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最終更新日:2019年10月17日 22:07

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ネタメモとか、小話とか、ちょこちょこ格納。何でもありにするため念のため年齢制限。
  • 2019年08月30日 00:30
    メモ 原作軸錆義 俺以外としたのか、鍛錬を…的な
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    俺がずっと守るぞ、ぎゆうには俺がついてなきゃな(ふんす)と思っていた錆、錆を失って心の大半が死んでも生きて強くなっていく義さんを誇らしく思うと同時に、何のかの生活していけているのがちょっとショックだったりしますか?どうですか?頼られるということが自分を支えているタイプの男さびと……
    げろんげろんに泣いて萎れてる義さんにまこもがはわてなってる時は「あいつはあれでやる奴だ、背負って進んでくれる。俺の親友だからな」とか言ってたのに、いざ色々な人にフォローしてもらいながらやっていけてる義さんを見ると複雑極まりない顔になる錆……一方でいつまでもさびとならって言ってる後ろ向きなところには友だちやめるぞ!と憤慨しつつ、でもやっぱりちょっとそういうぎゆうが愛しいような、やっぱり俺がいなきゃ……みたいな気持ちにもさせられ……
    結局いつも複雑な顔してずっと義さんを見守っている錆の男心に兄姉弟子たちはハイハイ~ってなっているのかも。。

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  • 2019年08月19日 17:31
    はーれくいんっぽいキャギぐくん 3
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     小さな家族との新しい生活も、もう三ヶ月になる。
     りつかとロマニと共にダヴィンチちゃんもどこかへ行ってしまって、連絡するまで待っていてと手紙が一通届いて以来、二人ぼっちでの留守番が続いている。
     始めの一ヶ月は少しの物音や人影にも緊張していたけれど、今ではすっかり落ち着いた。
    「ジュニア、あーん」
    「あーぶ!」
    「ありゃ。お芋さんおいしいよ?いいなぁおいしいの、羨ましいなぁ」
    「ん!」
    「はいはい、おうどん好きだもんね」
     何て呼ぼうか散々悩んで、結局無難にジュニアと呼ぶことにした赤ちゃんは、はっきり言って天才児だ。この通り意思表示がはっきりしているし、はいはいのスピードはものすごいし。夜泣きやぐずりは勿論あるけれど、ぎこちないあやしでも受け入れて笑ってくれる。おそらくものすごく楽をさせてもらっていると思う。
     村の人たちにはいきなり登場した褐色肌の赤ちゃんにぎょっと遠巻きにされたものの、抱っこ紐からご機嫌にきょろきょろする愛らしさで味方をどんどん増やしてくれているのも頼もしい。「年上のエキゾチック美女に遊ばれて捨てられた田舎の純朴少年」に絶妙な憐れみの目が向けられているのは、うん、気付いていないことにする。
     おかげでこうして、離乳食のレシピ本なども差し入れてもらえて、絶賛まんまチャレンジ中だ。
     ジュニアはうどんが大好きで、これならばどれだけ機嫌が悪くてもいくらでも食べる。大きく開いた口に短く切ったうどんを運びつつ、合間で潰したさつま芋やにんじんを挟む。ぶ!と抗議されるものの、今回はなんとか吐き出されることなくジュニア用の小さなお皿が空になった。この達成感は半端じゃない。
     一応用意していたミルクはまた後でよさそうなので、顔を綺麗に拭いてあげて、遊び部屋に移動した。広い祖父母の部屋を少し片付けて、足元には清潔なタイルマットを敷き詰めてある。ここならいつ何時ジュニアの高速はいはいが炸裂しても安全だ。
    「うーあ」
     上手にお座りしたジュニアがくりんと振り向いて呼ぶ。うーあって、「立香」なのかな。それとも「ぐだ」だろうか。
     大分しっかりしてきた黒髪のてっぺん、アンテナみたいに跳ねた一房が揺れるのを眺めながら、ボール遊びや絵本の読み聞かせをして。
     そろそろお昼寝にしようとジュニアを抱いて遊び部屋から出た瞬間のことだった。

