にはまだ、何も変わっていない。
「月島――」
 彼の両肩の上に手を伸ばして、ぎゅっと抱き締める。好きだったんだ、好きだったんだ、ずっと。お前が生まれる前からかもしれない、いつ始まったか分からないループ。こうして自分から抱き締める為に。
「あのさ、」
 俺がその二文字を口にする前に、月島が自分の首に縋り付く俺の背中に腕を回して、「別に、言わなくてもいいから」と、俺を制するように少し大きめの声で言う。
「なんで……だよっ」
 どういうつもりでそんなこと言ったのか、月島は離してくれないからどんな顔をしているのかも確認できない。
「言わなくったって分かってるのに、言う必要ある?」
 あの時も。あの時も、あの時も――と、月島は俺たちの輪廻を思い出しながら、タイムリープの記憶を遡る度に俺の背中を擦って、俺の頭はえっ? えっ? と、誰も知らない筈なのに、特に月島には知られちゃいけないのに、どうして全部知ってる?
「あなたが言ってくれないと、終わらないんだって分かったよ。でももし、それをあなたが言ったら、終わっちゃうんでしょ?」
 月島の腕が緩み、そっと身体を離すと真正面に眼鏡のない彼の顔。額がくっつきそうな位置で、瞳を覗き込んでくる。月島が裸眼で俺の表情を認識できる距離。
「なら、終わらせないでよ」
 その言葉に、胸がぎゅっと苦しくなった。
「つきしまぁ」
 言いたい。今なら言えるのに。言いたくて堪らなくて、でも言っちゃダメだなんて、苦しくて辛い。
 言いたいのに言えないで、吐息ばかり漏らしている俺の口を、月島のそれが覆った。

 彼が先に卒業していく時に、”あなたが好きです”と伝えていたら。あなたは立ち止まってくれましたか?
 一緒に卒業証書を受け取って桜の木の下で写真を撮って、その場では言えなくても二人の写メに落書きして、メールで”好きだ”と伝えていたら。一緒に住んでた部屋を引き払う日は来なかったかもしれない。
 今だって、彼が伝えてくれなければ、こうしてたくさんのキスを受けながら、彼を躯の奥に受け入れて、快感を吐き出す喜びに震える日など、自分から言わなければ、でも言ってしまったら――
 また出会いたい。何度でも、時を超えて。今がどれだけ幸せでも、これで終わりになんてしたくない。

「終わらせないで……、まだ、もっと、」
「だいじょうぶ……僕が、終わらせないから」
「月島――」
 お前に飽きるなんてこと、一生ないのだろうから、俺はお前が好きだと一生口に出来ないのかもしれない。
 それでもいつか、ちゃんと言わせて。
「けい、ずっと、一緒にいて――」





 あなたのいない世界で俺は、きっと生きてはいけないから。
 無力な俺の、この手をどうか離さないで。







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寝ても醒めても (2019/5/29 月菅)



