らき

pixivにて公開していたR18設定作品の投稿避難場所としてこの場所を作成しましたが、2023年8月のピクブラサーバーダウンを受け、今後こちらでの新規投稿は行わないことにしました。
倉庫として残しておきます。

アルバムタイプは、SSメーカーさんで作成した画像テキスト。
ここにない過去作・新規作の短文はポイピク https://poipiku.com/465223/
└月菅短文ログスレ https://pictbland.net/threads/detail/9743
└【2023/06/10イベ用】 https://pictbland.net/blogs/detail/73113
└【2024/02/11イベ用】https://pictbland.net/blogs/detail/83640

下↓の「作品シリーズ」からお好きなCPへ直行できます。
だいぶ整理しました。

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投稿日:2022年10月12日 22:32    文字数:6,904

年末婚(2022/03/31 黒尾×菅原)

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両想いなのに、東京と宮城住みということもあって距離を詰められない二人。大学生活最後の年末年始を、黒尾の部屋で過ごすことに。
思わせぶり菅原、ふがいない黒尾。高校卒業後、付き合ってない→エッチするまで
@shortshort_rakiにて取り組んでいた「30日CPチャレンジ」の最後のお題【30.「ホット」な事をする】です。
お題の17.寝起き・朝の支度(黒菅)に若干続いてます。30日CPチャレ・黒菅まとめ⇒ https://poipiku.com/465223/7830425.html
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 高校三年生の男子なんて、本来なら性欲の塊なんすよ。
 それに翻弄されずに済んだのは、自分がクラスの友人とつるむより部活の面々と過ごす時間の方が濃い空間にいたからで、とりわけ海や夜久がそっちにはまるで興味ないような、興味があったとしても好みの芸能人の話題くらいで、身近な女子との生々しいエピソードを持ち出してこなかったのが幸い。
 いやホントに幸いだと思ってますよ。じゃなきゃ高三のある時点から延々悶々と積み重ねていた想いを、その時の誰かに打ち明けて応援なんかされていたら、すぐその気になってその場で玉砕してたかもしんないんだから。


 最後の春高で烏野に敗退し、烏野と鴎台の試合も遂に終わって、労いのハグは交わせても別れはバタバタだった。
 特定の彼――菅原とは握手もせず。視線は一瞬交わるもすぐに逸らされ、俺の方は未練たらたらにずっと目で追っていたけれど、頑なにこちらを見ない。言葉だって、音駒のメンツに向けた「じゃあな!」の一言だけ。
 それでも何気ないメールのやり取りは高校卒業まで続いて、菅原からの『やっぱり地元の大学に決めたわ』という一文で、俺の青春は終わった、と打ちひしがれていた。

 自分が気の多い人間でなくて、本当に良かったと思っている。菅原のことは諦めたが、大学の新しい環境で誰のことも目に入らなかったし、言い寄られてもまったくその気になれなかった。
 俺の性欲どこ行った。烏野というチームに出会い、菅原という人間に出会い、言葉を交わす度、笑顔や真剣な顔や、気を抜いて無防備になった瞬間に立ち会う度、自分の身体なのに自分で制御できない情動をどうにかするのに、あの頃は必死だった。
 気付かれたら気に病まれそうで、避けられるのが怖くて、彼が意図なく自分に触れてくる時も、平気な振りで菅原のパーソナルスペースに侵入していたから、俺はそういうのに慣れている軽いヤツと菅原も思っていただろう。そう思われていた方が気が楽だ。
 梟谷グループ合宿のある時、彼に似た髪色と瞳をした地下アイドルの載った雑誌を、菅原自身が見て見てしてきた時はその場に立ち尽くし、菅原が「……ごめん、キモかった? いつもの冗談じゃん。……黒尾、怒ってる?」と訊いてきたくらいだから、俺はフクザツな表情をしていたんだと思う。考えたら、俺が菅原をそういう目で見ていることに気付いたのはあの時だ。
 罪悪感に押し潰されそうになりながら、自分でもその雑誌を探して幾度となくオカズにしてしまった話は、墓場まで持ち込まなければならない。……あれ、ちょっと待て、性欲に翻弄されなかった俺偉いって話じゃなかった? めちゃくちゃ翻弄されまくってんじゃん。
 酷い話だ。それだけ年中発情して抑えが効かなかったというのに、その熱を誰かに発散することもなくこのまま枯れていくんだ。
 それでもいっか、と思う。だってこの片恋が、風に攫われたり雪に埋もれたりして消えていく世界が、俺が生きていく世界の現実としてやってくるとは到底思えなかったから。


