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最終更新日:2021年08月01日 23:03

聖川高校保健体育副読本

非会員にも公開
サンリオ男子SS。
アニメとツイッターネタのみ(紙媒体・2.5の情報はほぼノータッチ)。
CP雑多混在・リバあり。由梨ちゃん大好き。
エロはそんなに書かないけど、不適切なことをやらかしかねないのでRつき。
各人一人称表記は、その時々で変えているので、公式と違うことがままあります(「オレ」「俺」キャラが複数いて判別しがたいので)
サムネはキャラットで作成

本スレ(雑記。萌え語りはこちら) https://pictbland.net/blogs/detail/159

◆◆◆目次◆◆◆

【康太、明かりをつけて。】 祐×康太 俊介  
 https://pictbland.net/blogs/view_body/706354

【ずるいともだち】1 祐×康太 俊介
 https://pictbland.net/blogs/view_body/706357

【ずるいともだち】2 祐×康太 
 https://pictbland.net/blogs/view_body/706359

【猫は丸いものが好き】 智→俊介 誠一郎
 https://pictbland.net/blogs/view_body/711983

【赤ずきん】 祐×菅見 康太
 https://pictbland.net/blogs/view_body/713259

【エイプリルフールはめぐる】 諒・康太・祐・俊介・菅見
 http://pictbland.net/blogs/view_body/821429

【聖川高校2年保健体育】康太・祐・俊介
 https://pictbland.net/blogs/view_body/866688
  慈雨
  • 2018年10月08日 17:57

    昴誕生日
    後出の昴に関しては、不遇というか不憫というか・・・公式での扱いがね
    ぐぐった知識しかないし、名字表記を間違えそうなので、今のところ昴にはノータッチの方針
  • 2018年10月04日 07:01

    【赤ずきん】

    タイトルは、赤い頭巾のマイメロになぞらえての仮題
    変更しようと思っていたのに、何も思いつかなかった

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    祐は攻め成分が8割8分だからと、祐菅に
    先生が受けになった過程を考え、先生はソープ嬢(同級生か元教え子)を匿って、ソープ嬢につきまとうチンピラにあれこれ仕込まれて受け体質になったという背景になってしまった
    さらに、康太を入れて3P展開を考えたりして、想像だけで楽しくなっちゃったんだよな

    それはそれと切り離して、終わらせてみた
    康太が先生が好きか祐が好きなのか、最初に決めてから書けばよかった
    結局思いつかずに、どちらともとれるラストになったのは、逆によかったかも
    と、自分を慰める
    尻切れトンボになっているものをひとまず終わらせよう月間にしているけれど、勢いがなくなって挫折したものの多さにめげているので、少しでもよかった探ししないと辛い

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  • 2018年10月04日 06:29  

    【赤ずきん】

    祐×菅見 康太
    生活指導をする菅見に、やましいことは何もないと主張してストリップする祐
    約3800字

    今年のGW、Twitterで祐が先生から呼び出されていたのを見て、書いていたもの
    康太が、祐と先生それぞれをどう思っているのか決められずに失速、放置
    先日もTwitterで、先生のプライベート写真を祐が上げていたので、おつきあいしていたのかと改めて思った