 稲荷崎戦を終えて、烏野スターティングメンバーの体力ゲージは、白鳥沢戦に次いで残ゼロに果てしなく近かった。着替えながらシャットダウンしかけて船を漕ぐ面々を前に、春高二日目にしてこんななら、もし決勝まで勝ち進んだとしたら彼らの筋肉、そして精神も、いったいどれだけのダメージを食らうのか。アドレナリン効果が切れた後が恐ろしい。
「おーい、月島ぁ」
 自分のジャージを着た上から更にもう一枚ジャージを羽織ろうとしているその肩を軽く揺すって、途切れかけていた意識を引き戻す。
 寝ている姿は前からよく目にしていたが、大抵アイマスクをしているかタオルを上から被っているか、彼が人前にその寝顔を大っぴらに晒すことは少ない。しかもこれだけ間近で覗けるなんて、
(貴重だ)
と、ついつい起こす手を止めて、じっくりとその横顔を堪能する。
 外国の血が混じっているのではないかと勘違いする程、薄黄身のクリーム色の肌。鼻は上向いてはいないけど、スキーのジャンプ競技でも出来そうな、額から鼻先までの反り返り。睫毛は程よく長く真っ直ぐで、度の入った眼鏡をしているのが勿体ないくらい、その瞳が綺麗なビー玉のようであるのを知っている。
 彼の瞳の色を思い出しながら寝顔に見蕩れていると、月島が一度大きくがくりと体を傾げさせたので、思わず手を伸ばして反対側の腕を掴んで正面からその体を支える。
「触るな」
 寝起きの掠れた声が、耳元でそう呟く。
「っ、ごめ」
「触る……な、おうさま」
「おう……!?」
 影山と間違えてる? それが少しだけ癪に触って、月島の口元を片手の指でむにっと挟んで、ぐらぐらと首を横に振らせた。
「やめ……! やめろって言って、……菅原さん……?」
 目の前にいるのが俺だと気付いた途端、表情筋をヒクつかせてカッと顔を赤らめる。むむむ……益々気に入らない。
「影山じゃなくてごめんねー。そろそろ移動するよ!」
「は……!? なんでそこで王様の名前が出てくるんですか」
 月島は自分が寝惚けて呼んだ名前を覚えていないらしい。二人が犬猿の仲であるのは知っているが、だからこそ余計に彼の口からその名前が出たことに驚いて、ショックを受けている俺がいた。


 夕食の後、かけす荘のベランダで三年が面を並べて本日の試合の振り返りと、後輩たちについて感慨深くしばらくだべっていたものの、旭が俺風呂行くわと一抜けし、雑魚寝部屋の方が騒がしくなってくると大地も抜けて、「こらお前ら静かにしろー!」といった声が閉められた窓と障子越しに聞こえてきて、束の間の平和な時間。
 明日の朝目覚めたら再び戦いは始まる。その前に今は、急激に襲ってきた眠気を何とかせねばと、このままここでうたた寝でもすれば極寒の一月凍え死んでしまう。
 よろりと体に鞭打って部屋へ引き返そうとしたところ、半目で手を伸ばした先に温かい、誰かの胸がそこにあって、図らずもふにゃふにゃとその温もりに身を寄せる形となり。
「あー、ごめん大地ぃ」
と、その肩に手をやって眠い目を擦る。が、大地……にしては、だいぶ肩が上の方にある。
 瞬きしながらその体の主を見上げると、じとりと、そこにはまるで軽蔑の眼差し。それもその筈、スキンシップを部の誰よりも苦手とする後輩の顔がそこにあった。
「つっ月島!? わわっ、悪い、俺間違えて――」
「……間違えて、ですか。そうですよね」
 俺が身を離すと、月島は何か言いかけて、でもすぐにその口を閉じてしまった。そしてくるりと踵を返す。
「あ、待って」
 思わず彼の背中からシャツをぐっと掴んで引き止める。だって、月島と二人になるチャンスなんてそうそうないんだから。
「何ですか、寒いんですけど」
「じゃあなんでこんなとこ来たんだよ」
「それは――」
「俺に何か、話があったんじゃねーの」
「……そうだったかもしれませんけど、誰かと間違えられたので忘れました」
「それは謝る! 謝るけど、お前も謝れよ!」
 試合会場からここに戻ってくるまで、俺はわざと月島を避けていた。おとな気ないと思ったが、俺と影山を間違えて、まあ本人はそんなつもりなかったのは分かってるけど、その瞬間に俺に見せた素の顔が目に焼き付いて離れなかったから。
「僕が何をしたっていうんですか。菅原さんが怒っている理由を聞きたかったんです」
「そんなの、お前が――」
 可愛い寝顔を晒している時に呼んだ名前が、自分ではなかったこと。それだけで胸がざわついて、影山に嫉妬するなんて筋違いもいいとこだし、別に月島と影山が付き合ってる訳でもないのに、って、付き合ってるとかなんでそんな発想になるんだ!?
「お前は……なんで今、怒ったんだよ?」
「は?」
「俺が、お前と大地間違えたから? 大地に妬いた?」
「ちょ、は? 何、言ってんですか?」
 月島の反応は、あの時の俺そっくりだ。俺が影山に妬いたんだとしたら、月島も、もしかして?
 訳も分からず焦る彼を前に、俺はその無防備になった胸に顔を埋める。
「は、ええっ!? ちょっと、菅原さん??」
「なぁ、俺と、付き合わない?」
「…………今何て?」
 きっと、そういうことだ。俺はこの子を自分のものにしたいんだ。月島が俺と大地の関係に妬くというのなら、俺だって月島のものになればいい。
 月島の温かな胸に額をぐりぐりと擦り付けて、そのうち体全体が温かくなってきたのは、彼の両の手のひらに肩が包まれ、そうすると両腕の中に俺の体なんてすっぽりと埋まってしまって。
「菅原さん、出来れば……試合後にその話はちゃんとしたいんですけど」
「……ん? なに、もう俺、ねむ――」
 その腕の中があまりにも気持ちよくて、足元が崩れそうになってもちゃんと支えてくれそうだったから、月島の返事を聞く前に俺の意識は夢の中へと飛んでしまった。
「ちょっと……! 菅原さん!? はぁ!? 寝ないでよ」
「むり……」
「……信じらんない」
 このまま食べられても知りませんよ。そんな台詞、月島が吐くとは思えないから、きっとこれも夢の話。
 今なら誰に話しかけられても、呼ぶのはきっとお前の名前。





