最終更新日:2020年10月01日 00:47

ROUND-ROBIN

非会員にも公開
TRICKSTER~江戸川乱歩「少年探偵団」より~
視聴記録・考証ログhttps://pictbland.net/blogs/detail/173から派生
二次創作用
総当たり的にCP組ませてます
リバあり
思いつきエロや、ワンシチュ的な文字数少ないSS
サムネはきゃらふとで作った井上先輩


【SS目次】
新→旧の昇降順


花崎←小林 https://pictbland.net/blogs/view_body/734905
花崎+小林 https://pictbland.net/blogs/view_body/420051
花崎+井上 https://pictbland.net/blogs/view_body/414205
花崎←井上 https://pictbland.net/blogs/view_body/407846
花崎+明智 https://pictbland.net/blogs/view_body/408449
勝田×井上 https://pictbland.net/blogs/view_body/388232
井上×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/387734
井上×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/383207
晴彦×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/382669
井上勝田花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/336124
大友→花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/342808 
勝田×大友 https://pictbland.net/blogs/view_body/341450
井上×花崎 https://pictbland.net/blogs/view_body/336125
勝田×大友 https://pictbland.net/blogs/view_body/346078
  慈雨
  • 2017年09月30日 21:20

    コミカライズ版で二次書きたいなあ
    複数同時進行で書いて、なかなか終わらないのに、さらにあれこれ手をつけてどうするんだ
    花崎の服装がトラックスーツというのだと今知ったりして、ネタは転がってくるのに、進められない
    放映1周年だよね
    推敲適当に切り上げて投稿しよう


  • 2017年09月20日 22:03

    今トリックスターの二次書いてるところなのに
    井上がキルヒアイスになってしまう
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    しっかりしろ自分
    井上はそんなこと言わないし
    キルヒアイスはグリンピースを食べられる

    銀英伝の作中でも「キルヒアイスがいれば」と述懐されるほど大きい存在であるし、それが幻影城系周辺の作家さんたちのジョークにも使われるくらいすごいキャラクター
    自分のメインピクログにも書いたけど、梅原さんはキルヒアイスにはまっていると思う
    まだ聴いていない「宇宙を手にお入れください」が幻聴になるくらい合ってる


    でも、今、トリックスター書いてるので、キルヒアイスのイメージは邪魔なんだってば!


    というくらい取り乱してます


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  • 2017年09月19日 20:26

    野呂が男である可能性もあったか
    それはそれで面白い
  • 2017年09月16日 17:30

    井上は勝田を投げたし花崎の手を振り払ったけど
    花崎は胸倉つかむ手を両手で包みこんだし
    勝田はおんぶしたり肩に半身を担いだ
    強情な子をどう扱うかの2パターン
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    危なそうなら力任せに引っ張ろうと決めた勝田と
    根気よく慈愛精神を発揮する花崎
    花崎はかつての勝田を見習っているのだろうけど(あとは施設の職員とか)
    勝田は事故の悔恨があるから待ちの姿勢はとらないことに決めたのかな
    この二人がいるから、井上は大友がちょっと苦手なのかも
    適度に距離をとりつつも忌憚のない言葉を吐く大友は、心が弱っているときに近寄りたくない
    大友や野呂のように強烈な自我を確立した自信家は、多分井上の敬遠したい相手
    野呂も大友も井上を尊重しているのに、自信がない井上には伝わっていない
    山根も結構毒舌の萌芽があるし、イエスマンじゃないので、この先井上も手を焼くかも
    花崎と小林に振り回されていたら、看過していた山根はいつの間にか野呂と大友のハイブリットみたくなってるかもしれない



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  • 2017年09月13日 23:10  

    入稿してからミスの原因に気付いた
    反省と後悔をこめてリテイク
  • 2017年09月13日 19:13  

    入稿する
    接続が安定するのを待っている
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    昨日から素材探して表紙作った
    表4は花崎に寄せてきゃらふとさんで作ってみた
    8/29の花崎兄弟
    7/4の大友花崎
    9/5の井上花崎
    9/6の勝田井上の順で収録
    手は加えてない
    自分の分だけだから色々端折った
    刷り上がった後にミスが見つかって落ちこむって知ってる