「孝支くーん、こっちこっち!」
 大学生活最後のクリスマス。12月の23日に菅原が東京へやって来た。
「てつろ~。ハハ、画面越しに会ってっから、そんなに久しぶりって感じでもないな」
 白い息を弾ませて、見慣れても何度見たって飽きない笑顔が目の前で披露される。ああ、夢じゃないなら抱き締めたい。と、思ったそばからハグしてた。大丈夫、このくらい男同士でも友人なら誰でもやってる。
「東京は、やっぱ人多いな。クリスマスだから?」
「年中こんな感じっしょ。てゆーか、荷物少なくね? 年越し前に帰るとか言わないよね」
 菅原は今日から年始にかけて俺の一人暮らしの部屋に泊まる約束で、お互い卒論もこなさなきゃならないからあまりゆっくりもしてられないし、新年7日には大学も始まってしまうので、春高を観に行くのも初日だけかな、と、決まっている予定はそれだけ。
「着替えは三日分あれば、充分着回せんだろ」
 色気の欠片もないったら。まぁ、いざとなればクリスマスプレゼントと称して、一緒に服を買いに行くのもいいかもしれない。
「どうする? すぐ俺んち行く? なんか食ってく?」
 昼食時は過ぎていたが、ランチには間に合う時間。自分ちの周りより、今いる東京駅周辺の方が店も多い。すると菅原が、いつもとは違う少し憂いを含んだような顔ではにかんで、
「お前んち」
と呟いて、ダウンコートの上から俺の肘をきゅっと抓った。
「……」
 あ~もう。生身怖い。数年間の殻を破って、様々な感情が噴出寸前だ。

「おお~。1Kでも意外と広いじゃん」
 学生が多く住む町でも結構不便な場所。治安が良い分、駅からは遠い。その点、南向きで日当たりもいいし、春には窓から桜並木も見える。
 人を泊めるのも初めて。バス停も近くにないし、大体こんなとこまで徒歩で遊びに来る酔狂な友人もいない。菅原は文句も言わず、景色を楽しみながら、旅行用のキャリーバッグを俺と交代で引いて、散歩中の犬やベビーカーで寝ている子どもに手を振って、「俺、こいつの同級生で菅原って言います」とか、今まで近所の住人に声を掛けられることもなかった俺まで有名人にする気か。
 というか、意外と自分の顔も近所の人たちは知っていたみたいだ。今までまるで周りが見えていなかった。菅原といるだけで、世界が変わる。
 部屋の暖房と、ホットカーペットのスイッチを入れると、菅原は「俺、シャワー借りてい? 手っ取り早くあったまりたい」と言う。断る理由はない。
「じゃあ、お湯溜めてくるから待ってて」と言うと、「シャワーでいい」と言うし、キャリーバッグから着替えの他にバスタオルまで取り出し、そんなの俺んちのを使えばいいのに。とも思う。
 部屋の設備を簡単に教えて、「サンキュー」とバスルームに消えて行った菅原の、脱ぎ捨てられたコートを拾ってハンガーに掛けた。
 あのさ、シャワーって、そういう意味じゃないよね?
 日はまだ高く、夕飯の時間にもまだまだ早い。


 自分は人の感情の機微には敏いと思っていた。横に並ばれるだけで、隣にいる子が誰を好きなのか分かったし、こいつとこいつは付き合ってるな? というのも、二人の間で隠されていたって雰囲気で感じ取れてしまうものだ。
 だのに、菅原に至ってはまったくだった。いや、「そうなのかな?」と感じ取れた瞬間は確かにあって、あったけれどヘタレな俺は「そんな、まさかな~……」と希望を即座に打ち消していた。
 大学生活が始まってからも、菅原とはちょくちょくメールをしたり、時には通話をしたり、文字を見ても声を聴いても俺はその度に舞い上がり気味だったけど、恋愛成就に関しては諦めていた。だから、
『黒尾が好きなんだ』
と、前後口籠りながら、舌っ足らずで少し掠れた、それでいて甘い吐息と震える声で電話口で言われた時は、心臓が止まるかと思った。
 俺が息を呑んだまま固まってしまったから、『ごめん、聞かなかったことにして』とプッツリ切られてしまった通話を、シューティングゲームのボスを倒す勢いでボタンを連打し、掛けても掛けても電話に出てくれないから研究論文並みの長文メールを書いて送って、既読スルーが3日続いた日には宮城まで飛んで行こうかと思った。ていうか実際に仙台まで行きましたけど、本人と連絡が取れないからそのまま帰るしかなかったんだ。