あなたは1RTされたら「可愛い寝顔しやがって…食っちまうぞ」の台詞を使ってらきの月菅を描(書)きましょう。
https://shindanmaker.com/528698



 
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是非、コメントを投稿して頂き、皆様と共にBLを愛する場所としてpictBLandを盛り上げていければと思います。
お蔵入り月菅まとめ②(2019/05月~)
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あなたへ続く道 (2019/05/06 月島×菅原)



 一つ年上の先輩は月島蛍といって、俺より背が十五センチ以上も高くて眼鏡で癖っ毛で、普段はまるで部活なんてやる気なしに見えるのに、試合となると人が変わったように精神世界の人間になって、負けず嫌いで先輩後輩関係なく的確に指示出ししてはブロックのタイミングまで仕切りだす。
 同じく三年の影山さんとは犬猿の仲だけど、影山さんの手から上げられる高めのトスを、その負けず嫌い根性で意地でも相手コートに打ち下ろす姿は、普段の姿からは考えられないくらい――そんなこと思ってるなんて知られたら怒られそうだけど――力強くてキラキラしてて、その人から目が離せなくなる。
 もっとブロックを決めて欲しい。ドシャットした後の、その不屈な笑みをもっと見たい。スパイクを打ち下ろして、無茶振りセッターを睨みながらも決めてやったのは俺だと無言で主張する、ユニフォームの下で躍動する肩甲骨を、身長があるせいですらりと細長く見える腕と相俟って、大きな手のひらで自分の腰を支えるその後ろ姿を、もっと。
 ああ、この人と同じ体育館でバレーをするのも、もうあと数日なのだ。