     ドカン……!ドン、ドォン!
     玄関の扉から鈍い打撃音。何度も何度も、繰り返される衝撃に施錠した扉が揺れている。
     ノックなんて生易しいものじゃない。
     逃げなきゃ。
     遊び部屋の窓は明り取りのため高い位置にあり、ジュニアをだっこしたまま通り抜けるのは難しい。着地に無理のない位置で、玄関側から見えずに抜けられる窓といえば。
     駆け出して寝室のドアに手を掛けたところで、
    「動くな」
     扉がへしゃげて蹴破られ、冷ややかな男の声がかけられた。
     背中に向けられた視線だけで全身が凍る。浅くなる呼吸、狭まる視界、感じる圧力だけで絶対に敵わない相手だと悟ってしまう。
     どうしよう、どうしたら。
     混乱する意識をはっきりさせてくれたのは、胸元をひしと握って身を縮める、ジュニアの小さな手だった。
     しっかりしろ。この子のそばには今、自分しかいないのだから。
     ごくりと唾を飲んで、強張る足を無理やり動かして、振り向く。一歩入った場所で悠然と立っていた男は、意外と言わんばかりに首を傾げた。
     美しい男だった。
     月の光を丁寧に束ねて縒った金髪、宝石みたいに温度のない赤の瞳。すっとした鼻、けぶるような睫毛、マネキンも真っ青の長い手足。
     見るからに質のいい生地で作られた細身のスーツを軽やかに着こなした男は、ぐるりと家の中を見回した後、ひたりとジュニアに視線を定めた。咄嗟に身を捩り腕と身体で遮る。
    「どなたですか。いきなり他人の家の扉を壊すなんて、随分乱暴な人ですね」
     こんなに尖った声が出せるとは思わなかった。徹底抗戦を表明された男が目を細めて嗤う。
    「まぁ許せ。まさかこのようなあばら屋が人間の住処とは思うまい?物置小屋か家畜の小屋か……」
    「失礼な!ここは祖父と祖母から受け継いだ大切な家です。あなたがどれだけ裕福か知りませんけど、馬鹿にされる謂れはありません」
    「扉なら相応のものを誂えてやろう。そう喚くな、雑種」
    「ざ、っしゅ……!?」
     あまりの言い様に言葉を失った。
     一体全体、何者なのか。どれだけ高貴なご身分であればこんな発言ができるんだろう。開いた口が塞がらないって、初めての経験だ。
     見た目は美しいけれど、ダメだ。性格があまりにも。
    「帰ってください。今すぐ。警察を呼びますよ」
    「我も長居するつもりはない。その赤子を寄越せ」
     男の後ろから、たおやかな女性が入ってくる。見ると玄関の外には屈強な男性が周囲を警戒するように立っていた。あの人が扉を壊したのだろうか。
     最低でも三人からジュニアを抱えて逃れるなんて、現実的に不可能だ。
     だからって大人しく言うことを聞くと思うなよ。
    「来ないで!」
     近付こうとする女性を牽制して、いまだ余裕の男を睨む。
    「この子は渡さない」
    「ほう?貴様、この状況で我に抗う気か」
    「抗うも何も。どうしてあなたにこの子を渡さないといけないんですか?」
    「……まさかとは思うが、その赤子の素性を知らぬと?」
     男の顔に戸惑いが浮かんだ。
     意外な隙に、ここしかないと意気込んで叫ぶ。
    「素性なんてありません!この子は、お、俺の子でひゅ!!」
     う、噛んだ。
     室内に広がる沈黙。
     無理がある、そうだよね、わかってる。わかってるけど!そんな皆してぽかんとした顔で見ないでほしい。ジュニアまで宇宙猫ちゃんにならないで。
    「……………………。ふ、ふ」
     ふと俯いた美形の男が、
    「ふは、ふはははは!貴様たわけたことを、ふふっふ、嘘をつくにももっとうまくやれぬのか?」
     大爆笑。腹を抱えてひぃひぃ言っている。
     一気に顔が熱くなった。
    「う、嘘じゃないです!」
    「あくまで言い張るか。どこをどう見たら貴様とそやつが親子になるのだ」
    「それは、あの……とっ年上の異国の女性にもて、あそばれた、的な!」
    「んぐふぅっ」
     男の笑いは止まらない。周りの二人も、必死に耐えてはいるものの、肩が震えて辛そうだ。もういっそ笑えばいいじゃないか。
     真っ赤になっているであろう顔をジュニアが撫でて励ましてくれるので、なんとか心折れずに睨み続けるけれど、既に室内に緊迫感は微塵もない。男はすっかり気の抜けた様子で涙を拭っている。
    「何を言うかと思えば。その不名誉な噂を利用してでも他人の赤子を守ろうとは、見上げたお人好しよな」
    「えっ」
     先ほど名目に使った村の噂を知っていたらしい。
     つまり、この子の引き取り手について、周辺の調査は十分行われたということだ。
     一体どこまで把握されているのだろうか。まさか、りつかやダヴィンチちゃんたちも捕まっているなんてことは。
    「善良なるも過ぎれば愚かしいものだぞ、雑種。ましてや己の命を投げ打つまでの献身など、美談で済むのは物語の中のみ。今ここで貴様が不興を買い死んだところで、残されたその赤子は何とする?愚考が招くのは深い心の傷と逃げようもない危険に晒される現実だけだ」
     男の声は静かで、熱も波もない。
     だからこそ深く重く響いた。
     本当に、何もしてあげられないから。不審者を追い返す力もない、この家を離れて身を隠すあてもない、身一つで逃避行に飛び出す度胸もない。ダヴィンチちゃんに言われたままに、ジュニアの迎えが来るのを小さくなって待っていただけ。
     でも。
    「……渡せません。渡せないです。だって」
     別に、善行を成すとか、命を懸けてとか、そんな気概があるわけじゃない。
     愚かしい、確かにそうだろう。
    「だって、この子がかわいいから。大事なこの子を、誰とも知れない人に渡すなんて、できないだけです」
     唯一きちんと胸を張って言えるのは、愛情がある、それだけ。
     他人だし、事情も知らないし、まだ三ヶ月しか一緒にいないけど。ジュニアは確かに家族の一人になってくれたから。
     まっすぐに赤い瞳を見つめる。魂まで見透かそうとする視線の圧は変わらないけれど、もう気後れはしなかった。
     どれくらいそうしていたのか。男がふと息を吐いた。
    「……まぁよい。ここに真っ先に辿り着いたのが我だったことに感謝するのだな」
    「王よ、よろしいのですか?」
    「構わん。おい雑種、出立の準備をせよ」
    「は?だからこの子は渡さないって」
    「渡さずともよい。お前ごと連れて行く」
    「はっ?」
     男がすいと手を振ると、女性が外へ、見張りの男性が中へ、淀みなく配置換えが行われた。近くで見るとすごく大きい。そして逞しい。言葉もなく見上げる俺に、美しい男がふふんと得意げに笑う。
    「よいか雑種、ひとまず服などは必要ない。赤子の世話に必要な物と貴重品だけ持て。四十秒で支度せよ!フハハハハ!」
     リアル・ドーラ。
     腕組みをして気持ちよさそうに高笑いする男にあっけにとられているうちに、あれよあれよと追い立てられて。
     気付いたら、ジュニアとベビーグッズと共に全面スモークガラスの高級車に乗せられていた。おまけに道行く先に見えているのは、あれは、自家用航空機というやつでは?
    「詳しい話は中でする。追手がかかる前に飛ぶぞ」
    「ちょ、ま、待って待って!待ってください!」
     男の金髪が機内へ消えていく。あの人、全く話を聞く気がない。ジュニアを抱いたまま更にお姫さまだっこで運ばれつつ、せめてと運び手の厳つい顔を必死に見上げて訴えた。
    「国外ですか?国外ですよね!?俺、パスポートなんて持ってません!ジュニアのも!」
     夜逃げ、高飛び、密入国。あっ、逆もか。
     ともかく犯罪なんてまっぴら御免と悲鳴を上げる俺に、逞しい彼は、
    「ご心配なく。我が国ではあちらにおわします我らが王がよいと仰ればよい、そういう法律ですので!」
     ニカッと、意外なほど爽やかに笑ってくれた。
     わぁ、白い歯がまぶしい。
    「うーあ!ぶー!」
    「はっ……そ、そうだよね。そういう問題じゃないよね?お兄さん、ちょっとお兄さん、聞いて!下ろしてー!」


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  • 2019年08月19日 17:30
    はーれくいんっぽいキャギぐくん 2
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     嵐はいよいよ烈しくなってきている。
     大荒れの林の中でなぜかそこだけ無事を保っているダヴィンチちゃんの工房で待っていたのは、
    「はじめまして、立香くん。僕はロマニ、ドクター・ロマンさ。よろしくね」
     わたあめみたいなお医者さんだった。
     髪とか、顔立ちとか、口元に生クリームつけっぱなしで微笑んでいるところとか。

