授業が終わった花崎に、明智は人質救出の急務を言い渡す。花崎は、勝田に手助けを求める。
地下水路で小林と出くわした花崎たちは、現況を把握して別行動する。花崎が明智や警察に合流したときには、残り時間は8分。二十面相の奸計で警官たちは分散され、放水もはじまっている。
勝田に救出された井上が、地図との食い違いから実地の地図を想像し、花崎と明智を誘導、人質も助け出される。逃亡する二十面相と手下の目前で、小林が異能を発揮する。二十面相は小林に興味を示した。


この回、台詞の応酬のテンポがいい。井上と小林の間合いが絶妙。何度見ても笑っちゃう。
今回見て思ったのは、勝田と小林は、案外相性が良さそうということ。この二人、結局命大事で、その時々でベストの選択ができているし、無駄を嫌う。目の前から受け取る情報も思考回路も違うけど、出す答えが同じ。相手に何を伝えるかが違うだけのような気がする。
それから、井上の空間把握能力すごい。4話では、小林の同じ能力がすごい(以前来た場所を覚えている)と思った。男性はこの能力にすぐれているとはいうけれど、井上は、真の水路の地図を脳裡で描き直しているのが、「応用力効くのか」と驚きだった。これ以降、井上の特殊能力は影をひそめるので、ここがピーク。過去回想と1クール終盤で井上が大暴れをするのを見て、この人つくづくフィジカルな人で、事故がなかったらバリバリの脳筋だったと確信した。特攻＆特攻で、作戦立案が弱い探偵団になっていたはず。野呂が作戦面で動いてくれたらいけれど、井上の気性では年下の女の子の起案却下だろうし、野呂もそれわかっていてサポートのみで、花崎と連携を強めるような気がする。

IFはさておき。

大友もすごいんだよな。滞空時間の短い小型ドローンを、半日足らずで改造している。これ、手渡したのは、花崎が勝田と移動中だよね。同行させられる勝田を見て、大友はどう思ったんだろう。そこは興味ある。
気の毒なのが、二十面相の手下。4話で、ふらふらしている小林をただの浮浪児だと思って、放水を注意している。5話で逃亡中に、小林を避けようとして転倒、水上バイクを破壊されている。以降、二十面相の部下らしき人物は出てこない。目出し帽というアナクロぶりは、二十面相の美意識にかなったものではないと思うので、日雇いか何かなのかもしれない。


この前後編の肝は、「警察権力の失墜」を狙ったものであることと、二十面相が明言している(推測した井上はすごい)。
放水で溺死しかねないので脱出するようにうながされても、警官たちは同胞意識で水路に留まり続ける。宮西は「警察の誇り」とは言うけれど、指揮官として中村が舐められていることがわかる。縦社会だから、あの場面では、中村の命令は絶対のはずなんだよな。中村のプライドについては、ここでは言及されていないし、描写はないので、宮西なりに苦しいフォローをしたのかなとは思う。二次遭難で300人近い死傷者を出したら、警視庁バカじゃねえのと笑い者にしかならない。警視庁は、警察庁からしかるべき指揮が下りてこなかったと言い逃れもできるんだよね、この後の展開を考えると。巡査長クラスで二十面相の心酔者がいたとすると、すでに副総監とつながっていたと考えられる。
それと、二十面相のメディア利用。劇場型犯罪を好むなら、この後も派手にやるのかなと思ったけど、期待していたほどではなかった。


事件を、明智は、「小林はおもちゃじゃねえ」と締める。他の探偵団のメンバーも、二十面相が触れてはいけない大切なこどもだと、啖呵を切る。かっこいい。文ちゃんをおもちゃにされた過去があるものね。コミカライズもここがクライマックスで、しびれた。
この後、花崎がおもちゃになってしまう。しかも、花崎自身の意思で。
最後の最後で、「親がなくとも子は育つ」と明智が手を離してしまうことを知っている。だけど、明智は、ここでは真実そう思って守ろうとしていたのは確実なので、かっこいいんだよ。