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    ◆◆◆◆◆
    「もっと、ちゃんと見て」
     水野は、菅見の膝を挟むように立った。
     頬にかかる髪をかき上げ、左耳を前に突き出す。薄く細長い耳朶には、傷跡もない。
     放課後の生物準備室に水野を呼んだのは、生活指導のブラックリストの水際にいることを知らせるためだった。受け持ちのクラスではないし、特定の生徒に深入りするのはどうかと、菅見は自分をたしなめた。
     聖川の校則はゆるい。警察沙汰にでもならなければ目こぼしはされる。水野は学校指定の制服を着ているし、ほぼ皆勤だ。非行歴もない。ただし、派手な容姿と、複数の女子生徒と親しいことは目を引く。それを理由に、後ろ暗いことをしているに違いないと決めつけて、水野を毛嫌いしている教員もいるのだ。
     当然、水野も気付いていた。わかる人がわかっていればいい、というスタンスで、改めるつもりはないらしい。
     だってピアスも開けてないんだぜ、と水野が確認を迫ってきたのだ。
    「体も見る?」
    「……いや」
     菅見が顔をそむける。
    「見てよ」
     水野の片膝が、菅見の太腿に乗る。
     ネクタイをほどく水野の指先から、チョコレートとバニラの香料が強く匂った。
    「また、教室で何か食べてたのか?」
    「おやつおやつ。昼飯がっつり食っても、腹減っちゃう。育ち盛りだし」
    「だから、目をつけられるんだ。生活態度を改めるだけでも、人の見る目が違ってくる」
    「俺、普通なんだけど? これ以上何しろって?」
     休み時間に間食している生徒は珍しくない。水野より服装が乱れている者もいる。
     生活指導で厳しくマークしている生徒は、他にもいるのだ。水野だけが特別ではない。
     シャツのボタンをはずした水野は、前立てを左右に開いて見せる。
    「タトゥーもピアスもないよ」
    「……ああ」
     肌のきめまで見える距離の近さが気まずい。
     菅見は目をはずし、窓に顔をそむける。
    「どうして、窓閉めてんの?」
     水野は、視線までもしつこく追いかけてくる。
     昼休みにブラインドを閉めて、そのままだた。上階の渡り廊下から、生物準備室は丸見えになる。うしろめたいことはないが、のぞきこんで他愛もないことも話し草になるのは気分がよくない。
     午後の数十分、初夏の強烈な陽射しがさしこむことにも、菅見は閉口していた。資料の日焼けは防ぎたい。
     きわめてまっとうな理由を答えることが、菅見には面倒だった。
    「先生、もっと見る?」
    「見たくない」
     だめを出しても、水野は自分の気分を通すのだ。押し問答の手間は省きたい。
     水野とのやりとりは、体力が目減りする。まともに取り合っていたら、疲れるだけだ。
     今の状況が好ましくないのは、もちろん、菅見にはわかっている。体罰に見えかねない。女子生徒が相手なら、淫行も疑われる。どう転んでも、菅見は加害者扱いだ。水野が被害者を決め込むなら、普段はこの生徒を疎んじている教員たちも、菅見を突き放す。
     そこまで考えて、菅見はふっと笑みをもらした。
    「なんかおかしい?」
    「いや……肌が白いと思って」
    「日焼けしても、すぐさめちゃうしね。なんで?」
    「さあ? 代謝がいいのか」
    「ビタミン取ってるよ、ビタミンC。妹もお年頃だからさ、にきびとかかわいそうじゃん」