 俺も好きだって、なんなら菅原より先に好きになってたって、それを伝えてもしばらく菅原は取り合ってくれなかった。何故なのか理由は分からない。
 大学も四年になって、菅原の誕生日に電話をした時、ようやく直接話すことができた。菅原の告白、俺の告白から一年経っていた。
 お互い好きな気持ちは変わらず。なのに、会いたい、俺がそっちに行くからと言っても、理由をつけて絶対に会ってくれない。なんで。なんでなんだ。毎日でもビデオ通話したい、声だけでも聴きたいと思うのは俺だけなのか。
 実際の通話やメールでは、そんな執念深い怨念じみた想いはおくびにも出さず、会話を終えた後で盛大に落ち込む日々。分かるかな、この“手に入れた筈なのに、実際に現物に触れてないから実感が湧かない”感じ。そして、ふとしたことで夢と消えてしまう感じ。俺にとって俺のことを好きと言ったスガちゃんは、まだ夢の中の存在なのだ。


 サンキューあったまった~と、バスタオルを頭から被って戻ってきた菅原は、懐かしのジャージ上下を装着していた。バッグからそれを取り出した時、何か見たことあるな~とは思っていたけど。
「孝支くん、高校の時からぜんぜん変わってないんだ」
「うっせーな。鉄朗だって、あれが最終形態だろ」
「どうだろ、卒業してから測ってないし、190に届いたかな?」
「いやいや! 特に、目線は変わってねーから!」
 立ってみろ! と言うので、彼の目の前にのそりと立ち上がり、徐に上から見下ろす。
「……スガちゃん、ちょっと縮んだ?」
 バスタオルを彼の髪を拭いながら肩まで落として、その頭頂部に手のひらを載せる。
「ちっがーう! 髪がぺちゃんこだからだよっ」
 ムキになるのがすげー可愛い。フフフと鼻で笑って、あ~違う違う。見下してる訳じゃないんだけど、笑いが堪えられない。愛しさが募って、その頬を両手で挟むとそのままキスをした。
「……」
 重ねただけでそっと離すと、目を見開いて固まっている菅原の顔がドアップで映し出される。あ、やっべ。気持ちが先走って、許可を得ることもその後のことも考えずに行動に出てしまった。
「ご、ごめん、つい」
 妄想の中では菅原と俺はあれやこれや、人様にはお聞かせできないようなはしたないコトも何度もしてしまっているのだけれど、現実ではキスをするのもこれが初めてだった。
「ごめん、嫌だった……?」
「黒尾ってさ、」
 俺が焦って、菅原の頬から離した両手を行き場なくホールドアップした状態でいると、
「俺が黒尾に好きって言わなかったら、黒尾の方からは絶対に言ってくれなかったよな」
 すっかり名前の呼び方まで戻ってしまっている。烏野ジャージを着ているから、俺も錯覚を起こす。
「なんにもしないで、終わらせるつもりだったんだろ? てか、うすーい繋がりの友達のままで、最後までいるつもりだったんだろ?」
「孝支……」
「この一週間で、なんもなかったら俺もそうするつもりだった。だってどうせ、俺は宮城に帰るんだから」
「……」
 こんな時、どう言ったらいいんだ。気の利いたセリフなんて俺には思いつかない。相手が菅原でなければ、次から次へとポンポン言葉の応酬も出来るのに、好きになればなる程意図を探って、慎重になってしまう自分が嫌だ。
「俺が黒尾が好きって言ってから、ずっと待たせただろ? 待ってなかったの? 待ってたんなら、フツー部屋入った瞬間にガバッと来るもんじゃないの?」
「え……。ンン……?」
「さみーのにすぐ風呂入るって、どう考えてもおかしいだろ。お前の部屋泊まるってことはさ、どぎまぎした時間はもう終わりなの。それとも鉄朗くんは、清廉潔白、清純派で下ネタ厳禁な菅原くんの方がお好みですか?」
 もどかしーんだよ! と言って、自分の首に掛けていたバスタオルを両手で掴んで俺の首に引っ掛けると、今度は菅原の方から伸び上がって口唇に噛み付いてきた。
 先程の事故めいたキスよりも長く、気持ちが流れ込むまで。息をついてお互いの瞳を覗き込むと、どちらも熱っぽく潤んでいるのが分かる。いつもは部屋にない、菅原のキャリーバッグに躓きそうになりながら、二人分の体重をベッドが受け止めるとギイッと悲鳴を上げた。