     ダヴィンチちゃんの肘鉄で危うく召されかけたひ弱なお医者さん、ロマニは、りつかを見るなりキリリと口元を引き締めて、手早く治療に当たってくれた。
     こんな雨風の中をどうやってあれこれ持って来たのか、傷の縫合、輸血や点滴、全く淀みない手つきであっという間に処置が終わった。ほんわかおっとりした風に見えて、できるお医者さんだったらしい。
     おまけに本当にベビー用品まで準備してくれていて、もうめちゃくちゃ不思議だけれど、正直にありがたい。さすがダヴィンチちゃんの知り合いだ。
     ちゃんとした紙おむつと可愛くて新しいお洋服に着替えて、ちゃんとした分量で作ったミルクを飲んで、赤ちゃんは満足げにまどろんでいる。ベビーベッドに下ろす度にいやいやジタバタするので、抱っこしっぱなし。腕は辛いけど、やっぱり可愛い。
     やれやれと肩を揉みながら、ロマニが食卓の席へ戻ってきた。
    「傷は多かったけど、主要な血管はうまいこと避けてるね、内臓に損傷もなさそうだ。骨や神経も問題なし……あ、いや、あくまでも手と目での診断だよ。緊急事態だからちょっとアレしたけど怪しいことはしていない。うん。あっ、そんな不安そうな顔しないで。僕はこれでも経験豊富なお医者さんだよ」
     この微妙な胡散臭さ、やっぱりダヴィンチちゃんの知り合いだ。
     わたわた両腕をうごめかせて、何の言い訳なのか必死な様子のロマニに、ダヴィンチちゃんがコーヒーを渡す。バゲットサンドを頬張ってもまだ溢れんばかりに美しいモナ・リザは呆れ顔。
    「ロマ~ン、余計なことは言わなくていいから。りつかちゃんはどう?」
    「あぁうん……その、立香くんはショックだと思うんだけれども。彼女、すごい修羅場をくぐってきたんだね。傷がね、うーん……切り傷擦り傷もそうなんだけど、ちょっと……かなり、古そうなものもたくさんあった」
    「つまり昔から恒常的に危険に晒される生活をしてきているということ?指の剣ダコも気になってはいたんだが、りつかちゃんは傭兵か何かなのかな」
    「そ、そんなはずない!りつかは、賢くて美人で人好きのするいい子だから、裕福なおうちの子になったんだよ。そんな、そんな怖い目に遭うようなこと……」
     ない、はずだ。そう信じていた。
     けれども離れ離れになってから十年以上。その間のりつかの生活がどんなものだったのか、全く把握していない。
     りつか、りつか。一体何があったの?
     震えてしまう肩をダヴィンチちゃんが抱いて支えてくれた。腕の中の赤ちゃんも小さな手で頬を撫でて励ましてくれる。
     そうだ、落ち着こう。りつかは戻ってきてくれた。少なくともここでは、りつかはこれ以上傷つけられたりしない。安心して休めるように、今はこの子を守ってあげないといけないんだ。
    「とりあえず過度の消耗が改善されるまでしばらく安静かな。詳細な精密検査もしたいし、天候が落ち着いたら僕の知り合いのところへ連絡して搬送しよう」
     勿論、できるだけ内密にね。
     ウインクして言うロマニに、なんとか笑顔を返した。

     持参したバゲットサンド、インスタントだけど温かいスープ、デザートにはロマニのお土産のシュークリーム。
     即席ながら満足の食事で一息ついたところで、神妙な顔つきでロマニが小さく手を挙げた。
    「……それで、気になっていたんだけれど。その赤ちゃんのこと」
    「立香くんは何も知らないぞ」
    「え、いやまぁ、でもその顔見たら大体察するところがあるよね?」
    「ロマニ、驚きかもしれないけれど真実、本当に、な~んにも、立香くんは知らないよ。ちなみに彼の家にはテレビもネットもない」
    「えっ!?」
     今時そんなことある?
     そう言いたげなロマニの驚愕顔。とても見慣れた反応だ。気持ちはわかるけど、そんなにおかしいことだろうか。この工房にだってテレビはないのに。
     祖父が亡くなってからは新聞も取るのをやめてしまったけれど、古びたラジオがまだ動いてくれているし、一般常識程度のニュースには触れているのだから問題はないはずだ。
    「いや、そうか、なるほど……僕はてっきりこの子が何者かわかっていて匿おうとしているんだと思っていたけど」
    「ただ純粋に大事な妹のお願いを叶えようとしている、何も知らなくてもそれができる、立香くんはそういう子なのさ」
    「うん……いやー、にわかには信じがたい善性っぷりだけど、うん。レオナルドのここでの生活の世話をしてくれてるんだよね?色々納得したよ」
    「ちょっと、それどういう意味?」
     穏やかに笑い合う二人を眺めながら、むずがる赤ちゃんを抱き直す。褐色の肌、くっきりぱっちりの猫目。可愛い子だ。
    「つまり、この子は有名な子なの?」
     ダヴィンチちゃんもロマニも、顔を見ただけで素性を察してしまったらしい。話の流れからして、テレビやネットで画像付きのニュースを目にしていれば自ずとそうなるはずと確信を持つほどに。
     ただ有名な芸能人の子ども、もしくは世界的に著名な赤ちゃんタレント、そんな平和な話で終わらないことは、りつかを見れば明らかだ。
    「正確なことは彼女が目を覚まさないことには……だけど、おそらくこの推測は間違っていないと思う。ただ、無闇に話していいかどうか」
    「私は反対だよ。知れば立香くんも危険に晒される。いざとなったとき何を知っていて知らないのか、これは重要なポイントになるからね」
    「でもレオナルド、もう彼は既に渦中にいるよ。知らないと避けられない危険だってあるだろう」
    「どっちだって同じさ。彼に火の粉を払える特殊な技能はないし、かといってあの赤ん坊を放り出すこともしないよ。なら私たちにできることは、この善良な少年少女を守るために、早急に手筈を整えて事を運ぶ。これだけだ」
     きっぱりと言い切るダヴィンチちゃんと対照的に、ロマニはぐぅと唸って俯いた。
     よくわからないけれど、やはり、大変なことが起きているんだ。
     抱きしめた赤ちゃんは柔らかな頬をすりすりと寄せて甘えてくれる。こんなに小さくて愛らしい子に、りつかが傷だらけになるほどの危険が迫っているなんて。
     ロマニはしばらく渋面のまま固まっていたけれど、
    「……わかったよ。レオナルドの言うことも尤もだ。どちらにせよこのままでは何もできない。まず然るべき先に話を通すから、詳しい話はそれからにしよう」
     深くため息をつきながらも、顔を上げて頷いた。
    「あの、りつかの、妹のことは」
    「大丈夫。彼女の安全確保も最優先事項の一つだよ。それについては僕に任せて」
     まっすぐに返される視線は力強い。ダヴィンチちゃんも微笑んで頷いてくれて、ようやくほっと肩から力が抜けた。
    「安心してくれたところ申し訳ないんだけど。立香くんには当面そちらの……うん、赤ちゃんをね、お世話してあげてほしいんだ」
    「え?あ、はい。それは勿論そのつもりでした、けど、俺で大丈夫でしょうか?」
    「最終的には安全が確保できる先へ引き取ってもらうことになるよ。そう長い期間にはならないと思う。そのときには、君には全てを忘れてもらう、多分そういうことになる」
     忘れる。
     その声色が、知らないふりをするという程度の重みではなかった。思わず息をのんだから、ロマニはいくらか躊躇って、ぐっと拳を握った。
    「正直に言うね。妹さんのことも、できるだけがんばるけど……例えば今後一緒に暮らせるようにとか、そういう風にしてあげられるかはわからない。それだけの大きな問題だとわかっていて、僕たちは君を巻き込もうとしている。それでも、その子を任されてくれるだろうか?」
     ゆるふわのお医者さんらしくない、固い表情だ。
     りつかが現れた瞬間から、平凡な日常とあまりにかけ離れた状況の連続に頭の中はいっぱいいっぱいで、多分今大きな決断をすべきではない。
     けれど、結局はダヴィンチちゃんの言う通り。
    「むしろ巻き込んだのは俺の方です。なんかすごく大変なことになっちゃってるんですよね?どこまで役に立てるかわからないけど、俺にできることはやらせてください。妹のこと、よろしくお願いします」
     今でも、後でも、事情を知っても知らないままでも、答えは同じなのだ。