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パーソナルスペースの30㎝は、エドワード・T・ホールの分類では「頭や腰、脚が簡単に触れ合うことはないが、手で相手に触れるくらいの距離(親しい人同士なら不快にならない)」、西出和彦は「絶対的に他人を入れたくない範囲で、会話などはこんなに近づいては行わない」としている。エドワードさん説は、最終話と照らし合わせると感慨深い。異議はあるけど、それはさておき。
花崎のパーソナルスペースは、めちゃくちゃ近くて、ボディタッチも多い。井上にはやらないし、小林にはできないけど、それが終盤に効いてくる。
「歩み寄れとは言わないけど、隙くらい作れよ。だからさ、なんつーのか、心の窓をさ(鍵くらい開けておけよ)」と小林に言いながら、花崎失笑。気障なことを言っている自分がおかしいのだろうけど、打ち解けない小林を気にかけているのは本音。
小林がかなり油断していることを、花崎は気付かないし、当人も自覚がない。公園に続いて、車でもアクシデントを引き起こして、萎縮した小林が萎縮して元の木阿弥になりかけているというタイミングで、そんな抽象的なことを言われても逆効果だと思う。
多分、小林は無償の好意を嫌っている。4話では食べ物につられるように、交換条件で小林を動かすことはできる。代償をあがなうことのできる人間として扱われることが、無意識に小林のプライドをくすぐっているような気がする。この場面では、殺すことをちらつかせる花崎のそばにいる条件が出されているので、プライドとは別ものだけど、そういうことが想起された。


この回では、井上の「末っ子体質」という言葉が出てくるけど、これは最後までわからない。土方歳三みたいなものかと、前にも書いたけど、トップの下で粛々と実務をこなすタイプとも言える。
年上としかうまくやれないと花崎は言うものの、体面をとりつくろうことがうまいからという以上に理由が見つからない。明智や宮西には辛辣だし、中村とも友好的な間柄だと思えない。5話で出てくる数年前の井上ならば、甘え上手にも見えるし、学校でも教員たちから好感をもたれていたようにも思える。




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巡回中の中村と宮西は、パトカーの暴走に遭遇。事故に遭った今泉巡査長は、二十面相からのメッセージを携えていた。
人質に取った警官を21時までに救出せよという身勝手な挑戦を、明智は、井上と小林が仲良く解決するようにと丸投げ。小林は、食べ物に釣られて、受けることにする。人質がとらわれている地下水路に向かった井上は昏倒させられ、小林もろとも障壁の内に閉じこめられる。
花崎は、月に一度のスクーリングで20時まで学校に詰めきり。大友と山根と遊んでいるときに事件を知るが、明智は花崎の合流を認めない。花崎は勝田とも再会。花崎は勝田が探偵団の復帰を望んでいた。
明智は、病院に収容された今泉に聴取。今泉は、二十面相の手先として「人殺しの明智さん」への伝言を託されていた。

1年前の一挙配信のときのメモで起こしてみた。細かいところが書かれてない。
テニス部見ている井上のことも、大友のドローンのこともメモしてないぞ。人の好い二十面相の手下のことも書いてない。
この回で、勝田と井上の間にわだかまりがあることが提示されるのに、見舞いの鉢植えのことも、井上が明智の前で泣き崩れることもメモがない。どうしたんだ、1年前の自分？自分の記憶力に自信がありすぎじゃないか。
中村が少年探偵団には不干渉であることを宮西に説明していること、二十面相の殺人はしないイズムもここで語られる。これだけはメモがあった。よかった。


話の中核にある、都心の警備システムについても、ここで語られる。1話のひのもと工業の事件によって、警備ロボットの使用が停止されているため、警官による巡回が強化されている。公安の中村たちがパトロールに出ているのも、新東京博を控えてのテロ対策。
5話で、明智は、「この世の中に絶対なんてことねえさ」と、二十面相がイズムに反する殺人の可能性をほのめかしている。これも、二十面相が直接手を下さなくても、教唆(花崎のケース)や犠牲(文子)のために死人が出ることは後々わかる。
細かいピースを拾ってつなぎ合わせるのが、ちょっと骨折りだよね。