 その後は、もう野暮なことは言わない。菅原の烏野排球部の前ジッパーを一気に下げ、白いTシャツの上から抱き締める。素肌に触れるのが勿体ないなんて思ってしまうのは、シャツ一枚の上からだって、こんなふうに手のひら全体で味わって、首筋に直接鼻を擦り付けて耳朶の裏を嗅ぐことも、そこへキスするのだって全部、あの頃からしたいと思ってたって出来なかったんだから。
 口唇へのキスもしたいけど、シャツをたくし上げてその鳩尾みぞおちを舌で舐め上げながら吸う。魅惑的に色を違えている乳首は指先でそっと触れて、尖るまで悪戯をする。余裕はないけど、肌の一部一部すべてに触れて、その反応を確かめたい。
「ふ、……てつろ、俺のキャリーに、」
「……キャリー? …なに?」
 氷もすぐに溶けてしまいそうな熱い肌を貪るのに夢中で、菅原が何を言ったのか分からない。覆い被さる俺を力なく押し退けて、半身起き上がらせると自分のバッグの中をごそごそと漁る。密閉された袋を取り出し、ついでにジャージの上下を自分で脱ぎ捨てると、
「これ、俺に塗って」
と、菅原はジェルのチューブを俺に預けた。
「……これって」
「なんだよ。やり方、知らねーわけじゃねぇだろ」
 チューブは三分の一ほど使われた状態で中身が減っている。菅原は自分の胸の下に枕を抱えると尻を突き出し、「パンツ、脱いだ方がいい? お前が脱がす?」と訊いてきた。
「……待って待って」
 もう、何がどうなってんだ?? 菅原は、俺に抱かれるのを予想していた? 中身が減っているってことは、何度か使ったってこと?
「別に、誰かに使わせたんじゃねーよ? この一年で練習したの」
 はぁ!? れん……って、ハァ!?
 俺がチューブ片手にわなわなと震えていると、
「清純なのがいーんなら諦めて。お前の知らないところで、お前で何度も抜いてるのが本当の俺」
 夢壊してごめんね、と言って、自分の股の間に手を突っ込み、尻の方から下着を引っ張ってずるりと下ろした。
 そうまでされて、身体中の血が沸騰しない訳がなかった。ベルトを外すのももどかしく、中の下着まで一気に脱ぎ下ろす。俺だって、そういうつもりの用意はしてある。ベッドのヘッドボードの棚まで伸び上がって手を伸ばし、棚の中からコンドームを探り当てる。
 ああ、このゴム買ったのは、例の雑誌買った後じゃん。菅原にそっくりなあの雑誌の女の子は、一ミリのチラリズムもなくきっちり制服を着こんでいるのが、余計に当時の菅原っぽくて良かった。あれが菅原の言う“清純”の基盤なら、あれを俺に見せた時点で俺をソッチに誘ってたんだ。
 本当の自分はそれとは真逆。それを言って、俺が諦めるとでも? 本物の菅原に、幻滅するとでも?
 何もかも嵌められた感はあったが、そんなのは今更どうでもいい。焦り過ぎて自分の下履きが膝に絡んでつんのめるまでがセット。枕を抱えて待っている菅原が、それを見て笑った。


 どんなに気持ちよくて天国を見ても、吐き出した後に虚無になる時間は必ずやってくる。
 菅原は、狭いベッドの上で丸まって、俺の横ですうすうと寝てしまった。ぐちゃぐちゃで気持ち悪そうな部分だけ、そこに落ちていたバスタオルで拭って、風邪だけは引きたくないと思って、あまり動きたくないけど根性で暖房は消した。毛布と羽毛布団を自分たちに掛ける。一息ついたところで、ああ、あれは菅原のバスタオルだった、ゴメンと思ったりする。
 指先に、まだ感触が残っている。
『そんなに、丁寧にしなくてもいいから』
と、びくびくと躰を震わせながら愚図るような声色で菅原が善がる。一年練習したというその場所は、二本の指を奥まで挿れて指の腹で捏ねるように掻き混ぜてやると、菅原の背が快感に戦慄いて前から白濁が漏れた。
 初めてで、入るのか? という心配は最初だけ。ゴムを着けたソレが空洞にきゅぷっと吞み込まれると、爪先から脳天までビリビリと痺れ上がってすぐに果てた。
 新しいゴムに替える時間すら惜しく、一向に萎えないソレをすぐに挿れ直したら菅原が『まだっ…! イッてるから、ヤダ……!!』と喚かれて泣かれたが、びくびくと痙攣が治まるまで中で待っていたら、そのうち自分から腰を押し付けてきた。
 はぁ……。淫乱なの、最高です。
 思い返すとまた勃ってしまいそうで(ちょっと勃ちましたけど)、横で寝ている菅原の方に向き直って、その髪の匂いを嗅ぎながら眠りについた。

 数時間寝て、ふと目を覚ましても外はまだ真っ暗だった。当たり前だ。夕飯も食べずに盛って、寝たのだってきっと早くて21時頃だ。
「……今、何時?」
 菅原も、もぞりと身じろいで寝ぼけ眼をこちらに向ける。
「あー……3時。夜中の」
「マジか」
 フフフと布団の中でくぐもった笑いを零す。
「なぁ、今日クリスマスイブだけど、どっか行く?」
 あちこちを向いてる菅原の前髪を指先で梳きながら、俺がそう訊くと、
「うーん……。腹減ったけど……起きたくない」
 起きてから考えよ? と菅原は舌っ足らずな口調で呟いて、俺の胸元に額を擦り付けた。