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  • 2019年08月09日 17:42
    はーれくいん的キャギぐくんメモ
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    ぐだこ
    何も言わずにこの子を助けて、飛び込んでくる。
    幼い頃に別々に引き取られて消息不明だった妹。優しく活発で勇気がある、利発な女性。優秀なので海外のお金持ちの家に引き取られたが、その後跡継ぎが生まれたため使用人として家を出される。奉公先でオジネフェに可愛がられ、二人の子を託され守って逃げることに。逃亡時の傷等が原因で意識不明の重体に。
    →後に意識を取り戻す。オジネフェと王子に尽くし続けることを選ぶ。

    オジネフェ
    仲睦まじさで有名だったが、飛行機事故で共に亡くなる。
    陰謀に勘付いており、飛行機に乗る直前にぐだこに子どもを預ける。かねてより盟友の賢王に子どもの後見を託していた。
    →座席を気紛れに変えていたこと、墜落後運よくすぐに燃える機体から離れられたこと等から、辛くも奇跡的に生きていた。流れ着いた島の領主エルキドゥに匿われウルクとコンタクトをとる。賢王と本国の親友の活躍で復権。ぐだこを我が子と同じく深く愛し、ぐだおと賢王の仲を祝福する。

    ぐだお
    両親の死後、凡庸だったため祖父母の元へ。畑仕事や家事など一通りこなしていた。高校卒業直前に祖父母も他界、進学はせず遺された田舎の家で暮らす。山奥に工房を構える変人で有名なダヴィンチちゃんのお世話をしている。
    平凡だが前向きで穏やか、村の人にも好かれている。突然息も絶え絶えで飛び込んできたぐだこと赤ちゃんを守るため、ダヴィンチちゃんの紹介でロマニと連絡をとる。
    すぐに倒れてしまったぐだこの容態が赤ちゃんの声で安定するため、妹のためにもこの子を守ろうと決める。突然乗り込んできた賢王のあまりの威圧感に、この子は自分の子だ!と無理な主張をしたり、必死に食い下がり赤ちゃんを渡すまいとがんばる。自分の要望を聞き妹とドクターごとウルクで保護すると言ってくれた賢王の真意を信じてついていくことに。
    真剣に守ってくれる、妹の治療体制も整えてくれる、転寝しているとき赤ちゃんをあやしてくれた、どんどん惹かれていくが身分が違うし男だしと伝える気はなかった。
    夜泣きする赤ちゃんをあやして中庭に出たところを襲撃された際に、身を呈して庇ってくれた賢王「無事か」「はい、この子は」「たわけ、お前だ!」に涙し、心を通わせることに。賢王の代になり一度も埋まらなかった後宮の主となる。

    賢王
    ウルクの王。若い頃は放蕩者として国を傾けたが、エルキドゥの追放をきっかけに消沈、復活後は国の経営に全精力を注いでいる。
    盟友の事故直前の一報から王子をひそかに探し、いち早くぐだこの居場所を突き止めた。かたくなに赤子を手放そうとしないぐだおに苛立つが、世界的情勢について理解し考えようとする姿勢を見て愚鈍ではないと見直す。芯が強く信頼の置ける子守としてぐだおを巻き込む方向へシフトする。
    王に対して怯えながらもはっきり意見するのがおもしろく、美しい瞳で微笑む、ウルクにもすぐに馴染み周りを明るく穏やかにするぐだおを気に入っていく。シドゥリやエルキドゥいわく、「何だかんだ言って素朴で可愛いのがタイプ」「単純に一目惚れ」だが本人はかたくなに認めていない。それでいてぐだおがそんなはずないと言うと何を卑下していると怒る。
    エジプトとの更なる友好関係の強化、ロマニ、ダヴィンチの獲得を今回の功績とし、国内の医療や技術発展に更なる力を入れる。ゆくゆくは自分とぐだおの子をと目論む。


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  • 2019年08月09日 17:36
    【女体化】おくさまぐだくんとバカンスと水着 途中
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     社畜の鬼、過労死王と不名誉な二つ名をほしいままにしてきた我らがギルガメッシュ代表取締役も、愛妻ができて随分と変わった。
     毎日奥様のお手製のお弁当で昼食を摂るし。
     家で一人待つ奥様のために定時で帰るし。
     奥様とデートしたいから土日もしっかり休むし。
     そしてこの度晴れて、夏季休暇もきっちりと日数分申請なされたと聞いて、社内は沸き立った。
     社長が、夏休みを、とる!!!!
     この喜ばしいニュースに秘書室には社員一同から続々と「奥様と行く!夏のおすすめリゾート」と題されたプレゼン資料が届けられた。秘密裏に社内コンペでも開催されたのかと首を傾げたくなる勢いだったが、全て有志による善意である。
     これにはあまり贅沢な暮らしに馴染みのなかった奥様がいたく感激されたそうで、各部署に直筆のお礼の手紙を添えた菓子折りが配られ、社内での奥様女神教の信仰心を更に篤くさせていた。