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  • 2017年09月06日 07:18

    勝田✕井上修正して上げ直し
    昨夜、見返したらひどいミスがあった・・・
    初キスだけまとめようかと思っていたけど、勝井は入れるなってことか
    ぎりぎり冊子20ページでキリがいい(プリペラさんの試し印刷の最大ページ数)と思ったのに、花崎総受けでまとめよということなのか
    小林と勝田と明智・・・ひでちゃん古川と人材はいる
    小林の書きかけは長くて尺が足らないのが残念
    あとはタイトルをどうするかだな
  • 2017年09月06日 06:55  

    勝田×井上
    5話の新放水路の帰りの車内
    とりあえずキスまで
    3271文字
    初キスする過程が好きという宿痾

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     中村たちと帰るという明智を置いて、井上は車に乗りこんだ。窓をスモークに換えて、シャツとズボンをはき替えた。
     勝田のスクーターはトランクに載せ、小林と花崎の服を剥いで毛布に包んだ。花崎がリアシートに乗りこみ、勝田は助手席に座る。
     小林は、早々と体を丸めて眠ってしまった。


    「勝田、腹減った」
     花崎がこどものようにぐずる。
    「花崎、甘えるな」
    「井上に言ってねえよ。勝田ぁ」
    「家に帰れば食事があるだろ」
    「勝田の飯が食いたい」
    「そこまで面倒見られない」
     花崎は駄々をこね続けた。卵焼きが食べたいだの、小林は何でも食うだの、みんなでまたバーベキューがやりたいだの、食べ物の話を続ける。井上は口を挟まない。勝田にいなされるのを承知で、花崎はじゃれているのだ。


     事務所の前で小林と花崎を下ろすとき、勝田が礼を言った。
    「二人ともありがとう」
    「礼を言うのは俺の方じゃん。ありがと、勝田。助かった」
     花崎はバイバイと大きく手を振った。小林は大欠伸で見送りもしない。


    「適当なところで下ろしてくれ。バイクで帰る」
     発進して間もなく、勝田が言った。
    「いや、家まで送っていく」
    「学校に寄らなきゃいけない」
     夜の校内には入れない。
     勝田は正門のインターホンを押し、警備室に連絡した。警備システムを一時解除してもらったらしい、門を入ると配達用のリアボックスを抱えて出てきた。
     戻ってきた勝田は、トランクの上にくくりつけていたスクーターを下ろそうとしている。
     井上はドアを開けた。
    「かっちゃん!」
    「このまま帰る」
    「送らせてくれ。俺はそれくらいしかできないし、エンジンに水が入ってるかもしれない」 
    「わかった」
     勝田ははずしたゴムロープをスクーターにかけ直して、助手席に戻った。


    「……悪かった。仕事なのに、花崎が無理言って連れてきたんだろ」
     自分のことでないなら謝罪できるのだ。花崎のために頭を下げたことは、一度や二度ではない。
    「終わったところだったし、連絡してある」
    「でも、かっちゃんは関係ないのに」
    「了が危ないって聞いたから」
    「さっき聞いたよ。俺のことなら放っておいていいのに」
    「わかってる、ずっと見てたから。了は一人でも大丈夫だって」
    「だから……!」
     何かが引っかかって、井上は二の句が継げない。
    「俺の気持ちの問題だ。了は気にしなくていい」
     何度も勝田は突き放し、去っていくのだ。そしてその判断はいつも正しい。