「月島さん?」
 卒業式の日。体育館裏の桜の木の下で、一人で佇んでいるその人を見つけて、声を掛ける。
「卒業おめでとうございます。誰かと待ち合わせですか?」
「……いや、何となく来ただけだけど」
 俺からのおめでとうの言葉にありがとうと返して、その人の瞳が俺を見詰める。あまりにじっと見るから俺は上がってしまって、言葉に詰まる。
「え、と、 ……月島さんは、卒業後もバレー続けますよね?」
 間近でプレイを観られなくても、大学の試合を観に行くとか。直接ではなくても、テレビ画面越しにでも。て、いうか、俺はこの人がどこの大学に行くのかも知らなかった。
「……そうだね。まだ、試したいことあるし、続けるんじゃない」
「観に行きます!」
 もしこの人が宮城を離れてしまうのなら、絶対観に行くなんて約束できないのに、続けるという言葉が嬉しくて感情が先に溢れて声に出してしまった。
 するとその人は少し苦笑紛れに、「東京まで?」と聞いてきた。
「東京」
 やっぱり。ここを離れてしまうんだ。
 絶句して俯いてしまった俺に、その人は桜の花弁を靴の先でふわりと舞い上がらせて、俺の目の前で足を止める。後頭部に、恐らくくっついていたのだろう桜の花弁を摘まんだのか、一瞬指先が髪に触れて、そのまま大きな手のひらが上に乗せられる。
「僕は、君のトスが好きだったよ。一番打ちやすい距離、高さ、速度まで、影山の気持ち悪いくらい正確なトスより、僕は好きだった」
「…………」
 俺がこの人に上げたトスなんて、二年間のうちに両手の指で数えられるくらいのほんの僅かな本数だ。
「ありがと。菅原」
 俺が上げてこの人が打ったスパイクが、一点を勝ち取った時。ハイタッチをしたあの瞬間。俺は、この人が好きだと気付いてしまった。
 じゃあね。と言って、頭上から重みと熱が消える。顔を上げられないでいる俺の目の前から、その人の足先が、横を向いて、後ろ向きになって、一歩ずつ離れていく。それを追いかけるようにボタボタと俺の足元だけに雨が降って、声を出したいのに苦しくて、喉が詰まって、うーうーと呻いているうちにその人の姿は見えなくなって、ようやく出てきた声も、うわああんというみっともない泣き声にしかならなかった。
 月島蛍高校三年。菅原孝支高校二年の春。



「辛かった……」
 はぁ~と大袈裟に溜め息を吐くと、目の前でノートにペンを走らせていた手が止まる。
「何。菅原も早くやんなよ。全然進んでないじゃん。先帰るよ」
「わわ、待った待った、一緒に帰るって!」
 部活のない日は一緒に図書館で受験勉強をするくらいには仲は良い。けど、同い年の月島は、何ていうか淡白というか、ほどほどの付き合い。やっぱり幼馴染みの山口以上にはなれなくて、烏飼コーチとか、音駒の黒尾さんとか木兎さんとか、自分より実力のある人、というかもしかして年上? そこがポイント?
「そういや、月島って兄ちゃんいたよな?」
「…………」
 あまりに突然の質問に月島はぎょっとして、その後さっさとノートを片付け始めて席を立つものだから、俺は慌てて自分の勉強道具を鞄に詰めて、無言で足早に去る彼の後を必死で追い掛けた。何か、地雷踏んだ?
 月島蛍高校三年。菅原孝支高校三年の秋。



 俺は、もうタイムリープは出来ない。きっとここが最終地点で、俺自身が納得しようがしまいが、今の時点でどうにもならないのなら、もうどの時点に飛んでも何も変わらないのだろう。
 そもそも、俺の記憶では高校二年の春から同じことを繰り返しているのだが、いったいいつから俺は、彼の人生に関わっていたのだろう?
 こんなにも、彼が可愛くて、憎たらしくて、目が離せなくて、近くにいないと誰と一緒にいるのか気になって、俺の前でふと表情を緩めたりすると、他の人間の前では見せていないだろうなとか訝しんだり、もしかしてこいつは俺の子どもか? それとも俺の前世とか? にしては、
「……何考えてるんですか」
「へっ?」
「……飽きたの?」
 上に覆い被さっていた月島の身体がふと離れて、布団の間から隙間風が入り込む。
「ち、違うっ! 違う、お前のこと、」
考えてたのに。なんて、そんなの恥ずかしくて言える訳ない。月島が珍しく俺の頭なんかを撫でるから、懐かしい記憶が甦ったんじゃないか。
 月島が俺より一つ年上の時代は、月島が高校を卒業してから二度と会うことはなかった。
 同級生であった時代は大学も同じところへ通って、ルームシェアなんかもしたけれど、友達以上親友未満で終わった。
 もしかして年齢が離れてる方がいいのかと気付いて、俺が一つ年上の時代はすっ飛ばして月島が高一、俺が高三時代に飛んだのは、それ以上離れたらどうあっても出会うことすら出来ない気がしたから。そして今俺たちが一緒にいるのは、俺が卒業する時に月島が俺の手を掴んでくれたから。
「僕のことが、何?」
 月島の手が、また俺の頭上に伸びてきて、指先で耳の上から額に乗った髪を梳いて撫で付ける。俺は、月島のことが――