    「結構筋肉ついてるな、帰宅部なのに」
    「家事してるとき、意識して負荷かけたりしてる」
    「家のこと、大変なのか?」
    「まあ、誰かがやんないといけないことだし、オレが今のとこ一番暇だし」
    「えらいな」
    「もっとほめていいよ」
    「調子に乗るな」
    「もっとほめて」
    「いい子だ」
     あきれてリクエストに応えただけなのに、水野は心底嬉しそうな顔つきになる。
    「だが、チャラい」
    「それとこれとは、関係ないじゃん」
    「人は見た目で判断するものだ」
    「見た目だけで分かった気になってる人なんて、どうでもいいよ。先生とか康太とかがわかってくれてれば」
    「ずいぶんと小さい世界で生きている」
    「家と学校だけだもん、オレの世界。あと、メロちゃん。メロちゃん、大事」
     ボタンをはずしたカーディガンを、シャツごと肩脱ぎにして、水野は背中を向けた。
     背骨が太い。肩胛骨も丸く隆起し、背中だけ見ていると、少年期をすでに脱してしまったようだった。
    「何もないっしょ?」
    「……ああ」
     水野はシャツを肩まで引き上げ、ズボンの布ベルトをゆるめる。
    「下も見るのか?」
    「パンツ脱いでもいいよ」
    「遠慮する」
    「だってさ、このあたりに入れ墨入ってるかもしれないじゃん」
     体をひねりながら、水野は尻を向ける。前から見えばシンプルなグレーのボクサーショーツには、ハローキティのイラストが入っていた。
    「それは……吉野が好きな奴じゃないか?」
    「そそ。しゅしゅの家で寝落ちして、そのまま登校したときに貰った。もちろん新しい奴ね」
    「キャラがどうのっていうより、水野はピンクのイメージが強いから、赤いのは少し違和感あるな」
    「それは、オレがピンク派だから。メロちゃんは赤い子もいるよ」
     菅見の膝に、水野の片膝が乗る。
    「見て、先生」
     水野が内股を見せようとして、菅見の膝も開きそうになる。うんざりと視線を落として、目を剥き、菅見は額を押さえた。
     水野の太腿に、赤いマイメロディがいた。
    「タトゥーシールだよ。可愛いっしょ?」
    「……一瞬、本物の刺青かと思った」
     この生徒なら体に墨を入れかねない、と一瞬菅見は疑ってしまった。派手な生徒を色眼鏡で見てしまうのは、教員の職業病ともいえた。
    「驚いた?」
    「ああ」
    「脱いだ甲斐あったわ。誰も驚いてくれないから、ちょっとしょげてた」
    「見せて回ってるのか?」
    「昨日体育で、着替えるときにね」
    「結構もつものだな」
    「ね? ボディソープつけてスポンジでこすっても、全然落ちねえの」
    「たわしや軽石なら一発で落ちるだろう」
    「玉の肌もメロちゃんも、そんな野蛮な道具で傷つけたくないです」
    「玉の肌だと、自分で言うのか?」
    「じゃあ、もち肌?」
     水野は自分の内股を撫でる。
    「先生、触ってみなよ。女子にもうらやましがられてるんだぜ」
    「遠慮する」
    「若いぴちぴちした肌にタダでお触りできるんだよ。ご遠慮なさらずに、どうぞ」
     手首をつかまれて、菅見は息を呑んだ。
     水野の手の大きさも力強さも、成人男性のそれだ。油断をすれば、菅見は押えこまれてしまう。
    「水野、離しなさい」
    「じゃあ、触って」