     夫の会社で「癒しの女神」などと呼ばれ拝まれているなどと露知らず、奥様は悩んでいた。
     場所はデパート。過保護な旦那様も安心のベテラン女性店員が控える特別試着ルーム。
     目的は勿論、リゾートのための水着である。
    「あの、シドゥリさん。お仕事の邪魔になるし、今日はもうやめようかな~って」
    「立香様、観念なされませ。本日は王より、休暇中のお支度について充分に見繕うよう承っております」
    「うぅ……で、でも、もうお洋服もサンダルもバッグも買ってもらっちゃったし。水着はこんなにいっぱいいらないですよね?」
    「二週間のビーチリゾートでしょう。別にいくつあっても困らないと思いますが……まぁそうですね。では三着程度お選びになればよいかと」
     一着あれば十分では。
     無言の問いは無言の笑みで返された。美女の圧力すごい。選ぶしかない。
     ずらりと並べられたハンガーラックには、等間隔にびっしりと水着が掛けられている。とりあえず一番端の、あまりにも布面積の薄い、用途が不純すぎる気のする何かが集まったラックは見ないことにして。
     まず一つは、白のビキニ。胸の下部分で絞ってリボンを結んだデザインになっていて、谷間がかなり強調されているのがちょっと落ち着かないけれど、肩紐を飾るビジューとフリルみたいなひだの可愛いスカートタイプのボトムが気に入った。
     それと、最近流行のタンキニからも一つ。ハイウエストのパンツはマイクロミニ丈ながら、明るい水色のギンガムチェックで活発な印象が強い。アクセントの飾りボタンも可愛いし、露出も少ないから安心だ。
     最後、もう一着。
     オーソドックスなワンピースタイプのものにしようと思ったのだけれど、
    「せっかくのリゾートですから少し冒険されてもよいのでは?」
    「差し出がましく恐縮ですが、王に於かれましては立香様の御髪と後姿にフェチ……ンんっ、大層夢中でいらっしゃいますので」
    「あらあらそれはよろしいですわ!奥様のこの艶かしい背中をぜひ見せつけてさしあげましょう」
    「ヒェ……」
     二人の手で目の前のラックから大人しめな水着がどんどん間引かれていく。
     やめて、やめて。
     残された水着……水着?の試着をやんわりと、しかし明確に強要してくる二人を半泣きで押し止めて、奥様はなんとか一つを手に取った。



     二週間の休暇をリゾート地で過ごすと決めたのは、一つは慎ましやかな庶民感覚の抜けない愛妻がはしゃいで喜ぶだろうと思ったこと。案の定「南の島なんてすごい!」と子犬のように跳ねて飛びついてきた立香は、それでも最後の何日かはお家でゆっくり過ごしましょうと気遣いまで見せて、なかなかの愛らしさで満足させてくれた。
     それにせっかくの休暇期間なのだから、日々真面目に家事に取り組む立香もまた休日としてやりたい。ここはヴィラのある島ごと貸し切りに、食事も掃除も専門のスタッフが完璧にこなす。旅行先で、すぐそばには休暇を謳歌する夫がいるとなれば、さすがの立香でも手伝いを申し出て動き回るわけにもいくまい。
     まぁそれはそれとして。いくつか所持している避暑地の別荘ではなく、常夏の楽園を選択した理由の中に、ちょっとした下心がなかったとは言わない。
     日々ひん剥いて隅々まで堪能している身体だろうと呆れるなかれ。
     照りつける太陽、白い砂浜、青い空と海の狭間で、惜しげもなく晒される肌のミルク色。
     見たいに決まっている。

    _
     最初に披露されたのは、白のビキニ。ふりふりしたミニスカート、二つに分けて編みこんだおさげとサンダルにひまわりの飾り、島に移る前に露天で買い与えた貝殻のブレスレットと麦藁帽子。
     ともすれば少女のような出で立ちながら、布から溢れて零れ落ちそうなバストときたら。手を振って駆けてくる立香の、そのふゆんふゆんと揺れる丘の見応えはまさに、素晴らしいの一言。
     次の日着ていたのは水色の、何やら服のような水着。念のため聞いたが水着らしい。胸も腹もほぼほぼ覆われた部屋着と変わらない露出度ではあるが、その分むっちりとしたふとももの眩しさが際立っていた。
     パンツスタイルだから油断しているのか、大きな浮き輪にひょいと跨ったりする。無防備に突き出された尻、そしてふともも。良い。
     あまりに強い日差しのため、実際に海に入る時間はそう長くは取らないようにしていたし、寝室やらバルコニーやらであれそれに耽って過ごすことも多く、


    _
     前面はごく普通の黒いホルターワンピース。しかして背中側は、ギリギリお尻が守られているだけ。首の後ろのリボンを解けば一気にあられもない姿になってしまう。
     それでも、これが一番まだ、水着としての体裁は保っていたし。
     脳裏に浮かぶのは、鏡台やキッチンに立つとき、背中へ嘗め回すように注がれる赤い瞳。シドゥリの言う通り、旦那様は背中フェチだ。多分。おそらく。十中八九。
     せっかくお休みをとって旅行を計画してくれた愛する旦那様を喜ばせてあげたい。
     ちょっと、かなり大胆だけど。でもこのくらいならなんとか。
     もし、もしも、ビーチにたくさんいるであろう水着美女たちにあの目が向けられたら。美貌ではそう勝ち目がない自分だけれど、できる限りの努力しなかったことを絶対に後悔する。
     私を見て、愛して。その気持ちが伝わるなら。


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  • 2019年08月09日 17:32
    ギルちゃんのママぐだくん2 途中
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     雪が降りそうだ。窓の外を見上げたところで、玄関がにわかに賑やかになる。
    「ざっしゅ~!おうのきかんだぞ、とくジュースをもて!」
    「はぁい、二人ともお帰りなさい。ジュースとおやつは手を洗ってからね」
     公園に遊びに行っていたギルちゃんが帰ってきた。付き添って出てくれた王様は、相当走らされたのか、疲れた顔で袋を差し出してくる。公園の近くに最近できた茶葉専門店の紙袋、武家の血筋らしい渋いおじさまの選ぶ茶葉は王様の舌をも満足させる逸品である。
    「土産だ」
    「ありがとう、王様!緑茶?ほうじ茶?」
    「緑茶だな、濃いのを頼む」
    「ちょうどよかったです。今日のおやつはフルーツだいふくですよ」
    「あのもちもちのやつか」
    「おれはぶどうのだいふくがすきだぞ」
     もっこもこに着膨れさせたギルちゃんのマフラーを外してあげて、自分でコートのボタンを外すのを見守る。この家に着て初めて自分で着替えるという体験をしたギルちゃんは、今ではもうすっかり上手に身支度ができるようになった。
    「いちごもよいし、みかんもよいな」
    「何があるかはお楽しみ。はい、手を洗ってきてね」
    「ざっしゅ、ジュースはりんごのあったかいのだぞ!とくよういするのだぞ!」
     でででっと廊下を駆けていくのに、王様が走るなと叱るけれどもどこ吹く風だ。んべっと舌を出して鼻に皺を寄せる、なんともかわいく生意気な仕草まで披露して、ぴゃっと洗面ルームに飛び込んでしまった。
    「おい、あやつにふてぶてしさばかり伝授するな」
    「えぇ?ふてぶてしいのは王様似でしょ」
    「たわけ!あのぶちゃいくな反抗顔、どう見ても貴様の真似だろうが」
    「え……えへ、それほどでも……」
    「今喜ぶところがあったか?」
     ぞっと腕をさすり鼻白む王様に、んべっと舌を出した。向かい風にあった時のへちゃむくれた犬と評されたそれは、うん、確かにギルちゃんに伝授されているらしい。

