最終更新日:2021年12月04日 17:41

屋根裏と地下室

非会員にも公開
SS置き場。基本エロなし。
オリジナル/サンリオ男子/あんさんぶるスターズ

Tw300字ss
「はめ殺し」https://pictbland.net/blogs/view_body/1159319 オリジナルというかコッペリア二次
「つぼみのまま」https://pictbland.net/blogs/view_body/1266036 オリジナル百合
「十一番目の息子」https://pictbland.net/blogs/view_body/1310317 オリジナル歴史
「月夜にトロリー」https://pictbland.net/blogs/view_body/1347123 オリジナル
「をとこもすといふ」https://pictbland.net/blogs/view_body/1385661 オリジナル
「サギとカササギ」https://pictbland.net/blogs/view_body/1481026 オリジナル
「無重力でバタフライ」https://pictbland.net/blogs/view_body/1527226 二次サンダーバード
「アウギュステ前夜」https://pictbland.net/blogs/view_body/1527237 二次グランブルーファンタジー
「下り17:09発」https://pictbland.net/blogs/view_body/1586964 オリジナル
「となりのおばさん」https://pictbland.net/blogs/view_body/1636153 オリジナル

折本フェア用オリジナル「六月が終わる」https://pictbland.net/blogs/view_body/1559911
ペーパーウェル04用オリジナル「小5男子のペンケース」https://pictbland.net/blogs/view_body/1472997

オリジナルFT「きみの明日がぼくのすべて」https://pictbland.net/blogs/view_body/382709
サンリオ男子「康太、明かりをつけて。」祐康https://pictbland.net/blogs/view_body/538052
      「ずるいともだち」祐康https://pictbland.net/blogs/view_body/651336 
      「ずるいともだち2」祐康https://pictbland.net/blogs/view_body/651339
 ※サンリオ男子は今後こちらhttps://pictbland.net/blogs/detail/160
あんさんぶるスターズ みどちあ二人が王子設定パロhttps://pictbland.net/blogs/view_body/730662
  慈雨
  • 2018年10月21日 02:19  

    あんさんぶるスターズ
    千秋と翠・奏汰・忍 (女の子はあんずと鬼龍の妹のつもりだった)
    二人が王子だったら、というパラレル妄想
    約2000字

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       ★★★★★

     踊り疲れたことを理由に、翠は、やっとホールを抜けだせた。
     海沿いの国・深海では、王子の十八歳の誕生日を祝う舞踏会が開かれていた。
     招待状は、近隣諸国に送られ、翠の国にも届いた。気の進まない翠は、彼に無理に連れだされ、今まで幾人もの女性と踊っていた。
     彼は、いつの間にか姿を消していた。ダンスの最初の曲で、彼が旧知の令嬢と踊っているのを、翠は見ている。やんちゃな童顔を引き締め、微笑をたたえて女性の相手をする彼が、翠には忌々しかった。
     二曲めに変わるとき、翠は彼を見失った。
     その後も、翠は女性たちと踊り続けたのだ。

     火照る顔と苛立ちを冷まそうと、翠は庭に迷い出た。
    「姫様はダンスが上手だな!」
     近間から、彼の声が聞こえた。
     王城の隅に、サンルームがある。今日は、舞踏会に出られないこどものために、娯楽室として使われていた。
     昼日中のように照らされた前庭で、彼は着飾った女の子たちに囲まれている。
    「……あんた、何やってるんすか?」
     翠の怒りが、ふつふつと沸いてきた。
    「なんだ、高峯も逃げてきたのか?」
     彼は、悪びれもしない。「どなた?」と訊く女の子に、「高峯の国の、二番目の王子だ」と答えてやっている。
    「だから……何してるんすか……?」
     一事が万事、彼のペースだ。年端もゆかない女の子たちの前で、翠はため息をつくしかない。
    「親友の妹と、ワルツを踊る約束をしていてな」
     彼に寄り添うように立つ十歳ほどの女の子が、小さく頷く。
    「その約束を果たしに来たら、小さな姫様たちの相手をすることになった」
    「……何してんすか、本当に」
     翠は苦笑いを洩らすが、怒りはおさまっていない。
    「すまないな。迎えが来たから、もう行かなくては」
     彼は、女の子たちに手を振る。
     女の子たちも手を振り返し、「守沢のお兄様、ごきげんよう」「大人になったら、また踊ってください」と、おしゃまな口ぶりで見送った。