    「しつこい」
     邪険にならない程度の荒っぽさで逃れようとしても、水野のいましめがきつくなるだけだった。
     高校生は、バランスの悪い生き物だ。菅見には、オタマジャクシがカエルに変態する過程を思わせる。心も体も不格好で、観察対象としては興味深い。
     今の菅見にとって、生徒は収入源となるお客様だ。友達ではない。
     水野、と今一度静かに呼びかけ、いましめを解かせようとした。
     ドアが、小さな音を立てた。
     水野の指がゆるんだ。
     案外臆病なのかと、菅見は微笑する。風が通り抜ければドアが揺れるほど、校舎全体が老朽化している。
     ドアが滑る音に、菅見の血の気が引いた。
    「失礼します」
     遅れて挨拶する声は、二年の長谷川だ。
     水野の指に、また力が入る。
    「やっぱ、祐、いた。何してんの?」
     長谷川は、あきれたような口ぶりで問いかける。
    「先生にレイプされかけてる」
    「嘘つくなよ。先生が困ってる」
     笑いを含んだ長谷川の声に、菅見は安堵する。
     闖入者が長谷川であったのは、不幸中の幸いだった。長谷川は、水野の日頃の言動を知っている。瞬時に菅見を被害者だと判別したのも、そのせいだ。
    「長谷川、水野を連れていってくれ」
     振り返っても、戸口に立っている長谷川は見えない。
    「話は終わったんですか? ていうか、祐、何で服脱いでるの?」
    「生活態度が悪いとかなんとかだから、ピアスもタトゥーもないきれいな体ですって、見てもらった」
    「俺は見ないって言ったぞ」
     菅見は、一応の抗弁をする。
    「でしょうね。祐が勝手に脱いだんだ」
    「うん。メロちゃんを見てもらった」
     水野は、上機嫌で、ズボンを引き上げ、ベルトを締める。
    「メロちゃんって、太腿の? まだついてるの?」
    「はっきりくっきり」
    「先生がいい迷惑だよ」
     生徒二人が気心の知れた会話をしているのを、菅見は頬杖をついて聞き流している。
     目の前には、シャツの一番下のボタンをはめる水野の指がある。短く丸く切り揃えた爪は、波に磨かれた桜貝のように光っている。
    「……マニキュア?」
     菅見の呟きに応じて、水野は両手を広げて見せる。
    「マニキュア? してないよ。料理作る手は、きれいにしておいた方がいいでしょ?」
     グーパーと手を結んで開き、水野はネクタイをゆるく締めた。カーディガンのボタンは留めずに、水野は菅見から離れた。
     菅見の膝が、ひやりと冷たくなった。水野の脚が、今の今まで密着していたことに気付いた。
    「それじゃね、先生。バイバイ」
     菅見は、椅子ごと体を回して、机に向かった。「気をつけて帰れよ」と、教員らしく、注意を促した。
     水野は、肩越しに手を振って、準備室を出て行く。
    「先生」
     長谷川は、引き戸にかけた手を止めた。
    「さようなら」
     正面の長谷川に、菅見は息を呑んだ。
     感じの良い控えめな少年は、似つかわしくない棘のある微笑を浮かべていた。戸は静かに閉められた。
     菅見にとって水野が特別であることを、長谷川は気取っている。
     警告されずとも、菅見は彼らの領分を侵すつもりはない。軽々と領域を越えるテロリストにも、抗し続ける自信はあった。
     これからも、菅見は、生徒たちの傍観者であり続けるのだ。
     