     様々な果実とさっぱりめの餡子を米粉の皮で包んだおやつはギルちゃんの大好物だ。
     口周りを真っ白にして夢中で食べるギルちゃんはご機嫌で、むちむちの頬袋が一旦空になったところで顔を拭いてあげると、んっと素直に掌も差し出してくれる。きれいになった手でギルちゃん専用のマグカップを掴み、おいしそうにりんごジュースを飲み干した。
    「ざっしゅ、おかわりをもて」
    「だーめ。甘いものの摂りすぎはよくないよ。お茶淹れてあげるから」
    「むぅ……」
     あれ、珍しいな。
     不満そうにしながらも素直にマグカップを渡してくれた。普段ならここで「ふけい!おうのせわがかりならいうことをきけ!ジュースくれ!」と一頻り暴れまわる怪獣と戦うことになるのだが。
     やはり家長であり麗しのお兄様である王様がいるのが違うのだろうか。件の王様はいくつかだいふくをつまんだ後は何やらタブレットを手に沈黙を保っているけれども、食卓に向かう時間に居合わせれば必ず最後までそこにいてくれる。年末進行で多忙な王様が休日に公園で遊んでくれるのも久しぶりだし、ギルちゃんも嬉しかったんだな。
     一度マグカップを洗ってから緑茶を注ぐ。熱いから気をつけてねと声をかけると、こくり、素直に頷いた。うーん、これは相当機嫌がいいぞ。
    「ギルちゃん、公園楽しかった?」
    「うむ!」
    「いっぱい遊べた?」
    「うむ!」
     力強い返事の後、くふふと忍び笑い。これは純粋に楽しくてたまらないときの顔だ。内容は白黒様々ではあるけれども。
    「しりたいのか、ざっしゅ?」
    「うん、知りたい!教えてギルちゃん」
    「ふん?それほどまでにききたいのか?」
    「聞きたい聞きたい、お願いっ」
     ギルちゃんの赤い瞳がきらきら輝いている。むふん、満足そうに鼻を鳴らして、腕を組んで顎を上げる。ギルちゃん得意の「おうのポーズ」だ。うんかわいい。
    「じつはな、きょうはこうえんにて、おうにふさわしきはかのでざいんをかんがえておったのだが」
     えっ墓?
     ギルちゃんが「王」と呼称するのは自分のことのはずなのだけれど、あまりにも人生設計が早期すぎないか。もしかして王様のことも一種の「王」と認めて自らお墓のデザインをしておいてあげよう的な?まぁ王様にしても早いっちゃ早いけど、そろそろ終活について話し合う時期なのだろうか。
     ちらっと目を向けたら、心の声を読んだ王様にじっとり睨まれた。てへぺろ。
    「そこでな、おれは、ほうもつをえたのだ」
    「宝物?綺麗な石でも見つけたの?」
    「いいや。そこらもとでひょいとひろえるようなものではない。じんせいにおけるゆいいつむにのたからよ」
     まるで往年の王のごとく深い喜びと慈愛の色を滲ませて、
    「それはともだ。おれはきょう、こぶしをかわしあい、ちからつきるまでかたりあうことで、しんのともをえたのだ、ざっしゅ」
     あの、ギルちゃんが、そう言ったのだ。
     ギルちゃんは聡明で優しいかわいい子だが、気難しい一面があるのは決して否定できない。
     俺や王様のことはある程度受け入れてくれているけれど、それだって盲目的なものじゃない。ギルちゃんの保護者として、愛情を惜しまず注いでいる、その行動を評価してくれているからで、例えば俺がギルちゃんの食事に不信感を抱かせるような行動をしたり、王様がこの家を省みない暴君になったりなどすれば、直ちに見限られてしまうだろう。
     そういうところがすごいし、認めてくれて嬉しいと思うのだけれど、翻せばギルちゃんの御眼鏡にかなうにはそれだけの何かが求められるわけで。
     真面目で気の利くハウスキーパーさんたち、元気で親切な商店街のお店の方々、俺と王様の大切な友人たち、ギルちゃんの周りには素敵な人がたくさんいてくれる。その誰もをギルちゃんはきちんと見つめて、見極めて、親しくしてくれているが、基本「王への献身まことに大義」と労いの姿勢だ。
     唯一無二の、真の友。
     まさかギルちゃんからそんな素敵な言葉が聞けるなんて。
    「そっかぁ、ギルちゃんお友だちができたんだね。よかったねぇ」
     抱きしめて頬ずりする俺を怒ることなく、ギルちゃんは一生懸命にお友だちのことをお話してくれた。
     お名前はエルキドゥくん。お母さんが亡くなってしまって、疎遠だったお祖父さんに引き取られる形で最近引っ越してきたらしい。妖精みたいに綺麗な顔立ちで、猿のように俊敏で、ゴリラのごとき怪力。全然想像がつかない。めちゃくちゃ気になる。
     仲の深め方はちょっと、大分、アグレッシブあんどバイオレンスだったようだけれど、そんな小さなことはいいじゃないか。
     じ~んと温まる胸の内をしみじみと噛み締めて微笑む俺に、王様は何とも言えない表情でお茶を啜る。こやつ親バカが過ぎるぞ、って感じだろう。でも王様がそばにいて止めなかったのだ。俺にとってはそれだけで、エルキドゥくんがギルちゃんにとって悪い子じゃないと保証されたようなものである。
     再びだいふくを頬張ってもちもち上下する薔薇色のほっぺをにこにこ眺めていた俺は、ふと思いついた。
    「ねぇ、ギルちゃん。十二月三十一日、ギルちゃんの誕生日はごちそうでパーティーしようねってお話したよね」
    「んむ!」
    「俺いいこと考えちゃった。エルキドゥくんもパーティーに招待しようよ!」
    「ふぁ」
     ギルちゃんがお目々をぱちくり。子猫みたいなその珍しい表情に楽しい予感は更に高まる。
     ギルちゃんの誕生日が十二月三十一日で、王様が一月一日。三人家族になって初めてのお祝いだ。料理やケーキをどうするか、エミヤ家の皆さんとレシピ考案中である。もしエルキドゥくんが来てくれるなら、ギルちゃんも食べられて、かつアレルギーのない子でも満足してくれるような内容にしなければならない。
     アレルギー非対応のメニューも加えてしまえば話は簡単だけど、誕生日はギルちゃんが主役なのだから、ギルちゃんの食べられないものを机に並べるつもりはない。けれども、子どもは素直だし残酷だ。小麦や卵、乳製品を制限したアレルギー食はどうしても口当たりなど食べ慣れないものになってしまうから、ごはんが原因で子どもたちが喧嘩になったり傷つけられたりするとはよく聞く話。
     ギルちゃんがせっかく芽生えた友情を長く育んでいけるように、俺にできることは全力でしてあげたい。
     燃え上がる俺に、王様はやれやれとため息をついた。
    「立香。やる気は買うが、世間は大晦日だろう。かえって困らせるかもしれぬぞ」
    「あっ……」
     そう、そうだった。いや忘れていたわけではない。この国らしいお正月料理をギルちゃんに楽しんでもらえるように、そちらの準備も勿論している。
     だけど、俺にとってはどうしても、大事な二人の誕生日という意識が強くて。
    「う、でも、お昼ごはんとか、おやつの時間だけでも……ダメかな」
     言いながら、悪あがきだと自分でも思って、肩が落ちる。
     我が家は誕生日パーティーを主軸に置いて、冬季休暇の王様も交えておうちでゆっくり過ごす予定だけれど、大体の家庭において年末年始は忙しい。大掃除、お節の仕込み、宗教行事に参加する家もある。そもそも旅行したり遠方の親族を訪ねたり、家を離れている場合も多いのだ。
     どうしよう、ギルちゃんをがっかりさせてしまうかも。
     ちゃんと考えて、まずは王様に相談して、エルキドゥくんのお祖父さんにお伺いして、ギルちゃんに話すのはそれからにすればよかったのに。
    「さてな。まぁ、誘ってみるのは悪いことではあるまい」
    「そうだぞ、ざっしゅ、うつむくでない。おうをきょうじさせようとはかるのがこまづかいのしごとなのだから、きさまはなにをはじることがあるのだ。いじわるをいうあやつがわるいのだぞ」
    「たわけ、誰が意地悪だ。ここは何もかも我らの思うようになる国とは違う。その調子で無理強いすると嫌われるぞ」
    「ふん。たわけはきさまだ。ともはしもべではないのだぞ?むりじいなどするわけなかろう。だいたい、あやつならむりをとおされるまえにこぶしがでるわ」
    「……まぁ交渉の仕方は好きにせよ。ただ、駄々をこねて立香を困らせるなよ」