    「ちょっと車止める」
    「ああ」

     ハンドルに頭を預けて、大きく息をつく。
     勝田がからむと無様であると、自覚せざるをえない。
     新東京万博を控えて、街頭防犯カメラがまた増やされた。テロリストも視野に入れた措置である。役に立つかもしれないと思って、二十三区内の設置場所はほぼ暗記していた。
    ビジネス街の死角に入ったのは、自分の姿が記録に残らないためだ。ビルのいくつかの窓には明かりがあるが、通りを歩いているものはいない。少し休むだけでも、人目を気にする矮小さに嫌気が募った。
     シートベルトが外される音に、顔を上げる。
    「飲み物でも買ってくる」
    「いや、いい」
     自販機で買ったミルクティーが残っている。すっかり冷めてしまった。
    「朝までつきあってもいいけど、了、髪が生乾きだ」
    「朝までって……朝練あるじゃないか」
    「了が送っていってくれるんだろう?」
    「そうだけど、かっちゃんの睡眠時間まで奪えない」
     朝になれば、勝田はまめまめしく動きはじめる。休ませなければ、という気持ちはある。
     かつて我の強さで勝田を振り回していたことを、ずっと恥じていた。負い目や罪悪感から、近寄ることもできなかった。そうしてるうちに月日が経ち、間遠になり、挨拶すらしにくくなっていた。


    「かっちゃん、寝てもいいよ。もう少し休んだら、車出すから」
    「眠くない」
    「疲れてるだろう?」
    「俺がいたら気ぶっせいか?」
    「いや……?」
     三年ぶりに二人きりで話せることに、むしろ浮かれている。そわそわして落ち着かない。勝田がいるのが当たり前だったころは、こんな気分になったことはない。


    「腹減ってるのか?」
     井上はふふっと吹き出した。
    「花崎じゃあるまいし……ああ、かっちゃんの卵焼きは食べたい」
    「明日、事務所で作るか?」
    「部活は?」
    「終わった後に。了が次に学校来るのは月曜だろ」
    「よく知ってる」
    「ずっと見ていたから」
    「気付かなかった」
     勝田は、自分を慕って取り囲む人たちの、誰も見ていなかった。遠くから見る井上と、視線が合うこともなかった。
     気になったのは、それだ。井上の時間割は調べればわかることだ。自分に興味があったのかと、いぶかしくもある。


     自分の方が勝田を気にかけている、と生来の負けず嫌いが顔を出した。そういえば、と切り出す。
    「左足からコートに入るのはジンクス?」
     フェンスの向こうから、長い時間勝田を観察することはできない。何度か見た光景を思い出して、それに気付いた。
    「了は右足から入っただろ。鏡合わせみたいで面白くて、中学のときからずっとやってた」
     ジンクスなんて子供っぽいと恥じて、井上は勝田にすら言っていなかった。
    「負けた……!」
     井上はハンドルを両の拳で軽く叩く。
     勝田が低く含み笑いをする。響きのよい声を、暗い車内でずっと聞いていたい。身勝手な望みで、勝田の時間を削る自分は許せない。


     相反する思いを振り切るために、エンジンをかける。
     喉につかえていた言葉を押し出した。
    「かっちゃん……昔好きだった子、今は?」
    「好きだよ」
    「今も見てるだけ?」
    「ああ」
     ため息ともつかぬ返事を、井上は信じた。


     ハンドルに手を置いたまま、隣に目をやった。
     ドアに肘をついて、勝田が顔を向けている。
     とっくの昔に水は向けられていた。常に自分が勝田の手を引いているつもりでも、彼が手を差し伸べていたのだ。
     日付が変わる前に、一矢報いておきたい。


    「見てるだけ?」


     くり返して、コンソールに手をつく。
     勝田がそれを重ねる。無骨な指先に手の甲をなぞられて、早く家に帰さなければと切なくなる。グリップを握り、水仕事をし、弟たちの世話をする働き者の手だ。
     無意識に勝田を独占していたあのころには、もう戻れない。戻れないなら、進むだけだった。
     膝頭を助手席に向けると、踏みこんだ勝田に抱き締められた。ダブルスで勝って抱き合ったときは、もっと手荒で汗で濡れていた。
     厚い背中に、同じ強さを返しているのか不安になる。
     車椅子から見上げる同級生誰もが、自分よりも輝かしい現在を生きているように思える。飛び抜けて、勝田はまぶしい。
     彼からは、自分がどう見えるのか、想像をめぐらせて自嘲する。