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  • 2018年10月02日 22:53

    声出して笑ってしまった
    ゲームはやっていないけど
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    【雨ケ谷昴本編直前記念イベント開催!】
    本日17時より
    ランキングイベント「 生意気なカレと二人きりの思い出」を開催いたしました。
    「俺達に、もっと雨ケ谷のこと教えてよ」
    日替わりでそれぞれの男子が昴とお出かけ!?
    今日は生意気なカレの日常を覗いちゃおう♪

    昴といい感じの女子が祐くんたちときゃっきゃするのはNTRぽいから、俊介や康太が1ON1でお出かけ?
    それを女子がストーキングするのか
    恋愛ゲームだと思っていたけど、とんだBL展開だわ

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  • 2018年10月02日 22:29  

    【猫は丸いものが好き】

    2年生智→1年生俊介 生徒会長になりたて誠一郎さん
    サッカー部員が陰で俊介を「猫」と呼ぶのを、会長が勘違いする話
    7・8話を見て書いたもの
    4コマ漫画なら2本でおさまるなあなんて思っていたのに、文字にするとどうやって〆たらよいかわからず、いじめっぽいのもイヤで放置
    タイトルも思いつかなかった
    約3300字


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    ◆◆◆◆◆

     サッカー部内では、俊介への不満が、日に日に高まっていた。
     その日も、俊介は挨拶をせずに帰っていった。部室のドアが閉まった途端、上級生の怒りが噴出した。一年生も、俊介が技量に驕って周りを見下していると、文句を言う。
    「吉野、あの野郎、またシカトかよ」
    「あんなの、他の部じゃ許されねえぞ」
    「新入生が入ってきたら、また変わると思うんだよね」
     松尾は、ことを荒立てたくないと言外に示す。
     万事にゆるかった三年生たちは、夏の大会で敗退すると、揃って引退した。部内の天下をとった二年生は、正月は国立で迎えると息巻いて、日夜練習に励んでいる。部員の足並みが揃わないことには目標達成は難しいと、松尾も思う。
    「そんなの半年先だろうが!」
    「後輩ができたら、もっとひどくなるに決まってんだろう?」
    「百歩譲って、吉野の挨拶どうのってのは抜きにしても、プレーに響いてんのわかってるだろう?」
    「譲っちゃうんだ?」
     着替え終わった松尾は、スマホを確認する。
     俊介と落ち合って買い食いでもするつもりでいたが、「猫の餌を買いに行くので」と断りのメールが入っていた。俊介の世界の頂点はキティさんで、次は飼い猫のひめ、家族、祐と続いて、サッカー部員は下位にある。付き合いが長く、部長の肩書がある松尾は、かろうじて部員よりやや上にいるようだ。
    「吉野はオレがどうにかするから、もうちょい辛抱して」
    「どうにかって、どうにだよ?」
     松尾が苦笑いでごまかしても、部員の苛立ちをまぎらわすことはできない。
     俊介も含め部員のほとんどが、こどものころからクラブチームに入っている。コミュニケーションの大切さは、身をもって知っているのだ。俊介は好き好んで空気を乱すようなことはしていないし、部員たちもこどもじみた爪弾きはしないと、松尾は信じている。
    「吉野の話をするときは、名前の代わりに『猫』って言ったらどうかな」
     冗談めかして、松尾は提案した。
    「猫がむかつく? 猫が俺らに頭下げない?」
    「なんで、猫よ?」
    「あいつ、キティさんが好きだから」
     入部当初の俊介の持ち物に、事情を知らない部員たちは度肝を抜かれていた。比較的シックなデザインとはいえ、俊介の持ち物は、ハローキティのイラストが入っている。生意気に彼女持ちかと、不要な敵視をする上級生もいた。当然、相手チームでも野次を飛ばされることもあった。俊介は涼しい顔で活躍するので、聖川にデメリットはない。
    「本人に聞こえたら、君らも都合悪いでしょ」
     気に入らない部員の憤懣は口にしてもいいという気風は、ないにこしたことはない。愚痴はほどほどにと松尾が止めても、多勢に無勢だ。止められないなら、士気に関わらない程度のガス抜きは必要だった。