     翠は、ホールに戻るつもりはない。勝手もわからない暗い庭園を、ずんずん歩いていく。守沢の王子は、後をついてくる。
    「高峯、この庭は、海に続いてるんだぞ」
     それを知っているほど、守沢は深海と付き合いが深い。
    「へえ、そうですか」
    「なあ、このまま二人で逃げないか?」
    「何言ってるんすか」
     守沢には、親しい人が多い。翠は、その末席にちんまりといるだけだ。
     翠の何を気に入ってか、守沢はかまってくる。翠は疎ましくも、彼の手を振り払うことができない。逃げようという誘いが、この上なく魅力的に響いていることに、守沢は気付いてはいないはずだ。守沢の鈍感さが、翠には腹立たしい。
    「俺をここまで引きずってきて、自分はさっさと抜けて、こどもと遊んでるなんて、ずるいって言ってるんです」
    「なんだ。高峯、置き去りされて、心細かったのか」
    「そういうことじゃなくて……それもあったかもしれないけど……そうじゃないっす」

     ワルツが遠くに聞こえる。
     翠は、守沢と踊ることができない。
     女性の鵜の目鷹の目にさらされて踊りながら、翠が考えていたのは守沢のことだった。
     守沢の王の子は、王子一人だ。王太子として責務は、日々重くなる。妻を迎える日も遠くない。今日の舞踏会に参上した姫君のすべてが、守沢の后になる可能性を持っているのだ。
    「大体、舞踏会なんて上っ面で、結婚相手や愛人探しの社交場じゃないすか。あんた、そんなところに俺を引っ張ってきて、何やってるんすか? さっきの子だって、八年後はあんたと釣り合いが取れる年になるでしょ」
     守沢に対するもどかしく混乱する感情すべてを、一言で表せると、翠は知っている。それを認めたところで、想いはかなわない。駄々っ子のようになじる自分が惨めだった。

    「仙石」
     不意に、守沢が暗がりに囁いた。
    「御前に」
     闇だまりから若い男の声がして、翠は飛びすさった。男の姿も気配もないが、そばに控えているらしい。
    「手筈は?」
    「準備万端、馬も二頭手配してござる」
     俺の細作だと、守沢が自慢げに言った。
    「高峯、一緒に遠くへ行かないか?」
     再度、守沢が誘う。思いつきや冗談ではなく、計画されていたことに、翠は呆気にとられていた。
    「海を渡って……?」
    「それもいいな。色んな国を見たいし、知りたい。おまえが一緒なら、俺が嬉しい」
     途切れがちのワルツが聞こえる。潮騒が近い。
     今なら、まだ後戻りできた。

       ☆

     舞踏会の夜、最後に二人の王子を見たのは、サンルームの女の子たちだった。彼女たちの証言から、王子二人は、庭園を抜けて海岸に下りたものと思われた。
     沖に流された、櫂のない舟が発見された。
     舞踏会の前日に、国のはずれの牧場で馬が二頭売買されたことには、捜索隊の調査は及ばなかった。
    「ともあれ、ちあきはいきているはずですし、みどりもいきているはずです」
     深海の王子は、そう信じて、捜索を打ち切った。
     





       ★★★★★

    好きな絵師さんが、みどちあ王子妄想のイラストをTwitterで上げてらして、「SS下さい」とおっしゃるので、おつきあいもないのに調子に乗って書いて、即日マシュマロに投下
    あんスタは口調とか把握してないので、ネタはあっても書くことはないと思っていた
    マシュマロの文字制限におさめようとしたのに、結局制限の倍の2000字(3分割で送信)を一晩で書くという、自分にしてはとんでもないネジの巻き方をしてしまった
    だって、ちあみどが王子同士って素敵すぎる設定で、
    絵師さんにさらした恥を残すため、送信時のまま手直しなしでアップ


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