『あなたが好きです』
 はっきりと口にしてくれたのは月島だった。俺が、一度も言えなかった言葉。
 何で、言えなかったんだろう。彼が先に卒業する時も、一緒に卒業証書を受け取って桜の木の下で写真を撮った時も、大学の隣の席にいる彼に、もしくは月島の出ている試合を観に行った時に、隣の部屋で寝ている時、一緒に住んでた部屋を引き払う日、言おうと思えばきっかけになる機会なんて山程あった。たった”好き”の二文字を伝えるだけなのに、そんな簡単なことが何で出来なかったんだろう。何をそんなに恐れていたんだろう。伝えられずに、今日の今日まで後悔ばかりで、最後の最後のこの時代でも、俺から月島には一度も言えていない。
「僕が、言わなかったら、言えてた?」

”君が好き”だって。月島は何気なく、不意に口にしたから。
”君のトスが好きだった”
”君と勉強するの、結構好きだし”
”菅原となら、一緒に住んでもいいよ”

 そんな些細な言葉で、俺を繋ぎ止めた。俺を置き去りにした。彼だけどんどん先に進んでしまって、俺はいつまでも高校三年のままで、ようやく抜け出せたと思ってたけど、実際にはまだ、何も変わっていない。
「月島――」
 彼の両肩の上に手を伸ばして、ぎゅっと抱き締める。好きだったんだ、好きだったんだ、ずっと。お前が生まれる前からかもしれない、いつ始まったか分からないループ。こうして自分から抱き締める為に。
「あのさ、」
 俺がその二文字を口にする前に、月島が自分の首に縋り付く俺の背中に腕を回して、「別に、言わなくてもいいから」と、俺を制するように少し大きめの声で言う。
「なんで……だよっ」
 どういうつもりでそんなこと言ったのか、月島は離してくれないからどんな顔をしているのかも確認できない。
「言わなくったって分かってるのに、言う必要ある?」
 あの時も。あの時も、あの時も――と、月島は俺たちの輪廻を思い出しながら、タイムリープの記憶を遡る度に俺の背中を擦って、俺の頭はえっ? えっ? と、誰も知らない筈なのに、特に月島には知られちゃいけないのに、どうして全部知ってる?
「あなたが言ってくれないと、終わらないんだって分かったよ。でももし、それをあなたが言ったら、終わっちゃうんでしょ?」
 月島の腕が緩み、そっと身体を離すと真正面に眼鏡のない彼の顔。額がくっつきそうな位置で、瞳を覗き込んでくる。月島が裸眼で俺の表情を認識できる距離。
「なら、終わらせないでよ」
 その言葉に、胸がぎゅっと苦しくなった。
「つきしまぁ」
 言いたい。今なら言えるのに。言いたくて堪らなくて、でも言っちゃダメだなんて、苦しくて辛い。
 言いたいのに言えないで、吐息ばかり漏らしている俺の口を、月島のそれが覆った。