 
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年末婚(2022/03/31 黒尾×菅原)

キーワードタグ 腐向けHQ  黒尾鉄朗×菅原孝支  R18 
作品の説明 両想いなのに、東京と宮城住みということもあって距離を詰められない二人。大学生活最後の年末年始を、黒尾の部屋で過ごすことに。
思わせぶり菅原、ふがいない黒尾。高校卒業後、付き合ってない→エッチするまで
@shortshort_rakiにて取り組んでいた「30日CPチャレンジ」の最後のお題【30.「ホット」な事をする】です。
お題の17.寝起き・朝の支度(黒菅)に若干続いてます。30日CPチャレ・黒菅まとめ⇒ https://poipiku.com/465223/7830425.html
年末婚(2022/03/31 黒尾×菅原)
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 高校三年生の男子なんて、本来なら性欲の塊なんすよ。
 それに翻弄されずに済んだのは、自分がクラスの友人とつるむより部活の面々と過ごす時間の方が濃い空間にいたからで、とりわけ海や夜久がそっちにはまるで興味ないような、興味があったとしても好みの芸能人の話題くらいで、身近な女子との生々しいエピソードを持ち出してこなかったのが幸い。
 いやホントに幸いだと思ってますよ。じゃなきゃ高三のある時点から延々悶々と積み重ねていた想いを、その時の誰かに打ち明けて応援なんかされていたら、すぐその気になってその場で玉砕してたかもしんないんだから。


 最後の春高で烏野に敗退し、烏野と鴎台の試合も遂に終わって、労いのハグは交わせても別れはバタバタだった。
 特定の彼――菅原とは握手もせず。視線は一瞬交わるもすぐに逸らされ、俺の方は未練たらたらにずっと目で追っていたけれど、頑なにこちらを見ない。言葉だって、音駒のメンツに向けた「じゃあな!」の一言だけ。
 それでも何気ないメールのやり取りは高校卒業まで続いて、菅原からの『やっぱり地元の大学に決めたわ』という一文で、俺の青春は終わった、と打ちひしがれていた。

 自分が気の多い人間でなくて、本当に良かったと思っている。菅原のことは諦めたが、大学の新しい環境で誰のことも目に入らなかったし、言い寄られてもまったくその気になれなかった。
 俺の性欲どこ行った。烏野というチームに出会い、菅原という人間に出会い、言葉を交わす度、笑顔や真剣な顔や、気を抜いて無防備になった瞬間に立ち会う度、自分の身体なのに自分で制御できない情動をどうにかするのに、あの頃は必死だった。
 気付かれたら気に病まれそうで、避けられるのが怖くて、彼が意図なく自分に触れてくる時も、平気な振りで菅原のパーソナルスペースに侵入していたから、俺はそういうのに慣れている軽いヤツと菅原も思っていただろう。そう思われていた方が気が楽だ。
 梟谷グループ合宿のある時、彼に似た髪色と瞳をした地下アイドルの載った雑誌を、菅原自身が見て見てしてきた時はその場に立ち尽くし、菅原が「……ごめん、キモかった? いつもの冗談じゃん。……黒尾、怒ってる?」と訊いてきたくらいだから、俺はフクザツな表情をしていたんだと思う。考えたら、俺が菅原をそういう目で見ていることに気付いたのはあの時だ。
 罪悪感に押し潰されそうになりながら、自分でもその雑誌を探して幾度となくオカズにしてしまった話は、墓場まで持ち込まなければならない。……あれ、ちょっと待て、性欲に翻弄されなかった俺偉いって話じゃなかった? めちゃくちゃ翻弄されまくってんじゃん。
 酷い話だ。それだけ年中発情して抑えが効かなかったというのに、その熱を誰かに発散することもなくこのまま枯れていくんだ。
 それでもいっか、と思う。だってこの片恋が、風に攫われたり雪に埋もれたりして消えていく世界が、俺が生きていく世界の現実としてやってくるとは到底思えなかったから。