    「見ていても面白いものじゃないだろう?」
    「はがゆい」
    「見なければいい」
     既視感で眩暈がする。
     あのときは口論から決別したのだ。割れた鉢植の片付けをする花崎が、指を怪我したことまで思い出した。
    「同じ轍を踏みたくない」
    「……俺もだ」
     謝るにはよい機会だった。
     何から、どう言えばよいのかわからない。二人きりで言葉を交わす局面を、予期していなかった。謝罪すべきことが多すぎて、さかのぼる記憶の糸を混線させる。元凶は自分の性格が招いたことであり、それを口にすれば、自己嫌悪の淵に転がり落ちる。


     勝田のいましめがほどけた。
     名残惜しく背中をなでて、井上も手を離す。
     勢い二人の間に起こったそよ風は、生臭い貯め水のにおいがした。同じ事件に居合わせたのだ。そんな日がまた来ようとは、思ってもいなかった。
     うつむきながらシートに座り直す。ヘッドライトの明かりでも、ゆるむ口元が見えてしまいそうだ。


    「了」
    「うん?」
     シートベルトのバックルをはめる右手を、包むように押さえられた。ねじられた体は、勝田に向く。
    「何……?」
     異常でもあったのか、と問いかけた唇をふさがれた。
     勝田のため息が、顎にかかる。


    「……ずっと、了をそばで見ていたい」
     ためらいがちな言葉に、井上は笑いがこみあげてくる。性急な短いキスとちぐはぐだ。
    「こんなに暗くて、そんなに近寄ったら、見えないよ」
     井上はエンジンを止め、ベルトをはずした。


     もう一度キスをする。
     明るい場所に出るのは、それからだ。ぐずぐずしていても、数時間後には夜が明ける。



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  • 2017年09月05日 17:30  

    井上と花崎に巻きこまれる勝田 #3(ただし勝田はいない)
    井上×花崎の両片想い 
    5話の新放水路の帰りで、井上と花崎2人きり
    井上疲労困憊のふてくされモードで初キス
    3320文字

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     中村たちと帰るという明智を置いて、井上は車に乗りこんだ。
     花崎は、後部座席に小林を引っ張りこむ。勝田が助手席に座った。
     小林は膝を抱えて舟をこいでいる。勝田は寡黙、座持ちのよい花崎も口を開かない。
     車内の沈黙に耐えかねて、井上はラジオをかける。流れたのはプロ野球中継だった。緩慢な試合運びは、話の糸口にもならない。


     勝田と小林を下ろして、井上の緊張の糸が切れた。
     幹線道路をはずれて、マンションの立ち並ぶ住宅街を抜ける。公園を見下ろす河川敷の路肩に、車を停めた。
    「少し休む」
     タクシーなり電車なりで帰れと言おうとしても、ため息になる。息苦しくなって、シートベルトをはずした。
    「わかった」
     短く言って、花崎は車を出ていった。


     鉄道橋を私鉄が渡っていく。ここから五分も歩けば、駅に着く。
     ラジオを止めて、シートを倒した。
     人家の明かりは遠く、星も少ない。道すがら、犬の散歩やウォーキングをする人とすれ違ったが、今は通る人もない。
     花崎には、山ほどの文句がある。二人きりになれば、とめどなく感情任せに言い募ってしまいそうだった。去ってくれてよかった。
     それは早合点だった。


     コンビニのレジ袋を下げた花崎が戻ってきた。リアシートに戻り、井上に温かいペットボトルの紅茶を渡す。
    「お疲れ」
    「帰ってもよかったんだぞ」 
    「やだよ。体濡れてるんだから、井上が送ってってくれるんだろう」
     濡れねずみは井上も同じだ。車に着替えを置いているので、乾いたシャツを着ているだけ、花崎よりましだった。とはいえ、運転手扱いされるのはしゃらくさい。