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  • 2019年08月09日 17:30
    舞台俳優ぐだおくん 二部開幕インタビュー
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    ―――第二部「ロストベルト」の序章が先日配信にて公開されました。大変な旅が続くマスター藤丸ですが、今の心境は?

    うーん、そうですね。正直なところ、今はまだ何が何やらわからなくて、ただただダヴィンチちゃんのこととか、カルデアと一緒に失ったものとか、そういうショックで呆然としてるって感じです。でも、進まないと死んじゃうから。死にたくないし、もうこれ以上誰も死んでほしくないし、とりあえず足だけ動かしてるけど、心は氷漬けのカルデアに置き去り。そんな感じかな。

    ―――第一部ではドクター、第二部序章では英霊ダヴィンチと、カルデアでの心の要を次々に失ってしまう展開にはファンからも衝撃と号泣の声が届いています。

    俺自身としても、ものすごくショックでした。亜種特異点やいくつか配信公開されたストーリーから、なんとなくこの先また何かが起きるのかなって思ってはいたんですけど……ハンスさんたち(今作も執筆するカルデア座専属作家陣)は鬼だと思う。多分皆さん気付いているとは思うんですが、序章で生き残ったカルデアスタッフさんを終局冒頭のとあるエピソードを参照しながらチェックしてみてください。辛くなります。

    ―――大きな喪失の一方で、序章にてカルデアへ赴任したゴルドルフ新所長や、メインサポーターとして名前が明らかになったムニエル氏など、新しい仲間の登場もありましたね。

    ムニエルさんはちょこちょこ濃い台詞があったので、満を持してって感じですね。役名の由来は彼の大好物だそうです(笑)ゴっさんは……あ、新所長については、徐々に仲良くなっていけるといいなと。すごく味のある人なので、すぐに人気になるんじゃないかな。小さなダヴィンチちゃんもすごく可愛くてがんばりやさんです!好きな食べ物はいちごアイスとたまごやき。新チームもよろしくお願いします。

    ―――敵方にも印象的な登場人物が多く現れましたが……。

    皆めちゃくちゃ強そうじゃないですか。名前を言ってはいけないあの人(どこかで見覚えのある謎の神父、真名は一体!?)まで引っ張ってくるとか、ちょっと過剰戦力すぎてズルくない?藤丸は相変わらずなので、またマシュに負担をかけてしまうのが辛いですね。

    ―――でも、ちょっと背が伸びて逞しくなってきましたよね。

    はい!いやでもそれって重要かな?(笑)一応作中でも現実でも、成人が近い年齢になってきているので、ちょっとくらいは男らしい姿を見せられたらいいなぁと……がんばります。

    ―――ではここでちょっと楽しい話を。もしも藤丸くんがサーヴァントになるとしたら、どんなサーヴァントだと思いますか?

    え、いやぁ、俺は……本当に凡人なので、ちょっと想像つかないな。うーん……。王様(賢王役のギルガメッシュ氏)とかならわかるんですけど。美貌が神レベルだし。過労死の概念を象徴するサーヴァントで、労働環境の是正に尽力してくれます(笑)

    ―――それもかなり気になりますが(笑)では、マスター藤丸はどうでしょう?

    難しいですね、彼も基本は平凡な人なので……うーん。英霊の皆が守ってきた「平凡な人間」の代表、みたいなのはアリなのかな?自分で戦うのは護身術くらいしかできないけど、宝具のトランクから助っ人を召喚するとかどうですか。助けてー!って……トランクが本体ですね(笑)せっかくだし各礼装に変身してスキルを使う!とかできたら楽しいかも。

    ―――第二部での重要アイテムとなりそうなトランク、活躍の場面が楽しみです。その他今後のグランド・オーダーの見所を教えてください。

    第一部とは全く違う戦いに、マスター藤丸やマシュがどう向き合っていくのか。かなり苦しい現実を突きつけられていますが、見守って応援していただけると嬉しいです。個人的には、今まで一緒に過ごしてきたサーヴァントの皆と再会できるのを心待ちにしているので、皆さんも推しの再登場をお祈りしていてください!