「孝支くーん、こっちこっち!」
 大学生活最後のクリスマス。12月の23日に菅原が東京へやって来た。
「てつろ~。ハハ、画面越しに会ってっから、そんなに久しぶりって感じでもないな」
 白い息を弾ませて、見慣れても何度見たって飽きない笑顔が目の前で披露される。ああ、夢じゃないなら抱き締めたい。と、思ったそばからハグしてた。大丈夫、このくらい男同士でも友人なら誰でもやってる。
「東京は、やっぱ人多いな。クリスマスだから?」
「年中こんな感じっしょ。てゆーか、荷物少なくね? 年越し前に帰るとか言わないよね」
 菅原は今日から年始にかけて俺の一人暮らしの部屋に泊まる約束で、お互い卒論もこなさなきゃならないからあまりゆっくりもしてられないし、新年7日には大学も始まってしまうので、春高を観に行くのも初日だけかな、と、決まっている予定はそれだけ。
「着替えは三日分あれば、充分着回せんだろ」
 色気の欠片もないったら。まぁ、いざとなればクリスマスプレゼントと称して、一緒に服を買いに行くのもいいかもしれない。
「どうする? すぐ俺んち行く? なんか食ってく?」
 昼食時は過ぎていたが、ランチには間に合う時間。自分ちの周りより、今いる東京駅周辺の方が店も多い。すると菅原が、いつもとは違う少し憂いを含んだような顔ではにかんで、
「お前んち」
と呟いて、ダウンコートの上から俺の肘をきゅっと抓った。
「……」
 あ~もう。生身怖い。数年間の殻を破って、様々な感情が噴出寸前だ。

「おお~。1Kでも意外と広いじゃん」
 学生が多く住む町でも結構不便な場所。治安が良い分、駅からは遠い。その点、南向きで日当たりもいいし、春には窓から桜並木も見える。
 人を泊めるのも初めて。バス停も近くにないし、大体こんなとこまで徒歩で遊びに来る酔狂な友人もいない。菅原は文句も言わず、景色を楽しみながら、旅行用のキャリーバッグを俺と交代で引いて、散歩中の犬やベビーカーで寝ている子どもに手を振って、「俺、こいつの同級生で菅原って言います」とか、今まで近所の住人に声を掛けられることもなかった俺まで有名人にする気か。
 というか、意外と自分の顔も近所の人たちは知っていたみたいだ。今までまるで周りが見えていなかった。菅原といるだけで、世界が変わる。
 部屋の暖房と、ホットカーペットのスイッチを入れると、菅原は「俺、シャワー借りてい? 手っ取り早くあったまりたい」と言う。断る理由はない。
「じゃあ、お湯溜めてくるから待ってて」と言うと、「シャワーでいい」と言うし、キャリーバッグから着替えの他にバスタオルまで取り出し、そんなの俺んちのを使えばいいのに。とも思う。
 部屋の設備を簡単に教えて、「サンキュー」とバスルームに消えて行った菅原の、脱ぎ捨てられたコートを拾ってハンガーに掛けた。
 あのさ、シャワーって、そういう意味じゃないよね?
 日はまだ高く、夕飯の時間にもまだまだ早い。


 自分は人の感情の機微には敏いと思っていた。横に並ばれるだけで、隣にいる子が誰を好きなのか分かったし、こいつとこいつは付き合ってるな? というのも、二人の間で隠されていたって雰囲気で感じ取れてしまうものだ。
 だのに、菅原に至ってはまったくだった。いや、「そうなのかな?」と感じ取れた瞬間は確かにあって、あったけれどヘタレな俺は「そんな、まさかな~……」と希望を即座に打ち消していた。
 大学生活が始まってからも、菅原とはちょくちょくメールをしたり、時には通話をしたり、文字を見ても声を聴いても俺はその度に舞い上がり気味だったけど、恋愛成就に関しては諦めていた。だから、
『黒尾が好きなんだ』
と、前後口籠りながら、舌っ足らずで少し掠れた、それでいて甘い吐息と震える声で電話口で言われた時は、心臓が止まるかと思った。
 俺が息を呑んだまま固まってしまったから、『ごめん、聞かなかったことにして』とプッツリ切られてしまった通話を、シューティングゲームのボスを倒す勢いでボタンを連打し、掛けても掛けても電話に出てくれないから研究論文並みの長文メールを書いて送って、既読スルーが3日続いた日には宮城まで飛んで行こうかと思った。ていうか実際に仙台まで行きましたけど、本人と連絡が取れないからそのまま帰るしかなかったんだ。

 俺も好きだって、なんなら菅原より先に好きになってたって、それを伝えてもしばらく菅原は取り合ってくれなかった。何故なのか理由は分からない。
 大学も四年になって、菅原の誕生日に電話をした時、ようやく直接話すことができた。菅原の告白、俺の告白から一年経っていた。
 お互い好きな気持ちは変わらず。なのに、会いたい、俺がそっちに行くからと言っても、理由をつけて絶対に会ってくれない。なんで。なんでなんだ。毎日でもビデオ通話したい、声だけでも聴きたいと思うのは俺だけなのか。
 実際の通話やメールでは、そんな執念深い怨念じみた想いはおくびにも出さず、会話を終えた後で盛大に落ち込む日々。分かるかな、この“手に入れた筈なのに、実際に現物に触れてないから実感が湧かない”感じ。そして、ふとしたことで夢と消えてしまう感じ。俺にとって俺のことを好きと言ったスガちゃんは、まだ夢の中の存在なのだ。