    「……前に乗れ」
    「どうして?」
    「言いたいことがある」
    「後ろにいても、話はできるじゃん」
     花崎はコンソールをまたいで、助手席に移った。ついでにルームライトをつける。 


    「どうして、かっちゃんを連れてきた?」
    「いたから」
    「かっちゃんの都合は、考えなかったのか?」
     勝田が、部活動をかけもちし、家の手伝いをしていることを、当然花崎も知っている。遠慮会釈無く引きこむ様子が、目に浮かぶようだ。


    「オレ、勝田に会ったの、久しぶりなんだよね」
     花崎は水を飲む。
    「こんな日に会ったって、やっぱ何かの縁だし、現場の状況はよくわかんないけど、機動力あった方がいいし、勝田は頼りになるから」
    「頼りにならなくて悪かったな」
     花崎は息を呑み、口をつぐんでしまう。


     地下水路では、小林に「役立たず」と言われた。今になって怒りに火を入る。
    「小林を入れたのも、俺では回らないからだろう?」
    「小林は別件。そんなに、小林がいや?」
    「最初から言ってる。危険だ」
    「今日は、何か危ない目にあった?」
     水に飲まれそうになったのは、二十面相の所業だ。小林は、明智に言われた通り、井上と二人でことに当たろうとしていた。
    「……いや」
    「チーズケーキ食べる?」
    「ああ」
     ベイクドチーズケーキのフィルムの端をはがして、花崎は寄越した。すぐに食べて黙れということらしい。


    「勝田、団に戻ってくる?」
    「それはない」
    「そっか」
     そっけなさに、惜しむ心がにじんでいる。
    「おまえは、昔からかっちゃんがよかったよな」
    「井上と勝田が一緒にいると安心できる」
    「だから、俺では駄目なんだろう?」
    「ニコイチが自然だったから、ずっとそうだと思ってたって話」


    「明日、かっちゃんが事務所に来る。小林に食事作るって」
    「本当に? やった!」
     こどもっぽく花崎は万歳をする。
    「何が嬉しい?」
     あたたかいミルクティーと甘いケーキで、気持ちがほどけたところだった。やにわに、舌にこびりついたチーズケーキの塩気が、気にさわる。
    「勝田が来てくれるし、小林を気にかけてくれてるのがいい」
    「おまえは、みんな仲良しがいいんだ」


    「みんな公平とか平等とかは、無理だってわかってるよ」
    「どうして小林をかまうんだ? あいつも、うるさがってるだろう」
    「かまいたいから」
    「考えて答えろ」
    「うーん……オレは花崎に貰われたけど、小林と同じ生活をしてたかもしれない」
    「普通なら保護される」
     小林は他者を傷つけるPKがある。要保護の申請は受けていても、本人が投降するより捕まえる方法はない。
    「小林に安心できる相手がいたら、普通の生活をしてたよ。オレがラッキーだったってだけのこと」 
     花崎は前歴を話さない。躾が身につかない金持ちのドラ息子が板についているが、養子に入る前は、施設や親戚をたらい回しにされていたようだ。


    「先生にも余計なことはするなって言われてるから、退くところは退いてるよ」
    「身元不明のこどもが問題を起こしたら、事務所の責任になる」
    「わかってる。でも、小林は賢いから、オレたちが気を遣う必要はないと思う」
    「そうか」
    「井上は、小林にもう少し気を遣ってもいいと思う」
    「どっちなんだ?」
    「やさしくして」
    「おまえがいればいいだろう」
    「今日みたいにオレがいないとき」
    「善処する」
     今日は明智の思いつきで、小林と組まされた。相性の悪さは改めて報告して、二度目は避けるのみだ。