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  • 2019年08月05日 12:26
    ショタぐだくんとパパ王様 おやすみらっこさんの話
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     暑い夜だった。
     王の寝所ともなれば設計も調度品も工夫され国のどんな場所より快適に過ごせる、はずなのだが、雨の影響でとことん蒸したこんな日にはなす術もない。
     いや、ないことはないのだ。
     最も簡単なのは魔術もしくは蔵の宝物を使って室内を冷やすこと。王一人であれば迷うことなくそうしていたが、立香がいる。この子どもはあまり魔力適性が高くないせいか、時折魔力に晒されると痛い痛いと泣くことがある。今は体調が悪いわけでもなく、おそらく問題ないかとは思うが、できるだけリスクを避けてやりたいのが親心というものだ。
     魔術を除いた対処法として挙げるならば、例えば一晩中枕元で扇ぐ役割の者を置く、など。
     けれども立香は未だ気を許す人間の相手は少なく、では立香が無条件で懐いている英霊の誰かを呼ぶとなるとなんとなく癪に障る。何よりも、寝所に己と立香以外の存在が混ざり込むなど、落ち着かないことこの上ない。
     汗のたまりがちな幼子の首や手足のお肉の合間を拭いてやりながら、さてどうするかと思案していたギルガメッシュ王は、いつも通りのしのしと腹に乗る熱の塊にやや顔を引きつらせた。
    「立香。今宵は暑いであろう。隣へごろんせよ」
    「う?」
     幼子ほどではないにせよ、筋肉のしっかり詰まった王の肌も冷たくはない。くりりんと首を傾げる立香のこめかみをもう既に汗が伝い始めていた。
     背を支えながら自ら横を向いて腹から立香を下ろすと、大きな青い瞳がぱちぱち、不思議そうに瞬いて、
    「…………これ、よじ登り遊びではないのだぞ」
     その不思議そうな顔はそのままに、せっせとまた腹の上に戻ってきた。
     頬は赤く、唇から漏れる呼気も熱く、つつと汗が流れ。
     大人が感じるよりもずっと暑さが堪えているはずなのに、立香はひしりと腹に引っ付いて動かない。見かねてまた首の後ろを拭ってやれば、嬉しそうに笑顔を向けてきた。
    「たーたん、きょおはあちゅねー」
    「であろう。くっついておると余計に暑いぞ」
    「あちゅちゅ、ふーふー」
     唇を尖らせてスープを冷ますように吹きかけてくる息がくすぐったい。そんな微かな風量では全く涼しくも何ともならないのだが。
    「このままで眠れるのか?」
     小さな頭を撫でて問うと、王の胸に頬ずりをしながら、立香がくふくふと笑う。
    「いちゅかね、らっこしゃんだないとねんねでちないの」
    「らっこさん……あぁ、フェイカーの持ち込んだ図鑑のあれか」
    「そお。らかあね、あちゅちゅれもね、ここがいいの。わたった?」
     ここがいいのか。これほどに暑くても。
     まだうまく回らない舌で言うこのいじらしさたるや。
    「……では、少し涼しくしてやろうな」
     王はそれ以上何も言わず、蔵から巨大な氷塊をいくつか寝台の周りへ落とし、ごくごく微弱に風を回した。氷の発する冷気は自然なものだ。この程度なら立香の肌を苛むこともないだろう。
     むにむにとしばらく何やら唇が動いていたが、やがてすんなりと眠りに落ちた幼子を腹に乗せたまま、王も満たされた心地で目を閉じた。


     腹が寒い。
    ―――んぎぃ
     触覚と聴覚はほぼ同時だった。はちりと赤い瞳が開いた瞬間に、
    「ぎぃやあああああぁあああああん!!!!」
     耳を劈くかのような泣き声が響き渡った。
     いつもごろんごろんと四方八方に寝返りしてはまた腹に戻ってくる立香なのだが、
    「だーーーだ、どこぉおおおあああぁああああん!!!」
    「たわけ、我は動いておらぬわ。お前こそどこに…………」
     遥か足先の寝台の端で、シーツの塊になってうごうご暴れていた。
    「ンぐふぅっ……ぶわははははは!立香!やめ、落ち着け」
    「あぁああああん!!!やらぁあああああ!!!」
     一体どういう寝相だったのか。
     絡まりきった布を解いてやる間も喉が張り裂けんばかりに泣いている立香には悪いが、おもしろすぎる。必死でもがくから更に可動域が狭くなる無限ループ。パニック状態の幼子を抱き上げた時には、お互い息も絶え絶えだった。
     全身が真っ赤になって涙と鼻水に溺れそうな立香をしっかりと抱える。足の指まで使ってしがみつかれて泣かれてはさすがに笑うわけにもいかない。
    「よしよし、ほら抱っこだぞ。もう泣くな」
    「だーだんいなぐなーだ!!」
    「我はいなくなっておらんと言っておるだろうに」
    「いちゅがこあがっだのに!!どごいてたのぉ!!」
    「どこかへ行ったのはお前の方なのだがなぁ」
     じゅびゅるんと垂れた鼻水を拭って、滝のような涙で濡れそぼった頬に口付けては頬ずりをし、抱え込んだ体をゆっくりと揺らしながら背をさすり。
     どれくらいそうしていたのやら、ようやくしゃくり上げる声が落ち着いてきたところで水分をとらせた。重たそうに瞬くまつげの先に残った涙の粒を吸う。これは冷やさないと明日の朝にはぱんぱんに腫れるな。ぐずりも酷くなるだろう。
    「立香よ。まったくお前は冒険が好きよなぁ。起きたら真っ白おばけに浚われておるではないか。さすがの我も驚いたぞ」
    「まちろ、おばけ?」
    「うむ。だが立香が大きな声で我を呼んだろう、あれで居場所がわかった。なかなかやるではないか、偉いぞ」
    「……たーたん、いちゅかなないの、びくいちーた?いぱーいさがちてた?」
    「うむ」
     いかにも深刻といった顔で頷く。驚いたのも探したのも事実だ、嘘はついていない。
     立香はぽかんと口を開けていたが、ようやく頭の整理が追いついたのか、またひしと王にしがみつく。
    「まちろおばけ、もうなーない?」
    「この我の王気に気圧されどこぞへ行ったわ」
     ふふんと得意げに笑う王に、立香はきらきらの瞳を向けて、ようやくほにゃと笑った。
    「やぱい、いちゅか、たーたんとらっこしゃんだないとだめらねぇ」
     再び仰向けになった王の腹の上で、嬉しげに幼子の背中が揺れる。
     そうさな。ずっと我の腹に乗っておれ。幼いうちも、大人になっても。
     甘える愛し子を抱きしめながら、王はうっそりと目を細めた。


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