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東京五輪の入賞者・根本鉱一(漢字合ってるかな)が失踪、母親が明智に捜索を依頼する。根本の母親に詰まれた手付金に目がくらんだ明智は、依頼を引き受ける。小林も捜索に加わるが、井上は探偵団の加入自体を反対している。
下準備として、井上は中村に行方不明者のリストを融通してもらう。資料の持ち出しの見返りとして、中村は、やはり行方不明になっている監察医・京本晴海の情報をつかむように頼む(京本の案件については、中村個人が私情で動いている)。
ホームレスの聞きこみから、ＮＰＯ無業者支援団体ペルセポネーを知った花崎と小林は、施設に乗りこむ。アクシデントで警備に追われる花崎と小林を匿ってくれた男が、施設のシステムを端的に語る。根本捜しを再開した花崎たちの目の前で、匿った男がストレッチャーに乗せられていく。外で待機している井上に止められながらも、花崎は男を追う。野呂は異常事態を察して、明智に救援を求める。
男が連れ去られた先では、内臓摘出手術が行われていた。執刀医の一人が、京本だった。ピッポちゃんと野呂の連携により、施設内のモニターに、ペルセポネーの実態を映し出される。逃げ出した収容者のなかには、根本もいた。
解決しても、井上と野呂は、小林を受け入れることができない。明智が小林を認めていることを、花崎は喜ぶ。



明智が「俺ん家に出入りするなら、ここのルールは守れよ」と言い聞かせたのが、
1生きるも死ぬも自己責任
2俺(明智)を「先生」なんてダサい名で呼ぶな
3情に流されるな
4俺に逆らうな
5つまり、ここでの法律は俺
根本の案件で、花崎は情に流され、野呂は明智に助けを求めたことでルール違反。先生と呼び続ける井上は論外。「お前はルールを守った。だから、ここにいてよし」と、小林に向かい合って、明智は言うのです。ここでは、明智はこどもに向き合う姿勢を見せている。いい加減な男でもこういうところがあるから、井上も花崎も明智から離れられないのだろうなと思わされた。さすがの小林も、不安と緊張で揺らいでいるせいか、明智の甘言によろめいている。

この回の小林は、本当可愛い。言い淀んだり、息を呑んだりして、花崎のよくわからない好意に戸惑っているのが可愛い。花崎に街中に連れだされて、人を傷つけることをおそれて逃げてしまうのも可愛い。花崎はあくまで普通の子として小林を扱う軽率さがあって、井上は警戒心を強めざるをえないという構図が、コメディぽい。井上が小林を拒むたびに、笑ってしまう。
そして、小林は聡い。
後半、恐慌状態のなか棒立ちの小林に、「どうにかしろ」と花崎は無茶振りをする。小林は、スタッフが持ち去ろうとした記録媒体(多分)を奪う。何か重要なものだと目算をつけて動いている小林は、賢い。知らず知らずのうちに、生き残るために必要な選択をしていたのだろうと思わせる。
今更だけど、花崎や井上が、最初から小林の異能に気付いているのに対して、小林は自分の力だと思っていないのね？　何か目に見えないものが、自分に近付くものを傷つけていると思っての「僕は悪くない」だったのかなと。実際、ブランコでは背後の水鉄砲に気付くよしもなく、水も当らないのに、いきなりチェーン切断だもん。小林も怯えるわ。そうなると、制御できる能力だと小林が知るのは、最後に二十面相と対決したとき？　うわあ、道のり長いなあ。