 サンキューあったまった~と、バスタオルを頭から被って戻ってきた菅原は、懐かしのジャージ上下を装着していた。バッグからそれを取り出した時、何か見たことあるな~とは思っていたけど。
「孝支くん、高校の時からぜんぜん変わってないんだ」
「うっせーな。鉄朗だって、あれが最終形態だろ」
「どうだろ、卒業してから測ってないし、190に届いたかな?」
「いやいや! 特に、目線は変わってねーから!」
 立ってみろ! と言うので、彼の目の前にのそりと立ち上がり、徐に上から見下ろす。
「……スガちゃん、ちょっと縮んだ?」
 バスタオルを彼の髪を拭いながら肩まで落として、その頭頂部に手のひらを載せる。
「ちっがーう! 髪がぺちゃんこだからだよっ」
 ムキになるのがすげー可愛い。フフフと鼻で笑って、あ~違う違う。見下してる訳じゃないんだけど、笑いが堪えられない。愛しさが募って、その頬を両手で挟むとそのままキスをした。
「……」
 重ねただけでそっと離すと、目を見開いて固まっている菅原の顔がドアップで映し出される。あ、やっべ。気持ちが先走って、許可を得ることもその後のことも考えずに行動に出てしまった。
「ご、ごめん、つい」
 妄想の中では菅原と俺はあれやこれや、人様にはお聞かせできないようなはしたないコトも何度もしてしまっているのだけれど、現実ではキスをするのもこれが初めてだった。
「ごめん、嫌だった……?」
「黒尾ってさ、」
 俺が焦って、菅原の頬から離した両手を行き場なくホールドアップした状態でいると、
「俺が黒尾に好きって言わなかったら、黒尾の方からは絶対に言ってくれなかったよな」
 すっかり名前の呼び方まで戻ってしまっている。烏野ジャージを着ているから、俺も錯覚を起こす。
「なんにもしないで、終わらせるつもりだったんだろ? てか、うすーい繋がりの友達のままで、最後までいるつもりだったんだろ?」
「孝支……」
「この一週間で、なんもなかったら俺もそうするつもりだった。だってどうせ、俺は宮城に帰るんだから」
「……」
 こんな時、どう言ったらいいんだ。気の利いたセリフなんて俺には思いつかない。相手が菅原でなければ、次から次へとポンポン言葉の応酬も出来るのに、好きになればなる程意図を探って、慎重になってしまう自分が嫌だ。
「俺が黒尾が好きって言ってから、ずっと待たせただろ? 待ってなかったの? 待ってたんなら、フツー部屋入った瞬間にガバッと来るもんじゃないの?」
「え……。ンン……?」
「さみーのにすぐ風呂入るって、どう考えてもおかしいだろ。お前の部屋泊まるってことはさ、どぎまぎした時間はもう終わりなの。それとも鉄朗くんは、清廉潔白、清純派で下ネタ厳禁な菅原くんの方がお好みですか?」
 もどかしーんだよ! と言って、自分の首に掛けていたバスタオルを両手で掴んで俺の首に引っ掛けると、今度は菅原の方から伸び上がって口唇に噛み付いてきた。
 先程の事故めいたキスよりも長く、気持ちが流れ込むまで。息をついてお互いの瞳を覗き込むと、どちらも熱っぽく潤んでいるのが分かる。いつもは部屋にない、菅原のキャリーバッグに躓きそうになりながら、二人分の体重をベッドが受け止めるとギイッと悲鳴を上げた。