 彼が先に卒業していく時に、”あなたが好きです”と伝えていたら。あなたは立ち止まってくれましたか?
 一緒に卒業証書を受け取って桜の木の下で写真を撮って、その場では言えなくても二人の写メに落書きして、メールで”好きだ”と伝えていたら。一緒に住んでた部屋を引き払う日は来なかったかもしれない。
 今だって、彼が伝えてくれなければ、こうしてたくさんのキスを受けながら、彼を躯の奥に受け入れて、快感を吐き出す喜びに震える日など、自分から言わなければ、でも言ってしまったら――
 また出会いたい。何度でも、時を超えて。今がどれだけ幸せでも、これで終わりになんてしたくない。

「終わらせないで……、まだ、もっと、」
「だいじょうぶ……僕が、終わらせないから」
「月島――」
 お前に飽きるなんてこと、一生ないのだろうから、俺はお前が好きだと一生口に出来ないのかもしれない。
 それでもいつか、ちゃんと言わせて。
「けい、ずっと、一緒にいて――」





 あなたのいない世界で俺は、きっと生きてはいけないから。
 無力な俺の、この手をどうか離さないで。







1 / 2
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寝ても醒めても (2019/5/29 月菅)



 稲荷崎戦を終えて、烏野スターティングメンバーの体力ゲージは、白鳥沢戦に次いで残ゼロに果てしなく近かった。着替えながらシャットダウンしかけて船を漕ぐ面々を前に、春高二日目にしてこんななら、もし決勝まで勝ち進んだとしたら彼らの筋肉、そして精神も、いったいどれだけのダメージを食らうのか。アドレナリン効果が切れた後が恐ろしい。
「おーい、月島ぁ」
 自分のジャージを着た上から更にもう一枚ジャージを羽織ろうとしているその肩を軽く揺すって、途切れかけていた意識を引き戻す。
 寝ている姿は前からよく目にしていたが、大抵アイマスクをしているかタオルを上から被っているか、彼が人前にその寝顔を大っぴらに晒すことは少ない。しかもこれだけ間近で覗けるなんて、
(貴重だ)
と、ついつい起こす手を止めて、じっくりとその横顔を堪能する。
 外国の血が混じっているのではないかと勘違いする程、薄黄身のクリーム色の肌。鼻は上向いてはいないけど、スキーのジャンプ競技でも出来そうな、額から鼻先までの反り返り。睫毛は程よく長く真っ直ぐで、度の入った眼鏡をしているのが勿体ないくらい、その瞳が綺麗なビー玉のようであるのを知っている。
 彼の瞳の色を思い出しながら寝顔に見蕩れていると、月島が一度大きくがくりと体を傾げさせたので、思わず手を伸ばして反対側の腕を掴んで正面からその体を支える。
「触るな」
 寝起きの掠れた声が、耳元でそう呟く。
「っ、ごめ」
「触る……な、おうさま」
「おう……!?」
 影山と間違えてる? それが少しだけ癪に触って、月島の口元を片手の指でむにっと挟んで、ぐらぐらと首を横に振らせた。
「やめ……! やめろって言って、……菅原さん……?」
 目の前にいるのが俺だと気付いた途端、表情筋をヒクつかせてカッと顔を赤らめる。むむむ……益々気に入らない。
「影山じゃなくてごめんねー。そろそろ移動するよ!」
「は……!? なんでそこで王様の名前が出てくるんですか」
 月島は自分が寝惚けて呼んだ名前を覚えていないらしい。二人が犬猿の仲であるのは知っているが、だからこそ余計に彼の口からその名前が出たことに驚いて、ショックを受けている俺がいた。