     花崎が、首元のバッジを引き上げた。着信のライトが点滅している。
    「今? 井上と一緒だよ、先生」
     声のトーンが一段明るくなった。
     自分との会話がそれほど気鬱だったのかと、井上は向かっ腹が立った。
     右脚を無くしてから、花崎が自分の顔色をうかがうようになったとは感じていた。それに苛立っては、当たっていたこともあった。忘れたころにわだかまりを思い出させるのだ。


     小林に山ほどのハンバーガーを買う算段で、花崎ははしゃいでいる。帰り際も小林の空腹を心配して、花崎は食べ物を持たせていた。
     小林と同列に並べられているのが、面憎い。明智との相違を見せつけられて、悔しい。


     手を伸ばして、よく喋る唇の端をつまむ。
     花崎は斜ににらんで、話を続ける。アルコールの入った明智の、たちの悪い冗談に、追従でなく笑っている。
     口の端をつつくと、花崎は身をよじってドアの方へと逃げる。
     勝田がいれば、止められている。無言で他人の体を触ってはいけないのは、常識だ。
     花崎に触れたい衝動は、はじめて会ったときからあった。人懐こい動物のこどもを撫でたいと思う、それと同じだった。同級生と肩を寄せたり、小突いたりするように、特に意識したこともなかった。
     このところ、花崎は、小林を連れ回している。井上は、明智のように、気の利いたことで笑わせることもできない。
     ここにはいない二人にできないことを、井上はできる。


     助手席のヘッドレストに手を置いて、コンソールに膝をつく。義足のライナーに入った水が、小波をたてている。
     花崎はドアに背をつけ、手元のバッジに目を落とす。にじり寄られても、身じろぎするだけだ。
     ドアにロックはかけていない。距離を詰められるのがいやならば、出ていけばいい。
     遮ろうとする花崎の指先は、井上の肩口を押さえる。抗う力を感じない。
     指が、花崎の太腿の下に滑りこんだ。湿った制服は熱を帯びて、体温をより生々しく感じさせる。じかに触れることができる間合いだ。
     花崎の唇に触れないように、つまんだところにキスをする。
     小林の箸使いに熱弁をふるっていた花崎は、手の甲でそこをこすった。花崎の横目に惨めに映らないように、井上は笑みを浮かべた。

     むっと眉をしかめても、花崎は浮かれた語調を変えない。
     言葉を重ねても、花崎はこの感情を理解できない。
     花崎は井上のシャツの胸倉をつかんだ。明智に、にこにこと相づちを打っている。
     いつにない乱暴な所作に、息が止まった。表情との食い違いに二度驚く。癇にさわるようなことがあっても、花崎に手をあげられたことはない。強く抵抗しないのをいいことに調子に乗りすぎた、と少しく反省した。 
     ぐいぐいと引っ張る膂力のたくましさに、井上の体勢は崩れそうだ。ドアの上のグリップをつかみ、これ以上前のめりにならないように腰を引く。
     首を傾けた花崎が、唇を重ねる。甘いミルクティーのにおいが鼻をくすぐった。自分の息が花崎に反射している。


     グリップをつかむ手に力を入れ、自分からキスをする。やっと唇の感触を手に入れた。指の腹と相違はないという冷静な判断と、誰でもできる方法ではなく花崎に触れた興奮がせめぎあい、鼓動が高まってきた。


     花崎は手を離し、唇を指の背でこする。
    「……どぶ臭い!」
     と、重ねて井上を傷つけた。







    井上×花崎の井上は、おおむねこどもっぽい
    井上は「言わなくてもわかる」、花崎は「言ってもわからない」ので言葉が足らないのがデフォルト
    二人とも疲れてるし、勝田が来てくれたのがご機嫌で、頭空っぽでグズグズ言い合ってるの見たい
    この後の会話は、グダグダになったので割愛
    言葉を重ねるほど、井上が鈍くて、卑下して曲解するし
    理解している花崎は、それに振り回されて自信がなくなっていく悪循環は、井上が「好き」と言ったら終わる


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