 その後は、もう野暮なことは言わない。菅原の烏野排球部の前ジッパーを一気に下げ、白いTシャツの上から抱き締める。素肌に触れるのが勿体ないなんて思ってしまうのは、シャツ一枚の上からだって、こんなふうに手のひら全体で味わって、首筋に直接鼻を擦り付けて耳朶の裏を嗅ぐことも、そこへキスするのだって全部、あの頃からしたいと思ってたって出来なかったんだから。
 口唇へのキスもしたいけど、シャツをたくし上げてその鳩尾みぞおちを舌で舐め上げながら吸う。魅惑的に色を違えている乳首は指先でそっと触れて、尖るまで悪戯をする。余裕はないけど、肌の一部一部すべてに触れて、その反応を確かめたい。
「ふ、……てつろ、俺のキャリーに、」
「……キャリー? …なに?」
 氷もすぐに溶けてしまいそうな熱い肌を貪るのに夢中で、菅原が何を言ったのか分からない。覆い被さる俺を力なく押し退けて、半身起き上がらせると自分のバッグの中をごそごそと漁る。密閉された袋を取り出し、ついでにジャージの上下を自分で脱ぎ捨てると、
「これ、俺に塗って」
と、菅原はジェルのチューブを俺に預けた。
「……これって」
「なんだよ。やり方、知らねーわけじゃねぇだろ」
 チューブは三分の一ほど使われた状態で中身が減っている。菅原は自分の胸の下に枕を抱えると尻を突き出し、「パンツ、脱いだ方がいい? お前が脱がす?」と訊いてきた。
「……待って待って」
 もう、何がどうなってんだ?? 菅原は、俺に抱かれるのを予想していた? 中身が減っているってことは、何度か使ったってこと?
「別に、誰かに使わせたんじゃねーよ? この一年で練習したの」
 はぁ!? れん……って、ハァ!?
 俺がチューブ片手にわなわなと震えていると、
「清純なのがいーんなら諦めて。お前の知らないところで、お前で何度も抜いてるのが本当の俺」
 夢壊してごめんね、と言って、自分の股の間に手を突っ込み、尻の方から下着を引っ張ってずるりと下ろした。
 そうまでされて、身体中の血が沸騰しない訳がなかった。ベルトを外すのももどかしく、中の下着まで一気に脱ぎ下ろす。俺だって、そういうつもりの用意はしてある。ベッドのヘッドボードの棚まで伸び上がって手を伸ばし、棚の中からコンドームを探り当てる。
 ああ、このゴム買ったのは、例の雑誌買った後じゃん。菅原にそっくりなあの雑誌の女の子は、一ミリのチラリズムもなくきっちり制服を着こんでいるのが、余計に当時の菅原っぽくて良かった。あれが菅原の言う“清純”の基盤なら、あれを俺に見せた時点で俺をソッチに誘ってたんだ。
 本当の自分はそれとは真逆。それを言って、俺が諦めるとでも? 本物の菅原に、幻滅するとでも?
 何もかも嵌められた感はあったが、そんなのは今更どうでもいい。焦り過ぎて自分の下履きが膝に絡んでつんのめるまでがセット。枕を抱えて待っている菅原が、それを見て笑った。


 どんなに気持ちよくて天国を見ても、吐き出した後に虚無になる時間は必ずやってくる。
 菅原は、狭いベッドの上で丸まって、俺の横ですうすうと寝てしまった。ぐちゃぐちゃで気持ち悪そうな部分だけ、そこに落ちていたバスタオルで拭って、風邪だけは引きたくないと思って、あまり動きたくないけど根性で暖房は消した。毛布と羽毛布団を自分たちに掛ける。一息ついたところで、ああ、あれは菅原のバスタオルだった、ゴメンと思ったりする。
 指先に、まだ感触が残っている。
『そんなに、丁寧にしなくてもいいから』
と、びくびくと躰を震わせながら愚図るような声色で菅原が善がる。一年練習したというその場所は、二本の指を奥まで挿れて指の腹で捏ねるように掻き混ぜてやると、菅原の背が快感に戦慄いて前から白濁が漏れた。
 初めてで、入るのか? という心配は最初だけ。ゴムを着けたソレが空洞にきゅぷっと吞み込まれると、爪先から脳天までビリビリと痺れ上がってすぐに果てた。
 新しいゴムに替える時間すら惜しく、一向に萎えないソレをすぐに挿れ直したら菅原が『まだっ…! イッてるから、ヤダ……!!』と喚かれて泣かれたが、びくびくと痙攣が治まるまで中で待っていたら、そのうち自分から腰を押し付けてきた。
 はぁ……。淫乱なの、最高です。
 思い返すとまた勃ってしまいそうで(ちょっと勃ちましたけど)、横で寝ている菅原の方に向き直って、その髪の匂いを嗅ぎながら眠りについた。

 数時間寝て、ふと目を覚ましても外はまだ真っ暗だった。当たり前だ。夕飯も食べずに盛って、寝たのだってきっと早くて21時頃だ。
「……今、何時?」
 菅原も、もぞりと身じろいで寝ぼけ眼をこちらに向ける。
「あー……3時。夜中の」
「マジか」
 フフフと布団の中でくぐもった笑いを零す。
「なぁ、今日クリスマスイブだけど、どっか行く?」
 あちこちを向いてる菅原の前髪を指先で梳きながら、俺がそう訊くと、
「うーん……。腹減ったけど……起きたくない」
 起きてから考えよ? と菅原は舌っ足らずな口調で呟いて、俺の胸元に額を擦り付けた。





 
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