     十月の文化祭が終わると、生徒会役員が総入れ替えになる。生徒総会が開かれ、臨時予算の審議が行われる。
    「移動費は援助あんの?」
    「スクールバスのガス代と、役場のバスレンタルだけな。いくつ勝とうか?」
     練習前の部室で、三年生は額を寄せて、予算案の用紙をにらんでいた。
     高校サッカーの本番は冬だ。予選直前に金銭問題に頭を悩ませたくはないが、計算ミスで部費を持ち出したくはない。
    「全部勝って、正月は国立だから、試合十回分は欲しいよな」
    「あ、大きく出たね」
    「ニャンコ次第じゃねえの?」
    「猫に頑張ってもらわねえとな」
     ひとしきり部員たちと笑って、松尾は顔を引き締めた。俊介たち下級生は、とっくにグラウンドに出ている。
    「今度の会長は弓道部だから、運動部有利じゃね?」
     予算案は生徒会が審査にかけ、不審点があれば即呼び出される。そこを通過しても、各部幹部を集めた予算委員会で、他の部から重箱の隅を突かれる。生徒総会では、引退した上級生も加わり、足を引っ張り合う。総会が紛糾すれば、生徒会役員の人望も弁舌も役に立たない。
    「源だぞ。あいつがひいきするか」
     松尾は、新しい生徒会長の名前を出した。
    「そうだ、源だった」
    「お堅いっていうけど、そんなにひどい?」
    「横断歩道を渡るときは手をあげるタイプ」
    「いや、むしろ、黄色い旗振るだろ」
    「一キロ先の歩道橋渡ると思う」
     源を知っている部員は、好き勝手なことを口々に言って、また爆笑する。
     いつまでも笑っていられないので、松尾と会計で電卓を叩いて、書面を作った。
     副部長に練習開始を頼んで、松尾は生徒会室に出向いた。
     生徒会長の源は、一人で書類を整理していた。
    「予算申請お願いします」
     松尾は用紙をひらひらさせて、置き所を探す。
    「すぐに目を通す。少し待ってくれ」
     源は申請書を計算し直し、去年の申請書のファイルを開いた。
    「備品代は、これで足りるのか? 去年より幾分少ない」
    「去年はカゴ買ってもらったからね、丈夫な奴。旗が崩壊寸前だけど、直して使えるし」
    「授業でも使うだろう? サッカー部が丁寧に扱っても、一般の生徒はわからんぞ。予算修正は、総会の前々日まで受け付ける」
    「わかった。ひとまず、それでよろしく」
     行きかけた松尾を、会長が呼び止めた。
    「サッカー部は、猫を飼っているのか?」
    「猫?」
    「部員が猫の話をしていた」
     サッカー部の陰口に符丁を使わせていたことは、外聞をはばかる。相手は、石部金吉と名高い生徒会長だ。笑い話で終わるとは思えない。
    「……飼っているというか……何か面白いこと言ってた?」
    「詳細は知らない。可愛がるのはかまわないが、ご近所のトラブルになるようなことはしないでくれ」
    「それは、平気だと思う」
     松尾はにっこりした。源の勘違いを修正するつもりはない。
    「この間、その猫、ぼんやりしていて、ドブにはまったんだ」 
     側溝の蓋が外れていたのを、役場に連絡してほしいと続けようとした。
     何に気をとられていたのか、ランニング中に、俊介が片脚だけ落ちた。俊介は汚れた脚で練習を続けていたので、周りは笑いをこらえるのに精いっぱいだった。
    「猫というのは、動物の猫のことだと思っていたが」
     源は、小首を傾げた。
    「一輪車の調子が悪いのか。猫は、そうそう落ちるものではない」
    「うん、いや……」
     松尾は答えあぐねて、言葉を濁す。
     源がどこをどうして猫車と間違えたのかはさておき、話が核心から遠ざかっていくのは、都合がよかった。
    「作業効率も悪いだろう。買い換えたほうがいいか?」
    「錆は入ってるけど、車輪がゆるんでいるだけじゃないかな」
     松尾は、本物の一輪車を思い出しながら話す。サッカー部では、夏の除草で使ったきりだった。
    「わかった。まずはメンテナンスか。他に不具合のある道具はないか?」
     仕事熱心で真面目な生徒会長の厚意を受けて、松尾は側溝の措置を頼んだ。



     今日も、練習が終わると、俊介は音もなく帰っていった。
     松尾は、残っている部員に、生徒会長の「猫」の話をして笑わせた。部内の問題であっても、今の生徒会長は積極的に介入しかねないと脅し、陰口はほどほどにするように言い渡した。
     猫の餌を買いに行くという俊介を追って、松尾は繁華街に出た。
    「おまえ、いつも猫の餌買ってるな。買い置きは?」
     ペットショップでつかまえた俊介は、缶詰をためつすがめつしている。
    「あるにはあるけど、ひめの具合とか気分に合せてるんで」
    「猫より、人間に気を使えよ。俺とかさ」
    「猫は口がきけないから、人間がかまってやらないとダメじゃないスか?」
     人間用のツナ缶より高価な餌を手にして、俊介は、きょとんと松尾を見つめ返した。
    「人間だって同じなんだよ」
    「智さんが猫と同じ? てこと?」
     首をひねる俊介に精算をせかして、店の外に出た。
     俊介は、種類の違う猫缶を一つずつ買ってきた。
    「智さん、何か話があったんじゃないスか?」
    「うん、急ぎではないんだ」
     釘を刺すのは棚に上げ、松尾は話題を探す。
    「今日の練習で、気になったことがあって」
     と、松尾は切りだした。
     俊介のルールに従うなら、人間が猫に注意を払わなければならない。
     松尾が追いかけてでも話す必然性があり、俊介を納得する話題は、ひとつしかなかった。どれだけ心を砕いても、二人をつなぐものは、サッカーしかないのだ。
     歩みをゆるめて、松尾は話す必要もない反省をする。並んで歩く俊介の横顔は、ひどく真面目くさっていた。



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