京本は後半のキーパーソン。
副総監(だったはず)の孫が心臓移植をしている。孫の臓器売買は京本がからんでいて、おそらくペルセポネーのバックには草薙会(漢字がわからない)がいる。草薙会と公安上がりの副総監(対広域暴力団の部署にいたと思われる)の関係は密で、互いの利権のために関係を知られてはいけない。
京本の失踪に、警察が本腰を入れず、記者クラブ相手に京本は現在の警察との関与を否定したのは、そういう背景があるから。中村は納得できないながらも、組織の判断には從わなければいけなかった。そう考えると、中村が副総監や二十面相に接触されたのは、この直後のように思われる。
ついには、収監された京本は、草薙会とつながりのあった蕗屋によって死に追いつめられる。警備ロボットの件も合わせて巨悪に気付いた宮西も殺される。蕗屋も殺されるし、中村も切り捨てられる。
この回の前後に草薙会の影が、ちらっとでも出ていれば、2クール目の展開の行き当たりばったり加減が緩和されていたのにね。ペルセポネー摘発後の中村が捨てた資料に、草薙会の文字があるかと目をこらしてもわからなかった。
そういえば、中村はフリスクを食べていなかった。




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めい子は、同棲相手の直樹の素行調査を明智探偵事務所に依頼する。直樹が誰かを脅迫しているのではないのかという懸念を元に、花崎は直樹の周辺を探る。
小林は、拾った花崎の財布を渡せずにいた。電子マネーを使った足跡を野呂が追い、花崎は小林と再会する。「何か食べさせてやる」「殺せそうだったら殺してやる」という花崎の言葉に誘われて、小林は直樹がケータリングに出向いた瀬能医師の講演会に連れだされる。空腹に耐えかねた小林が手を出したケータリングのスープには、異物が入っていた。直樹は、スープにはめい子のすすめる水しか入れていないと言う。花崎たちの前で水を飲んだ直樹は、死んでしまった。
講演のリハーサルの最中に、めい子は瀬能医師に水を差し入れる。めい子が直樹を利用していたことに気付いた花崎が、すんでのところで阻止し、めい子は警察に引き渡される。


1話で完結したエピソードで、おそらくラッシュのためだけに作られた話。「少年探偵団ってこんな感じです」と表向きの名刺にしたのだろうな、としか思えない欺きの1話。描写も作画も丁寧。車は3DCGで、その後の自動車の動きとは段違いに滑らか。めい子が白ワンピに赤ブラつけていたり、井上が学食で一人飯していてグリンピースをよけていったりと、為人がわかる描写もなされている。
遺伝子工学の権威という瀬能医師や、Waypm(多分アムウェイとウェポンを意識している。めい子の手土産もWaypmの商品)、自販機など、この後二度と出てこずにもったいない設定だった。この回で、小林が「食べないと無理矢理いろんなものを詰め込まれる」と話したことから、デザイナーベイビーで研究所育ちと着地するのかと想像していたのだった。自販機も、終盤でテロの道具として使われるのではないかとwktkしていた・・・なかったね。
色々肩透かしを食らったため、スポンサーに独立した話で面白いのに、本筋には関係ないので不要だったようにも思える二律背反。このクオリティで謎解きが連鎖して、二十面相に対峙するのかと期待していたんだよな。


今後のキーになる台詞はいくつか出ているので、拾ってみる。

明智「正論だけで人は救えねえぞ」
1クール終盤で、花崎が離反する元凶のひとつになる。

花崎「何か変だなってことを見過ごして、後悔したくねえんだよ」
晴彦の存在が明らかになったときに、腑に落ちた台詞。

花崎「後で説教な」
明智探偵事務所では、説教がコミュニケーション。

花崎「あいつを殺す方法を見つけるのが先か、あいつに生きたいと思わせるのが先か、俺は俺自身と競争すんだよ」
花崎は本気で両者を同列で考えようとしていた。明智は却下することも茶化すこともせず、カップ麺ができたとしか言わない。花崎の強情さを、明智はわかっているから何も言えない。


この回で重要なのは、小林が二度目の怪我をしていること。
めい子を確保後、花崎と会話する小林は、壇上の異物で指を切る。花崎といると傷つくことができるので、一緒にいたら死ねるかもしれないと確信めいたものが、小林にきざす。BDバッジで傷つけたと思いこんでいたけど、原因は何かわからなかった。小林が破ったドアの破片がステージまで飛んだとか？
それと、井上が花崎に肘鉄砲。この二人の距離感の近さがわかる。
夢子は初登場。



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