 夕食の後、かけす荘のベランダで三年が面を並べて本日の試合の振り返りと、後輩たちについて感慨深くしばらくだべっていたものの、旭が俺風呂行くわと一抜けし、雑魚寝部屋の方が騒がしくなってくると大地も抜けて、「こらお前ら静かにしろー!」といった声が閉められた窓と障子越しに聞こえてきて、束の間の平和な時間。
 明日の朝目覚めたら再び戦いは始まる。その前に今は、急激に襲ってきた眠気を何とかせねばと、このままここでうたた寝でもすれば極寒の一月凍え死んでしまう。
 よろりと体に鞭打って部屋へ引き返そうとしたところ、半目で手を伸ばした先に温かい、誰かの胸がそこにあって、図らずもふにゃふにゃとその温もりに身を寄せる形となり。
「あー、ごめん大地ぃ」
と、その肩に手をやって眠い目を擦る。が、大地……にしては、だいぶ肩が上の方にある。
 瞬きしながらその体の主を見上げると、じとりと、そこにはまるで軽蔑の眼差し。それもその筈、スキンシップを部の誰よりも苦手とする後輩の顔がそこにあった。
「つっ月島!? わわっ、悪い、俺間違えて――」
「……間違えて、ですか。そうですよね」
 俺が身を離すと、月島は何か言いかけて、でもすぐにその口を閉じてしまった。そしてくるりと踵を返す。
「あ、待って」
 思わず彼の背中からシャツをぐっと掴んで引き止める。だって、月島と二人になるチャンスなんてそうそうないんだから。
「何ですか、寒いんですけど」
「じゃあなんでこんなとこ来たんだよ」
「それは――」
「俺に何か、話があったんじゃねーの」
「……そうだったかもしれませんけど、誰かと間違えられたので忘れました」
「それは謝る! 謝るけど、お前も謝れよ!」
 試合会場からここに戻ってくるまで、俺はわざと月島を避けていた。おとな気ないと思ったが、俺と影山を間違えて、まあ本人はそんなつもりなかったのは分かってるけど、その瞬間に俺に見せた素の顔が目に焼き付いて離れなかったから。
「僕が何をしたっていうんですか。菅原さんが怒っている理由を聞きたかったんです」
「そんなの、お前が――」
 可愛い寝顔を晒している時に呼んだ名前が、自分ではなかったこと。それだけで胸がざわついて、影山に嫉妬するなんて筋違いもいいとこだし、別に月島と影山が付き合ってる訳でもないのに、って、付き合ってるとかなんでそんな発想になるんだ!?
「お前は……なんで今、怒ったんだよ?」
「は?」
「俺が、お前と大地間違えたから? 大地に妬いた?」
「ちょ、は? 何、言ってんですか?」
 月島の反応は、あの時の俺そっくりだ。俺が影山に妬いたんだとしたら、月島も、もしかして?
 訳も分からず焦る彼を前に、俺はその無防備になった胸に顔を埋める。
「は、ええっ!? ちょっと、菅原さん??」
「なぁ、俺と、付き合わない?」
「…………今何て?」
 きっと、そういうことだ。俺はこの子を自分のものにしたいんだ。月島が俺と大地の関係に妬くというのなら、俺だって月島のものになればいい。
 月島の温かな胸に額をぐりぐりと擦り付けて、そのうち体全体が温かくなってきたのは、彼の両の手のひらに肩が包まれ、そうすると両腕の中に俺の体なんてすっぽりと埋まってしまって。
「菅原さん、出来れば……試合後にその話はちゃんとしたいんですけど」
「……ん? なに、もう俺、ねむ――」
 その腕の中があまりにも気持ちよくて、足元が崩れそうになってもちゃんと支えてくれそうだったから、月島の返事を聞く前に俺の意識は夢の中へと飛んでしまった。
「ちょっと……! 菅原さん!? はぁ!? 寝ないでよ」
「むり……」
「……信じらんない」
 このまま食べられても知りませんよ。そんな台詞、月島が吐くとは思えないから、きっとこれも夢の話。
 今なら誰に話しかけられても、呼ぶのはきっとお前の名前。





あなたは1RTされたら「可愛い寝顔しやがって…食っちまうぞ」の台詞を使ってらきの月菅を描(書)きましょう。
https://shindanmaker.com/528698



 
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